インビザライン

インビザライン(マウスピース型矯正)の部分矯正のデメリット|適応症例や治療期間も解説

本記事では、インビザラインの部分矯正の注意点を中心に治療できる症例や期間、費用なども詳しく解説していきます。

歯列矯正をお考えの方のなかで、インビザラインの部分矯正に興味を持っている方はいるのではないでしょうか。部分矯正は全体矯正と比較して費用や期間を抑えられるメリットがある一方で、いくつかの注意すべき点も存在します。

インビザラインの部分矯正は気になる部分だけを効率的に改善できる治療法です。ただし、治療できる範囲が限られていることや、噛み合わせの調整が難しい場合があります。

本記事では、インビザラインの部分矯正の注意点を中心に治療できる症例や期間、費用なども詳しく解説していきます。

すでにインビザラインの部分矯正をされている方も、これから歯列矯正を考えている方も最後まで読んで、部分矯正により詳しくなってから治療を検討しましょう。

インビザライン(マウスピース型矯正)の部分矯正の適応症例

矯正器具を装着する

インビザラインの特徴を教えてください。
インビザラインとは、透明なプラスチック製の取り外し可能な装置を使う歯列矯正です。インビザラインの主な特徴は、以下の6つです。
  • 透明で目立ちにくい
  • 取り外し可能
  • 段階的に歯を移動
  • 痛みや違和感が少ない
  • 金属アレルギーの心配がない
  • 3Dシミュレーションによる治療計画

従来のワイヤー矯正と比較して見た目への負担が少なく、食事や歯磨きの際に取り外しができるため、日常生活への影響を少なくできます。

インビザラインで部分矯正はできますか?
インビザラインでは部分矯正が可能です。インビザラインには、インビザライン・ライトやインビザライン・i7などの部分矯正専用のシステムが用意されています。部分矯正では主に前歯部分の改善を目的として治療を行います。使用するマウスピースの枚数も全体矯正と比較して少なく、治療期間や費用を抑えることが可能です。ただし、適応できる症例に限りがあるため、詳しい検査と診断が必要になります。
インビザラインの部分矯正の適応症例を教えてください。
インビザラインの部分矯正が治療できる主な症例は、以下のとおりです。
  • 軽度の歯並びのガタガタ
  • 軽度のすきっ歯
  • 軽度の前歯部の突出
  • 歯列矯正の治療後の後戻り
  • 前歯部の軽度な回転

これらの症例では、前歯部分のみの改善で十分な効果が期待できる場合に適用されます。一方で、歯の移動量が大きい場合や、奥歯の噛み合わせに問題がある場合には治療が難しくなることがあります。自身の歯並びが部分矯正に適しているかどうかは、歯科医師による詳しい検査と診断を受けることが大切です。

インビザラインの部分矯正で噛み合わせも治療できますか?
インビザラインの部分矯正では、噛み合わせの根本的な改善は困難な場合がほとんどです。部分矯正は主に見た目の改善を目的としており、前歯部分の歯並びを整えることに重点を置いています。噛み合わせの改善には奥歯を含む全体的な歯の移動が必要になることが多く、部分矯正の範囲では対応しきれない場合があります。軽度な噛み合わせのずれは、部分矯正でも改善が期待できるでしょう。噛み合わせの問題がある場合には、部分矯正での対応が可能かどうか、慎重に判断することが重要です。

インビザライン(マウスピース型矯正)の部分矯正のメリットとデメリット

考える女性

インビザラインの部分矯正のメリットを教えてください。
インビザラインの部分矯正には、以下のようなメリットがあります。
  • 治療期間の短縮
  • 費用負担の軽減
  • 身体への負担が少ない
  • 見た目の向上
  • メンテナンスの簡便性

治療期間は3ヶ月から1年程度で完了することが多く、全体矯正と比較して大幅に短縮可能です。「結婚式までに前歯を整えたい」「就職活動前に歯並びを改善したい」などの具体的な目標がある方には特におすすめです。費用面でも全体矯正の半分程度で治療を受けることができ、経済的な負担を抑えられます。また、移動する歯の数が少ないため、痛みや違和感も軽減されやすく身体への負担が少ないのも特徴です。

インビザラインの部分矯正のデメリットを教えてください。
インビザラインの部分矯正には、以下のような注意すべき点があります。
  • 治療できる症例の制限
  • 噛み合わせの改善が困難
  • 後戻りのリスク
  • 治療効果の限界
  • 再治療の可能性

大きな注意点は治療できる症例が限られていることです。重度の歯並びの乱れや大きな歯の移動が必要な場合には対応できません。例えば八重歯が大きく飛び出している場合や、前歯が大きく前に出ている場合などは、部分矯正では十分な改善が期待できないことがあります。部分矯正では歯の移動範囲が限定されるため、根本的な問題の解決に至らない場合があり、治療後の後戻りが起こりやすいです。さらに、「もっときれいにしたい」と感じた場合には、追加治療や全体矯正への変更が必要になる可能性もあります。

