噛み合わせ

歯列矯正したら噛み合わせが悪くなった?違和感を覚える原因や対処法を解説

歯列矯正したら噛み合わせが悪くなった?違和感を覚える原因や対処法を解説

歯列矯正を始めた後に「噛み合わせが悪くなった」と感じたり、違和感を覚えたりする方もいらっしゃるかもしれません。歯列矯正治療中の変化は一時的なものが多いようですが、原因が気になる方もいるのではないでしょうか。

本記事では歯列矯正したら噛み合わせが悪くなったことについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 噛み合わせがよい状態とは
  • 歯列矯正中に噛み合わせが悪くなったと感じる原因
  • 歯列矯正後に噛み合わせが悪くなったと感じる原因

歯列矯正で噛み合わせが悪くなったことについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

噛み合わせがよい状態とは

噛み合わせがよい状態とは

正しい噛み合わせとは、上下の歯がバランスよく接しており、見た目にも機能的にも整った状態を指します。具体的には、以下のような条件が満たされている場合が、理想的といえるでしょう。

  • 上下の前歯の中心線(正中)が一致している
  • 上の前歯が下の前歯より2〜3mm前にあり、軽く重なる
  • 無理なく自然にお口が閉じられる
  • 奥歯が左右均等にしっかり噛み合っている
  • 上下の歯列がU字型のアーチ状になっている
  • 歯並びにズレやすき間、重なりがない

これらを満たさない場合、不正咬合の可能性もあるため、気になる方は歯科医院での確認をおすすめします。

一時的に噛み合わせに違和感を覚えることはある

一時的に噛み合わせに違和感を覚えることはある

歯列矯正中に噛み合わせに違和感を覚えることは珍しくありません。矯正装置によって歯が徐々に動いていく過程では、上下の歯の接触が一時的に不安定になることがあります。
例えば、片側だけが噛み合う、歯が浮いたように感じるといった症状が現れることもあります。

また、ブラケットやマウスピースなど、これまでになかった装置が口内に加わることで、感覚的な違和感が出ることもあります。

これらの変化はほとんどの場合、治療が進むにつれて徐々に解消していきます。 ただし、違和感が長期間続いたり、食事や会話に支障をきたすようであれば、歯科医師に相談することが大切です。

歯列矯正中に噛み合わせが悪くなったと感じる原因

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何が原因で歯列矯正中に噛み合わせが悪くなったと感じることがあるのでしょうか。

装置を交換した

歯列矯正中に噛み合わせが悪くなったように感じる原因の1つ目に、装置の交換が挙げられます。
例えば、ワイヤーの調整直後や新しいマウスピースに切り替えた直後は、歯に新たな力が加わるため、噛み合わせに違和感を覚えることがあります。

片側だけが当たる、噛みにくい、歯が浮くような感覚が出る場合もありますが、これらは歯が動く過程で一時的に起こる変化です。装置が歯に適切に作用している証でもあり、数日〜1週間程で慣れてくることが多いとされています。

歯が移動する

歯列矯正中に噛み合わせが悪くなったように感じる原因の2つ目に、歯の移動が挙げられます。

なかでも、今までとは異なる部分で噛むようになったり、一部の歯だけが当たって噛みにくさを感じることもあります。これは歯を動かす過程で一時的に生じる現象で、大体の場合は治療が進むにつれて自然に解消されます。

また、マウスピース型矯正では前歯が先に当たり、奥歯が噛み合わなくなることがあります。噛み合わせの改善中にも同じことが起こることがあり、必要に応じてマウスピースの再製作が行われます。

歯の移動に伴い、骨や周囲の組織にも変化が起こるため、歯が浮くような感覚や軽い痛みを感じることもありますが、数日で落ち着きます。

噛み締めが強い

歯列矯正中に噛み合わせが悪くなったと感じる原因の3つ目に、噛み締めの強さが挙げられます。マウスピースを装着した状態で強く噛みしめると、マウスピースの厚みの分、奥歯が歯茎の方向へ沈み込むような力が加わります。その結果、奥歯がうまく噛み合わず、浮いているような違和感が生じることがあります。

特に、歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方は、この沈み込みの影響を受けやすく、噛み合わせに不調を感じやすくなります。

マウスピースの厚みや特性、装着方法

歯列矯正中に噛み合わせが悪くなったように感じる原因の4つ目に、マウスピースの厚みや特性、装着方法が挙げられます。

マウスピース型矯正は、装置に凹凸がないため、ブラケットやワイヤーよりもお口のなかでの違和感が少ないという特長があります。ただし、上下の歯を全体的に覆う構造であるため、噛み合わせに違和感を覚えることがあります。

また、マウスピースの厚みがわずかであっても、歯にかかる力の影響で奥歯が歯茎側に沈み込むことがあり、結果として奥歯が浮いたような感覚が生じることもあります。

特に注意が必要なのは、噛み締めの癖がある方や、無意識のうちに食いしばる傾向がある場合です。マウスピースは歯を押す力には強い反面、奥歯を引き上げるような動きには対応しにくいため、上下の噛み合わせのバランスが一時的に崩れることがあります。
このような噛み合わせのズレが気になる場合には、歯科医師による調整や対応が必要となることもあります。

