「矯正は目立つから周りの目が気になる。」「矯正をしていると気づかれたくない。」と、悩んでいる方の多くが選んでいるのがマウスピース矯正です。
目立ちにくいのがマウスピース矯正の一番の特徴ですが、矯正の期間はどのくらいかかるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では、マウスピース矯正の期間はどのくらいなのか詳しく解説していきます。
また、矯正期間が短くなるケース・長くなるケース・短くするポイントも併せて紹介します。マウスピース矯正を検討している方は参考にしてください。
マウスピース矯正の期間はどのくらい?
インビザラインとも呼ばれるマウスピース矯正は、ワイヤーを使うブラケット矯正より治療期間が短いと思われている方が多いのではないでしょうか。
しかし、実際は矯正期間に大きな差はありません。部分的な矯正の場合は半年〜1年程度、全体的な矯正の場合は2〜3年程度が平均の矯正期間です。
ただし、治療を始めた年齢や治療の難易度によって矯正期間が通常と異なる可能性があるでしょう。
20〜30代の方の場合は代謝が良いため歯が動きやすく、比較的治療が早く終了する傾向にあります。
一方40代以降の方の場合歯が動きにくくなるため、治療期間が若干延びることもありますが、あくまで目安なので個人差はあります。
治療の難易度が難しい症例の場合は、平均的な期間からさらに時間がかかる可能性もあるでしょう。
マウスピース矯正の期間が短くなるケース
平均的な矯正期間は理解できたけれど、できれば短い期間で矯正をしたいと考えている方が多いのではないでしょうか。
治療期間が長ければ長いほど、通院回数が増えるのでスケジュールを組むのが大変でストレスに感じてしまうでしょう。
矯正期間が短くなるケースは主に症状が軽度の場合が多いです。ここからは期間が短くなる、主な軽度の症状を2点紹介します。
ご自身の歯並びが症状と当てはまるか参考にしてください。症状に当てはまるかわからない場合は、悩まず医師に相談しましょう。
軽度のすきっ歯
すきっ歯とは歯と歯に隙間が空いている状態で、空隙歯列とも呼ばれています。
特に前歯がすきっ歯の状態だと見た目も気になるため、会話をする時などに悩んでいる方が多いのではないでしょうか。
すきっ歯の原因として以下の項目が考えられます。
- 歯が少ない:生まれつき歯が少ない先天性欠如という症状があります。歯の本数が少ないため隙間が空いてしまう状態です。
- 顎が大きい:歯が通常の大きさなのに対して、顎が大きすぎてしまうと隙間が空いてしまいすきっ歯になりやすいです。
- 上唇小帯の発達:上の前歯と前歯の間にある上唇小帯と呼ばれるヒダの部分が過剰に発達すると、隙間に入り込んでしまいすきっ歯になってしまいます。
- 空いている隙間を埋める矯正のため、治療期間は約半年〜1年とされており、他の症状に比べると比較的短い期間で治療できるのが特徴です。
軽度の叢生
上述で紹介したすきっ歯とは反対に、歯のサイズや本数に対して歯列のスペースが狭く、重なり合った状態を叢生と呼びます。
叢生の原因は以下の項目があげられます。
- 先天的問題:先天的に顎が小さい場合や、顎が十分に発達していない場合、叢生になりやすいです。顎が小さいため永久歯が生えそろわず、はみ出すことにより凸凹になってしまいます。
- 後天的問題:乳歯が虫歯や外傷によって通常よりも早く失ってしまうことで、永久歯が生えるのに時間がかかってしまいます。その結果、既存の歯が隙間を埋めようとして歯並びが悪くなってしまうのです。永久歯が生えてきても、本来と違う場所に生えてしまうことで凸凹になってしまいます。
一般的に叢生は凸凹に並んだ状態ですが、歯列から大きくはみ出していない軽度な叢生であれば、比較的矯正の期間は短くできるでしょう。
個人差はありますが、1年ほどで綺麗な歯並びにできます。
マウスピース矯正の期間が長くなるケース
矯正期間が短くなるケースがあるということは、反対に、矯正期間が長くなってしまうケースもあります。
平均的な期間だろうと思い検査したところ、通常よりも期間が長いと判明すると精神的にも辛くなるでしょう。
ここでは事前にどのようなケースの場合、期間が長くなるのか確認していきます。
