噛み合わせ

受け口の小児矯正について!受け口の原因や治療法など徹底解説

小児矯正 受け口

受け口は、下顎が上顎よりも前に出ている状態を指し、さまざまな要因によって引き起こされます。受け口は、見た目だけでなく、噛み合わせや発音にも影響を及ぼす可能性があります。

本記事では受け口の小児矯正について以下の点を中心にご紹介します。

  • 受け口とは?
  • 受け口の治療方法とは?
  • 受け口は自然に治るのか?

受け口の小児矯正について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

受け口について

受け口について

受け口とは何ですか?
受け口、医学的には「下顎前突」または「反対咬合」と称される、特有の噛み合わせの状態を指します。
受け口の状態では、下の前歯が上の前歯よりも前方に位置しています。これは、上顎の成長が不十分であるか、下顎が過度に発達していることにより起こります。
また、見た目だけでなく、発音の問題や食べ物を噛む際の困難さ、消化不良を引き起こす原因となることもあります。

子どものときに受け口の状態に対して小児矯正を受けた場合と受けなかった場合では、大人になったときの顔の形状にも影響します。
そのため、適切な時期に治療を開始することで、これらの問題を防ぎ、機能性と審美性共に健康的な成長を遂げることが大切です。

受け口の原因は何ですか?
受け口が発生する理由には多様な要因が関係しています。
受け口の主な原因は、以下のとおりです。

  • 遺伝:遺伝的な要因であることが多く、親が受け口の場合、子どもにも同じ状態が現れる可能性があります
  • 顎の発達の問題:上顎の成長が遅れたり、下顎が過度に発達したりすることも受け口の一因です
  • 癖:指しゃぶりや舌の癖などの環境的な要因も、歯並びや顎の位置に影響を及ぼし、受け口を引き起こすことがあります
  • 呼吸の問題:特に鼻炎や副鼻腔炎が原因で鼻呼吸が困難になり、口呼吸になると、顎の発達に影響を与えることもあります

これらの要因が組み合わさることで、受け口が形成されるといわれています。

小児矯正における受け口の治療開始時期

小児矯正における受け口の治療開始時期

受け口の場合、治療の開始時期はいつ頃がよいですか?
受け口の治療に適した時期は、子どもが5~7歳くらいの間が理想的とされています。この時期に治療を開始すると、後で大きな手術をする必要がなくなる場合や、治療期間も短縮される場合があります。
特に、顎のズレや前歯の咬み合わせ問題が原因で受け口が生じている場合、早期に対応することで、小さくて扱いやすい矯正装置を使用することが可能になり、その後の矯正治療が不要になるケースもあります。
また、上顎の成長が8~9歳頃でほぼ完了するため、この時期までに治療を開始することが重要です。
一方で、症状の重さや遺伝的要因によっては、3~4歳頃から治療の開始を推奨されることがあります。
受け口を早期に治療するメリットはありますか?
受け口の早期治療にはさまざまなメリットがあります。
早期に治療を行うことで、子どもの成長と顎の発達を利用し、受け口の矯正が可能になります。
また、早い段階で介入することで、不正な咬み合わせによる悪い癖(例えば、口呼吸や指しゃぶり)を改善しやすくなり、顎の成長を促進しながら歯を自然な位置に移動できます。
また、治療を早く開始することで、将来的な抜歯のリスクを減らすことも期待できます。

このように、受け口の早期治療は、子どもの健康的な歯並びと顎の発達をサポートするためにも重要です。

小児矯正における受け口の治療法

小児矯正における受け口の治療法

予防矯正とは、どのような治療法ですか?
予防矯正は、主に子どもたちの歯並びや噛み合わせの問題を未然に防ぐための治療法です。予防矯正は、歯の移動だけでなく、子どもの口の周りの筋肉や、舌の機能改善を目的としています。

予防矯正では、柔らかい素材でできた、取り外し可能なマウスピースを使用します。
日中1時間以上と就寝時に装着し、歯並びを整えると同時に、口の周りの筋肉や舌の筋肉のバランスを整えます。
このようにして、子どもの歯が永久歯に生え変わる時に、自然で健康的な歯並びと噛み合わせを促進します。

床矯正とは、どのような治療法ですか?
床矯正は、子どもの成長期に顎の発育を促進し、歯並びや噛み合わせを改善するための矯正治療法です。
床矯正には「急速拡大装置」と「緩徐拡大装置」の2種類があり、治療期間や目的に応じて選択されます。

急速拡大装置は数週間から数ヶ月で顎を広げるのに対し、緩徐拡大装置はより長い期間をかけてゆっくりと顎を広げます。
床矯正は5~7歳頃の間に開始することが理想的とされ、この時期に床矯正を行うことで、成長を利用して顎の骨を自然に広げ、スペースを確保して歯並びを整えます。

床矯正のメリットは、将来的に歯を抜く必要性を減らし、矯正治療の負担を軽減できる点です。
ただし、装置が口内にあるため、慣れるまでは違和感を感じる場合があります。

マウスピース型矯正とは、どのような治療法ですか?
マウスピース型矯正とは、透明なマウスピースを使用して歯並びを整えたり、顎の成長を促進したりする治療法です。受け口の治療のため小児矯正で使用されるマウスピース型矯正では、主に6~10歳頃の子どもを対象としています。

マウスピースは目立ちにくく、食事や歯磨きの際には取り外せるため、生活への影響が少なく、口内を傷つけるリスクも低減します。
さらに、歯並びの調整だけでなく、舌や口周りの癖の改善を促します。
また、ワイヤーやブラケットを使った矯正よりもコストを抑えられる場合もあります。
受け口の治療では、マウスピース型矯正だけではなく、歯科医院でのお口のトレーニングが組み合わされる場合もあります。

