マウスピース矯正

マウスピース型矯正ができない例もある?できる例やできない場合の治療法を解説

マウスピース型矯正ができない例もある?できる例やできない場合の治療法を解説

マウスピース型矯正は、誰でもできる治療法ではないということをご存じですか?さまざまなメリットのあるマウスピース型矯正ですが、歯の状態によっては適応できないケースもあります。

本記事ではマウスピース型矯正ができない例について以下の点を中心にご紹介します。

  • マウスピース型矯正のメリット
  • マウスピース型矯正のデメリット
  • マウスピース型矯正ができない例

マウスピース型矯正ができない例について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

マウスピース型矯正について

マウスピース型矯正について

マウスピース型矯正はどのような治療法ですか?
マウスピース型矯正とは、透明なプラスチック製のマウスピースを使って歯並びを少しずつ整えていく歯列矯正の治療法のことです。マウスピースは、患者さん一人ひとりの歯並びに合わせてオーダーメイドで作製します。治療の進行に応じてマウスピースを段階的に交換していくことで、歯に少しずつ力をかけながら理想的な位置へと導いていきます。
マウスピースの種類を教えてください
マウスピース型矯正の主な種類と特徴について、詳しく解説します。【インビザライン】
アメリカのアライン・テクノロジー社が1999年に開発した世界的に普及している矯正システムです。
  • 世界100ヶ国以上、900万人超の治療症例あり
  • 専用スキャナー(iTero)で精密な型取りを行い、治療計画はクリンチェックという専用ソフトでシミュレーションを実施
  • 抜歯が必要なケースなど幅広い症例に対応
  • 高精度かつ快適な装着感を追求

【クリアコレクト】
スイスのストローマン社が提供する、アメリカ発のマウスピース型矯正です。

  • インビザラインに次ぐ世界的なシェア
  • マウスピースは薄く、光沢のない加工で目立ちにくい
  • 歯茎までしっかり覆う設計により、フィット感と歯の移動効率を追求
  • 素材がやや硬く、痛みや着脱のしづらさを感じる方もいる

【アソアライナー】
日本のアソインターナショナル社が開発した、国内発のマウスピース型矯正です。

  • 日本人の口腔内の構造に合わせて設計し、フィット性を追求
  • ソフト(0.5mm)、ミディアム(0.6mm)、ハード(0.8mm)の3段階の厚みのマウスピースを使い分けて徐々に歯を動かす
  • 痛みに配慮されているため、違和感も抑えられる
  • 適応できる症例は限られており、特に抜歯が必要なケースには不向き
  • マウスピースを交換するたびに通院をして新たな型取りを行う必要がある

【シュアスマイル】
アメリカのデンツプライ・シロナ社が展開するマウスピース型矯正で、2021年より日本でも提供が始まっています。

  • CAD/CAM技術を活用し、高精度なマウスピースを作製
  • トリムライン(歯茎の縁のカット)はストレート型とスカラップ型から選択できる
  • 対応できる症例はインビザラインとほぼ同程度とされ、複雑な歯列にも対応
  • 新しいシステムのため、対応歯科医院が限られている

どのマウスピースがご自身に合っているかは、歯の状態やライフスタイル、希望する仕上がりなどによって異なります。

マウスピース型矯正にはどのようなメリットがありますか?
マウスピース型矯正には、以下のようなメリットがあります。
  • 目立ちにくく自然な見た目:透明な素材で作られているため、周囲に気付かれにくい
  • 自由に取り外せて衛生的:自身で着脱できるため、食事の際や歯磨きの際に外して、口腔ケアが行える
  • 食事の制限がない:装置に食べ物が引っかかる心配がなく、硬いものや粘着性のある食べ物もストレスなく楽しめる
  • 痛みやトラブルが起こりにくい:金属を使わず、歯や歯茎を覆うようにフィットする設計のため、口内炎や装置の脱落といったトラブルが少ないとされている
  • 通院回数が少ない:2〜3ヶ月に1回の受診で済むケースが多く、頻繁に通院する必要がない
  • 清潔な状態を保ちやすい:マウスピースは段階ごとに新しいものに交換していく治療法のため、日頃のケアをしっかりと行っていれば、清潔な状態を保ちやすいとされている
マウスピース型矯正のデメリットとして何が挙げられますか?
マウスピース型矯正の治療を検討する際は、次のような注意点やデメリットも把握しておく必要があります。
  • 重度の歯並びや骨格の異常には不向き:歯を大きく動かす必要がある症例や、顎の骨格に問題があるケースでは十分な改善が難しいことがある
  • 自己管理が必要不可欠:マウスピースは1日20時間以上の装着が推奨されており、装着時間が不足すると治療が遅れてしまう可能性がある
  • 飲食やケアの制限:マウスピース装着中は、基本的に水以外の飲食を避ける必要があり、食事のたびに装置を外し、歯磨きを行ったうえで再装着する必要がある
  • 治療期間が長引くこともある:歯を動かす力がやや穏やかであるため、症例によっては治療完了までに時間がかかることがある

