マウスピース矯正

インビザラインの保定期間はどのぐらい?リテーナーの種類や後戻りを防ぐコツ

インビザラインの保定期間はどのぐらい?リテーナーの種類や後戻りを防ぐコツ

歯並びの乱れを整える歯列矯正では、歯を動かす動的治療が完了したら、後戻りを防止するための保定処置を行います。専門的にはリテーナーと呼ばれる装置を装着して、歯の位置を固定する必要があります。それはマウスピース型矯正のインビザラインも例外ではありません。今回はそんなインビザラインにおける保定の期間やリテーナーの種類、後戻りを防ぐコツなどを詳しく解説します。これからインビザラインの保定処置を控えている人は参考にしてみてください。

インビザラインの保定期間

インビザラインの保定期間 はじめに、インビザラインの保定期間や使用するリテーナーの種類を確認しておきましょう。

インビザラインの保定期間はどのぐらいですか?
インビザラインの保定期間は通常の歯列矯正と変わりはありません。後戻りのしやすさは個人差がありますが、平均して保定開始から1年間は1日20時間、保定1年以降は毎日夜間8時間程度、保定2年以降は2日ごとに夜間8時間程度、保定3年以降は週2回夜間8時間程度、保定4年目以降は週1回夜間8時間程度を生涯使用する必要があります。
治療と保定を合わせた長い期間は、辛く感じてしまうかもしれません。しかし、インビザラインをはじめとした歯列矯正は、保定までしっかりやることで美しく健康的な歯並びを手に入れられるのです。
インビザラインによる治療後に使用するリテーナーの種類について教えてください。
インビザラインによる治療後は、いくつかの種類のリテーナーから適切なものを選択、あるいは組み合わせることになります。具体的なリテーナーの種類としては、次の5つが挙げられます。

【種類1】フィックスリテーナー
フィックスリテーナーとは固定式の保定装置で、舌側弧線装置(ぜっそくこせんそうち)や犬歯間保定装置(けんしかんほていそうち)とも呼ばれます。主に上下の前歯の裏側に取り付けられ、歯の位置を24時間しっかりと固定します。前歯は臼歯と比較するとサイズが小さく、動きやすいことから、固定式の装置が適しているのです。

【種類2】ベッグタイプリテーナー
ベッグタイプリテーナーとは、金属製のワイヤーと樹脂製のプレートで構成された保定装置です。ワイヤーの部分が歯列全体にかかるのがベッグタイプリテーナーの特徴です。

【種類3】ビベラ・リテーナー
ビベラ・リテーナーとは、インビザライン専用の保定装置です。透明な樹脂で作られたマウスピースで、歯列全体を固定することができます。インビザラインの動的治療に用いるアライナーよりも硬い素材で作られています。

インビザラインによる治療後の後戻りを防ぐためのコツ

インビザラインによる治療後の後戻りを防ぐためのコツ 次に、インビザラインによる矯正後の後戻りを防止するコツについて解説をします。

インビザラインによる治療後の後戻りを防ぐにはどうすればよいですか?
インビザライン矯正後の後戻りを防止するうえで、もっとも重要なのは保定処置を適切に行うことです。リテーナーの装着時間を厳守することはもちろん、定期的な通院も必ず行うようにしてください。仮にリテーナーをルールどおりに装着していても、その他の原因によって後戻りが生じる場合もあるのです。例えば、歯並びを悪くする口呼吸や舌を前に突き出す癖、歯ぎしり・食いしばりなどがあると、インビザライン矯正後の後戻りが起こりやすくなります。そうした後戻りを促進するマイナス材料をなくすためにも、保定期間中の通院は予定どおりに継続してください。
保定期間が終われば後戻りの心配はないのでしょうか?
保定期間を終了しても、後戻りのリスクがゼロになることはありません。なぜなら歯並びはいろいろな理由で悪くなるからです。例えば、もともと出っ歯だった人で、その原因が口呼吸や舌を前に突き出す癖にある場合は、インビザライン矯正で歯をきれいに並べて保定まで完了したとしても、悪習癖が残っていれば後戻りは生じます。ですから、保定期間が完了してからもきれいな歯並びを維持したい場合は、歯列不正・不正咬合の原因となる習癖なども除去することが大切です。あるいは、予定した保定期間が完了した後も保定処置を継続することで、後戻りのリスクはできる限り抑えられます。
リテーナーを装着するのは夜間だけでも大丈夫ですか?
リテーナーの装着は、保定から1年経過した場合、基本的に夜間だけで問題ありません。それはインビザライン矯正に限らず、歯列矯正全般に共通していえることでしょう。保定処置は、歯を動かす動的治療と同じくらいの期間、継続する必要がありますが、装置を着けているのは1日の半分以下の時間なので、それ程大きな負担にはなりません。もちろん、リテーナーは夜間しか着けてはいけないものではなく、日中にも着けることも可能で、装着時間が長くなる程保定効果も大きくなります。ですから、身体的・精神的に余裕のある人は、日中もリテーナーを装着した方がよいといえます。

