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小児矯正で使用するヘッドギアとは?メリットとデメリットについて解説

小児矯正で使用するヘッドギアとは?メリットとデメリットについて解説

小児矯正は子どもの成長と共に歯並びや噛み合わせの問題を早期に解決するために重要です。子どもの顎は柔らかく、成長過程にあるため、歯列矯正治療によって短期間で効率的に理想的な位置に歯を移動させられるからです。
本記事では、以下の項目別に小児矯正で使用するヘッドギアについて解説します。

  • 小児矯正で使用するヘッドギアについて
  • 小児矯正で使用するヘッドギアのメリット
  • 小児矯正で使用するヘッドギアのデメリット

ぜひ最後までお読みください。

小児矯正で使用するヘッドギアについて

小児矯正で使用するヘッドギアについて

ヘッドギアはどのような装置ですか?
ヘッドギアは子どもの骨格的な問題を改善するための歯列矯正装置で、主に上顎の発育をコントロールします。成長期において上顎が過度に発育することによって生じる上顎前突や不正咬合を未然に防ぐためです。

まず、上顎前突は、上の顎が正常な位置よりも前方に突出している状態を指します。上の歯が下の歯よりもかなり前に出ることが特徴です。 この状態は見た目の問題だけでなく、噛み合わせの問題や顎の機能に影響を及ぼすことがあります。

次に、不正咬合は上下の歯が正しく噛み合わない状態を指します。この状態は、歯並びが悪い、噛み合わせが合わない、顎の位置がずれているなど、さまざまな原因によって引き起こされます。

ヘッドギアは細かな歯並びの歯列矯正には用いられず、基本的には骨格の成長方向を管理する目的があります。改善できる症状は主に「上顎前突」で、この装置を用いることで外科手術を必要とするほどの重度の症状を改善できる可能性があります。治療期間はケースバイケースですが、数ヶ月〜1年以上かかることもあります​。

ヘッドギアを装着する目的を教えてください。
ヘッドギアの主な目的は、上顎の骨の成長をコントロールすることにあります。
具体的には、上顎の成長を抑制し、上顎の大臼歯を後方に移動させることで、上下顎の噛み合わせを改善し、出っ歯の傾向を持つ子どもの歯並びを正すために用います。大臼歯は、口の奥に位置する大きな歯のことで、主に食物を咀嚼(そしゃく)するために使われ、大人になると上下の顎にそれぞれ6本ずつ、合計12本の大臼歯が生えます。

ヘッドギアを使用することにより、骨格的な問題を解決し、よりバランスの取れた顔貌と機能的な噛み合わせを目指します。主に小学生の成長期に使用され、睡眠時など特定の時間に装着することで、より良く骨の成長を調整できます。

ヘッドギアは何の症例だと改善が期待できますか?
ヘッドギアは、主に小児の成長期に適用され、適切なタイミングで使用することで、上顎前突(出っ歯)の改善が期待できる歯列矯正装置です。ヘッドギアは、上顎の成長を抑制し、前方に突出する傾向を矯正することで、出っ歯の問題を解決しようとします。
ヘッドギアの治療期間はどのくらいですか?
ヘッドギアの治療期間は個々の症例によって異なりますが、1日8〜12時間以上の装着を8〜18ヶ月程度、要することが多いとされています。 成長期の子どもに使用されることが多く、成長を適切にコントロールするために、家にいる間や就寝中に装着することが推奨されます。

小児矯正で使用するヘッドギアのメリット

小児矯正で使用するヘッドギアのメリット

ヘッドギアの治療にかかる費用はほかの歯列矯正治療より抑えられますか?
ヘッドギアの治療にかかる費用は、ほかの歯列矯正治療と比較して抑えられる傾向にあります。具体的な費用の相場は10万円~50万円程度と幅広いですが、子どもの成長を阻害しない目的で行われる歯列矯正治療の場合、医療費控除の対象になることもあるため、大人になってからの歯列矯正治療より費用を抑えられるといわれています。ほかの歯列矯正治療にかかる大まかな費用の概要は、以下となります。
  • 表側矯正:金属製のブラケットとワイヤーを用いて歯を動かします。費用は約80万円〜100万円が目安です。
  • 裏側矯正(舌側矯正):歯の裏側にブラケットを装着するため、歯列矯正装置が外から見えにくいのが特徴です。費用は約120万円〜150万円となっており、表側矯正よりも高額になる傾向があります。
  • マウスピース型矯正:透明なマウスピースを使用し、目立ちにくいのがメリットです。費用は約60万円〜120万円程度ですが、簡単な歯並びの調整の場合は20万円からのオプションもある歯科医院があります。