なお、マウスピースの厚みは0.5mm前後と薄く作られていますが、口腔内はとても繊細なため、わずかな異物感でも強く感じることがあります。

バイトアップ

歯列矯正中に噛み合わせが悪くなったように感じる原因の5つ目に、バイトアップが挙げられます。

矯正治療中には、噛み合わせの調整の一環として「バイトアップ」という処置が行われることがあります。これは、矯正装置が上下の歯に当たってしまうのを防ぐために、歯の一部にプラスチック製の材料を盛り付け、意図的に噛み合わせの高さを上げる方法です。
なかでも、過蓋咬合のように前歯が深く噛み込んでいる場合は、下の歯が装置に当たらないよう工夫する必要があります。

バイトアップは主に2つの方法があります。
一つは、歯の表面にプラスチック樹脂を盛り付ける方法です。取り外しはできませんがしっかりと固定されます。
もう一つは、部分的なマウスピースを使用する方法です。取り外しできるため、清掃しやすいのが特徴です。

バイトアップの処置後は一時的に噛み合わせが変化するため、奥歯では噛めても前歯で食べ物を噛み切るのが難しくなることがあります。唇が閉じにくく感じたり、前歯が出ているように見えたりすることもありますが、1〜2週間程で自然に慣れるようです。
慣れるまでは、やわらかい食材を選んだり、一口サイズに切るなどの工夫で食事のしづらさを軽減しましょう。

歯列矯正治療中の違和感はどれくらい続くのか

歯列矯正治療中の違和感はどれくらい続くのか

矯正治療中に感じる噛み合わせの違和感は、治療の初期や装置を新しくした直後などに起こりやすく、3日〜1週間程で落ち着いていきます。歯が動きやすいタイミングで起こる自然な変化のため、まずは様子を見ましょう。
ただし、違和感が長引く、あるいは強い痛みを伴う場合は、次の受診日を待たずに歯科医院へ相談することをおすすめします。

矯正装置自体への違和感は、数週間から数ヶ月かけて徐々に軽減していくケースが多いとされており、治療が進むにつれて噛み合わせも整っていきます。この期間はやわらかいものを選んで食べたり、丁寧な口腔ケアを心がけるなどの工夫が役立ちます。

歯列矯正後に噛み合わせが悪くなったと感じる原因

歯列矯正後に噛み合わせが悪くなったと感じる原因

上記では、歯列矯正中に噛み合わせが悪くなったと感じる原因について解説しました。
ここでは、歯列矯正後に噛み合わせが悪くなったと感じる原因について確認しましょう。

抜歯で対になる歯がなくなった

歯列矯正後に噛み合わせが悪くなったと感じる原因の1つ目に、抜歯によって対になる歯がなくなったことが挙げられます。
矯正治療では、歯並びを整えるスペースを確保するために抜歯が行われることがありますが、上下の歯のバランスが崩れると、正しく噛み合わなくなることがあります。

本来、上下の歯は対になって機能するため、どちらか一方の歯に噛む相手がいないと、噛み合わせの不安定さや違和感、さらには歯が浮いたような感覚を引き起こすこともあります。違和感が長引く場合や、噛みづらさが気になる場合は、歯科医師に相談しましょう。

問題のある親知らずを残したまま歯列矯正を行った

歯列矯正後に噛み合わせが悪くなったと感じる原因の2つ目に、問題のある親知らずを残したまま歯列矯正を行ったケースが挙げられます。親知らずが斜めに生えていたり、周囲の歯を押すような力が加わる状態で放置すると、せっかく整えた歯列が再び乱れたり、噛み合わせがずれる原因になることがあります。

なかでも、歯列矯正後しばらく経ってから違和感が現れる場合は、親知らずの影響による後戻りが疑われます。歯列矯正前に親知らずの状態をしっかり確認し、必要があれば抜歯することが望ましいとされています。
既に違和感が出ている場合には、親知らずの対応を検討することが重要です。

奥歯が沈んだままである

歯列矯正後に噛み合わせが悪くなったと感じる原因の3つ目に、奥歯が沈んだままの状態になっていることが挙げられます。特にマウスピース型矯正では、装置の特性上、奥歯に持続的な圧力がかかり、歯がわずかに歯茎方向へ沈み込むことがあります。

この沈み込みが治療後も改善されずに残っていると、上下の奥歯がしっかり噛み合わず、前歯だけで接触するような不安定な噛み合わせになる場合があります。結果として、食べ物がうまく噛めなかったり、顎に負担がかかって違和感を覚えることがあります。

矯正後に噛み合わせのずれを感じたら、必要に応じて噛み合わせの再評価や修正を行うことが大切です。

噛み合わせが悪くなってしまう行動

噛み合わせが悪くなってしまう行動

どのような行動をすると、噛み合わせが悪くなってしまうのでしょうか。それぞれ解説します。

矯正装置の自己管理を怠る

矯正治療中に噛み合わせが悪くなってしまう原因の1つ目に、矯正装置の自己管理を怠ることが挙げられます。

マウスピース型矯正では、決められた装着時間を守らなかったり、装着を忘れてしまうと、歯が計画どおりに動かなくなり、上下の噛み合わせにずれが生じる可能性があります。

また、ワイヤー矯正の場合も、装置が外れたまま放置すると歯の移動に影響が出てしまいます。自己管理をしっかり行わないまま治療を続けていると、噛み合わせが不安定になったり、歯列矯正後に不具合が残ることもあります。

