歯列矯正をお考えの方、マウスピース型矯正は知っていますか。マウスピース型矯正は装着した器具が目立ちにくく、装置を外して食事や歯磨きが可能なメリットがあります。
一方で、マウスピース型矯正には歯茎が痩せる点を心配する方もいるでしょう。
では、マウスピース型矯正ではなぜ歯茎が痩せるのでしょうか。ここでは、歯茎が痩せる原因とそのときの対処法や治療法をQA方式で解説します。
すでにマウスピース型矯正をされている方も、これから歯列矯正を考えている方も最後まで読んで、マウスピース型矯正により詳しくなってから施術を考えましょう。
マウスピース型矯正で歯茎が痩せる原因
- マウスピース型矯正の特徴を教えてください。
- まず初めに、マウスピース型矯正とは、透明なプラスチック製の取り外し可能な装置(マウスピース)を使って歯並びを整える矯正治療法です。マウスピース型矯正の主な特徴は以下の6つです。
- 透明で目立ちにくい
- 取り外し可能
- 食事や歯磨きがしやすい
- 痛みや違和感が少ない
- 金属アレルギーの心配がない
- 通院回数が少ない
マウスピース型矯正はアレルギーの心配がなく、矯正中も取り外し可能という特徴があります。金属アレルギーをお持ちの方にはマウスピース型矯正がおすすめです。また、少しでも日頃の負担を小さくしたい方にもマウスピース型矯正がおすすめです。
- マウスピース型矯正をすると歯茎が痩せてしまうことがありますか?
- 結論として、マウスピース型矯正によって歯茎が痩せることはあります。主な理由は以下のとおりです。
- 歯の動き
- マウスピースの装着トラブル
- 口腔衛生環境の悪化
- 過度な歯磨き
歯茎が痩せると見た目が老けて見えたり、知覚過敏や歯周病のリスクが増加したり、最悪の場合には歯が抜けることもあります。異変を感じた場合には早期の相談が大切です。
- マウスピース型矯正で歯茎が痩せる原因を教えてください。
- マウスピース型矯正は事前のシミュレーションに基づいて歯を動かしますが、歯茎痩せが発生する場合は計画と実際の歯の動きが異なった場合です。歯の動きが計画と異なると、歯が外側にはみ出ることがあります。計画とのずれにより、発生する症状が歯茎や骨の減少です。歯茎や骨の減少により、細菌が繁殖します。
これにより、歯周病が進行します。これが、歯茎が下がる原因です。マウスピース型矯正中は装置の影響で歯や歯茎の清掃が不十分になりやすく、歯周病が進行しやすい環境です。歯磨きの力が強すぎると歯茎を傷つけ、歯肉退縮の原因となることがあります。これらの原因が複合的に作用した結果、歯茎が痩せることがあります。
- 歯茎が痩せるとどのようなリスクがありますか?
- 歯茎が痩せることによるリスクは複数あります。
- 歯茎が下がる
- 歯周病リスクの増加
- 見た目の変化
一度下がった歯茎は元の状態に戻すことが困難です。また、歯茎が下がることで歯周ポケットが深くなり、歯周病のリスクも高まります。そして、歯茎が下がることで歯が長く見えるようになり、見た目の印象が老けて見え、審美面にも影響します。少しでも自分の歯に違和感を覚えた場合には早期に歯科医師への相談をしましょう。
マウスピース型矯正で歯茎が痩せた場合の対処法や治療法
- 歯茎が痩せてしまった場合は歯列矯正を中止しなければなりませんか?
- 歯茎が痩せた場合、必ずしも歯列矯正を中止する必要はありません。しかし、場合によっては治療の一時中断を推奨する場合があります。
- 歯周病が原因の場合
- マウスピースの装着トラブルの場合
歯茎が痩せた原因が歯周病であれば、治療を一時中断し、歯周病治療に専念することがあります。歯周病への対処が遅れるとさらに歯茎や骨が失われるリスクが高くなるためです。
また、マウスピースの装着トラブルの場合には一度治療を中断し、マウスピースを調整・交換することで症状の悪化を防ぐことができます。一度下がった歯茎はもとに戻りにくいため、少しでも歯茎に違和感を覚えた場合には早期の対策と専門的な治療が必要です。
- 痩せた歯茎が自然にもとに戻ることはありますか?