支払い方法については、主に治療費を総額で前払いする「総額制(トータルフィー制)」と、処置ごとに都度支払う「処置別支払い制」の2種類があります。 総額制は、治療が長引いても追加費用がかからないメリットがありますが、一度に高額な支払いが必要になります。

一方、処置別支払い制では、治療が長引くと予想外の追加費用がかかる可能性がありますが、支払い負担を分散できるメリットがあります​。 費用はあくまでも目安であり、歯科医院や症例によって異なるため、詳細は直接歯科医師に確認しましょう。

ヘッドギアは取り外しできますか?
はい、ヘッドギアは取り外し可能な着脱式の歯列矯正装置です。 主に子どもの成長期に使用され、上顎の骨の成長を抑制し、歯並び全体を後退させる働きがあります。手間はかかりますが、患者さん自身が毎日装着し、就寝時など特定の時間に着用することが推奨されています。装着時間や期間は、症状や治療内容に応じて歯科医師が個別に指導します。
ヘッドギアは上顎の成長を無理なくコントロールできますか?
はい、ヘッドギアは上顎の成長を無理なくコントロールできるように設計されています。ヘッドギアは、子どもの成長期における上顎の過剰な前方成長を調節し、バランスの取れた顎の成長を促進するために役立ちます。 正しい装着方法と適切な着用時間を守ることで、上顎の成長をコントロールし、不正咬合のリスクを減らせます。

小児矯正で使用するヘッドギアのデメリット

小児矯正で使用するヘッドギアのデメリット

ヘッドギアは長期間装着する必要がありますか?
ヘッドギアは長期間の装着が必要であり、1日に8〜12時間程度の装着を小学生の成長期に行うのが良いとされています。治療の適齢期は小学3〜4年生頃とされていますが、子どもの成長具合や歯並びの状態によって変わり得るため、歯科医師からの指導が必要です。 装着時間を守らないと、治療期間が延びる可能性がありますので、正しい装着方法と共に装着時間を守ることが重要となります。
ヘッドギアを装着しているときに、激しい運動を避けるべき理由を教えてください。
ヘッドギアを装着している間に激しい運動を避けるべき理由は、装置が顔や口に損傷を与えるリスクが高まるためです。 ヘッドギアは顔周りにフレームがあるため、運動中に顔が衝撃を受けた場合、フレームが肌や口内を傷つける可能性があります。また、激しい動きによってヘッドギア自体が破損する恐れもあります。そのため、装着中は運動を控えることが推奨されます。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで、小児矯正で使用するヘッドギアのメリットとデメリットについて解説していきました。 要点をまとめると、以下の通りです。

  • ヘッドギアは、子どもの上顎の過度な発育を抑え、上顎前突や不正咬合を未然に防ぐ歯列矯正装置
  • ヘッドギアは、主に骨格の成長を調節し、外科手術が必要な重度の症例の改善も期待でき、治療期間は数ヶ月~1年以上に及ぶことがある
  • ヘッドギアの治療にかかる費用は、ほかの歯列矯正治療より抑えられる傾向がある
  • 顔周りにあるフレームが、運動中の衝撃で肌や口内を傷つけ、ヘッドギア自体が破損するリスクが高まるので、激しい運動は避けるべき

早期治療によって不正咬合の悪化を防ぎ、将来的にさらに複雑で高額な治療が必要になるのを避けられます。
また、適切な噛み合わせは発音や咀嚼機能の向上にも繋がり、子どもの自信に影響します。正しい歯並びは見た目の美しさだけでなく、全身の健康維持にも役立つため、小児矯正は子どもの将来のために大切な投資といえるでしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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