マウスピース矯正

マウスピース型矯正とリテーナーの違いは?リテーナーについてよくある疑問を解説

マウスピース型矯正とリテーナーの違いは?リテーナーについてよくある疑問を解説

歯列矯正では、歯の移動が完了した後に保定期間へと移行します。リテーナーと呼ばれる装置を使う処置で、マウスピース型矯正のアライナーと何が違うのか気になっている人もいるのではないでしょうか。ここではそんな保定処置に用いるリテーナーの疑問に回答します。リテーナーを使用する目的や種類などに関心がある人は参考にしてみてください。

マウスピース型矯正について

マウスピース型矯正について はじめに、マウスピース型矯正の基本事項を確認しておきましょう。

マウスピース型矯正とはどのような矯正方法ですか?
マウスピース型矯正とは、透明なマウスピースを使用して歯を徐々に動かす矯正方法です。この方法は、金属ブラケットを使用する従来の矯正とは異なり、目立ちにくいことが特徴です。患者さんの歯型に合わせてカスタマイズされたマウスピースを装着し、数週間ごとに新しいものに交換することで歯を理想的な位置に移動させます。マウスピース型矯正の装置は取り外しが可能なため、食事や歯磨きの際に便利です。また、むし歯や歯周病のリスクを減らすこともできます。目立ちにくい矯正器具は矯正治療への心理的負担を軽減する点でも魅力的といえます。
マウスピース型矯正の種類を教えてください
マウスピース型矯正には、さまざまな種類があります。代表的なものとしては、インビザライン、クリアコレクト、アソアアライナーなどが挙げられます。インビザラインは、高い知名度と豊富な症例を持ち、多くの患者さんに選ばれています。クリアコレクトは、インプラントを開発・提供しているストローマングループが製作しているマウスピース型矯正で、費用がやや安いです。アソアアライナーは、厚みが異なる3種類のマウスピース(ソフト・ミディアム・ハード)を使用して、痛みに配慮している点が特徴のシステムです。このように、マウスピース型矯正にはさまざまな種類があるため、自分に合った方法を選ぶことが重要です。
マウスピース型矯正とリテーナーの違いを教えてください
マウスピース型矯正とリテーナーは、種類によってはまったく同じもののように見えますが、使用目的・使用期間・対象者・費用という観点で大きな違いが見られます。
◎使用目的
マウスピース型矯正は、歯並びを改善するために使用されます。透明なマウスピースを使用して、歯を徐々に動かし、理想的な位置に整えます。一方、リテーナーは、矯正治療が完了した後に使用されます。目的は、動かした歯が元の位置に戻らないように保持することです。矯正治療後の安定期において、リテーナーの役割はとても重要です。

◎使用期間
マウスピース型矯正の使用期間は、一般的には1〜3年程度です。患者さんの歯の状態や治療の進行状況によって異なります。リテーナーの使用期間は、歯を動かすのに要した期間と同程度ですが、ケースによっては長期的な保持が必要な場合もあるため、その点は主治医の指示に従うようにしてください。

◎対象者
マウスピース型矯正は、歯並びや噛み合わせの問題を持つ患者さんに適しています。特に、目立ちにくい矯正方法を希望する人に人気の治療システムといえます。一方、リテーナーは、矯正治療を完了したすべての患者さんが対象です。リテーナーの使用は、治療効果を長期間維持するために不可欠です。

◎費用
マウスピース型矯正の費用は、一般的に高額です。治療の複雑さや使用するマウスピースの種類によって異なりますが、数十万円から百万円程度かかるのが一般的です。リテーナーの費用は、矯正治療の一環として含まれることが多く、別途費用がかかる場合でも低額です。ただし、リテーナーの紛失や破損時には、追加の費用が発生することがあります。具体的には、数万円程度の費用がかかります。

