部分矯正は、気になる部分だけを手軽に整える矯正治療で、費用や期間を抑えられる点が魅力です。特に前歯の軽度なズレや隙間におすすめですが、すべての症例に対応できるわけではありません。
本記事では部分矯正について以下の点を中心にご紹介します。
- 部分矯正はどのような歯に向いているのか
- 部分矯正のメリット
- 部分矯正のデメリット
部分矯正について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください
部分矯正について
- 部分矯正とはどのような治療ですか?
- 部分矯正とは、歯列全体を対象とする矯正治療ではなく、特定の部分に焦点を当てて歯並びや噛み合わせを改善する治療法です。この方法では、主にワイヤー矯正、マウスピース型矯正などが用いられます。治療期間は3ヶ月〜1年程度と短く、全体矯正に比べて治療費を抑えられる点が特徴です。特に歯列全体に大きな問題がない方や部分的な不揃いを気にされる方におすすめの治療法です。しかし、部分矯正には適応できる症例が限られており、場合によっては効果的な結果が得られない可能性もあります。そのため、治療前には医師との綿密な相談が必要です。メリットとデメリットをしっかりと理解し、自身に合った治療法を選ぶことが重要です。
- 部分矯正のメリットを教えてください
- 部分矯正は、手軽さと効率性が魅力の矯正治療です。最大のメリットは費用が抑えられる点で、使用する矯正器具が少なく、治療期間も短いため、全顎矯正に比べて経済的です。また、治療期間が半年から1年半程度と短く、早期に矯正効果を実感できるため、多忙な方や周囲に矯正治療を気付かれたくない方におすすめです。部分的に歯を動かすため痛みが少なく、治療期間中に感じる不快感も軽減されます。これらの特徴から、心理的ハードルが低く、気軽に治療を始められるのも特徴です。特に前歯の隙間や軽度の凹凸を整えたい場合には、歯を削ることなく自然な見た目を目指せるため、審美的にも魅力的な選択肢となっています。
- 部分矯正のデメリットを教えてください
- 部分矯正にはさまざまな利点がありますが、デメリットも存在します。
まず、部分矯正では噛み合わせの調整ができない点が挙げられます。歯列全体を動かさないため、治療後に噛み合わせが悪くなる可能性があり、それが原因で頭痛や肩こり、歯への過度な負担を招くリスクがあります。また、歯並びの根本的な問題が解決されていない場合、矯正後に歯が元の位置に戻る”後戻り”が起こりやすいのも課題です。
さらに、部分矯正では歯を動かせる距離や方向に制限があるため、大きな歯並びの乱れや方向転換が必要な症例には適用できません。そのため、部分矯正は特定の条件を満たす軽度の症例に限られる治療法といえます。慎重な診断と計画が求められるため、事前の医師との相談が重要です。
- 部分矯正と全体矯正の違いを教えてください
- 部分矯正と全体矯正は、矯正範囲や対応できる症例、費用、期間などで大きく異なります。部分矯正は、主に前歯など見た目を改善するために、上下の噛み合わせを変化させない(例えば、上下の片方の奥歯に装置を付ける)治療法です。一方、全体矯正は奥歯も含めた歯列全体を対象とし、噛み合わせの調整も行うため、さまざまな症例に対応が可能とされています。費用面では、動かす範囲が狭い部分矯正の方が安価で、治療期間も半年から1年程度と短く済む傾向があります。一方、全体矯正は2〜3年かかる場合が多く、費用も高額です。
また、部分矯正では噛み合わせの調整が難しく、大幅な歯列改善には向いていませんが、全体矯正は歯並び全体のバランスを整えることができます。治療法の選択には、症例や目的に応じた適切な診断が必要です。
部分矯正はどのような歯に向いている?
- 部分矯正が向いている歯の状態を教えてください
- 部分矯正は、主に軽度から中程度の歯並びの乱れに対応でき、噛み合わせに問題がない症例におすすめの治療法です。特に前歯部分の見た目を整える場合に有効とされ、全体矯正のような大掛かりな治療が不要なケースに選択されることが多いといわれています。具体的には、軽度の凹凸がある”叢生”、歯並びのズレが前歯部分に限られている場合、または噛み合わせに異常がない”すきっ歯”が適応例として挙げられます。例えば、犬歯がわずかに突出した軽度の八重歯や、上顎の正中離開などは部分矯正で改善が可能といわれています。これらの症例では、治療範囲が限定的な分、治療期間やコストを抑えることができ、患者さんの負担も軽減されます。
ただし、奥歯に問題がある場合や骨格が原因の不正咬合には適していないため、事前の診断が重要です。
- 部分矯正ができない歯の状態はありますか?
