インビザライン

インビザラインをおすすめしない理由とは?その他の矯正との比較やメリットまで解説

インビザラインをおすすめしない理由とは?その他の矯正との比較やメリットまで解説

マウスピース型矯正治療法であるインビザラインが話題になっています。インターネット上では数多くの情報が溢れ、芸能人も多く治療しているという記事から興味を持つ方も多いでしょう。 しかし、安易に治療を行うことには注意が必要です。 インビザラインについての実情を治療方法や審美効果、ほかの矯正方法との違いなどの観点から考えてみましょう。

インビザラインについて

インビザラインについて インビザラインとはアメリカのアラインテクノロジー社が提供している、マウスピース型矯正治療法の商品名です。1999年に生まれ、それ以後急速に普及し世界90ヶ国以上での利用実績があると言われています。では、いったいどのような矯正なのでしょうか? その治療方法について具体的にお答えします。

インビザラインについて教えてください。
プラスチック製の透明なマウスピース型歯列矯正装置を利用したインビザラインは、ひとりひとりに合わせたオーダーメイドの透明な矯正装置(アライナー)を1週間ごとに交換しながら装着し、少しずつ理想的な歯の位置まで移動させる治療法です。ワイヤーを使わないので、金属アレルギーの方でも矯正ができるようになり、また、マウスピースは透明なので目立ちません。そして、アライナーは自分で取り外しができるのも大きな特徴です。
インビザラインの治療の流れについて教えてください。
まず、歯科クリニックに相談し、歯型をとり精密検査を行います。次に診断結果により、インビザラインでの歯列矯正に適合できるかの説明を受けます。治療ができることになったら、採取した歯型のデータから、3D治療計画ソフトによりシミュレーションを作成し治療方法を決定します。そして、シミュレーションにより歯型に合ったマウスピースが作製されたのち、治療開始です。毎日マウスピースを装着し、1週間ごとに新しいマウスピースと交換。理想の歯並びに整った後は、後戻りを防止するため、一定期間保定装置を装着し、経過観察で異常がなければ治療完了です。

インビザラインをおすすめしないといわれる理由

注目を集めているインビザラインですが、問題をかかえていることも事実です。それは、装置は適切に作製されているが、適切な診察、検査、分析、治療後の経過観察などがされず、予期せぬ重大問題が発生する場合があるという問題です。治療中に何か問題が生じた場合に迅速かつ適正に対応してもらえるように、インビザラインによる治療経験が豊富だったり、日本矯正歯科学会の認定医や臨床指導医の資格を持つ歯科医師が在籍していたりする歯科医院を選ぶようにしましょう。

インビザラインは全く痛みはありませんか?
マウスピースを付け替えながら歯を移動させるため、痛みがないわけではありません。しかし、マウスピースが動かす長さは0.25mmくらいで少範囲の移動です。大きく歯を動かすワイヤー矯正と比較すると痛みは断然に少ないと言われています。
インビザラインの治療期間はどれくらいですか?
動かしたい歯の本数や、距離、幅などで期間は変わりますが、早いケースであれば数ヶ月で終わることもあります。しかし、平均的には2年~2年半くらいが一般的だと言われています。

