インビザライン

インビザライン矯正治療中のむし歯に注意!対処法と予防法を徹底解説

インビザライン矯正治療中のむし歯に注意!対処法と予防法を徹底解説

インビザラインによる矯正治療は、見た目が気になりにくい歯列矯正のひとつですが、むし歯リスクも潜んでいます。矯正治療中は、治療前とは違う口腔内の環境になるため、しっかりとむし歯予防をすることが大切です。

本記事ではインビザライン矯正治療中のむし歯について以下の点を中心にご紹介します。

  • インビザラインによる矯正治療中のむし歯リスクとは
  • インビザライン矯正治療中のむし歯の対処法
  • インビザライン矯正治療中のむし歯の予防法

インビザライン矯正治療中のむし歯について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

インビザラインの矯正治療とは

インビザラインの矯正治療とは

インビザラインとは、アメリカのアライン・テクノロジー社が開発した、透明なマウスピース型の矯正装置を用いた歯列矯正法です。

薄くて目立ちにくい素材を使用しており、装着中も見た目が気になりにくいのが特徴です。取り外しが可能なため、食事や歯磨きも普段どおり行えます。

治療は、患者さんごとにオーダーメイドで作られたアライナー(マウスピース)を一定期間ごとに交換し、段階的に歯を動かしていく方式です。3Dスキャンによって歯型を取得し、治療の進行や仕上がりのイメージを事前に確認できます。

ただし、1日20〜22時間の装着が必要で、装着時間を守らないと効果が得られにくくなります。また、症例によってはインビザライン単独では対応できず、ワイヤー矯正と併用することもあります。

インビザラインによる矯正治療中はむし歯になりやすい?

インビザラインによる矯正治療中はむし歯になりやすい?

インビザラインは、装置を取り外して歯磨きやフロスができるため、ワイヤー矯正よりもむし歯のリスクは低いとされています。

しかし、1日20〜22時間の装着が必要なため、お口のなかが乾燥しやすくなり、唾液による自浄作用が十分に働かなくなることがあります。

唾液は、食べかすや細菌を洗い流して口腔内を清潔に保つ大切な役割を担っていますが、マウスピース装着中はその働きが制限され、プラーク(歯垢)が蓄積しやすくなる場合があります。

そのため、インビザライン治療中であっても、丁寧な歯磨きやこまめな水分補給、定期的な歯科検診を心がけることが大切です。

インビザライン矯正治療を始める前にむし歯がある場合

インビザライン矯正治療を始める前にむし歯がある場合

インビザラインによる矯正治療を始める前には、むし歯の有無をしっかり確認しておくことが重要です。

もし治療前にむし歯が見つかった場合は、矯正よりも先にその治療を済ませる必要があります。むし歯を放置したまま矯正を始めると、治療中に歯の形が変わり、マウスピースが合わなくなる恐れがあります。その場合、アライナーを再製作しなければならず、治療期間や費用に影響が出ることもあります。

また、インビザライン治療は1〜2年、場合によってはさらに長期間かかるため、その間にむし歯が悪化すると、痛みや神経の処置が必要になり、矯正計画に支障をきたす可能性があります。

したがって、矯正治療前には口腔内を整え、健康な状態でスタートすることが大切です。むし歯がある場合は、まずは適切な治療を終えてから矯正に進みましょう。

インビザライン矯正治療中にむし歯が見つかったときの対処法

インビザライン矯正治療中にむし歯が見つかったときの対処法

インビザライン矯正中でも、むし歯のリスクはゼロではありません。丁寧なケアをしていても、体調や食生活の影響でむし歯ができることもあります。発見された場合は、状態に応じて以下のような対処が行われます。

① 応急処置をして矯正治療を継続する
初期むし歯(C0〜C1)であれば、フッ素塗布やセメント封鎖などの処置を行い、矯正を続けながら経過観察することがあります。ただし、矯正終了後には本格的な治療が必要です。

② 矯正治療とむし歯治療を並行して行う
中等度のむし歯で歯の形に大きな変化がない場合は、矯正と治療を並行できます。詰め物などを行ってもマウスピースの再製作が不要なこともあります。

③ 矯正治療を一時中断してむし歯を治療する
むし歯が進行し神経に達する(C3〜C4)と、矯正を中断し根管治療などを優先します。その後、マウスピースを再製作し矯正を再開することになります。

インビザライン矯正治療中のむし歯を防ぐ予防法

インビザライン矯正治療中のむし歯を防ぐ予防法

これまで述べたように、インビザラインの矯正治療中にむし歯が発生すると、治療を一時中断したり、マウスピースを作り直したりしなければならないケースがあるということがわかりました。

