「歯が浮いているような気がする」「上下の歯がきちんと噛み合っていないような感じがする」など、噛み合わせに違和感を覚える人もいるのではないでしょうか。
噛み合わせに違和感がある場合、さまざまな原因があります。また、違和感を放置しているとさまざまな問題を引き起こす可能性があります。
そのため、嚙み合わせに違和感がある場合は歯科医院で診察を受け、必要であれば歯列矯正のような治療をするのがおすすめです。
本記事では、噛み合わせの違和感の原因をご紹介します。さらに、歯列矯正による治療法も解説します。
噛み合わせの違和感の原因や不正咬合の種類
- 噛み合わせの違和感の原因を教えてください。
- 噛み合わせの違和感の原因には、歯の欠けや折れ・むし歯や歯周病・歯ぎしりなどが考えられるでしょう。歯が欠けたり折れたりすると、噛み合わせが変わり、違和感の原因になります。また、むし歯や歯周病が進行すると歯が動くケースがあり、噛み合わせに違和感を覚えることがあります。特に歯周病は進行が早いため、短期間で違和感が出るケースがあるでしょう。また、歯ぎしりも噛み合わせの違和感の原因です。夜間の歯ぎしりに多く見受けられますが、無意識のうちにとても大きな力で歯ぎしりをしている場合があります。そのため、歯が動いて噛み合わせが変化するケースがあります。
- 噛み合わせが悪いとどのような弊害がありますか?
- 噛み合わせが悪くなると、次のような弊害が発生する可能性があります。
- 食べ物がよく噛めない
- むし歯・歯周病になりやすい
- 顎関節症になりやすい
- 見た目の印象が変化する
- 口臭の原因になる
噛み合わせが悪いと、上下の歯の接触が少なくなるため、食べ物がよく噛めなくなります。また、歯と歯の間に溝が生じている場合だと、むし歯や歯周病になりやすいでしょう。噛み合わせに違和感がある場合、お口の周りの筋肉に余計な力がかかり、顎に痛みが発生するケースもあります。これは顎関節症と呼ばれる症状で、肩こりや頭痛の原因にもつながります。別の弊害としては、見た目の印象の変化も挙げられるでしょう。噛み合わせが悪くなると、出っ歯や受け口になったりするため、見た目の印象が変化します。最後に、嚙み合わせの悪さは口臭の原因になる場合もあります。噛み合わせが悪いと口呼吸になり、お口の中が乾いて細菌が繁殖しやすくなるためです。
- 不正咬合にはどのような種類がありますか?
- 嚙み合わせが悪くなることを不正咬合といいます。代表的な不正咬合には次のような種類があります。
- 出っ歯(上顎前突)
- 受け口(反対咬合)
- 八重歯・乱ぐい歯(叢生)
- 開咬
- 空隙歯列
出っ歯は(上顎前突)は、上の前歯が強く前に傾斜していたり、上の歯並び全体が前に出ていたりする状態です。お口を楽に閉じられなかったり、顔の怪我をしたときに前歯を折ったりすることがあります。受け口(反対咬合)は下の歯が上の歯より前に出ている状態です。うまく噛めなかったり、話が聞き取りにくくなったりすることが多いでしょう。乱ぐい歯(叢生)は歯並びが凸凹になっている状態です。歯磨きのときに歯ブラシが行き届かずに汚れが残り、むし歯や歯周病の原因になりやすいでしょう。開咬は噛んでも前歯が噛み合わない状態です。前歯で食べ物が噛みきれなかったり、発音しにくかったりするケースが多いでしょう。空隙歯列はすきっ歯とも呼ばれ、歯と歯の間に隙間がある状態のことです。すきっ歯の場合は見た目がコンプレックスになりやすいでしょう。また、隙間から空気が漏れて発音に影響が出たり、食べカスが詰まりやすくむし歯や歯周病を起こしやすかったりする弊害もあります。
歯列矯正による噛み合わせの治療法
- 歯列矯正とはどのような治療ですか?
