インビザライン(※)は歯列矯正の治療方法のひとつで、透明なマウスピース型の矯正装置を使って歯並びを改善させていく方法です。
アメリカで開発されたインビザラインは2006年に日本で販売が開始されました。 歯列矯正治療としては歴史が浅い治療ですが、ワイヤーを使った歯列矯正に比べて目立ちにくいと気になっている方も少なくないでしょう。
目立ちにくいといっても気になる歯列矯正中の見た目について、今回はインビザラインについて解説しています。
(※)未承認医薬品等であるため医薬品副作用被害救済制度の対象とはならない可能性があります。
インビザラインの見た目は目立つ?
- インビザラインとはどのような治療ですか?
- インビザラインはアライナーと呼ばれる透明のプラスチック素材でできたマウスピース型の矯正装置です。口腔内検査やレントゲン撮影などの精密検査をして一人ひとりカスタムオーダーで製造されます。
1日に決められているマウスピースの装着時間を守りながら、治療計画に沿って段階的に新しいマウスピースに付け替えていく歯列矯正治療です。
- インビザラインのメリットを教えてください。
- インビザラインのメリットは以下が挙げられます。
- 目立ちにくい
- 食べたいものを食べられる
- 痛みが少ない
- 金属アレルギーのある方でも使える
- お手入れが簡単
- 通院回数が少ない
インビザラインは透明で薄く作られているため、装着していても目立ちにくくなっています。話すときや笑顔になるときなどに歯が見えても、人に気付かれにくくなっているため、見た目を気にすることなく矯正治療を受けられるのが大きなメリットです。
食事の際には取り外す必要がありますが、マウスピース型の矯正装置のため簡単に取り外しが可能です。食事の際に取り外すため、食べるものを気にすることなく食べたいものが食べられます。
7日から2週間に一度新しいアライナー(マウスピース)に交換するインビザラインは、人の手で調整が難しい細かい範囲で歯を移動させていきます。そのため歯を動かしたときに感じる痛み・違和感が少ない治療です。お口の粘膜への刺激も少なく、ワイヤー矯正で多かった口内炎もほとんどできることはありません。
インビザラインは金属を含まないポリウレタン製の素材でできているため、金属アレルギーのある方でもできる矯正治療です。アライナーは簡単に丸ごと洗浄でき、歯磨きは今までのとおりの歯磨きを丁寧に行う程度で済むため、お口の中を清潔に保つことができます。
インビザラインは治療計画に基づき用意された新しいアライナーを自分で交換するため、通常1ヵ月から3ヵ月に一度の通院で治療が可能です。
- インビザラインのデメリットを教えてください。
- インビザラインのデメリットは以下が挙げられます。
- 患者さん自身での管理が必要
- 適応できない症例もある
インビザラインは自分で取り外しができる分、自己管理が重要になってきます。
まずはインビザラインの装着時間です。装着時間は1日20時間以上という指示があります。新しいアライナーの交換時期は治療する歯科医師から指示はありますが、交換のタイミングを忘れないようにしましょう。装着時間と交換時期を守らなかった場合は治療効果が得にくかったり、計画に沿った矯正治療が進まなかったりする場合があります。
さらにマウスピース装着中のお口の中は歯を守ってくれる唾液が広がりにくいため、歯磨きなどを怠ってしまうとむし歯や歯周病を引き起こすリスクが高くなります。飲み物に関して注意が必要です。
水はアライナーをつけたまま飲んでも問題ないですが、ジュースなどの糖分が含まれる飲み物や、お茶やコーヒーなど着色汚れの原因になる飲み物は取り外してから飲むようにしましょう。
ここまでが自己管理が重要になってくることです。お口の歯列状態によってはインビザラインでは十分な効果がえられないことがあります。例えば顎の形に異常がある場合や噛み合わせが大きく乱れている場合などです。インビザラインを検討する際には、自分のお口の状態がインビザラインに適しているかどうか正確に判断してもらうことが必要です。
- インビザラインの矯正装置は目立ちますか?
- インビザラインは透明なプラスチック素材でできたマウスピース型の矯正装置なので、治療で装着していても見た目にはほとんど目立ちません。
周囲に気付かれにくいため見た目を気にせず矯正治療を進めることができます。
インビザラインの補助パーツ
- 補助パーツを付けると目立ちますか?