リテーナーについて

次に、リテーナーの基本事項を解説します。

リテーナーについて教えてください
リテーナーは、矯正治療後の歯並びを保持するための装置です。矯正治療により移動した歯は、元の位置に戻ろうとする力が働きます。この力を抑え、歯並びを安定させるためにリテーナーが必要となるのです。リテーナーの使用により、矯正治療の効果が長期間維持され、改善された噛み合わせも持続します。リテーナーには固定式のものと着脱式のものがあり、それぞれいくつかの種類にわかれます。
なぜ矯正治療後はリテーナーを使用しなければならないのですか?
矯正治療後にリテーナーを使用する理由は、歯が元の位置に戻るのを防ぐためです。矯正治療によって移動した歯は、骨や歯茎が完全に安定するまで時間がかかります。この期間にリテーナーを使用することで、歯並びを新しい位置に定着させることができます。リテーナーの装着を怠ると、治療効果が失われ、再び矯正が必要になる可能性があります。噛み合わせの改善を維持し、むし歯や歯周病のリスクを低減するためにも、リテーナーの使用は不可欠といえます。

リテーナーの使い方と注意点

リテーナーの使い方と注意点 続いては、リテーナーの使い方と注意点の解説です。

リテーナーの正しい使い方を教えてください
まず、歯科医師の指示に従い、決められた時間にリテーナーを装着しましょう。通常、初めの数ヵ月は常時装着し、その後は夜間のみの装着となることがほとんどです。食事や飲み物を摂る際はリテーナーを外し、装着前に必ず歯を磨いて清潔に保ちましょう。リテーナー自体も毎日洗浄し、むし歯や歯周病のリスクを減らすことが大切です。子どもがリテーナーを使っている場合は、周りの大人が装着時間等を守っているかどうか確認することが大切です。
リテーナーの装着において注意すべきことはありますか?
リテーナーを使用している人は、次の2点に注意しましょう。
◎1日の装着時間を守る
リテーナーの効果を発揮するためには、歯科医師が指示する1日の装着時間を厳守することが重要です。通常、最初の数ヵ月は終日装着し、食事や歯磨きの際にのみ取り外します。その後、夜間のみの装着になることが一般的です。装着時間を守ることで、歯並びや噛み合わせが安定し、治療効果を長期間維持できます。

◎リテーナーの装着を勝手にやめない
リテーナーの装着を自己判断で中止することは避けましょう。矯正治療が完了した後でも、歯は元の位置に戻ろうとする力が働きます。リテーナーを装着し続けることで、この力を抑え、歯並びを安定させます。勝手に装着をやめると、治療効果が失われる可能性があります。

リテーナーの種類についての疑問

リテーナーには、マウスピース型リテーナー、ワイヤー型リテーナー、プレート型リテーナーの3種類があります。ここでは3種類のリテーナーの特徴を解説します。

マウスピース型リテーナーの特徴は何ですか?
マウスピース型リテーナーは、透明で目立ちにくく、取り外しが容易なため、人気が高いです。装着時の違和感が少なく、食事や歯磨きの際に外せるので衛生的です。一見すると、歯を動かすためのマウスピースと同じに見えますが、いわゆるアライナーよりも素材が硬く、強度が高いです。
ワイヤー型リテーナーの特徴は何ですか?
ワイヤー型リテーナーは、歯の前面にワイヤーを装着し、レジンで固定するタイプです。耐久性が高く、長期間の使用が可能で、主に前歯部に適応されます。噛み合わせの安定に効果的ですが、取り外しはできないため、固定されたままになります。
プレート型リテーナーの特徴を教えてください
プレート型リテーナーは、歯列に合わせたプラスチック製のプレートで歯を保持します。取り外しが可能で、歯を覆わないことから、装着時の違和感は少なめです。矯正治療後の歯並びを保持しつつ、噛み合わせを安定させます。

編集部まとめ

今回は、マウスピース型矯正とリテーナーの違いについて解説しました。マウスピース型矯正で使うアライナーは、歯を動かすために用いるもので、動かした歯をその位置で固定するリテーナーとは使用目的も対象となる人も根本的に異なります。また、リテーナーには、マウスピースタイプやワイヤータイプなどの種類がありますが、動的治療で用いた装置によって選択肢が狭まるということはまずありません。つまり、マウスピース型矯正を受けた後にワイヤー型リテーナーで保定をすることも可能なのです。そのため保定に入る際には、主治医と相談したうえで、自分に合ったリテーナーを選ぶことが重要といえます。

参考文献

この記事の監修歯科医師
木下 裕貴医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

木下 裕貴医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

北海道大学歯学部卒業 / 医療法人社団天祐会 副理事長 / 専門はマウスピース矯正、小児矯正

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