噛み合わせ

奥歯が当たらない?奥歯が噛み合わない理由と歯列矯正方法について解説

奥歯が当たらない?奥歯が噛み合わない理由と歯列矯正方法について解説

奥歯の噛み合わせが合わないとさまざまな問題が生じるとされています。この問題は、顎の位置異常や歯の配列が原因で起こることが多く、奥歯の噛み合わせを改善するには適切な診断と治療が必要です。
本記事では奥歯が噛み合わない理由と歯列矯正方法について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 奥歯が嚙み合わない状態とは
  • 奥歯が噛み合わない原因
  • 奥歯が噛み合わない際の治療法

奥歯が噛み合わない理由と歯列矯正方法について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

噛み合わせの基本知識

噛み合わせの基本知識

噛み合わせは、歯や顎の正しい位置関係を指し、適切な咀嚼や口腔機能の基盤となります。 ここでは、噛み合わせに関する基本的な知識を解説します。

  1. 中心咬合位(Centric Occlusion)
    中心咬合位とは噛む際に、上下の歯が最も広範囲に接触する位置のことです。顔の対称性や美的バランスを保つうえで重要であり、また、咀嚼や明瞭な発音が可能とされています。正中咬合は、全ての歯が均等に力を分散させることで、顎関節への負担を抑えるため、顎の健康を維持するために極めて重要です。
  2. 咬合関係(Occlusal Relationship)
    咬合関係は、上下の歯がどのように配列し、接触するかという点に焦点を当てています。オーバージェット(上下の前歯の水平的な距離)やオーバーバイト(上の前歯が下の前歯に対してどれだけ垂直的に重なっているかを示すもの)、クロスバイト(上顎の歯が下顎の歯の内側に位置する状態)など、異なるタイプがあります。これらの咬合関係は、顔の形状や咬合の機能性に影響を与える可能性があります。
  3. 咬合の安定性(Occlusal Stability)
    咬合の安定性は、歯が適切に接触し、均等に負荷を受ける状態を指します。咀嚼をする際に、顎関節に過度なストレスがかからないようにするために重要ですが、安定していない咬合は、歯の摩耗、歯周病、顎関節症などの口腔内問題を引き起こす原因となり得ます。したがって、咬合の安定を確保することは、全体的な口腔健康を保つために不可欠です。
  4. 咬合異常の影響(Effects of Malocclusion)
    咬合異常は、顎や歯の不適切なアライメントにより生じます。これにより、特定の歯に過剰な力が集中したり、咀嚼効率が低下したりすることがあります。さらに、不均一な力の分布は、顔の非対称性や不調和を引き起こすことがあります。長期にわたる咬合異常は、顎関節症や慢性的な頭痛の原因ともなり得るため、早期の診断と治療が推奨されます。
  5. 噛み合わせの診断と治療(Occlusal Assessment and Treatment)
    噛み合わせの診断は、専門的な口腔検査、歯科写真、顎関節の機能確認を通じて行われます。異常が見られる場合には、歯列矯正や保定装置の使用、場合によっては外科的介入が必要になることがあります。適切な治療計画は、患者さんの具体的な問題に応じてカスタマイズされ、長期的な口腔健康と機能の向上を目指します。

奥歯が嚙み合わない状態とは

奥歯が嚙み合わない状態とは

奥歯が嚙み合わないとはどのような状態なのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。

奥歯同士が接触しない

奥歯が噛み合わない状態とは、上下の奥歯同士が十分に接触しないため、食べ物をしっかりと咀嚼することが難しい状態を指します。この問題は、なかでも「八重歯」や「ディープバイト」といった症状で見られることがあります。

八重歯では、犬歯が過剰に前方に突出しており、その結果、奥歯への過大な負担が生じ、奥歯の接触が悪化することがあります。また、ディープバイトでは、上顎の前歯が下顎の前歯を覆い隠し、その結果奥歯が正しく接触せず、食べ物の細かい咀嚼が困難になります。

これらの状態は、適切な治療が必要とされる場合が多く、ときには歯列矯正や外科的な処置が考慮されます。

奥歯に過剰な負担がかかる

奥歯が嚙み合わない状態は、噛み合わせが不均等であるために特定の奥歯に過剰な負担がかかることを指します。このような状況では、咀嚼動作中にも、奥歯がほかの歯よりも過剰な負担を受けます。

奥歯に過剰に負担がかかると、歯の摩耗を加速させるだけでなく、歯周組織にも悪影響を及ぼし、歯周病のリスクを高める可能性もあります。このような問題が長期的に続くと、歯の損失につながる恐れもあるため、噛み合わせの調整が重要となります。

噛み合わせ時の不快感や痛み

奥歯が適切に嚙み合わない場合、咀嚼する際に歯や歯茎に不快感や痛みを引き起こすことがあります。この状態は、奥歯に過剰な圧力がかかるため生じ、食事や会話するときに違和感が感じられます。