- 部分矯正は、気になる箇所だけを短期間で整える方法ですが、すべての症例に適用できるわけではありません。以下のような場合、部分矯正が難しいことがあります。まず、歯の重なりや凸凹が大きいケースです。出っ歯や八重歯など、歯並びの乱れが重度でスペースが足りない場合、部分矯正では対応できません。また、過蓋咬合や開咬など、噛み合わせに関わる問題がある場合も、全体矯正が必要になります。
さらに、骨格の問題に起因する受け口や正中がズレている状態では、上下顎骨の位置関係骨の調整や顎外科手術を伴う治療が求められることがあります。これらの条件に該当する場合は、医師と相談し、適切な矯正方法を選びましょう。
- 部分矯正の注意点があれば教えてください。
- 部分矯正は気になる箇所を手軽に改善できる方法ですが、注意すべき点もいくつかあります。
まず、治療後に出っ歯になりやすいリスクがあります。部分矯正では奥歯に装置を使用しないため、前歯を後ろに引っ張る力が不足し、歯全体が外側に移動してしまうことがあります。
また、上下の歯の噛み合わせが悪くなるケースもあります。歯列全体のバランスを考慮しない治療は、見た目だけでなく機能面での問題を引き起こす可能性があります。さらに、部分矯正は対応できる症例が限られており、スペース不足や歯並びの乱れが大きい場合は適用外となることがあります。部分矯正を検討する際は、医師と十分に相談し、自身に合った治療法を選ぶことが重要です。
部分矯正にかかる治療費・治療期間
- 部分矯正ではどのくらい費用がかかりますか?
- 部分矯正の費用は治療内容や使用する装置によって異なりますが、主な費用相場は30万~70万円程度です。この価格帯は、矯正方法や装置の素材によっても変動します。例えば、表側矯正の部分矯正は30万~60万円程度で、裏側矯正(舌側矯正)の場合は40万~70万円程度と高めになります。特に裏側矯正(舌側矯正)は装置の製作が複雑なため、追加の技術料がかかることが理由です。
また、マウスピース型矯正であれば10万~40万円程度で部分矯正が可能な場合もありますが、症例によっては追加費用が必要になることもあります。注意すべきは、極端に安価なプランには条件があり、対応できる症例が限定される点です。事前に見積もりを確認し、総額や追加費用についても相談することをおすすめします。
- 部分矯正の治療期間はどのくらいですか?
- 部分矯正の治療期間は、歯並びの状態や矯正装置の種類によって異なり、”歯を動かす期間”と”歯を固定する保定期間”に分かれます。歯を動かす期間は、軽度の歯並びの乱れであれば最短3ヶ月、重度のケースでも1年程度で完了することが多いとされています。ワイヤー矯正は効率的に歯を動かせるため短期間で済む場合が多いといわれる一方、マウスピース型矯正は時間がかかる傾向があります。保定期間は動かした歯が元の位置に戻らないよう固定する期間で、1~2年程度が目安です。前半はリテーナーと呼ばれる装置を1日中装着し、後半は装着時間を減らすことが可能といわれています。
矯正期間を正確に把握するためには、初回相談時に医師と具体的なプランを確認することが重要です。
編集部まとめ
ここまで部分矯正についてお伝えしてきました。
部分矯正について、要点をまとめると以下のとおりです。
- 部分矯正は、軽度な歯並びの乱れや前歯のズレ、すきっ歯におすすめの治療法で、治療期間や費用を抑えられるのが特徴である。噛み合わせや骨格の問題がある場合には適用できず、全体矯正が必要となることがある
- 部分矯正のメリットには、費用が抑えられ、治療期間が短い点が挙げられる。前歯の隙間や軽い凹凸を短期間で整えられ、痛みや不快感が少なく、多忙な方でも始めやすい治療法である
- 部分矯正のデメリットには、噛み合わせの調整ができないことや後戻りが起こりやすい点が挙げられる。大きな歯並びの乱れには対応できず、軽度の症例に限られる治療法である
部分矯正は、軽度の歯並びの改善を手軽に行える魅力的な選択肢ですが、適応範囲や注意点を理解することが大切です。治療を始める前に医師と十分に相談し、自身の歯の状態や希望に合った治療法を選びましょう。
本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。