インビザライン

インビザラインのデメリットって何?インビザラインによる矯正の仕組みや治療について

インビザラインのデメリットって何?インビザラインによる矯正の仕組みや治療について

透明のマウスピースを使って歯並びを整えるインビザラインは、装置が目立ちにくいことや、自由に取り外しができるなどのメリットがあります。しかし、インビザラインでの矯正治療を考えるなら、メリットだけでなくデメリットについても知っておく必要があるでしょう。理想の歯並びを手に入れるためには、注意点を把握し、納得した上で治療に取り組むことが大切です。この記事では、インビザラインのデメリットや、矯正の仕組み、治療方法について詳しく解説します。

インビザラインについて

インビザラインについて インビザラインは、アメリカのアライン・テクノロジー社により1990年代に開発された矯正方法で、マウスピース矯正の中では古い歴史があります。インビザラインが日本に導入されたのは2007年頃とまだ比較的新しい治療法ですが、現在世界中で1500万人以上もの治療実績を誇り、対応症例の幅が広いのが特徴です。また、マウスピースを自分自身で管理して装着するため、従来のワイヤー矯正よりも負担が少なく、通院の回数も少なくて済むためライフスタイルを変える必要がありません。

インビザラインとは

インビザラインとは、長時間透明のマウスピースを装着することで少しずつ歯を動かし、理想的な歯並びに整える矯正治療です。歯の矯正治療と言えば、ワイヤー矯正を思い浮かべる方も多いと思います。歯に矯正装置を取り付けるワイヤー矯正は、見た目が目立つことや、取り外しできないことがデメリットですが、インビザラインは、使用するマウスピースが透明で目立ちにくいこと、自由に取り外しができることがメリットです。また、マウスピース1枚につき、約0.25mmと少しずつ時間をかけて歯を移動させていくため、痛みが少ないことも特長です。マウスピースは、定期的に次のサイズに交換し、理想の歯並びになるまで何十枚ものマウスピースを使用します。

インビザラインによる矯正の仕組み

「本当にマウスピースで歯並びをきれいにできるの?」と不安な方も多いのではないでしょうか。ここでは、インビザラインでどうして歯が動くのかを解説します。 マウスピースを使うと、歯根の周りにある歯根膜という組織に力が加わります。そうすると、力を加えている側の歯根膜は引っ張られて伸び、力が加えられている側の歯根膜は縮むことになります。歯根膜は、歯茎の中にある骨を溶かしたり、新しい骨を作ったりして、歯根膜の厚みを一定に保つ性質があるため、この働きを繰り返すことで、少しずつ歯を移動させることができるのです。

インビザラインの治療の流れ

インビザラインは、カウンセリング、治療計画の作成、マウスピースの作製、矯正治療開始という流れで治療を行います。 まずは、カウンセリングで、歯並びの状態を確認し、歯並びの悩みや希望などについてお話します。次に、レントゲンや口腔内の写真撮影、歯型の採取などの精密検査を行い、それを基に歯科医師が治療計画を作成します。歯科医師による説明を聞き、治療方針に納得できたら、いよいよマウスピースの作製です。マウスピースは、海外の工場で製造するため、マウスピースの完成までには1ヵ月ほどかかります。マウスピースが完成すると、取り扱い方法や装着の注意点について説明を受け、ご自身でマウスピースを装着して矯正治療を開始します。インビザラインは、約1週間ごとに新しいマウスピースに交換し、少しずつ歯を動かして理想の歯並びを目指します。 治療が完了した後には、リテーナーと呼ばれる装置を付けて歯の位置を安定させます。矯正によって動かした歯は、元の位置に戻ろうとする力が働くため、リテーナーを装着してしっかりと歯を固定します。リテーナーによる歯の保定は、治療によって手に入れた美しい歯並びを維持するために重要な工程です。

インビザラインの治療費

インビザラインを始めるにあたって、気になるのが治療費です。インビザラインには前歯などの一部だけの歯並びを整える部分矯正と、全ての歯を動かして全体的な歯並びを整える全体矯正の2種類があり、それぞれ費用が異なります。 歯科医院によっても差がありますが、部分矯正の場合は30万円~45万円前後、全体矯正の場合は、70万円~100万円前後の治療費がかかることが多いでしょう。全体矯正は使用するマウスピースの枚数も多く、治療期間も長いため、部分矯正よりもかかる費用は高くなります。