オープンバイト
オープンバイトとは、奥歯だけが噛み合っていて前歯に向かうにつれ隙間が空いている状態で、開咬とも呼ばれます。
上下の前歯が噛み合っていないため咀嚼ができず、奥歯だけに負担がかかってしまい、奥歯を失ってしまう可能性もあるでしょう。
原因は以下の項目があげられます。
幼少期の癖:幼少期に指吸いによって上の前歯が押されてしまい隙間ができてしまう状態です。
隙間があるので、無意識のうちに舌を出してしまい歯が押し出されオープンバイトになってしまいます。
骨格の問題:遺伝的に顎の発達や形状に問題があり、オープンバイトを引き起こしてしまう状態です。両親や親族にオープンバイトの方がいるとなりやすいでしょう。
オープンバイトの場合、出っ歯や叢生など別の症状を複合していることがあるため、治療期間は2〜3年程度かかってしまいます。
また、原因となる舌を出すなどの癖が治らないとさらに時間がかかってしまうでしょう。
マウスピース矯正で治しきれない場合は、ブラケット矯正を併用しながら治療を進める場合もあります。
重度の叢生
矯正が短くなるケースとして軽度の叢生を上述で紹介しましたが、反対に重度な叢生の場合は矯正期間が長くなってしまいます。
軽度な叢生の場合は1年ほどの治療期間が目安でしたが、重度の叢生の場合は2〜3年ほど期間がかかることも珍しくありません。
また、あまりにも症状が重度の場合は、そもそもマウスピース矯正が適しておらずブラケット矯正の提案をされる場合もあるでしょう。
マウスピース矯正は負担が少ないのですが、症状によっては時間がかかり、場合によっては適していないこともあると事前に知っておくことは大切です。
マウスピース矯正の期間を短くするポイント
マウスピース矯正にはある程度期間がかかってしまうのは仕方のないことですが、可能な限り短期間で終わらせたいのではないでしょうか。
矯正をする際はいくつかの注意事項があります。一般的な注意事項は下記の4つです。
- 装着時間を守る
- 装着方法を守る
- 正しいケアをする
- 通院ペースを守る
上述した注意事項を守っていれば、矯正期間を短くすることも可能です。それぞれの注意事項に対して、期間を短くするポイントを紹介します。
装着時間を守る
マウスピース矯正はマウスピースの圧によって歯を動かす治療のため、一日の装着時間は約20〜22時間ほどが必要です。
基本的には食事中や歯磨きをする以外の時間は常に装着します。
ブラケット矯正と違い簡単に取り外しができるのがマウスピース矯正のメリットですが、その簡単さがデメリットにもなるでしょう。
装着時間を守らないと歯に十分な圧を加え続けられないため、歯の移動量が少なくなってしまいます。
その結果治療期間が延びてしまう可能性が高まるため、事前に決められた装着時間は守るようにしましょう。
寝る前に歯磨きをして、そのままマウスピースを装着せずに寝てしまう方も多いので注意が必要です。
装着方法を守る
マウスピース矯正に限らず、歯の矯正は矯正器具によって歯を動かす治療のため、若干の痛みは伴います。
痛いからといって、外したまま生活をしないように注意しましょう。
装着する際は、指でゆっくりと前歯から奥歯に向かって押していきます。カチッと音が鳴ればしっかり装着できているサインです。
最初の慣れないうちは無理をせず、鏡を見ながら正しく装着しましょう。
指で押し込まずに歯で噛んで装着しようとすると、マウスピースが破損してしまいます。装着方法を守って正しく使用しましょう。
取り外す際は装着する時とは逆で、奥歯の内側からマウスピースを浮かせます。浮かせたまま前歯に向かって徐々に外していきましょう。
長い爪で無理やり外そうとすると、爪が引っかかり割れてしまう危険性もあるので、細心の注意をはらって外しましょう。
正しいケアをする
ほぼ一日中長時間にわたって装着しているマウスピースは汚れが溜まってしまいます。毎日の歯磨きは意識できるものの、マウスピースの汚れは見落とされてしまうことが多いです。
ケアをする場合、普段使用している歯ブラシでそのままマウスピースを磨くのは厳禁です。
歯ブラシには汚れや菌が付着したままの可能性があります。その状態でマウスピースをケアしてしまうと汚れを広げてしまい、菌が繁殖しやすくなってしまいます。