インビザラインをおすすめしない人の特徴

インビザラインをおすすめしない人の特徴 インビザラインはどんな症例でも適応できるわけではありません。どのような場合には適合できないかをお答えします。

インビザラインは1日どれくらい装着する必要がありますか?
1日20時間の装着が推奨されています。ただし、装着管理も自分で行わなければ、良い結果は得られません。
インビザラインはどんな症状でも適用できますか?
インビザラインはマルチブラケットよりも歯を後ろに移動させる歯列の遠心移動においては優位であるため、骨格性上顎前突、下顎前突、下顎骨のズレを骨切り手術を行わずに改善するカモフラージュ治療を行える範囲は広いです。ただし、歯を引っ張り出すように移動させる挺出移動や、大臼歯の近心移動、回転移動を行うことは劣位であるため、そのような歯の移動様式が必要な場合にはマルチブラケットを一時的に使用する必要があります。
インビザラインでの矯正で気をつけることを教えてください。
インビザラインは、自分でアライナー(矯正装置)を取り外せるという大きなメリットがありますが、その反面装着時間や矯正装置のお手入れなど、自分で管理しなければならないことも多くあります。1日に20時間以上の装着時間に満たない場合は、理想の効果が出ない場合もありますので管理は徹底しましょう。また、顎間ゴムも1日に20時間以上使用する必要があります。 また、インビザラインは矯正専門医でなくとも治療ができるという点もよく知っておいてください。ひとりひとりに合った治療を行うには、医師のスキルも重要な要素となります。公益法人日本矯正歯科学会の「マウスピース型矯正装置による治療に関する見解」を確認のうえ、認可されているアライナー(矯正装置)であるかの確認を行い、治療を受ける医療機関を選びましょう。

インビザラインとそのほかの矯正方法の違い

インビザラインは30年以上の実績がある歯列矯正ですが、日本での急速な普及がはじまったのは、数年前からと言われています。それまでは、矯正専門医によるワイヤー型矯正が主な治療法でした。では、インビザラインとほかの治療法との差はどこにあるのでしょうか? 二つの項目にお答えします。

インビザラインと一般的なマウスピース型矯正との違いについて教えてください。
インビザラインはマウスピース型矯正のなかでも抜群に信頼性が高いと言われています。長年の実績を重ね、システムも立証されている強みがあるからです。また、適応症例が広いことも特徴です。
インビザラインとワイヤー矯正との違いについて教えてください
これまで、歯列矯正の主流はワイヤー型歯列矯正でしたが、日本ではここ2~3年でインビザラインが爆発的に普及しはじめました。そのきっかけは、矯正歯科治療の専門医師でなくても、矯正治療が行えるというイメージが先行したからです。 インビザラインでは、これまで高度の技術や専門知識が必要であった治療計画をアラインテクノロジー社が作ったシミュレーションソフトの利用で専門医でなくても手軽に作成できるようになったという理由があります。 つまり、ワイヤー型矯正との決定的な違いは、専門医による技術力と、システム化された治療との差にあると言えます。しかし、単に手軽にシステムを使うだけでは、大量生産されたマウスピースによる治療はできません。IT技術の進歩の上にも医学的な診断、ひとりひとりに合った治療、経過観察など、医師の技量は重要なのです。

インビザラインのメリット

治療を受ける側のメリットとしては、矯正装置が透明で目立ちにくい点、ワイヤー矯正よりも痛みが抑えられること、自分で矯正装置を交換するため食事や歯磨きがしやすくむし歯や歯周病のケアがしやすい、金属アレルギーの人でも治療できるという点が挙げられます。 ほかに、治療する医師側にもメリットがあることは前のアンサーのとおりです。

矯正治療中にむし歯になった場合はどうすれば良いですか?
矯正治療中にむし歯になった場合は、矯正治療を一時中断し、むし歯治療を優先します。むし歯治療後の歯型に合わせてマウスピースを再作成、矯正治療を再開。しかし、マウスピースは自身で取り外しができますので、口腔ケアは楽にできます。むし歯になる前に、ブラッシングなどのお手入れで予防をすれば、むし歯のリスクは軽減されるでしょう。また、マウスピース自体を毎日水で洗浄し清潔に保つこともむし歯予防になります。
インビザラインは審美的に優れていますか?
芸能人や、接客、営業職の人におすすめとされているくらいですので、マウスピースをはめていても周囲には気づかれにくいといわれています。また、結婚式に治療がかかってしまっても、写真撮影での影響はなく美しい口元を担保できるようです。

編集部まとめ

インビザラインは医学の進歩とIT技術の活用で、歯列矯正技術を画期的に刷新しました。しかし、急速に普及した背景には、矯正歯科の専門医でなくとも手軽に治療ができるという落とし穴もあることを見逃さないでください。また、同じマウス型矯正治療でもインビザライン以外にもさまざまな商品が溢れています。間違った選択をすると、思い描いていたような歯列矯正にならないばかりか、改善には多くの期間や費用がかかります。正しい知識をもとに、後悔しない選択をしてください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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