ワイヤー矯正

片方だけの八重歯の治療方法は?抜歯の必要性や治療のメリットも解説

片方だけの八重歯の治療方法は?抜歯の必要性や治療のメリットも解説

片方だけの八重歯は可愛らしい印象が強く、日本ではチャームポイントの1つとして知られています。

しかし、実際には八重歯も歯列不正の一種のため、治療が必要なケースがほとんどです。

八重歯は歯列から外れて生えている歯で、放置するとほかの歯への負担が大きくなったり噛み合わせが悪くなったり、口腔内のトラブルを引き起こす原因になります。

この記事では、八重歯を放置することで発生するリスクや片方だけの八重歯を治療する方法、治療することのメリットなどを解説していきます。

片方だけの八重歯のリスク

男性医師と患者

八重歯とは、上の犬歯が隣の歯と重なった状態のことをいいます。八重歯は叢生(そうせい)や乱ぐるいと呼ばれる歯列不正の一種です。

そのため、八重歯を放置したままにすると、さまざまな口腔内トラブルを引き起こします。では、どのようなリスクがあるのか具体的に見ていきましょう。

むし歯や歯周病になりやすい

八重歯を放置すると、むし歯や歯周病になりやすい傾向があります。八重歯は隣の歯と重なるように生えているため、歯ブラシやデンタルフロスでは掃除が難しい場所です。

重なった部分にプラークが溜まりやすくなり、セルフケアが難しく、むし歯や歯周病になるリスクが高い部位です。

噛み合わせに影響が出る可能性がある

女性のフェイスライン

噛み合わせが悪くなることも、片方だけ八重歯があるリスクの1つです。

人は咀嚼をする際に、犬歯を使って噛むことで奥歯にかかる負担を減らしています。しかし八重歯があると犬歯がうまく噛み合わず、奥歯へ大きな負担がかかりやすくなります。

噛み合わせが悪くなることで歯への負担だけでなく、顎への負担も大きくなり顎関節症や頭痛、肩こりになることもあるでしょう。

口腔内を傷つける可能性がある

八重歯は、唇や舌などのやわらかい部分に接触しやすい部分にあるため、口腔内を傷つける可能性があります。

食事や会話の際に無意識に口腔内を傷つけてしまいます。同じ場所に繰り返し口内炎ができる場合には、八重歯が原因といえるでしょう。

また、八重歯が外側に生えている場合には、食事や会話をしていないのに口腔内を傷つけてしまうこともあります。

口臭が発生しやすくなる

鼻をつまむ女性

八重歯があると、口が閉じにくくなり口呼吸になります。口腔内を乾燥させ唾液の量を少なくさせる、口呼吸は口臭の原因です。

唾液には、口腔内の汚れや細菌を洗い流す抗菌作用があります。唾液量が少なくなると細菌が繁殖し、むし歯や歯周病のリスクも高まります。

また、八重歯による歯間の汚れやプラークの蓄積も口臭の原因の1つです。

バランスが悪く見た目が気になるケースがある

八重歯は可愛い印象がありますが、審美性に欠け、見た目が気になるケースもあります。

歯列から外れた八重歯があると、八重歯がある側の頬が膨らみ、お顔のバランスが悪く見えてしまいます。

八重歯が唇にひっかかり、きれいに笑うことができず、コンプレックスだと感じている方も少なくないでしょう。

八重歯が気になり、笑顔に自信が持てなかったり会話が楽しめなかったりと、見た目が気になってしまうケースもあります。

片方だけの八重歯の治療方法

歯並び

片方だけの八重歯を治療するには、歯列矯正治療が効果的です。

歯列矯正とは、矯正装置やマウスピースを使って歯列から外れた八重歯を本来の位置に戻す治療方法で、むし歯や歯周病のリスク低下や審美性の改善が期待できます。

八重歯の治療方法には、ワイヤー矯正とマウスピース型矯正の2種類あり、どちらも八重歯の治療に効果的です。それぞれ、メリットとデメリットがあるので、詳しく見ていきましょう。

ワイヤー矯正

矯正器具を付けた女性の口元

一般的に用いられる矯正方法がワイヤー矯正です。

歯にブラケットと呼ばれる矯正装置を取り付け、そこにワイヤーを通して歯列矯正をします。ワイヤー矯正のメリットは以下のとおりです。

  • 一般的な矯正方法でどのような歯列にも対応できる
  • 歯全体を動かせる
  • 舌に当たらず発音や咀嚼に影響がない
  • 安価で歯列矯正できる

続いて、ワイヤー矯正のデメリットを紹介します。

  • 見た目が気になる
  • 取り外しができない
  • 1ヶ月に1回の通院で調節が必要
  • 痛みを伴うことがある
  • 歯磨きがしにくい
  • ブラケットやワイヤーがあたり、口腔内を傷つけることがある