フェイスマスクによる矯正とは、どのような治療法ですか?
フェイスマスク(フェイシャルマスク)矯正は、主に受け口の状態を改善するために使用される着脱可能な治療器具です。
フェイスマスク矯正は、7~13歳頃の子どもに用いられ、特に歯の生え変わり期に上顎の発育促進を目的としています。

フェイスマスク矯正の装置は額と下顎に固定され、ゴムバンドを使用して上顎を前方に引き出す力を加えます。この方法により、上顎の成長を促しつつ、下顎の過度な前方への成長を制御し、顎のバランスを整えます。
治療には、半年~1年程度を要し、夜間を中心に長時間の装着が必要となります。

フェイスマスク矯正治療の効果は、装着時間を厳守できるかによって左右され、一日12時間以上装着することで顎のバランスの改善と受け口の矯正が期待できます。
また、外出時などは取り外し、日常生活においては精神的な負担を軽減することも大切です。

小児矯正における受け口の予防法・改善法

小児矯正における受け口の予防法・改善法

受け口を放置するとどうなりますか?
受け口をそのままにしておくと、下顎の成長が加速する思春期には受け口の問題が顕著になり、自己意識への影響や、コンプレックスの原因となる可能性があります。
また、受け口を放置することで、顎の骨格に負担をかけ、噛み合わせの問題や顎関節症のリスクを高めます。
また、発音にも影響が及び、特に「サ行」が発音しにくくなることがあります。
治療が遅れると、顔立ちの改善はもちろん、咀嚼や発音の機能回復も難しくなり、成人してからの矯正手術が必要になることもあります。
受け口は自然に治りますか?
受け口が自然に治るかどうかは、子どもの年齢や受け口の程度によって異なります。
このため、歯科医師の間でも受け口の治療時期についての意見は分かれがちです。

3歳を超えても受け口が続いている場合、自然に治る確率は低下し、下顎の成長が加速すると状況はさらに複雑になるといわれています。
早期治療の重要性を強調し、顎の成長を利用して矯正を勧める歯科医師がいる一方で、受け口が成長に伴って自然に改善する可能性もあるため、様子を見ることを推奨するケースもあります。
個々のケースに応じて、適切なアプローチを選択することが重要です。

受け口を予防するためには、どのような点に注意すべきですか?
受け口の予防には、乳幼児期からのケアが不可欠で、乳幼児期の顎と口周りの筋肉の発達が重要です。
母乳での育児は、赤ちゃんにとって自然で適切な力を使って吸う練習になり、顎の正常な成長を促します。
母乳が難しい場合は、赤ちゃんがしっかりと吸う力を必要とする哺乳瓶の使用を検討すると良いでしょう。

さらに、おしゃぶりの使用も受け口予防に役立ちます。
おしゃぶりは赤ちゃんが寝ている間に口を開けた状態を防ぐことで、下顎が前方に出ることを抑制し、受け口のリスクを減らす効果があるとされています。
早い段階からこれらの対策をとることで、受け口のリスク低減につながります。

受け口を改善するために、自分でできることはありますか?
受け口の改善に役立つ、自宅で簡単にできるトレーニングを紹介します。
この方法は、舌の使い方を調整し、顎の正しい位置を促すことに重点を置いています。

  1. 口を閉じ、舌先を左下の奥歯と頬の間に、舌をひねるようにして置く
  2. 舌先を、下の歯列の外側に沿って、右下の奥歯と頬の間まで、ゆっくり移動させる(このとき、舌先で歯列を外から抑えるようにする)
  3. 今度は、舌先を右上の奥歯の内側に置く
  4. 舌先を、上の歯列の内側に沿って、左上の奥歯の内側まで、ゆっくり移動させる

この動きを1日に30回繰り返します。分割で行っても大丈夫です。

また、口呼吸や舌癖、指しゃぶりや頬杖などの習慣を改善すること、硬い食べ物を意識的に摂取して顎の骨を鍛えることも、受け口の予防につながります。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで受け口の小児矯正についてお伝えしてきました。
受け口の小児矯正の要点をまとめると以下の通りです。

  • 受け口は、医学的に「下顎前突」または「反対咬合」と称され、下の前歯が上の前歯よりも前方に位置している状態
  • 受け口の治療には、予防矯正、床矯正、マウスピース型矯正、フェイスマスク矯正などがある
  • 3歳を超えても受け口が続いている場合、自然に治る確率は低下し、下顎の成長が加速すると状況はさらに複雑になるとされており、個々のケースに応じて適切なアプローチを選択することが重要

これらの情報が少しでも、お子さんの受け口の改善のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
宮島 悠旗医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

宮島 悠旗医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

愛知学院大学歯学部卒業 / 東京歯科大学千葉病院にて臨床研修医終了 / 東北大学大学院歯学研究科口腔発育学口座顎口腔矯正学分野 助教 / 宮島悠旗ブライトオーソドンティクス起業 / 著書「国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”-世界で活躍する人の『デンタルケア』-」(幻冬舎)出版 / 合同会社T&Y Connection設立 / ASIA GOLDEN STARAWARD(企業家賞)受賞 / 著書「歯並び美人で充実人生-幸せを呼ぶゴールデンスマイル-」(合同フォレスト)出版 / 株式会社オーティカインターナショナル認定講師 / 現在は宮島悠旗ブライトオーソドンティクス代表としてフリーランス矯正歯科医を行っている / 専門は矯正歯科(Invisalign®︎、小児矯正、Myobrace®︎、マルチブラケット、アンカースクリュー、PBMオルソ(光加速矯正装置))

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