- 痩せた歯茎が自然にもとに戻ることは基本的にありません。歯周病や矯正治療などで歯茎が下がった場合、自力での回復は難しいとされています。ただし、症状が初期の場合であれば適切なケアや治療により症状の改善が期待できる場合もあります。痩せた歯茎は自然にはもとに戻らないため、進行を防ぐためのケアや状況に応じた専門的治療を受けることが大切です。
- 歯茎が痩せてしまった場合に自分でできる対処法があれば教えてください。
- 歯茎が痩せた場合の治療法には、複数の方法があります。
- 歯周病治療
- 歯周組織再生療法
- 根面被覆術
- 歯肉形成術
歯周病治療は歯茎が痩せた原因が歯周病の場合に、歯周病の進行を止めるためにスケーリングや歯周ポケット掻把術、セルフケアの指導など基本的な歯周治療を実施します。歯周組織再生療法では、顎の骨の吸収が進んでいる場合に、骨や歯茎の再生を促す治療方法です。これにより歯茎の盛り上がりも期待できます。
根面被覆術は上顎から自分の歯茎の組織を採取し、痩せた歯茎に移植する方法です。歯肉形成術は歯茎の形や厚みを整え、美しさを高めるための外科的処置です。これらの治療方法は、症状や原因、歯茎の健康状態によって判断されます。どの治療法が適切かは歯科医師の診断が必要です。歯茎が自然に戻ることは基本的にありません。気になる症状がある場合には早めに歯科医院に相談しましょう。
- 歯科医院に相談すれば痩せてしまった歯茎を治療できますか?
- 歯科医院に相談すれば治療は可能です。痩せた歯茎が自然にもとに戻ることはありません。しかし、症状や歯茎の健康状態により、進行の抑制や改善が期待できる場合があります。歯列矯正後に歯茎の痩せを感じた場合には、治療の前にまずは歯科医師に相談することをおすすめします。
マウスピース型矯正で歯茎が痩せるのを予防する方法
- マウスピース型矯正で歯茎が痩せるのを予防する方法を教えてください。
- 歯茎の痩せを予防する方法について紹介します。マウスピース型矯正で歯茎が痩せてしまう症状を予防するには、次の方法があります。
- 装着時間を守る
- マウスピースを清潔に保つ
- 正しい歯磨きを心がける
- 定期的に歯科医院を受診する
マウスピースの装着時間の目安は1日20~22時間です。食事や歯磨きのとき以外はマウスピースを装着し、決められた時間を守りましょう。装着時間が不足すると治療計画のとおりに歯が動かず、歯茎に無理な負担がかかりやすくなります。歯磨きやフロスなどで口腔内を清潔に保ち、マウスピースも毎日洗浄しましょう。
汚れが残ることで、むし歯や歯周病のリスクが高まり、歯茎が痩せる原因になります。強すぎる歯磨きは歯茎を傷つけてしまいます。優しく丁寧な歯磨きを心がけることが重要です。歯科医院で正しい歯磨き方法の指導を受けることも効果的です。歯列矯正中は定期的に歯科医院でのチェックを受け、口腔内やマウスピースの状態を確認してもらいましょう。早期発見・早期治療が歯茎が痩せることへの予防につながります。
- 歯茎が痩せるのを防ぐためには歯磨きでどのようなことに注意するとよいですか?
- 歯列矯正中の歯磨きではやわらかいブラシで優しく磨くことを心がけましょう。歯ブラシは軽く持ち、歯と歯茎の境目や装置の周囲を優しく丁寧に磨きましょう。
そのときに歯ブラシの毛先がやわらかいものを使用することが理想的です。フロスや歯間ブラシの利用も効果的です。歯と歯茎の間には歯間ブラシを利用し、仕上げにフロスを用いることで口腔内がより清潔に保たれます。
編集部まとめ
マウスピース型矯正には装着の負担が少ないというメリットもありますが、日頃のケアを怠ると歯茎が痩せることにつながってしまいます。口腔内を常に清潔に保ち、丁寧な歯磨きと仕上げにフロスを使うことで清潔な口腔環境の維持が可能です。
ご自身の大切な歯茎を守るためにもマウスピース型矯正を現在施術されている方は引き続き日頃のケアを大事にしましょう。
歯列矯正を含む医療には、さまざまな方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。施術ごとの特徴を理解し、歯科医師とよく相談して、適切な治療法を選択することが大切です。
これから歯列矯正をお考えの方は一度専門医に相談し、装着後のケアについても確認しておくことをおすすめします。
日頃のケアと定期的な歯科医院の受診でよりきれいな歯を手に入れましょう。
参考文献