乳歯の歯並びが悪い場合、治療するほうが望ましい場合があります。
「乳歯はいずれ生え変わるのだから、歯並びが悪くてもそのままでよい」と考えている方も多いでしょう。 しかし、乳歯の歯並びが悪いことで、永久歯の歯並びに影響を与えることがあります。
この記事では、どのような場合に乳歯の歯並びを治療したほうがよいかはもちろん、放置するリスクや治療法についても解説します。
乳歯の歯並びに悩まれている方はぜひ参考にしていただけると幸いです。
歯並びが悪い乳歯を放置するリスク
- 歯並びが悪い乳歯を放置すると歯にどのような影響がありますか?
- 歯並びが悪いと、食事をする際に食べ物をうまく噛めなくなります。食事は人間が生活するうえで大切な行為のため、食事をうまくできないことは問題といえるでしょう。また、歯並びが悪いと、子ども自身が歯磨きなどのセルフケアがうまくできない場合があります。そのため、むし歯や歯肉炎などになりやすい傾向があります。
むし歯になり早期に歯が抜けてしまうと、それも食べ物をうまく噛めない原因になってしまい、乳歯にとってよい影響を与えません。このように、歯並びの悪い乳歯を放置することは、口腔内の健康を妨げるといえるでしょう。
- 歯並びの悪い乳歯が顎に与える影響を教えてください。
- 歯並びが悪いと、顎にも影響があらわれます。顎の発達は乳歯から永久歯へと変わっていく際に大きく変化します。具体的には、下顎の骨が永久歯を生え揃えるために伸びていくなどの変化です。
乳歯は永久歯が生えてくる場所のガイドの役割も担っています。そのガイドがずれていると、うまく永久歯が生えてきません。その結果、顎の噛み合わせが合わないなどの影響が出てきます。また、歯が大きいと顎に歯が収まりきらず、歯並びが悪くなってしまうということも起こります。歯並びの悪さと顎はお互いに影響を与える可能性があるといえるでしょう。
- 乳歯の歯並びが悪いと滑舌に影響しますか?
- 歯並びの悪さと滑舌は関係があります。歯並びの悪い乳歯は噛み合わせにも影響を与えるためです。正しい噛み合わせは、咀嚼や顔立ちなど日常生活のあらゆる場面に影響が出るため大切です。発音もそのなかの1つに当てはまります。発音のしにくさは、主に前歯の噛み合わせに問題がある場合に起こることが多いです。
また、歯並びが悪いと唇や舌を自由に動かすことが難しくなります。それにより、さらに滑舌が悪くなってしまうということが起こります。滑舌の悪さは人とコミュニケーションをとる際に大きな弊害になるため、歯並びの悪さが人間関係に影響を与えるともいえるかもしれません。
- 歯並びが悪い乳歯の心理的影響を教えてください。
- 歯並びの悪さは顔立ちにわかりやすくあらわれます。人と会話をするときは相手の顔を見ることが多いです。その際に、口元はどうしても目に入ります。子ども同士であれば、歯並びの悪さを指摘されてしまうリスクが否定できません。指摘されてしまうと、本人が気にしてしまうケースが少なくないでしょう。このように歯並びの悪さが、友人関係を変えてしまうこともありえるでしょう。
また、歯並びの悪さが気になって勉強に集中できないなど普段の生活にも影響が出てくる場合があります。場合によっては将来にも影響が出る可能性があるため、自分の子どもの歯並びが悪いかなと思ったら、気にしてみておくことが大切です。
治療が必要な乳歯の歯並び
- 乳歯がうまく噛み合わない場合、矯正治療が必要ですか?
- 乳歯の噛み合わせがうまくいかない場合、歯列矯正治療が必要です。噛み合わせがうまくいかないということは、食事の際に食べ物をうまく噛むことができていないということになります。顎の位置が楽な場所で咀嚼ができていないと、咀嚼の際に余計な負担がかかっている可能性があります。必要以上に顎を使うようになるため、顎の成長にも影響を与えます。
また余計な負荷がかかっていると、永久歯に生え変わる際に、さらに歯並びを悪くしてしまう恐れもあるため注意が必要です。歯は咀嚼するたび使うものなので、生きていくとどうしてもある程度の負荷はかかります。しかし、歯並びが悪いとその負荷が必要以上にかかってしまいます。必要以上の負荷を与えないためにも、歯列矯正治療を行いましょう。
- 乳歯が重なって生えている場合、矯正治療が必要ですか?
