「歯列矯正で子どもの歯並びを整えてあげたいけど痛いのかな?」「子どものうちに歯列矯正で歯並びをきれいにしてあげたい」と思いつつも、痛みがあるのではと心配している方は少なくないでしょう。
ただし歯列矯正が痛いからというだけでやめてしまうと、大人になって後悔する場合もあるので、慎重に判断することをおすすめします。
小児矯正を始める際は、痛みの対処法や予防法を知っておくことが大切です。本記事では、歯列矯正による痛みの原因や対処法、予防法について詳しく解説していきます。
小児矯正は痛みを感じやすい原因と特徴
- 小児矯正はどのような治療ですか?
- 小児矯正とは、歯・歯周組織・顎・それらを含む顔面全体の正常でない発育成長による不正咬合や上下顎の関係改善を行う治療のことです。
小児矯正には、1期治療と2期治療の2つがあります。1期治療は子どもの顎や歯の成長を利用し、顎の骨を拡大することで永久歯がきれいに生えそろうスペースを作ったり、お口周りの悪い習慣を改善する治療です。成長途中である子どもだからこそできます。一方で2期治療は、現在生えている永久歯の歯並びを改善するための治療です。ワイヤー型矯正やマウスピース型矯正などの種類があり、大人の歯列矯正治療とほとんど同じです。
- 小児矯正が痛みを感じやすい原因を教えてください。
- 小児矯正の痛みの原因として、矯正装置による痛み・歯が動くときの痛み・噛むときの痛み・抜歯後の痛みが挙げられます。矯正装置による痛みに関しては、矯正装置を装着したときや装置を調整したとき、数日から1週間程は痛みや不快感が伴うことが少なくないでしょう。個人差はありますが、1週間程度で装置に慣れてくるでしょう。また、歯並びを整えるためには歯を動かす必要があります。その際に、歯が押されている感じや締め付けられる感じなどの痛みが発生するのです。歯列矯正中は歯を動かすための力が歯にかかっているため、歯や歯茎の神経が敏感です。そのため、ものを噛んだり歯を噛み締めたりしたときに痛みを感じる場合があります。
また、歯列矯正治療のなかで抜歯を行う場合があります。抜歯を行ったときは、一般的に抜歯後数日は痛みが出るでしょう。小児矯正による痛みは個人差があります。痛みがひどいときは担当歯科医師に相談しましょう。
- 小児矯正は早めに始めた方が痛みは感じにくいですか?
- 小児矯正を早めに始めても痛みが少なくなるとは限りません。小児矯正による痛みは個人差があります。どのタイミングで治療を始めても、一般的に矯正装置をつけた後や歯が動くときの痛みはあるでしょう。また、小児矯正は早く始めればいいということはありません。子どもの歯は成長途中にあるため、顎の成長量や歯の成長方向、まだ生えていない歯の大きさなどの不確定要素が多くあります。
そのため、明確な治療方針を立てるのは困難です。子どもの歯並びの乱れが気になったとしても、成長の過程で歯並びが整い、歯列矯正治療を必要としない場合もあります。個人差はありますが、歯列矯正治療は早く始めなければいけないわけではないのです。歯科医師の検診を受け、よく相談してから、適切なタイミングで歯列矯正治療を始めましょう。
小児矯正の痛みの対処法
- 小児矯正で痛みを感じにくくする対処法はありますか?
- 小児矯正による痛みを感じにくくする対処法として、以下のような方法が挙げられます。
- 取り外し可能な矯正装置を用いる
- 鎮痛剤を服用する
- やわらかい食べ物を食べる
矯正装置にはいくつかの種類があります。そのなかでも取り外しが可能な矯正装置は痛みを引き起こしにくいです。治療方法によっては取り外し可能な矯正装置が治療に適切ではないケースもあるため、担当歯科医師と相談しながら決めていくことが大切です。
歯列矯正による痛みは、矯正装置を装着した直後に発生することが多くあります。そのため、一時的な痛みを和らげる方法として鎮痛剤を服用する対処法があります。ものを噛むときに痛みを感じる方は、やわらかい食べ物を選ぶことで痛みが軽減するでしょう。また、歯列矯正後にレーザーを照射することで痛みが軽減されるという研究結果があります。小児矯正を始めてから歯や顎にひどい痛みが現れた場合は、まずは担当歯科医師に相談することが大切です。
- 装置により痛みに違いはありますか?
