噛み合わせ

指しゃぶりで出っ歯になるのは本当?歯列矯正で治療する方法や歯並びに悪い癖について解説

指しゃぶりで出っ歯になるのは本当?歯列矯正で治療する方法や歯並びに悪い癖について解説

幼児期の癖が歯並びに影響を与えることは珍しくありません。指しゃぶりも歯並びに影響を与える癖の一つで、出っ歯になりやすいといわれています。

歯並びが悪くなり噛み合わせが悪くなると、むし歯の原因になるだけでなく健康にも影響します。

幼児期の癖で歯並びが悪くならないためには何をすればよいでしょうか。

ここでは指しゃぶりと出っ歯の関係性と、出っ歯になってしまった場合の治療法を解説します。

指しゃぶりと出っ歯の関係

乳歯 前歯

指しゃぶりで出っ歯になるのは本当ですか?
指しゃぶりを続けると出っ歯になります。ただし3歳頃までは特に禁止する必要はありません。生後12ヶ月頃までの指しゃぶりは発達過程の生理的な行為です。指しゃぶりは幼児期の子どもにとって不安や緊張を解消する効果があります。
1~2歳になると遊びの幅も広がり、昼間の指しゃぶりは減少する傾向にあります。3歳になっても一日中指しゃぶりをしたり、吸い方が強く指ダコができたりするようなら習慣化しないために小児科医師・小児歯科医師・臨床心理士による対応が必要です。
指の種類やしゃぶり方にもよりますが、出っ歯になったり歯の間に大きな隙間ができたりする可能性があります。
指しゃぶりで出っ歯になる理由を教えてください。
3歳以上で指しゃぶりをし過ぎている子どもは、指を吸う力で上の前歯が押し出されて出っ歯になりやすくなります。ただし寝ている間ずっと指しゃぶりをしているような状態でなければそこまで心配はいりません。
3歳頃を目安に指しゃぶりを止めると、少し出っ歯になっていても自然に治ることが少なくないようです。一方で4~5歳になっても指しゃぶりの癖が続くと上下の歯の隙間に舌を入れる癖が加わり、余計に隙間を広げる可能性があります。
出っ歯になるとどのような問題がありますか?
出っ歯は歯並びの悪さや口元の見かけの問題だけでなく、さまざまな生理的、機能的な問題を引き起こします。例えば歯が前に出るとお口が閉じづらくなるため口呼吸の原因になり、鼻呼吸と比べて肺にウイルスや細菌が侵入しやすくなります。
また、口呼吸による口腔内の乾燥は唾液が減少する原因です。唾液が減少するとむし歯や歯周病の原因になるだけでなく、口臭が強くなるなどの問題もあります。
そのほかにも噛み合わせの悪さからくる咀嚼力の低下や、舌の位置やお口の構造が変化し正しい発音が難しくなる発音障害も問題です。
指しゃぶりを続けると出っ歯以外にどのような影響が出ますか?
指しゃぶりを続けると上顎前歯が前突する出っ歯以外にも、下顎骨の成長抑制による後退・歯列の幅が狭くなる狭窄歯列・臼歯の挺出などの症状が現れやすくなります。そのためお口を閉じることや食べ物を飲み込むことが困難になり、骨格形態の異常につながります。
また4~5歳になっても指しゃぶりが止まらない場合、心理面からの影響を考えることも重要です。親子関係の問題や遊ぶ時間が少ないなど生活環境からの問題行動が原因の場合が多く、子どもに対するケアが必要になります。指しゃぶりは子どもさんからの小さなSOSのサインです。