専用の洗浄液やブラシを使用して、毎日のケアをしましょう。
最初は手間に感じるかもしれませんが、習慣化してしまえば苦にはならないため、まずはケアを忘れないという心がけを持つことが大切です。
通院ペースを守る
マウスピース矯正の場合、通院の頻度は2〜3ヶ月に1回は必要です。
ブラケット矯正の場合は1ヶ月に1回の通院が必要なので、マウスピース矯正の方が通院の負担は少ないでしょう。
矯正治療の流れとしては、最初に歯形のデータをとり、患者さんの歯の状況にあったマウスピースを作ります。
初めのうちは約2週間ごとにマウスピースを交換するため通院の間隔が短いですが、定期検診の期間になると2〜3ヶ月に1回の通院となります。
矯正治療の状況を確認した上で適したマウスピースを新たに装着する必要があるため、通院ペースは必ず守りましょう。
少しでも通院間隔がずれてしまうと治療期間が延びてしまうため注意が必要です。
他の矯正方法にかかる期間
マウスピース矯正以外にも歯の矯正方法はあり、ブラケット矯正・裏側ブラケット矯正・部分矯正などがあげられます。
患者さんの顎の大きさ・歯の大きさ・噛み合わせなどを診察し、それぞれに適した治療方針で矯正を進めていくことになるでしょう。
矯正方法によって治療終了までかかる期間は異なります。どの矯正方法でどれくらいの期間がかかるのか、特徴も合わせて解説しますので参考にしてください。
ブラケット矯正
ブラケットと呼ばれる矯正装置を歯の表面に取り付け、その間にワイヤーを通して歯に圧を加えて動かすことをブラケット矯正と呼びます。
ワイヤー矯正とも呼ばれますが、歯の矯正と聞くとこのブラケット矯正をイメージされる方が多いでしょう。矯正期間は2〜3年程度かかります。
歯の表面に装着しているので目立ちやすいデメリットはありますが、さまざまな症状に適応して治療ができるというメリットもあります。
症状が重度の場合は、3年前後かかる場合もあるでしょう。
裏側ブラケット矯正
適応範囲が広いというメリットがあるブラケット矯正ですが、やはり目立つのが気になるという方は少なくありません。
その場合は、歯の裏側の表面にブラケット装置を取り付ける裏側ブラケット矯正が適しているでしょう。
矯正期間自体は通常のブラケット矯正とほぼ同じですが、手間がかかるため1回のメンテナンスや治療に時間がかかる場合があります。
また、裏側ブラケット矯正の場合は通常に比べると費用がかかる上に技術も必要なため、症状によっては適用できない場合もあります。
まずは医師に相談して、自分の症状に適用できるか確認しましょう。
部分矯正
全体で見ると歯並びは悪くないけれど、目立ちやすい前歯の一部だけが気になる場合などに行うのが部分矯正です。
通常は全体を動かしますが部分矯正は一部だけを動かすため、矯正期間は3〜10ヶ月ほどです。
もちろん個人差はありますが、全体矯正に比べると短期間で矯正ができるため、症状が軽い場合に適しているでしょう。
部分矯正がおすすめの方は下記のような方です。
- 仕事や予定が忙しく治療時間を十分に取れない方
- 矯正費用を少しでも抑えたい方
- 前歯の一部分だけが気になる方
- 結婚式・海外留学・海外転勤など決まった期日までに間に合わせたい方
治療期間が短いと紹介しましたが、重要な予定やイベントに間に合わせたい場合は、期間に余裕を持って医師に相談をしましょう。
まとめ
マウスピース矯正は歯の症状によって治療期間がそれぞれ異なります。
症状が軽度であれば、マウスピース矯正で短期間の矯正ができる場合もありますが、重度の場合はブラケット矯正よりも時間がかかってしまいます。
まずは歯科医院を受診し、医師に歯の状況を確認してもらいましょう。焦らず自分に合った矯正方法を見つけることが大切です。
マウスピース矯正を進めていく場合は、装着時間や通院ペースなど決められた注意事項はしっかり守っていきましょう。
最初は慣れるまでに時間がかかると思いますが、決められた注意事項を守らなければ治療期間が延びてしまうので注意が必要です。
数ヶ月〜数年の時間をかけて矯正していくため、少しでも異変を感じることがあれば迷わず医師に相談しましょう。