噛み合わせが深い過蓋咬合はどのような状態かご存じでしょうか?
過蓋咬合は、上下の歯の噛み合わせが深い状態を指しますが、身体へ影響を及ぼす可能性があるため、治療することが大切です。
本記事では、噛み合わせが深い過蓋咬合について以下の点を中心にご紹介します。
- 過蓋咬合(かがいこうごう)について
- 過蓋咬合の身体への影響について
- 過蓋咬合の治し方について
噛み合わせが深い過蓋咬合について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
過蓋咬合(かがいこうごう)について
- 歯の噛み合わせが深い過蓋咬合とはどのような状態ですか?
- 歯の噛み合わせが深い過蓋咬合とは、噛み合わせが異常に深い状態を指します。正常な噛み合わせでは上の前歯が下の前歯を2〜3ミリ程度覆いますが、過蓋咬合の場合、この覆いかぶさりがさらに深く、下の前歯が上の前歯によってほとんど隠れてしまいます。
この状態は、不正咬合の一種であり、見た目の問題だけでなく機能的な問題も引き起こす可能性があります。具体的には、奥歯への過剰な力のかかり方が顎関節症を引き起こすリスクを高めるほか、顎の動きに制限を生じさせ、お口が開きにくくなることもあります。
過蓋咬合は無症状の場合もありますが、長期にわたって放置するとさまざまな合併症を引き起こすため、適切な診断と治療が推奨されます。
- 過蓋咬合の原因を教えてください
- 過蓋咬合の原因は以下の三つにわけられます。
骨格の不均衡:下顎が相対的に小さい場合、骨格の不均衡が過蓋咬合を引き起こすことがあります。この骨格の形状はしばしば遺伝するため、両親が過蓋咬合である場合、子どもにも同様の傾向が見られることがあります。
歯の問題: 前歯が過剰に成長して高くなりすぎること、または奥歯がむし歯により失われたり、摩耗により低くなることで、噛み合わせが深くなることがあります。特に、長期にわたる食いしばりや歯ぎしりなどの癖が奥歯をすり減らし、結果的に過蓋咬合を引き起こす場合があります。
生活習慣と癖:頬杖や唇を咬む癖は、過蓋咬合へなりやすいといわれています。遺伝とは異なるためり、意識して癖を修正することで改善が見込める場合があります。また、正しい噛み合わせを促すための口腔内トレーニングや治療も、が有効であると考えられます。
このように、過蓋咬合は遺伝的な要素と後天的な影響の両方が関係していることが多く、適切な診断と個別に合わせた治療計画が必要です。
過蓋咬合の身体への影響について
- 過蓋咬合を放置することのリスクを教えてください
- 過蓋咬合を放置することで、口腔内と全身の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
歯の摩耗と早期喪失:過蓋咬合は、前歯が適切に機能せず、奥歯に異常な負担がかかることで、奥歯の早期摩耗や損傷が起こり、最終的には早期の歯の喪失につながる可能性があります。
歯根破折と知覚過敏:長期にわたる噛み締めや食いしばりは、歯の神経が露出しやすくなり、知覚過敏や露髄を引き起こすことがあります。さらに、咬合力が原因で歯根破折を起こすこともあります。その場合、抜歯を必要とすることになるかもしれません。
顎関節への影響:過蓋咬合は顎関節にも悪影響を及ぼします。不均衡な噛み合わせが顎関節に負担をかけ、顎関節症などの疾患を引き起こす可能性があります。これにより、開口障害や顎の痛みなどの症状が現れることがあります。
過蓋咬合は単なる歯並びの問題ではなく、全体的な口腔内および全身の健康に関わる重要な問題であるため、早期の対応が推奨されます。
- 過蓋咬合を治療するメリットを教えてください
- 過蓋咬合を治療するメリットは、以下のとおりです。
顎関節への負担軽減:過蓋咬合を治療することで、顎関節にかかる負担が減少し、肩こりや首こりなどの身体の不調も改善されることが期待できます。
食べ物を噛みやすくなる::過蓋咬合を改善することで、食べ物を快適に噛めるようになり、スムーズな消化につながります。
歯の寿命を延ばす:過蓋咬合の治療により、歯の過度な摩耗や破損のリスクが減少し、歯の寿命を延ばせます。
口内環境の改善:噛み合わせが改善されると、口内炎などのトラブルが減り、歯周病のリスクも下がります。
見た目が良くなる:過蓋咬合を治療することで、笑顔がより魅力的になり、自信を持って口元を見せられるようになります。
このように、過蓋咬合を治療することで口腔および全身の健康に寄与します。
過蓋咬合の治し方について
- 過蓋咬合の治し方を教えてください
- 過蓋咬合の治療には、圧下、挺出、傾斜移動の3つのアプローチが用いられます。これらの方法を組み合わせて、歯の位置や噛み合わせのバランスを整えます。
挺出(引き出す): 奥歯を引き出し、噛み合わせの高さを調整します。なかでも、噛み合わせが低い場合に推奨されており、顎のバランスを整える効果が期待できます。この方法は、単独で使用することもありますが、傾斜移動と組み合わせて行われることが多いとされています。
傾斜移動(傾ける): 前歯を前方に傾けて歯列弓を広げ、上下の歯の接触位置を調整します。この手法は、噛み合わせの問題を解消し、より自然な歯並びを実現します。
適切な治療を受けるためには、専門的な診断が必要なため、経験豊富な矯正歯科医に相談することが推奨されます。
- 過蓋咬合の治療にはどのような矯正装置がありますか?
- 過蓋咬合の治療には、以下の矯正装置が用いられます。
ワイヤー矯正:- 金属ブラケット:歯の表面に固定され、ワイヤーを通して歯を動かす従来の方法です。強力な圧力を加えることが可能で、複雑な歯の移動にも対応できます。
- セラミックブラケット:金属ブラケットの審美的な代替品で、色が歯に近いため目立ちにくいとされています。
マウスピース型矯正装置:
- 透明なプラスチック製のマウスピースを使用し、数週間ごとに交換しながら徐々に歯を動かしていきます。取り外しが可能なため、食事や歯磨きしやすく、日常生活の違和感が少ないとされています。
これらの装置は、それぞれの症例に応じて、歯を適切な位置に調整するために用いられます。
編集部まとめ
ここまで噛み合わせが深い過蓋咬合についてお伝えしてきました。噛み合わせが深い過蓋咬合の要点をまとめると以下のとおりです。
- 歯の噛み合わせが深い過蓋咬合は噛み合わせが異常に深い状態のことで、過蓋咬合の原因には、骨格の不均衡、歯の問題、生活習慣と癖が考えられる
- 過蓋咬合を放置すると、歯の早期摩耗や損傷、顎関節症などのリスクを高め全身の健康にも影響を及ぼす恐れがあるため、早期の診断と適切な治療が大切
- 過蓋咬合の治療では、圧下、挺出、傾斜移動といった手法を用いて、歯の位置や噛み合わせを調整する
過蓋咬合は顎のバランス不良や日常の癖が原因で生じ、放置すると顎関節症や歯の損傷など深刻な問題を招く恐れがあるため、適切な治療を受けて歯並びと噛み合わせのバランスを整えることが重要です。 ここまでお読みいただきありがとうございました。