また、噛み合わせの不安定さは口の中での安定感の欠如をもたらし、これが顎関節にストレスを与えることもあります。このような状況は顎関節症の症状を悪化させる可能性があり、痛み、腫れ、あるいはクリッキング音といった問題が生じることがあります。

したがって、奥歯の不適切な噛み合わせは、局所的な問題ではなく、口腔全体の健康に影響を及ぼす重要な要因となるため、適切な治療が必要になります。

奥歯が噛み合わない原因

奥歯が噛み合わない原因

奥歯が噛み合わない原因は多岐にわたりますが、咀嚼機能に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

咬筋の緊張

咬筋の異常緊張は、奥歯の噛み合わせ問題に関与する要因の一つとされています。この状態では、咬筋が必要以上に緊張することで、顎の位置のずれや歯の摩耗、顎の痛みといった症状を引き起こすことがあります。主に、咬筋が適切に機能しないと、下顎が正しい位置に保たれず、その結果、奥歯の噛み合わせが不適切になります。

このような筋肉の緊張は、周囲の筋肉バランスの崩れにもつながり、さらに顎や頭部の歪みを引き起こすこともあります。これらの問題を解決するためには、患者さんの状況に応じた診断と専門的な治療が必要です。

奥歯がズレている

不適切な歯列矯正によって、特定の奥歯が正しい位置に移動しない場合、奥歯のズレや噛み合わせの問題を引き起こすことがあります。歯列矯正する際に全ての歯が均等に調整されないと、奥歯がズレた状態が残り、その結果、咀嚼の効率が低下し、歯や顎に不均一な負荷がかかります。

この状態は、歯の摩耗や歯周組織への損傷を招く可能性があるため、治療の過程で違和感や痛みを感じた場合は速やかに歯科医に相談することが重要です。

抜歯

歯列矯正する際に大臼歯を抜歯することがありますが、抜歯によって生じるスペースが奥歯の噛み合わせに影響を与えることがあります。大臼歯は咀嚼において中心的な役割を果たすため、その一本を失うことで、対合する歯が伸びてくる「対合歯の挺出」という現象が生じることがあります。

この現象は、残った歯が空いたスペースに移動しようとする自然な反応ですが、結果として奥歯の噛み合わせが悪化することがあります。したがって、歯列矯正治療を進める際には、歯科医師と十分な相談を行い、適切な治療計画を立てることが重要です。

奥歯が嚙み合わないことのリスク

奥歯が嚙み合わないことのリスク

奥歯が正しく噛み合わないことで、どのようなリスクが生じるのでしょうか?以下で、具体的なリスクについて解説します。

食べ物が噛みにくくなる

奥歯が正しく噛み合わない場合、食べ物が噛みにくくなるとされています。通常、前歯で食べ物を噛み切り、その後奥歯でしっかりとすりつぶして飲み込む準備をします。しかし、奥歯の噛み合わせが不適切だと、噛み砕けていないまま飲み込むことになり、これにより消化不良を引き起こし、長期にわたって胃腸に過剰な負担がかかるリスクが高まります。

このような嚙み合わせの問題は、日常生活での咀嚼の質にも影響を及ぼし、十分な栄養摂取や消化吸収の効率を低下させる恐れがあるため、適切な治療を受けることが推奨されます。

顎関節症

奥歯がうまく噛み合わない場合、顎に力がかかり、顎関節症のリスクが高まります。顎関節症は、顎の関節や咀嚼筋に痛みが生じ、口を開ける際に関節から音がするなどの症状が現れるとされています。

この不適切な噛み合わせにより、噛む際に顎に無理な負担が加わると、顎の筋肉バランスが崩れ、これが顎関節症の発症につながります。このような状態は、顎の健康だけでなく、全身にも影響を及ぼすため、注意が必要です。

肩こりの原因

奥歯がうまく噛み合わないと、肩こりの一因となります。この現象は、噛み合わせが不適切な状態が顎の筋肉に余分な緊張をもたらし、その影響が首や肩の筋肉に伝わるためです。顎の筋肉は首や肩と密接に連動しており、噛み合わせの問題が顎関節だけでなく、周囲の筋肉バランスの崩れを引き起こし、結果的に肩こりを悪化させることがあります。

このように、奥歯の噛み合わせの問題は、顎の健康だけでなく姿勢や筋肉の調和にも影響を及ぼし、さまざまな不快な症状を引き起こす可能性があるため、早めに治療を受けることが肝心です。