指しゃぶりで出っ歯になってしまったときの治療法

マウスピースを持つ右手

出っ歯は自然に治りますか?
6歳未満の出っ歯は自然に治ることもあり、治療の対象にならないケースがほとんどです。指しゃぶりを止めただけで治る場合もあります。前歯が少し前に出ているくらいなら骨の成長とともに歯並びが整うことも少なくないので、急いで治療する必要はありません。
ただし6歳未満でも稀に治療対象になることがあります。下顎が著しく後退していたり、ものをうまく噛み切れない・よく食べこぼす・言葉をうまく発することができなかったりする場合です。
このように生活に大きな支障がある場合は早めに歯科医師に相談をし、歯列矯正装置を使っての治療を検討する場合もあります。放置しておくと噛み合わせの悪さから顎の発達や歯並びに影響がでたり、口臭の原因になったりします。
出っ歯は歯列矯正で治療できますか?
指しゃぶりで出っ歯になってしまった場合、歯列矯正装置を使用しての治療が必要です。歯列矯正とは歯や顎の骨に力をかけてゆっくり動かすことで悪い歯並びや噛み合わせを整え、正しい噛み合わせとバランスのとれた口元を作る治療法です。
ワイヤーとブラケットで歯を動かしていく方法や、マウスピースを装着する方法などがあります。乳歯の時期から永久歯がほぼ生えそろうまでの間に顎の成長に合わせて行う早期治療と、永久歯が生えそろった後で始める本格治療に分かれます。
出っ歯の歯列矯正でどのような治療を行うのか教えてください。
ワイヤー矯正・舌側矯正・マウスピース型矯正の3つの方法に大きく分かれます。
ワイヤー矯正はワイヤーとブラケットを歯の表面に装着し歯を動かしていく方法で、普段の生活の邪魔になりにくいメリットがある反面、あきらかに歯列矯正をしているとわかるのがデメリットです。また激しいスポーツはお口のなかを傷つける可能性があり推奨されません。
舌側矯正の場合、歯の裏側にワイヤーを装着する方法のため見た目にはわかりずらいメリットがあるだけでなく、歯の裏側を触れなくなるため舌癖の解消にもつながります。一方で装置が舌に触れやすいため異物感や痛みを感じるのがデメリットです。スポーツをしても問題ありませんが、転倒などで歯列矯正装置が外れた場合に修理に時間がかかります。
マウスピース型矯正は取り外しが可能なマウスピースを装着して歯を固定する方法になります。見た目にわかり辛く、食事の際に取り外すことも可能です。またワイヤーなどでお口のなかを傷つける心配がないので、スポーツなどもできます。ただし接触の激しいスポーツの場合はマウスガードが必要です。マウスピース型矯正は1日20時間以上は装着する必要があり、徹底した自己管理が必要になります。
出っ歯の歯列矯正にかかる期間を教えてください。
出っ歯の歯列矯正にかかる期間は大きく2つに分かれます。治療期間と保定期間です。歯列矯正装置を装着し、歯並びを整える期間が治療期間になります。どの歯列矯正装置を使用する場合でも、出っ歯のみを治療する部分歯列矯正だと半年~1年ほどで治療は完了します。
しかしそのままだとせっかく治した歯が元の位置に戻ってしまうため、安定させる期間が必要です。これを保定期間といい、およそ1~2年の期間が必要です。保定期間中も通院は必要ですが、通院間隔は2~6ヶ月に一度と長く期間を空けることができます。

子どもの歯並びに影響する癖

ポテトチップスを食べて舌を出す女の子

指しゃぶり以外で歯並びに悪い癖はありますか?
子どもの歯並びには指しゃぶりだけでなく、多くの癖が影響しています。口呼吸や舌癖など噛み合わせに影響のある習慣・癖は歯並びに影響を与えます。例えば口呼吸は舌が正しい位置に収まらず上顎の発達を抑制する原因です。また舌で歯を押す癖は、出っ歯や歯の隙間を作りやすくなります。
このほかにも頬杖や姿勢の悪さなどは、身体のバランスを崩す行為も歯並びに影響を与える癖です。身体のバランスが悪くなると、それに合わせて噛み合わせも悪くなり歯並びに影響します。子どもが小さなうちに悪い癖をなくしてしまうのが歯並びをよくするポイントです。
出っ歯にならないために気を付けるポイントを教えてください。
出っ歯にならないためには何より幼少期の生活習慣が大切です。出っ歯の主な原因は指しゃぶりや爪噛み、舌癖などの行為です。
3歳までは特に禁止する必要はありませんが、本来は子どもが大きくなり周りに目を向けていくなかでなくしていく癖になります。これらの癖の多くはほかに興味のあるものがない、遊び時間が少ないなど生活環境にも関わりがあるため親御さんがしっかり見ておく必要があります。

編集部まとめ

クリニックで治療を受ける女の子

出っ歯のような歯の噛み合わせの悪さは、見た目だけでなく健康にも影響を与えます。

それはむし歯や歯周病など口腔内の病気だけでなく、身体のバランスを悪くし肩こりや頭痛まで引き起こします。

歯は一度生え変わると替えが効きません。健康な歯を維持するためにも、小さな頃から歯を大切に扱う習慣が必要です。

また小さいうちに歯列矯正をすれば大人になっても健康な歯を維持できます。

少しでもご不安に感じたら、気軽に歯科矯正医師に相談してみましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
赤松 佑莉奈歯科医師(赤松歯科医院 副院長)

赤松 佑莉奈歯科医師(赤松歯科医院 副院長)

大阪歯科大学歯学部卒業 / 現在は赤松歯科医院にて勤務

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