- インビザラインだけでは治療が難しいケースや、トータルの治療期間を短くする場合に補助装置を併用します。
補助パーツは歯の表面に接着させるものや、噛み合わせのズレの調整でアライナーに取り付けて使うものがあります。いずれも補助パーツなしの場合よりは目につく可能性があるものです。
- インビザラインの補助パーツにはどのようなものがありますか?
- 前述しましたが、インビザラインだけでは治療が難しいケースや、トータルの治療期間を短くする場合に補助装置を併用します。補助パーツには以下があります。
- アタッチメント
- 顎間ゴム
アタッチメントと呼ばれる補助パーツは歯の動きをサポートするために、歯の表面に接着させる小さな突起物です。アタッチメントをつけることでアライナーとの密着性を高め、歯を効果的に動かすことができます。
患者さんの歯の色に合わせて歯に近い樹脂素材で作られるためそれほど目立つことはありません。ただし多少の凹凸感が出るため、アタッチメントを取り付ける位置によっては目立ってしまう可能性があります。
顎間ゴムと呼ばれる補助パーツは歯の噛み合わせを改善したり、調整したりするために使われます。噛み合わせの位置のズレが大きい場合に使われることが多いです。
小さな輪ゴム状の医療用ゴムで、上下のアライナーの切り込み部分やボタンに引っかけます。ゴムをかける切れ込みを入れる部分は噛み合わせの位置のズレによって変わりますが、顎間ゴムを取り付ける場所の多くは歯の側面です。そのためお口を開くとゴムが見えやすくなります。
- 補助パーツを目立ちにくくする対策があれば教えてください。
- アタッチメントは付ける場所によって目立ち具合が変わります。アタッチメントを付ける際には歯科医とどの場所に付けるのかをよく相談してもらう必要があります。
色はアタッチメントを取り付けるときの歯の色に合わせて作るため、歯への着色やホワイトニングで、アタッチメントとの色の差がでないように心がけるのが患者さん自身でもできる対策です。
顎間ゴムは取り外しが可能なので、顎間ゴムを装着していると目立つ場合や都合が悪いときは取り外すことができます。ゴムの装着時間の短縮や、目立ちにくい透明のゴムを選ぶこともできるので歯科医と相談しましょう。
インビザラインとワイヤー矯正の比較
- インビザラインとワイヤー矯正の見た目の違いを教えてください。
- 大きな違いはインビザラインはワイヤー矯正より目立ちにくい矯正装置であるといえるでしょう。
ワイヤー矯正はワイヤーとブラケットと呼ばれる器具が歯の表面に付けられるため、どうしても歯が見えたときに目立ってしまいます。
しかしインビザラインはアライナーと呼ばれる透明のマウスピース型をした矯正装置を装着するため、歯が見えても気付かれにくく見た目を気にせず矯正治療を進められます。
- インビザラインとワイヤー矯正の治療期間の違いを教えてください。
- 歯列矯正の治療期間はお口や歯並びの状態や歯科医の治療方針や治療計画によるため個人差はあります。インビザラインの治療期間は大人の方の全体矯正で一般的に2〜3年程で、ワイヤー矯正の治療期間は一般的に1.5〜3年程です。
この差は歯が動く移動距離の違いで、インビザラインは少しずつ歯を動かしていくのに対し、ワイヤー矯正は歯が動く距離がインビザラインより大きくなるためです。
ただし、より効率的な治療計画で治療が進められる場合は、ワイヤー矯正より治療期間を短縮できる可能性があります。
- インビザラインとワイヤー矯正の費用の違いを教えてください。
- 歯列矯正はインビザラインもワイヤー矯正もどちらも自由診療になるため、健康保険の適用外の治療となるため費用がかかります。また、歯並びの状態や治療期間や治療計画などによるため個人差もあるうえ、歯科医院によっても設定価格が異なります。
インビザラインは全体矯正で約700,000~約1,200,000円(税込)、ワイヤー矯正は全体矯正で約600,000~約1,200,000円(税込)で費用に関してはあまり大差ありません。部分矯正になると、約300,000円(税込)から治療可能です。
編集部まとめ
今回はインビザラインについて解説しました。見た目のメリットはありますが、やはりデメリットもあります。
しかし、ワイヤー矯正の見た目やお口の中の痛みや違和感が気になる方はインビザラインを検討してみてはいかがでしょうか。
矯正歯科は専門性が高く高度な技術が必要なため、すべての歯科医師ができるわけではありません。
インビザラインはワイヤー矯正に比べて新しい治療方法であるため、より経験豊富でインビザラインの治療症例の多い歯科医院を慎重に選ぶようにして、しっかりと相談しましょう。
参考文献