マウスピース型矯正の治療例

マウスピース型矯正の治療例

マウスピース型矯正に年齢制限はありますか?
マウスピース型矯正に明確な年齢制限はありません。永久歯が生え揃っており、歯や歯茎、顎の骨が健康であれば、年齢に関係なく治療を始めることができるとされています。子どもの場合でも、成長に合わせた専用のマウスピース型矯正が用意されているため、小児矯正としても活用されています。
マウスピース型矯正ができない例を教えてください
マウスピース型矯正は、以下のようなケースでは難しい、または適さない場合があります。
  1. 歯周病やむし歯が未治療の状態
    歯茎や骨に炎症がある場合、歯を動かすことで症状が悪化し、歯の寿命を縮めるリスクがあります。矯正治療の前に、まずはむし歯や歯周病の治療を優先する必要があります。
  2. 骨格に起因する歯並びの乱れ
    受け口や出っ歯など、顎の骨格自体に問題がある場合は、マウスピースでは改善が難しいことがあります。
  3. 抜歯が必要な重度の不正咬合
    歯を大きく動かす必要がある場合や、複数の歯を抜いてスペースを確保するような治療では、マウスピースだけでは十分な移動が難しいとされています。
  4. インプラントが埋入されている
    インプラントは歯の根を持たないため、天然歯のように動かすことができません。
  5. 埋伏歯(骨や歯茎に埋まったままの歯)がある
    親知らず以外の埋伏歯がある場合、歯の移動を妨げる可能性があり、マウスピース型矯正では対応が難しいことがあります。このようなケースでは、外科的な処置やワイヤー矯正の併用が検討されます。
  6. 装着時間を守るのが難しい方
    先述したように、マウスピース型矯正は1日20時間以上の装着が基本です。自己管理が必要な治療法であり、使用時間を守れないと計画どおりに歯が動かなくなってしまいます。
  7. 永久歯がまだ生え揃っていない子ども
    成長途中の子どもは歯の生え変わりがあるため、マウスピースの適合が変化してしまい、計画どおりに治療が進まない可能性があります。
  8. 強い歯ぎしりや食いしばりがある場合
    強い力で歯を噛みしめる癖があると、マウスピースが割れたり変形することがあるため、場合によっては、専用のナイトガードを併用するなどの対策が必要です。
マウスピース型矯正ができる例を教えてください
マウスピース型矯正は、すべての歯並びに対応できるわけではありませんが、歯を大きく動かす必要がない軽度から中程度の以下のような症例に対して効果が期待できます。
  • 軽度〜中等度の歯並びの乱れ(叢生)すきっ歯(空隙歯列)
  • 軽度の出っ歯や受け口(上顎前突、下顎前突)
  • 矯正治療後の後戻り
  • 部分的な歯列の改善を希望する場合

マウスピース型矯正ができない場合の治療法

マウスピース型矯正ができない場合の治療法

マウスピース型矯正ができない場合、どうすればいいですか?
受診した歯科医院でマウスピース型矯正が難しいといわれた場合は、ほかの歯科医院でセカンドオピニオンを受けることも検討しましょう。精密検査を含む総合的な診断で、新たな治療法や可能性が見つかることがあります。
また、複数の意見を聞くことで、ご自身が納得して治療法を選べる可能性が広がります。
マウスピース型矯正ができない場合、ほかにどのような治療方法がありますか?
マウスピース型矯正が難しい場合は、ワイヤー矯正やハイブリッド矯正、外科的矯正が選択肢となります。ワイヤー矯正は幅広い症例に対応し、裏側矯正(舌側矯正)や審美ワイヤーで目立ちにくくできます。
ハイブリッド矯正は両者の利点を生かし、大きな歯の移動をワイヤーで行い、細かい調整をマウスピース型矯正で行います。骨格の問題がある場合は外科的手術と矯正装置を組み合わせて治療します。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまでマウスピース型矯正ができない例についてお伝えしてきました。マウスピース型矯正ができない例の要点をまとめると以下のとおりです。

  • マウスピース型矯正のメリットは、目立ちにくく自然な見た目、自由に取り外せて衛生的、食事の制限がない、痛みやトラブルが起こりにくい、通院回数が少ない、清潔な状態を保ちやすいなど
  • マウスピース型矯正のデメリットは、重度の歯並びや骨格の異常には不向き、自己管理が必要不可欠、飲食やケアの制限、治療期間が長引くこともあるなど
  • マウスピース型矯正ができない例は、歯周病やむし歯が未治療の状態、骨格に起因する歯並びの乱れ、抜歯が必要な重度の不正咬合、インプラントが埋入されている、埋伏歯(骨や歯茎に埋まったままの歯)がある、装着時間を守るのが難しい方、永久歯がまだ生え揃っていない子ども、強い歯ぎしりや食いしばりがある場合など

歯列矯正の治療は、マウスピース型矯正のほかにもさまざまな方法があります。歯科医師と複数の治療法を相談しながら、納得できるものを選びましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
小田 義仁歯科医師(小田歯科・矯正歯科 院長)

小田 義仁歯科医師(小田歯科・矯正歯科 院長)

岡山大学歯学部 卒業 / 広島大学歯学部歯科矯正学教室 / 歯科医院勤務をへて平成10年3月小田歯科・矯正歯科を開院 / 所属協会・資格:日本矯正歯科学会 認定医 / 日本顎関節学会 / 日本口蓋裂学会 / 安佐歯科医師会 学校保健部所属 / 広島大学歯学部歯科矯正学教室同門会 会員 / 岡山大学歯学部同窓会広島支部 副支部長 / 岡山大学全学同窓会(Alumni)広島支部幹事 / アカシア歯科医会学術理事

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