インビザラインの治療期間

インビザラインの治療期間は、症例にもよりますが部分矯正で2ヵ月~6ヵ月、全体矯正で1年~3年ほどかかることが多くなります。重度の酷い歯並びで抜歯をした場合など、歯を大きく動かす必要がある症例では、その分治療に長い時間がかかります。

インビザラインのデメリット

インビザラインのデメリット インビザラインで後悔のない治療を行うためには、デメリットについてもしっかりと把握する必要があります。順に説明していきましょう。

自分自身での管理が必須

インビザラインは、自分自身で管理をするため、スケジュール通りにマウスピースを使用すること、ケアを怠らないことが大切です。インビザラインは、長時間マウスピースを装着することで効果を発揮するため、食事や歯磨きなどのとき以外はできるだけ付け続ける必要があります。また、矯正治療中にむし歯や歯周病にかかってしまうと治療を中断しなければなりません。矯正治療に大きな影響が出てしまうため、マウスピースの衛生管理も重要です。食事のときなどマウスピースを取り外したタイミングで、洗浄や消毒などのケアも自分で行わなくてはなりません。 つい面倒で洗浄をしなかったり、マウスピースの装着を忘れてしまったりすると、予定通りに治療が進まない原因になってしまうため注意しましょう。

装着時間が長い

インビザラインの効果を最大限に発揮するためには、マウスピースを1日22時間以上装着する必要があります。「意外と装着時間が長いな」と感じた方もいるのではないでしょうか。 しかし、マウスピースは、自由に取り外しができるからといって、長い時間、外したままにしていると治療の効果を得られません。マウスピースを装着している時間は少なからず違和感がありますが、すぐには外さず決められた時間はきちんと装着するようにしましょう。

適用できる症状に制限がある

歯の表面に矯正装置を付けるワイヤー矯正と比較すると、インビザラインは適応できる症状に制限があります。症状が重度の場合や、顎の骨が小さいなど骨格に問題がある場合などにはインビザラインのみでの治療が難しく、ワイヤー矯正を組み合わせたり、ほかの治療法を選択したりする必要があります。

歯並びによっては適用できないことがある

重度の出っ歯や受け口の場合や、がたつきがひどく歯並びが複雑な場合、抜歯の本数が多い場合にはインビザラインでは適応できないことがあります。インビザラインで適応できない症例の場合は、ワイヤー矯正での対応を検討します。

インビザラインのメリット

インビザラインのメリット インビザラインのデメリットとして、自己管理を行う必要があることや、マウスピースの装着期間が長いこと、適応の症例に制限があること、歯並びによっては適応できないことを挙げましたが、ここからは、インビザラインのメリットについて説明していきます。後悔のない矯正治療を行うためには、メリットとデメリットの両方を把握し、納得した上で治療に取り組むことが大切です。順番に見ていきましょう。

治療中に目立たない

歯の表面に矯正装置を付けるワイヤー矯正と違って、インビザラインは透明のマウスピースを使用するため、治療中も目立ちづらいのがメリットです。職業柄人前に立って話をする機会が多い方や、人と多く接する方、矯正装置の見た目が恥ずかしい思春期のお子様など、外見を気にする方にとって非常に魅力的な矯正方法です。ワイヤー矯正の場合は、見た目が気になり口元を隠したり、笑うのが嫌だという声を聞いたりすることがありますが、インビザラインの場合は、矯正期間中も気にせずに笑顔で人前に出ることができます。

矯正中でもむし虫歯治療ができる

矯正期間は数ヵ月~数年かかるため、その間にむし歯が発生する可能性もあります。 インビザラインは取り外しができるため、矯正期間中に万が一むし歯が見つかった場合にも並行してむし歯治療をすることができます。 そもそも、歯磨きのときに取り外せるインビザラインは、常に矯正装置が付いているワイヤー矯正と比較して、むし歯になるリスクが低い治療法です。そのため、むし歯リスクが高い方にはワイヤー矯正よりもインビザラインでの矯正治療がおすすめです。