- 矯正装置の種類によって痛みが異なります。特に、矯正装置を患者さん自身で取り外し可能かどうかで違いがあります。小児矯正において痛みを感じやすいのは矯正装置を装着した直後です。矯正装置を常につけていることで痛みを感じます。
そのため取り外しが可能な矯正装置は、取り外しできない矯正装置に比べて痛みが少ない傾向です。取り外し可能な矯正装置には、床装置・咬合挙上床・マウスピース型矯正装置などがあります。これらの装置は痛みが少ないだけでなく、むし歯や歯周病のリスクも軽減されますが、装着時間が少ない分十分な治療結果を出せない場合もあります。
- 装着後の痛みはどのくらい続きますか?
- 矯正装置を装着した後の痛みは個人差がありますが、平均で数日から1週間程続きます。一般的に矯正装置を装着してから3〜6時間後に痛みが発生し、約24〜48時間後にピークとなり、1週間程度持続します。痛みの主な原因は、歯にかかる矯正力による負荷です。
小児矯正による痛みを抑制するためには、鎮痛剤を服用することややわらかい食べ物を食べるといった方法があります。我慢できないようなひどい痛みが発生した場合、担当歯科医師と相談し鎮痛剤を飲みましょう。また、矯正装置をつけた直後はやわらかい食べ物を選ぶことで歯や顎にかかる負荷が軽減し、痛みが和らぎます。ひどい痛みが発生した場合や、1週間以上経っても痛みがひかない場合は、担当歯科医師に相談しましょう。
- 痛みがひどい場合は医師に相談した方がいいですか?
- 小児矯正による痛みには個人差がありますが、我慢できないくらいのひどい痛みが伴う場合は担当歯科医師に相談しましょう。歯科医院では痛みを軽減するための鎮痛剤を処方したり、治療計画を見直したりします。
歯や顎の形や成長速度は子どもによって異なるので、適切な対処法を行うことが大切です。また、小児矯正では治療期間が長期にわたるため、精神的成長も考慮しなければいけません。矯正装置による不快感や痛みからストレスを溜め込んでしまうことのないよう、子どもがひどい痛みを訴えたときはすぐに担当歯科医師に相談しましょう。
小児矯正での痛みへの予防法
- 小児矯正での痛みへの予防法はありますか?
- 小児矯正では、矯正装置を装着したり抜歯をしたりするため、基本的にはどうしても痛みを伴ってしまいます。しかし、取り外し可能な矯正装置を選択したり、やわらかい食べ物を選んで食べたりすると、痛みを軽減することが可能です。
また、早い段階で歯科検診を受けることで、子どもにとって適切なタイミングで適切な治療を行いやすくなります。子どもの歯や顎の成長を利用しながら歯列矯正治療を行うことで、抜歯の本数が減るなど、痛みを軽減できるでしょう。
- 食事や生活上での注意点はありますか?
- 歯並びが悪くならないための生活上の注意点として、以下のような方法があります。
- お口周りの癖を改善する
- むし歯を予防する
- 定期的に歯科医師の検診を受ける
特に3つ目の定期的に歯科医師の検診を受けることは、歯並びの乱れの早期発見につながります。早い段階で歯並びの乱れを発見することで、適切なタイミングで治療を開始できたり短い期間で治療が終わったり、子どもの負担も減らせたりするでしょう。
また、むし歯などのほかの病気の発見にもつながります。歯並びの乱れやむし歯を予防するために定期的に歯科医師の検診を受けることが大切です。
- 歯磨きをする際の注意点はありますか?
- 矯正治療中は矯正装置を装着しているため歯磨きが難しいです。そのため、むし歯や歯周病になるリスクが大きくなります。食事の後やお菓子を食べた後はこまめに歯磨きをするようにしましょう。小さい子どもの場合は、親御さんが磨き残しがないか確認してあげることで、子どもの歯をしっかり磨けます。
また、歯医者の検診の際に歯のクリーニングを行ったり、磨き残しを確認して歯磨き方法の指導を行ったりしてもらうことが可能です。歯列矯正治療中にむし歯や歯茎の腫れが認められた場合、歯列矯正治療を中断して、むし歯や歯茎の治療を行うことになります。むし歯や歯茎の治療だけでなく、歯列矯正治療の期間が長くなるため、子どもの心身の負担が大きくなってしまいやすいでしょう。そうならないためにも、歯磨きはしっかり行いましょう。
編集部まとめ
小児矯正では、主に矯正装置を装着した直後に痛みを伴います。一般的に、数時間から1週間程度で痛みはなくなるため、特に心配する必要はありません。
ひどい痛みを感じたり、1週間以上痛みが持続したりする場合は、担当歯科医師に相談しましょう。
痛みの少ない矯正装置を選択したり、食事においてやわらかいものを選んで食べたりすることで、痛みに対して予防や対処ができます。
小児矯正では、身体的成長だけでなく、精神的成長も一緒に見ていかなくてはいけません。適切なタイミングで適切な治療を行うことで、子どもの健康を守っていきましょう。
参考文献