正しい結果をえるためには、装置の取り扱いや使用時間を守り、違和感があれば早めに対処することが重要です。

歯科医院の健診を受けない

歯列矯正治療中に噛み合わせが悪くなってしまう原因の2つ目に、歯科医院での定期的な健診を受けないことが挙げられます。
歯列矯正治療は、歯が徐々に動いていく過程を確認しながら進めていくため、定期的なチェックが欠かせません。通院を怠ると、装置の破損や歯の予期しない動きを見逃してしまい、噛み合わせのバランスが崩れてしまう恐れがあります。
また、計画どおりに歯が動いていない場合、早期の調整が必要になることもあります。

したがって、自覚症状がなくても、専門的な視点での確認が大切です。
噛み合わせのトラブルを防ぐためにも、指示されたスケジュールでの受診を心がけましょう。

舌癖

歯列矯正治療中に噛み合わせが悪くなってしまう原因の3つ目に、舌癖が挙げられます。

例えば、無意識のうちに舌で前歯を押したり、飲み込む際に舌を突き出す癖があると、歯に常に力がかかり、歯列や噛み合わせが乱れてしまうことがあります。
また、矯正治療中や治療後にこの癖が残っていると、せっかく整えた歯並びがもとに戻ってしまう可能性もあります。

さらに、舌の位置が安定しないことで、正しい咬合関係が維持されにくくなり、顎のバランスにも悪影響を及ぼします。

舌の癖がある場合には、専門的なトレーニング(MFT)を取り入れることで改善が期待できます。

歯列矯正で噛み合わせが悪くなった場合の対処法

歯列矯正で噛み合わせが悪くなった場合の対処法

歯列矯正で噛み合わせが悪くなった場合はどうすればよいのでしょうか。対処法を以下で解説します。

治療中

歯列矯正治療中に噛み合わせが悪くなったと感じることがありますが、ほとんどの場合は歯が移動する過程で一時的に起こる自然な変化です。装置の調整直後や歯が動いているときは、噛み合わせが不安定になり、違和感を覚えることも少なくありません。

これは治療が順調に進んでいる証でもありますが、症状が強い場合や数週間経っても改善しない場合は、相談することが重要です。無理に我慢してしまうと、不要なストレスがかかったり、治療計画に影響を与える可能性もあるため、定期的な通院を欠かさず、気になる変化があれば次回を待たずに連絡してみましょう。

また、食事の工夫や噛みやすい側を意識するなど、日常生活のなかでもできる対策を取り入れることが、治療期間を快適に過ごすためのポイントです。

治療後

歯列矯正が完了した後に噛み合わせの違和感を覚える場合、歯の位置が安定していなかったり、微細な噛み合わせのズレが残っていることがあります。

歯列矯正後もリテーナー(保定装置)を装着することで歯の後戻りを防ぎますが、使用状況や個人差によっては噛み合わせに不具合が出ることもあります。

違和感が軽度であれば、様子を見るのも一つの方法ですが、必要に応じて噛み合わせの微調整を行ったり、リテーナーの形状を再評価したりすることがあります。

また、舌癖や頬の筋肉の使い方など、噛み合わせに影響する日常的な習慣が原因となっている場合もあるため、生活習慣の見直しも重要です。

まとめ

まとめ

ここまで歯列矯正で噛み合わせが悪くなったことについてお伝えしてきました。
歯列矯正で噛み合わせが悪くなったことについての要点をまとめると以下のとおりです。

  • 噛み合わせがよい状態とは、上下の前歯の中心線がぴったり合っていること
  • 歯列矯正中に噛み合わせが悪くなったと感じる原因には、装置を交換したり調整を受けたりした場合や、強い噛み締めなどがある
  • 歯列矯正後に噛み合わせが悪くなったと感じる原因には、奥歯に余分な圧力がかかり、奥歯が沈んでしまうことなどがある

歯列矯正中に噛み合わせに違和感を感じることはありますが、気になる違和感が続く場合は、歯科医師に相談し、調整を受けることが大切です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
小田 義仁歯科医師(小田歯科・矯正歯科 院長)

小田 義仁歯科医師(小田歯科・矯正歯科 院長)

岡山大学歯学部 卒業 / 広島大学歯学部歯科矯正学教室 / 歯科医院勤務をへて平成10年3月小田歯科・矯正歯科を開院 / 所属協会・資格:日本矯正歯科学会 認定医 / 日本顎関節学会 / 日本口蓋裂学会 / 安佐歯科医師会 学校保健部所属 / 広島大学歯学部歯科矯正学教室同門会 会員 / 岡山大学歯学部同窓会広島支部 副支部長 / 岡山大学全学同窓会(Alumni)広島支部幹事 / アカシア歯科医会学術理事

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