痛みが少なく治療できる

インビザラインは、ワイヤー矯正と比較して痛みが少ないことが特徴です。インビザラインは、1週間に1回の頻度でマウスピースを交換して少しずつ歯を動かすため、一度に歯にかかる負担が少なく、痛みも最小限に抑えられます。 また、ワイヤー矯正は、口元にボールや人の手が当たると口の中を切ってしまう可能性があります。金属部分がなく、なめらかなマウスピースは口の中を傷つけにくく、スポーツをしている人や、学生などにとってはメリットとなります。

金属アレルギーがあっても治療できる

矯正治療を考えている方の中には、金属アレルギーなのでワイヤー治療を諦めているという方もいるのではないでしょうか。また、口の中に矯正装置があるワイヤー治療は、食べ物による酸や唾液の作用によって、アレルギー反応を引き起こしてしまう可能性があります。 しかし、インビザラインで使用するマウスピースは歯科用プラスチックでできているため、その心配がなく、金属アレルギーの方でも治療をすることができます。金属アレルギーの方や、金属アレルギーが心配な方は、インビザラインがおすすめです。

インビザラインで後悔しないために気をつけること

インビザラインで後悔しないために気をつけること どんな治療法にもメリットとデメリットはありますが、せっかくインビザラインで歯の矯正を行うなら、治療して良かったと思える選択をしたいですね。ここからは、インビザラインで後悔しないために気をつけることについて解説していきます。

信頼できる矯正歯科を選ぶ

インビザラインを開始すると、最低でも数ヵ月~数年間は通院が必要となります。そのため、信頼できる矯正歯科を選ぶことが大切です。複数の歯科医院でカウンセリングを受けて、疑問や不安をしっかり解消してくれる歯科医院を選ぶようにしましょう。また、症例数が多く、経験実績の豊富な歯科医院かどうかをチェックすることも大切です。歯科医院によっては、無料カウンセリングを行っている場合もあるため、歯科医院選びに活用しましょう。

口の中を清潔に保つようにする

インビザラインでは、歯とマウスピースの間に汚れが付着することがあります。矯正期間中にむし歯や歯周病になってしまうと、治療が必要になり余計な費用がかかるだけでなく、計画通りに治療が進まなくなってしまいます。インビザラインは、矯正中にもむし歯治療ができるとはいえ、症状が悪化した場合には追加で抜歯が必要になったり、治療を中断したりすることにもなりかねません。雑菌が繁殖しないようにマウスピースの洗浄や消毒など、定期的なケアをしっかりと行い、口腔内の衛生状態にも気をつけるようにしましょう。

矯正後にしっかり保定を行う

せっかく矯正治療で手に入れた美しい歯並びも維持できなければ治療した意味がありません。インビザラインは、矯正治療が完了した後の保定期間も非常に重要です。 矯正治療で動かした直後の歯は安定しておらず、その後しばらくは歯が元の位置に戻る「後戻り」が起きやすい状態です。そのため、インビザラインの矯正が終了した後にはリテーナーを使用して保定を行います。リテーナーには、マウスピースタイプやワイヤーで固定するタイプなどいくつかの種類があり、歯科医師と相談しながら使用するリテーナーを決定しますが、インビザラインの治療後には、マウスピースタイプのリテーナーを使用することが多くなります。リテーナーは、インビザラインのマウスピースと違って長期間使い続けるため、丈夫に作られていることが特徴です。リテーナーの使用期間は、症例によりますが、矯正期間と同じくらいの期間行うのが好ましいとされています。

歯が固定されるまでは、歯科医師の指示に従って決められた期間しっかりと保定を行い、きれいな歯並びを維持しましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ いくつものメリットがあるインビザラインですが、自己管理が必要なことや、装着期間が長いこと、適応症例に制限があったり適応できなかったりする場合があることなど、デメリットも存在します。インビザラインを行う前には、デメリットについても十分理解した上で治療を開始しましょう。また、後悔のない治療を行うためには、信頼できる医院を選ぶことや、口腔内の衛生管理に気をつけて予定通りの治療を行う努力も必要です。治療終了後には保定をしっかりと行い、美しい歯並びを手に入れましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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