奥歯が噛み合わない際の治療法

奥歯が噛み合わない際の治療法

奥歯が噛み合わない際には、症状や原因に応じて適切な治療法が選ばれます。以下でどのような治療法があるのか見ていきましょう。

ワイヤー・ブラケット矯正

ワイヤー・ブラケット矯正には以下の種類があります。

  • 標準的なワイヤー・ブラケット矯正
    歯の表側に金属のブラケットとシルバーのワイヤーを装着する方法で、歯の動きが速く、ほとんどの不正咬合に対応が可能とされています。
  • ホワイトワイヤー矯正
    標準的な歯列矯正と同様ですが、ワイヤーが白色であるため、見た目が目立ちにくいという特徴があります。主に、目立つ歯列矯正器具を避けたい人に適しており、審美性を保ちながら治療を進めることが可能とされています。
  • 裏側矯正(舌側矯正)
    歯の裏側(舌側)にブラケットとワイヤーを装着する方法で、目立ちにくいとされています。見た目を重視する方におすすめですが、オーダーメイドのため費用が高くなることを理解しておきましょう。

これらの方法は、奥歯の噛み合わせの問題を根本から解決し、長期的な口腔健康をサポートするためのものです。治療法は患者さんの症状やニーズに応じて選ばれるため、適切な方法を選ぶには歯科医師との相談が必要です。

マウスピース型矯正

マウスピース型矯正は、透明な装置を使用し目立たずに歯列矯正を行う方法です。この装置は着脱可能とされ、食事や歯磨きの際に取り外せるため、日常生活において不自由なく歯列矯正を受けられます。

しかし、1日20〜22時間程の装着が必要であり、これを怠ると治療期間が延びる可能性があることを考慮しておく必要があります。マウスピースは噛み合わせに伴う顎の位置や咬筋のバランスを調整し、顎関節症や筋肉疲労を軽減する効果が期待できますが、治療前に歯科医師に相談することが大切です。

外科手術

重度な噛み合わせの問題があり、歯列矯正装置やマウスピース型矯正などの非手術的治療が適切でない場合、歯列矯正外科手術が必要となることがあります。この手術では、顎の骨を移動させたり、咬合関係を調整したりして正常な噛み合わせを回復させます。

治療方法は患者さんの状況によって異なりますので、歯科医師の診断と助言を受けながら、適切な治療プランを選択しましょう。

まとめ

まとめ

ここまで奥歯が噛み合わない理由と歯列矯正方法についてお伝えしてきました。奥歯が噛み合わない理由と歯列矯正方法の要点をまとめると以下の通りです。

  • 奥歯が嚙み合わないとは、食べ物の咀嚼が難しくなる状態で、不快感や痛みを引き起こし歯や歯周組織に負担をかけ、顎関節症のリスクも増加する恐れがある
  • 奥歯が噛み合わない原因には、「咬筋の異常緊張」、「不適切な歯列矯正による奥歯のズレ」、「抜歯による対合歯の挺出」が挙げられる
  • 奥歯が噛み合わない際には、「ワイヤー・ブラケット矯正」「マウスピース型矯正」「外科手術」などがあり、患者さんに適した治療法が選択される

奥歯が噛み合わない理由と主な歯列矯正方法を理解していただけましたでしょうか?

奥歯の噛み合わない原因は多岐にわたりますが、奥歯の噛み合わせを改善させるために適切な治療を受けることが大切です。奥歯の噛み合わない問題の治療法について詳しく知りたいと思った方は、一度歯科医院へ相談に行くことをおすすめします。

皆さまの奥歯が噛み合わない問題が解消されることを願っています。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
山田 雅一医師(宇都宮矯正歯科院長)

山田 雅一医師(宇都宮矯正歯科院長)

平成13年3月 茨城県立水戸第一高等学校卒業 / 平成20年3月 東北大学歯学部歯学科卒業 / 平成25年3月 東北大学大学院歯学研究科 顎口腔矯正学分野 卒業 歯学博士 / 平成25年4月 東北大学大学院歯学研究科 顎口腔矯正学分野 非常勤講師 / 平成25年9月 東北大学病院矯正歯科 医員 / 平成27年11月 日本矯正歯科学会 認定医取得 / 平成28年10月 医療法人プライムオルソ 宇都宮プライム矯正歯科 院長 / 令和元年5月 宇都宮矯正歯科 院長 / 令和3年 インビザライン ダイヤモンドプロバイダー

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平成13年3月 茨城県立水戸第一高等学校卒業 / 平成20年3月 東北大学歯学部歯学科卒業 / 平成25年3月 東北大学大学院歯学研究科 顎口腔矯正学分野 卒業 歯学博士 / 平成25年4月 東北大学大学院歯学研究科 顎口腔矯正学分野 非常勤講師 / 平成25年9月 東北大学病院矯正歯科 医員 / 平成27年11月 日本矯正歯科学会 認定医取得 / 平成28年10月 医療法人プライムオルソ 宇都宮プライム矯正歯科 院長 / 令和元年5月 宇都宮矯正歯科 院長 / 令和3年 インビザライン ダイヤモンドプロバイダー

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