そのため、矯正治療中はむし歯のリスクを理解し、むし歯予防に留意しながら進めることが大切です。
ここでは、むし歯を防ぐ予防法を詳しく紹介します。

正しく歯磨きを行う

インビザライン矯正治療中は、マウスピースを長時間装着するため、歯に汚れが残ったままだとむし歯のリスクが高まります。そのため、毎食後の丁寧な歯磨きが欠かせません。

なかでも、マウスピースを装着する前には歯を磨き、汚れをしっかり落とすようにしましょう。歯ブラシだけでは不十分な場合もあるため、デンタルフロスや歯間ブラシ、タフトブラシなどの補助用具を併用すると効果が期待できます。

歯と歯の間、歯茎の境目など、汚れがたまりやすい部分を意識してケアすることが大切です。ご自身に合った清掃用具の選び方や使い方については、事前に歯科医院でアドバイスを受けましょう。

フッ素入りの歯磨き粉を使用する

むし歯予防には、フッ素入りの歯磨き粉を使うことが推奨さえています。

フッ素は、歯の表面を強化し、初期のむし歯を修復する働きがあります。また、むし歯菌の活動を抑える効果も期待できるため、歯列矯正中のケアにおすすめです。

インビザラインを長時間装着していると、唾液の自浄作用が低下し、むし歯のリスクが高まりやすくなります。そのため、日常的にフッ素を取り入れることが大切です。

使用時の注意点として、歯磨き後に強くすすぎすぎないことが挙げられます。水を軽く吐き出す程度にとどめることで、フッ素の効果が持続しやすくなります。

なお、子どもの場合は、年齢に応じたフッ素濃度の歯磨き粉を使うことが推奨されているため、不安があれば歯科医院で相談しましょう。

定期的に歯科医院でチェックとクリーニングを受ける

矯正治療中は歯が動くことで隙間ができやすく、口腔内の環境も変化するため、むし歯や歯周病のリスクが高まります。

このため、定期的に歯科医院で専門的なチェックとクリーニングを受けることが重要です。
歯科医師や歯科衛生士によるプロのクリーニングでは、歯磨きでは落としきれないプラークや歯石を丁寧に除去し、口腔内を清潔に保てます。また、むし歯や歯周病の初期症状を早期に発見できるため、治療のタイミングを逃すこともありません。

さらに、歯科医院では日々のケア方法についてのアドバイスも受けられます。
インビザライン治療中の口腔環境を良好に保つためにも、定期的な受診を心がけましょう。

飲食時はマウスピースを外し、歯磨きしてから装着する

インビザラインの治療中は、飲食時にマウスピースを外すことが大切です。

マウスピースを装着したまま飲み物を飲むと、歯とマウスピースの間に糖分が入り込み、歯が砂糖水に浸かったような状態になります。なかでも、スポーツドリンクやジュースなどの甘い飲料はむし歯のリスクを高めるため注意が必要です。

また、飲食後に再装着する前には、歯の表面に残った汚れや糖分をしっかり落とすために、歯磨きを行いましょう。

マウスピースの取り外しや歯磨きは手間に感じるかもしれませんが、こうした習慣を続けることで、矯正中のむし歯予防につながります。

マウスピースの洗浄を徹底する

インビザラインのマウスピースは、毎日清潔に保つことがむし歯や口臭予防につながります。長時間お口に装着するため、汚れや細菌が付着するとトラブルの原因になります。

使用後は流水で優しく洗い、汚れが気になる場合はやわらかい歯ブラシでこすりましょう。ただし、研磨剤によって細かい傷がつき、細菌が繁殖しやすくなるため、歯磨き粉は使用しないでください。

また、お湯を使うと変形する恐れがあるため、水で洗浄してください。

さらに、週に一度は専用の洗浄剤でつけ置き洗いを行うと、ニオイや汚れをしっかり落とせて清潔さを保ちやすくなります。

日々のケアを習慣づけることが、快適な矯正治療の第一歩です。

こまめな水分補給・うがいを心がける

インビザラインの装着中は口腔内が乾燥しやすく、むし歯菌が繁殖しやすい環境になりがちです。

そのため、こまめな水分補給で潤いを保つことが重要です。飲み物は、糖分の含まれていない水やお茶を選びましょう。

また、マウスピースを外してうがいをする習慣も効果が期待できます。食べかすや細菌を洗い流すことで、お口のなかを清潔に保てます。

乾燥を防ぐことで、むし歯予防にもつながります。

補綴治療やインプラント治療をしていてもインビザライン矯正治療はできる?

補綴治療やインプラント治療をしていてもインビザライン矯正治療はできる?