インビザラインの保定期間中の注意点

ここでは、インビザラインの保定期間中で注意すべき点を解説します。

インビザラインの保定期間中に気を付けるべきことを教えてください。
インビザラインの保定期間中は、保定装置の装着時間を守ってください。また、保定や歯並びの状態をチェックするために、定期的な通院も欠かせません。その他の注意点としては、保定装置が破損・変形しないよう適切に取り扱うこと、口腔衛生状態を良好に保つことなどが挙げられます。
歯周病があると後戻りに影響しますか?
保定期間中に歯周病を発症すると、後戻りのリスクが高まるため、十分な注意が必要です。なぜなら歯周病は、歯茎や顎の骨を破壊していく病気だからです。歯を支えている歯茎や顎の骨が壊れると、歯は不安定な状態となります。その結果、噛んだときの力によって歯が傾いたり、別の位置へと移動したりするのです。

多くの場合、歯周病によって歯が動いてしまうと折角の矯正治療の効果が失われ、歯並びが後戻りしてしまいます。重症化した歯周病では、インビザライン矯正する前より歯並び・噛み合わせが悪くなることもありますので、歯周病は徹底的に予防していきましょう。インビザラインの保定期間中に歯周病を発症したとしても、早期に治療を行えば、歯並びにまで悪影響が及ぶことはありません。そういった意味でもインビザラインの保定期間中に、定期的な通院を継続することは重要といえます。併せて一般歯科での定期検診も受けておくと、歯周病の早期発見・早期治療、予防をしやすくなるかと思います。

保定期間中の通院頻度について教えてください。
インビザラインの保定期間中の通院頻度は、3〜6ヵ月に1回が一般的です。保定期間に入った直後は翌月に受診して保定の状態を診ることも少なくないですが、その後は通院の頻度が徐々に減っていき、6ヵ月に1回くらいに落ち着きます。ただしそれは、インビザラインの保定期間中に何ら問題が生じていないことが前提となります。保定装置の装着時間を守れていなかったり、歯周病やむし歯を進行させたりしているケースでは、高頻度に経過を見ていく必要があるからです。

編集部まとめ

今回は、インビザラインの保定期間やリテーナーの種類、矯正後の後戻りを防ぐコツなどを解説しました。インビザラインの保定期間は、歯を動かす期間と同程度で、全体矯正の場合は1~3年程度です。リテーナーは、固定式と着脱式の2つに大きく分けられ、そのなかでもいくつかの種類に細分化されます。インビザラインの場合は、ビベラ・リテーナーという専用の保定装置を利用することも可能です。インビザラインの保定期間中は、歯科医師の指示どおりに保定装置を装着し、定期的な通院も欠かさないようにしましょう。保定装置の装着を途中でやめたり、重度の歯周病にかかったりすると、後戻りが助長されるため十分な注意が必要です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
宮島 悠旗医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

宮島 悠旗医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

愛知学院大学歯学部卒業 / 東京歯科大学千葉病院にて臨床研修医終了 / 東北大学大学院歯学研究科口腔発育学口座顎口腔矯正学分野 助教 / 宮島悠旗ブライトオーソドンティクス起業 / 著書「国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”-世界で活躍する人の『デンタルケア』-」(幻冬舎)出版 / 合同会社T&Y Connection設立 / ASIA GOLDEN STARAWARD(企業家賞)受賞 / 著書「歯並び美人で充実人生-幸せを呼ぶゴールデンスマイル-」(合同フォレスト)出版 / 株式会社オーティカインターナショナル認定講師 / 現在は宮島悠旗ブライトオーソドンティクス代表としてフリーランス矯正歯科医を行っている / 専門は矯正歯科(Invisalign®︎、小児矯正、Myobrace®︎、マルチブラケット、アンカースクリュー、PBMオルソ(光加速矯正装置))

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