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口ゴボ(上下顎前突)は抜歯矯正が必要?治療の内容や費用も解説

口ゴボ(上下顎前突)は抜歯矯正が必要?治療の内容や費用も解説

口元が前に出て見える口ゴボ(上下顎前突)は、横顔のバランスが崩れ、噛み合わせや発音に影響を及ぼすことがある状態です。

口元の印象が気になり、人前で笑うのをためらってしまう方もいるかもしれません。

見た目の悩みとして気付かれることが多いようですが、放置すれば機能面にも悪影響が生じる可能性があります。早めに適切な対処をすることが大切です。

本記事では、口ゴボの特徴や原因、抜歯の必要性、治療法や費用についてわかりやすく解説します。

口ゴボ(上下顎前突)の見た目の特徴や原因

反対咬合

口ゴボとはどのような状態ですか?
口ゴボとは上下の顎や前歯が前方に突出しており、口元全体が前に出て見える状態を指します。上下の唇が自然に閉じにくく、閉じた状態でも口元の突出が目立つのが特徴です。医学的には上下顎前突と診断されることがあり、骨格のズレや歯並びの乱れなど、複数の要因が関係している場合があります。
口ゴボの見た目の特徴を教えてください。
口ゴボの主な見た目の特徴は以下のようなものです。
  • 横顔では唇がEライン(鼻先と顎先を結んだ線)より前に出ている
  • 無理にお口を閉じるとしわができる
  • 口元が開きやすく閉じにくい
  • 笑うと歯茎が目立ちやすい

これらの特徴は骨格のズレや歯並びの乱れが原因となっている場合があり、見た目の印象だけでなく、噛み合わせや発音などの機能面にも影響を及ぼすことがあります。また、横顔や笑顔のバランスが崩れて見えることで写真写りが気になったり、マスクを外すのに抵抗を感じたりするなど心理的な負担につながるケースも少なくありません。気になる症状がある場合は、歯科医師に早めに相談することが大切です。

口ゴボの原因を教えてください。
口ゴボの原因は多岐にわたりますが、主に以下のような要因が挙げられます。
  • 骨格的要因:上顎が前方に出ているか下顎が後退している
  • 歯の傾斜:前歯が外側に傾いている
  • 口腔習癖:指しゃぶりや舌で前歯を押す癖や口呼吸など
  • 筋力の問題:お口の周りの筋肉(口輪筋)の力が弱い
  • 遺伝的要因:家族に同様の歯並びや骨格を持つ方がいる

これらの要因が単独または複数重なって影響し、口元の突出につながることがあります。原因によって治療法が異なるため、まずは現在の状態を正確に把握することが大切です。

口ゴボを放置するデメリットを教えてください。
口ゴボを放置すると、以下のようなデメリットが考えられます。
  • 口腔衛生の悪化
  • 発音や咀嚼への影響
  • 見た目のコンプレックス
  • 顎関節への負担

お口が閉じにくくなることで、口腔内が乾燥しやすくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。また、発音が不明瞭になったり、食事の際にうまく噛めなかったりと機能面での問題が生じることもあります。見た目に対する悩みから、人前で話すことに抵抗を感じたり、対人関係に消極的になったりするケースもあるでしょう。
さらに、噛み合わせの乱れが続くと顎関節に負担がかかり、痛みや開閉時の違和感などの不快な症状につながる恐れがあります。早期に対処することで、将来的なトラブルを防げます。気になる場合は早めの受診を検討しましょう。

口ゴボ(上下顎前突)の治療には抜歯が必要?

ペンチで女性患者の歯を抜くところ

口ゴボを治療するには抜歯が必要ですか?
口ゴボを改善するには抜歯が必要となるケースが多い傾向です。特に歯が前方に出ている原因が、顎の骨に対して歯が並ぶスペースの不足にある場合は、スペースを確保するために小臼歯を抜くことが検討されます。
抜歯によって前歯を後方へ移動させやすくなり、口元の突出感が軽減され、横顔の印象も改善されます。
抜歯をせずに治療できるのはどのようなケースですか?
口ゴボの治療は抜歯をせずに歯列矯正を行えるケースもあります。叢生(歯並びのでこぼこ)が軽度であれば、非抜歯のマウスピース型矯正によって口元の突出感をある程度改善することも可能です。
ただし、非抜歯で行う場合は効果に限界があり、抜歯を併用したワイヤー矯正と比べて口元を引っ込められる量が少なくなります。横顔の印象を大きく変えたい場合や、口元をしっかり引き下げたい場合には、小臼歯の抜歯を伴う歯列矯正の方が適しているでしょう。
適切な治療方法は歯並びや骨格の状態、患者さんの希望によって異なります。まずは歯科医師の診察を受けたうえで治療方針を決めることが大切です。