- 歯列矯正は矯正装置を使用して歯や顎の骨に力をかけて動かすことにより、歯並びや噛み合わせを改善する治療です。歯列矯正によって歯並びを整えると、しっかり噛むことができるため、胃腸への負担を軽減するのに役立ちます。また、歯並びを整えるとすみずみまで歯磨きしやすくなることから、むし歯や歯周病の予防にもつながるでしょう。一方で、歯列矯正だけで歯を動かすことには限界もあります。不正咬合の原因が骨格の問題である場合は、歯列矯正だけで噛み合わせを改善できないケースもあるでしょう。そうしたケースでは、外科的矯正治療が必要になる場合もあります。
- 治療法の種類を教えてください。
- 歯列矯正の治療法には、主にワイヤー矯正とマウスピース型矯正があります。ワイヤー矯正は歯の表面や裏側(舌側)に小さなブラケットと呼ばれる装置を装着し、ブラケットに細いワイヤーを通して歯を動かす方法です。透明なプラスチック製やセラミック製のブラケットもあり、目立ちにくくすることもできます。マウスピース型矯正はプラスチック製のマウスピースを使用して歯を動かす治療法です。歯の動きに合わせて複数の装置を入れ替えて使用します。透明な装置のため、ワイヤー矯正より目立ちにくいことが大きなメリットです。また、取り外しが可能なため、歯磨きやメンテナンスがしやすいことも利点といえます。
- 治療期間を教えてください。
- 歯列矯正は顎の位置や大きさをコントロールしたり、顎の骨の中にある歯を動かすため、ある程度の期間が必要です。年齢や症状によっても治療期間は異なりますが、成人の場合1~3年程度かかることが多いでしょう。一方で前歯のみの部分的な歯列矯正の場合は、マウスピース型矯正を行って半年程度で終了するケースもあります。治療後には後戻りしないよう、リテーナーと呼ばれる保定装置を装着する期間も必要です。保定装置を装着する期間は、矯正装置を付けていたのと同程度の期間がかかることもあります。また子どもの受け口や出っ歯のように、上下の顎の位置や大きさに問題があり顎の成長をコントロールする必要がある場合は、数年単位の治療期間がかかることもあります。
正しい噛み合わせの確認方法
- 正しい噛み合わせの確認方法を教えてください。
- 自分の噛み合わせが正しいかどうかは簡単な方法でチェックできます。鏡を使う方法や割りばしを使って確認する方法などがあります。鏡を使う場合、背筋を伸ばした状態で鏡の前に立ち、お口を「い」の形にしましょう。次に、上下の歯が顔の真ん中を通る線(正中)で揃っているかどうかを確認します。噛み合わせは割りばしを使って確認することもできます。まず、割りばしの中央を噛みましょう。そのままの状態で鏡を見て、割りばしが水平になっていれば噛み合わせは正常で、傾いている場合は噛み合わせに問題があります。以上は簡易的なチェック方法のため、正確な測定は歯科医院で行いましょう。
- 噛み合わせを悪くする生活習慣を教えてください。
- 噛み合わせを悪くする生活習慣には次のようなものがあります。
- 口呼吸
- 舌癖や食いしばりなどの癖
- 姿勢が悪い
- うつぶせ寝や歯ぎしりなどの睡眠習慣
- 指しゃぶりや爪を噛む癖
口呼吸によって長時間お口が開いたままだと、口元や舌の筋肉が衰える原因になります。筋力が低下すると前歯が前方に倒れやすくなり、出っ歯になる可能性があります。また、舌癖や食いしばり・歯ぎしりなどの癖も噛み合わせを悪くする習慣です。歯並びが悪くなるほか、歯がすり減ったり、割れたりする原因にもなりかねません。ほかには姿勢が悪い場合も歯並び・噛み合わせ・骨格などに悪影響を与えやすくなるでしょう。歯列矯正をするとともに、日常の悪い癖を直すことも噛み合わせをよくするのに役立ちます。
編集部まとめ
噛み合わせの違和感の原因には、歯の欠けや折れ・むし歯や歯周病・歯ぎしりなどがあります。歯が欠けたスペースに隣の歯が動いたり、歯ぎしりや食いしばりにより歯が動いたりして噛み合わせが変化するからです。
噛み合わせの違和感を放置すると食べ物がよく噛めなくなるほか、むし歯・歯周病になりやすかったり、顎関節症になりやすかったりするなどの問題につながります。
そのため、歯列矯正による治療を行って、歯並びを整えることがおすすめです。まずは歯列矯正を行っている歯科医院で噛み合わせの状態を調べてみましょう。
参考文献