インビザラインの部分矯正で起こりうるリスクを教えてください。
インビザラインの部分矯正で起こりうる主なリスクは、以下のとおりです。
  • 歯根吸収
  • 歯肉退縮
  • 知覚過敏
  • アタッチメントの脱落
  • マウスピースの破損

歯根吸収は歯の移動によって歯の根が短くなる現象で、まれに起こることがあります。歯肉退縮は歯茎が下がる現象で、特に歯茎が薄い方に起こりやすい傾向です。歯の移動に伴って一時的に知覚過敏が生じることがあり、冷たいものがしみるなどの症状が現れる場合があります。これらのリスクを抑えるためには、定期的な通院と適切なお口の中のケアが重要になります。また、少しでも異変を感じた場合には早めに歯科医師への相談が大切です。

インビザラインの部分矯正の治療期間や費用

矯正器具を保管する

インビザラインの部分矯正の治療期間はどのくらいですか?
インビザラインの部分矯正の治療期間は、一般的に3ヶ月から1年程度です。具体的な期間は以下の要因によって決まります。
  • 歯並びの状態
  • 移動距離
  • 使用するマウスピースの枚数
  • 患者さんの年齢
  • 装着時間の遵守

軽度のすきっ歯や軽微な歯並びの乱れであれば、3〜6ヶ月程度で治療の完了がほとんどです。マウスピースの交換頻度は通常1〜2週間に1回で、使用枚数は7〜22枚程度が一般的です。治療期間を予定通りに進めるためには、1日20〜22時間のマウスピース装着が必要で、装着時間を守ることが治療成功の鍵となります。

インビザラインの部分矯正の費用相場を教えてください。
インビザラインの部分矯正の費用相場は、220,000円〜660,000円(税込)が目安です。費用の内訳は以下のとおりです。
  • 初診や診断料:11,000~33,000円(税込)
  • 装置代:165,000~550,000円(税込)
  • 調整料:月額3,300~5,500円(税込)
  • 歯並び維持の装置代:11,000~33,000円(税込)

インビザライン公式FAQでも、保険適用外の自由診療であり、医院により費用に幅があると明記されています。費用は治療の複雑さや使用するマウスピースの枚数、歯科医院の立地や設備によって変動するため、実際の金額はカウンセリングでの確認が大切です。

部分矯正の費用と治療期間は全体矯正とどのくらい違いますか?
部分矯正と全体矯正では、費用と治療期間に大きな違いがあります。費用面では、インビザライン公式アンケートによると歯列矯正治療全体では50%超の方が500,000円以上の費用がかかっています。一方、部分矯正は対象となる歯の数が限られるため、全体矯正と比較して費用負担を抑えることが可能です。治療期間は、部分矯正が3ヶ月~1年程度で完了するのに対し、全体矯正では1年半~3年程度の期間が必要です。部分矯正は全体矯正と比較して、費用は約半分、治療期間は約3分の1から半分に短縮されます。これは移動する歯の数が少なく、使用するマウスピースの枚数も大幅に減るためです。ただし、治療範囲が限定される分、改善できる範囲も限られることを理解しておくことが重要です。

編集部まとめ

矯正器具を持つ女性

インビザラインの部分矯正には、費用や治療期間を抑えられるメリットがあります。しかし、治療できる症例が限られていることや噛み合わせの根本的な改善が困難なことなど、注意すべき点があります。

ご自身の大切な歯を守るためにも、部分矯正を現在検討されている方は引き続き歯科医師との相談を大事にしましょう。

部分矯正を検討する際には、ご自身の歯並びの状態が治療できる症例に該当するかどうかを歯科医師による詳細な診断での確認が大切です。

治療期間は3ヶ月から1年程度です。費用は公式アンケートでは歯列矯正治療全体で50%超の方が500,000円以上ですが、部分矯正であれば負担の軽減を期待できます。

歯列矯正を含む医療には、さまざまな方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。治療ごとの特徴を理解し、歯科医師とよく相談して、適切な治療法の選択が大切です。

これから歯列矯正をお考えの方は一度、歯科医師に相談し、治療後のケアの確認をしておくことがおすすめです。

参考文献

この記事の監修歯科医師
小田 義仁歯科医師(小田歯科・矯正歯科 院長)

小田 義仁歯科医師(小田歯科・矯正歯科 院長)

岡山大学歯学部 卒業 / 広島大学歯学部歯科矯正学教室 / 歯科医院勤務をへて平成10年3月小田歯科・矯正歯科を開院 / 所属協会・資格:日本矯正歯科学会 認定医 / 日本顎関節学会 / 日本口蓋裂学会 / 安佐歯科医師会 学校保健部所属 / 広島大学歯学部歯科矯正学教室同門会 会員 / 岡山大学歯学部同窓会広島支部 副支部長 / 岡山大学全学同窓会(Alumni)広島支部幹事 / アカシア歯科医会学術理事

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