- 乳歯が重なって生えている場合も歯列矯正治療は必要です。乳歯は永久歯のガイドの役割も担っているため、乳歯が重なって生えている場合、永久歯に生え変わっても重なって生えてくる可能性があります。また、歯が顎に収まっていないことで、顎の成長に影響を及ぼすことも考えられます。
例えば、顎が小さいサイズで成長が止まってしまうなどです。結果、永久歯になった際に歯並びに影響を与え、歯並びを悪くしてしまいます。顎を正常に発達するようにし、きれいな歯並びで永久歯を生えさせるようにするには、歯列矯正治療が必要といえるでしょう。
歯並びが悪い乳歯の原因と治療法
- 乳歯の歯並びが悪くなる原因を教えてください。
- 以下のような原因が考えられます。
- むし歯で歯を失う
- 口呼吸が習慣となっている
- 指しゃぶりがやめられない
乳歯のむし歯を放置してしまい、早期に歯を失うと、歯並びに悪影響を与えます。乳歯は永久歯が生えてくる際の目印になるため、早めにその目印がなくなると歯並びが悪くなる可能性があります。口呼吸が習慣になっていると、舌の位置が正しい位置にありません。歯並びは、舌が正しい位置にあることで、唇や頬から圧力がかかりきれいな状態に成長していきます。
しかし、通常上顎にあるべき舌が下にあると上顎が発達しなくなり、歯並びを悪くする原因となります。また、指しゃぶりがやめられない場合も注意しましょう。歯や顎の発達に影響を与えることがあります。
- 歯並びが悪い乳歯の治療法を教えてください。
- 歯並びを矯正するには、矯正器具を用いた治療が行われます。主に2種類あり、歯の表面に装着する固定式と自分で取り外しが可能なタイプに分けられます。固定式のものを使う歯列矯正はワイヤー矯正とも呼ばれ、歯の表面に1つずつ小さな装置を設置し、それにワイヤーを通すという方法です。歯科医師に直接調節してもらうため、歯科医師に任せて治療を受けることができます。
自分で取り外しできるものを使う歯列矯正は、今現在いくつかの種類があり、マウスピース型矯正もこれにあたります。自分で取り外しする必要があるため、自分で忘れずにつけ外しできる自信がある方に向いているでしょう。マウスピース型矯正だと、透明で治療を受けている最中なのがわかりづらいという利点もあります。どちらがよいかは歯科医師に相談したうえで、ライフスタイルなどに合わせて決めるとよいでしょう。
- 乳歯の歯列矯正は何歳からできますか?
- 何歳からとは決められていませんが、ある程度分別のつく年齢から始めるのが望ましいです。そのため、小学生頃から治療を始める方が少なくないです。年齢が若いと歯も動きやすく効果があらわれやすいため、気になる方は早めに歯科医師に相談するとよいでしょう。
- 治療後に気をつけることはありますか?
- 正しい並びにした歯並びがもとに戻ってしまう後戻りが起こることがあります。そのため、矯正器具を外した後も保定装置を使って管理していく必要があります。また、乳歯を歯列矯正しても、生えてくる永久歯が絶対にきれいな歯並びであるとはいいきれません。永久歯が生えそろった段階で、もう一度歯列矯正治療をするということもありえます。
歯並びは生きていくなかで、老化や生活習慣によって変化していくものです。そういった面では、一生管理していく必要があるといえるでしょう。
編集部まとめ
乳歯でも歯並びが悪い場合、永久歯の歯並びや顎の発達に影響を与えるため、歯列矯正治療をしたほうがよいです。
歯並びが悪いとむし歯や歯肉炎になりやすく、それらが進行すると歯を早くに失ってしまうことがあります。そうすると、永久歯の歯並びにも影響を与えるため、むし歯などになりにくいようにするためにも治療を行うのが望ましいです。
また、嚙み合わせに問題があると顎の成長に影響を与え、永久歯の歯並びが悪くなるため早めに治療を行うようにしましょう。
この記事がお子さんの歯並びが気になる方の助けになれていたら幸いです。
参考文献