インビザラインの矯正治療を検討している方のなかには、銀歯や詰め物、ブリッジなどを入れていたり、インプラント治療をしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、補綴治療やインプラント治療をしていてもインビザライン矯正治療はできるのかについて、詳しく解説します。

銀歯や詰め物が入っている場合

銀歯や詰め物がある場合でも、インビザラインによる矯正治療は基本的に可能とされています。

マウスピースは歯の表面に装着するため、金属の詰め物や被せ物があっても装着に支障はありません。

ただし、矯正中に歯が動くことで、既存の詰め物や被せ物が歯の位置に合わなくなることがあります。その際には、治療の進行に応じて調整や再製作が必要になる場合もあります。

ブリッジが入っている場合

ブリッジが装着されている場合でも、インビザライン矯正治療は可能とされています。ただし、治療の範囲によって対応が異なります。

例えば、奥歯にブリッジがあり、前歯だけを矯正する場合は、ブリッジを残したまま治療を進められるケースがあります。一方、ブリッジがかかっている歯も動かす必要がある場合は注意が必要です。

ブリッジは複数の歯を連結しているため、歯を1本ずつ動かすインビザラインとの相性がよくありません。このような場合は、矯正開始前にブリッジを切断や除去し、治療後に新たなブリッジを製作することがあります。

インプラントが入っている場合

インプラントが埋入されている場合でも、インビザライン矯正治療は基本的に可能とされています。ただし、インプラントは顎の骨と結合して固定されているため、位置を動かせません。そのため、治療計画ではインプラントの位置を考慮し、周囲の天然歯を動かす形で歯並びや噛み合わせを整えます。

場合によっては、インプラントを固定源として活用することもあります。ただし、インプラントの本数が多い場合や配置部位によっては、移動可能な歯が制限され、矯正治療が難しくなることがあります。

また、歯周病が進行しているケースでは、矯正治療そのものが制限されることもあるため、事前の精密検査と適切な口腔管理が欠かせません。治療の可否は個別に判断されるため、まずは歯科医師と十分に相談しましょう。

インビザライン矯正後も保定期間の後戻りやむし歯に注意

インビザライン矯正後も保定期間の後戻りやむし歯に注意

インビザラインによる矯正治療が終了した後も、歯がもとの位置に戻ろうとする後戻りを防ぐため、保定装置(リテーナー)の装着が必要です。

保定期間は、整った歯並びを安定させる大切な時期であり、適切な管理が欠かせません。期間中にむし歯が見つかった場合は、矯正中と同様に早期の治療が求められます。リテーナーへの影響がなければ治療を継続できますが、必要に応じて応急処置や装置の再製作が行われることもあります。

また、加齢や歯周病の影響で歯並びは変化し続けるため、保定期間後も継続的なケアと定期検診を心がけることが大切です。

まとめ

まとめ

ここまでインビザライン矯正治療中のむし歯についてお伝えしてきました。インビザライン矯正治療中のむし歯の要点をまとめると以下のとおりです。

  • インビザラインによる矯正治療中は、お口のなかが乾燥しやすくなり、唾液による自浄作用が働きにくくなることによるむし歯のリスクがある
  • インビザライン矯正治療中のむし歯の対処法は、①応急処置をして矯正治療を継続する、②矯正治療とむし歯治療を並行して行う、③矯正治療を一時中断してむし歯を治療する
  • インビザライン矯正治療中のむし歯の予防法は、正しく歯磨きを行う、フッ素入りの歯磨き粉を使用する、定期的に歯科医院でチェックとクリーニングを受ける、飲食時はマウスピースを外し、歯磨きしてから装着する、マウスピースの洗浄を徹底する、こまめな水分補給とうがいを心がけることが大切

インビザライン矯正治療中のむし歯は、ケアを行っていれば、リスクを下げられます。毎日の正しい歯磨きやむし歯予防を徹底しながら、定期的な歯科受診を欠かさないことが重要です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
小田 義仁歯科医師(小田歯科・矯正歯科 院長)

小田 義仁歯科医師(小田歯科・矯正歯科 院長)

岡山大学歯学部 卒業 / 広島大学歯学部歯科矯正学教室 / 歯科医院勤務をへて平成10年3月小田歯科・矯正歯科を開院 / 所属協会・資格:日本矯正歯科学会 認定医 / 日本顎関節学会 / 日本口蓋裂学会 / 安佐歯科医師会 学校保健部所属 / 広島大学歯学部歯科矯正学教室同門会 会員 / 岡山大学歯学部同窓会広島支部 副支部長 / 岡山大学全学同窓会(Alumni)広島支部幹事 / アカシア歯科医会学術理事

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