口ゴボ(上下顎前突)の治療方法や治療費用

歯の矯正

口ゴボは歯列矯正で治療できますか?
口ゴボは歯列矯正によって改善が可能です。歯並びや噛み合わせの乱れが原因で前歯が前方に突出している場合、歯列矯正で歯を適切な位置に移動させると、口元の突出感が抑えられ見た目のバランスも整います。
治療方法にはワイヤー矯正のほか、透明で目立ちにくいマウスピース型矯正装置(インビザラインなど)もあり、患者さんの歯の状態やライフスタイルに応じて選択されます。歯列を整えることで、お口が閉じやすくなったり発音が明瞭になったりと、機能面にもよい変化が期待できるでしょう。
また、歯列矯正は単に歯を動かすだけでなく、歯並びの変化によってお顔全体の印象にも影響を与えるため、専門的な診断のもとで治療計画を立てることが重要です。
見た目のコンプレックスの解消にとどまらず、咀嚼機能や表情の自然さの向上にもつながることから、口ゴボに悩む方にとって歯列矯正は有効な治療法といえるでしょう。
歯列矯正で口ゴボを治療する場合の治療期間はどのくらいですか?
治療期間は症状の重症度や装置の種類によって異なりますが、およそ1年半〜3年程度が一般的です。抜歯を伴う場合でも、症状が軽度であれば1年半ほどで治療が完了することもありますが、多くは2年以上かかる傾向にあります。
加えて、保定期間(後戻りを防ぐための期間)として1〜2年ほど保定装置(リテーナー)の装着が必要です。
口ゴボを歯列矯正で治療する場合の治療費用を教えてください。
口ゴボの歯列矯正は基本的に公的医療保険が適用されない自由診療です。保険が適用されるのは、外科手術が必要な顎変形症と診断された場合などに限られます。それ以外はすべて自己負担となり、治療費用は症状の程度や治療期間、使用する装置により異なります。
一般的には治療開始から保定期間を含むすべての工程を合わせて、800,000円〜1,200,000円(税込)程度を見込んでおく必要があるでしょう。通院の頻度や期間が長くなる場合や追加の処置が必要な場合は、さらに費用がかさむこともあります。
また、初診相談料や検査、診断料、保定装置(リテーナー)費用が別途必要となる場合もあるため、トータルでの支出を事前に把握しておくことが重要です。支払い方法(分割払いやデンタルローンなど)や対応できる治療内容は歯科医院によって異なるため、カウンセリング時に詳細を確認し、納得したうえで治療を進めることが望ましいでしょう。
歯列矯正以外の治療方法があれば教えてください。
歯列矯正以外で口ゴボを改善する方法としては、顎変形症手術が挙げられます。顎変形症手術は顎の骨格に明らかなズレや変形がある場合に行われる外科的治療です。
上下の顎が前方に出ている口ゴボも、骨格的な原因が重度であれば手術の適応となることがあります。症状に応じて上顎や下顎の骨を切り、適切な位置へ移動させて噛み合わせや顔貌を根本から整えることが可能です。
この手術は顎変形症と診断され、厚生労働省が指定する医療機関で治療を受ける場合には健康保険が適用されます。歯を削ってセラミックの被せ物を装着することで、歯並びや口元の印象を整える方法もあります。
短期間で見た目を改善できる反面、健康な歯を削る必要があり、噛み合わせや骨格の問題を根本から治すことはできません。そのため審美目的の対処療法とされています。

編集部まとめ

男性を診察する医師

口ゴボは見た目の印象だけでなく、噛み合わせや発音などの機能面にも影響を及ぼすことがあります。気になる症状がある方は、早めの対処を検討するとよいでしょう。

治療は歯列矯正が中心で、多くの場合抜歯が必要となります。症状の程度や患者さんの希望に応じて、マウスピース型矯正や外科手術などの選択肢も検討可能です。

治療費用や方法は歯科医院によって異なるため、まずは歯科医師に相談しましょう。

歯列矯正は数年にわたるケースもあるため、治療方針や費用、装置の特徴をよく理解したうえで自分に合った治療方法を選ぶことが大切です。

治療に踏み出すことで、日常生活でのストレスや不快感が軽減される可能性もあります。

参考文献

この記事の監修歯科医師
小田 義仁歯科医師(小田歯科・矯正歯科 院長)

小田 義仁歯科医師(小田歯科・矯正歯科 院長)

岡山大学歯学部 卒業 / 広島大学歯学部歯科矯正学教室 / 歯科医院勤務をへて平成10年3月小田歯科・矯正歯科を開院 / 所属協会・資格:日本矯正歯科学会 認定医 / 日本顎関節学会 / 日本口蓋裂学会 / 安佐歯科医師会 学校保健部所属 / 広島大学歯学部歯科矯正学教室同門会 会員 / 岡山大学歯学部同窓会広島支部 副支部長 / 岡山大学全学同窓会(Alumni)広島支部幹事 / アカシア歯科医会学術理事

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