ワイヤー矯正は、歯全体を動かすことができるので、どのような八重歯でも歯列矯正ができます。

その一方で、一度装着したら外せないため歯磨きがしにくい点や、器具があたって口内炎ができやすいなどのデメリットもあります。

ワイヤー矯正で気になる見た目ですが、白いワイヤーで透明なブラケットのワイヤー矯正もあるので、一般的なワイヤー矯正よりも目立ちにくく歯列矯正が可能です。

ワイヤー矯正のなかには、歯の裏側に矯正装置を装着して歯列矯正する裏側矯正(舌側矯正)という方法もあります。裏側矯正(舌側矯正)のメリットを紹介します。

  • 歯列矯正していることがわかりにくい
  • 出っ歯になりにくい
  • 舌で歯を押す舌癖を治せる
  • 歯の表面が傷つかない
  • むし歯になりにくい

次に、裏側矯正(舌側矯正)のデメリットは以下のとおりです。

  • 矯正装置があたり舌に痛みがあり
  • 発音や咀嚼に影響がある
  • 歯の裏側の歯磨きが難しい
  • ワイヤー矯正よりも費用が高くなる
  • 1ヶ月に1回の通院で調節が必要
  • 取り外しができない

裏側矯正(舌側矯正)は、歯の裏側から矯正する方法のため、歯列矯正していることがわかりにくい点がワイヤー矯正との違いです。

また、歯の裏側は唾液量が多いため、むし歯になりにくいという特徴があります。

一方で、矯正装置が舌にあたって傷ができやすい点や、食事や話がしにくい点がデメリットといえるでしょう。

マウスピース型矯正

マウスピース矯正

マウスピース型矯正は、マウスピースを用いて矯正治療する方法です。歯列に合わせたマウスピースを作り、少しずつ歯を動かして歯列を整えます。

ワイヤー矯正のようにブラケットやワイヤーを必要としないので、日常生活に支障をきたすことなく、矯正治療が可能です。

マウスピース型矯正のメリットとデメリットを確認しましょう。マウスピース型矯正のメリットは以下のとおりです。

  • 歯列矯正していることがわかりにくい
  • 取り外しができて歯磨きがしやすい
  • 痛みが少ない
  • 2〜3ヶ月に1回の通院
  • 普段通りに過ごせる

続いて、マウスピース型矯正のデメリットを紹介します。

  • ワイヤー矯正より時間がかかる
  • 1日20時間以上の装着が必要
  • 自己管理が求められる
  • 紛失や破損のリスクがある
  • 歯並びや骨格の問題でマウスピース治療できない場合がある

マウスピース型矯正はワイヤー矯正と違い、マウスピースを外して歯磨きができるので、日常生活に支障をきたすことがありません。

ただ、マウスピース型矯正は1日20時間以上の装着が必要のため、自己管理能力が求められます。

また、歯並びや骨格の問題によって、マウスピースで治療できない場合もあるため事前に理解しておきましょう。

片方だけの八重歯は部分矯正でも治療できる?

カウンセリングを受ける女性

片方だけの八重歯の場合、部分矯正で治療したいと考えている方も少なくないでしょう。しかし、八重歯の多くは部分矯正で治すことは難しいといわれています。

八重歯を治すためには、ほかの歯を動かして八重歯を入れるスペースを作る必要があります。きれいな歯並びにするため、歯全体を動かして歯列を整えるのが一般的な治療方法です。

ただ、歯の重なりが少なく八重歯を含む数本の前歯を動かすことで歯列矯正できる場合には、部分矯正でも治療が可能です。

ほかの歯への負担がかからず噛み合わせにも問題がないなど、いくつもの条件を満たす必要があるため、部分矯正はハードルが高いといえるでしょう。

片方だけの八重歯を治療する場合の抜歯の必要性

歯

歯列矯正は、歯を動かして歯並びを整える方法です。

八重歯の治療でも抜歯を必要とするケースがありますが、すべての八重歯治療に抜歯が適応されることはありません

八重歯治療で抜歯が必要になるケースには、どのようなものがあるのか確認していきましょう。

八重歯以外を抜歯するケース

八重歯は前から3番目の犬歯のことを指します。犬歯は歯根が太く長い歯のため、歯自体の寿命も長く抜歯は避けたい歯です。

八重歯を抜歯せずに歯列矯正できるケースは、主に2パターンに分けられます。

  • 小臼歯の抜歯で八重歯が移動するスペースが確保できるケース
  • 歯を削って移動に必要なスペースが作れるケース

八重歯以外の歯を抜歯する場合には、4番目の第一小臼歯を抜歯するケースがほとんどです。第一小臼歯を抜歯し八重歯が移動するスペースを確保することで、歯列矯正が可能となります。

第一小臼歯の抜歯は出っ歯気味な方にも効果的な施術です。

八重歯の位置が大きくズレていない場合には、抜歯のほかにスペースを確保する方法もあります。

  • IPR
  • 側方拡大
  • 奥歯の後方移動

IPRは、歯の健康やエナメル質に大きな影響を与えない0.2mmほどの僅かな量を削り、歯が動けるスペースを確保する方法です。

側方拡大は、歯列のアーチを側方や前方に拡大し、スペースを確保します。

奥歯を後方へ移動する方法は、親知らずがある場合には親知らずを抜歯して、歯を後方に移動させて歯列を整えます。

どの方法も抜歯も抜歯が不要で、歯への影響が少ないのがメリットです。

八重歯を抜歯するケース

八重歯は本来、咀嚼をするうえで重要な役割を担っています。犬歯があることで奥歯への負担や顎への負担が軽減されるため、可能な限り残したい歯です。

しかし、歯列矯正治療のために八重歯を抜歯した方がよいケースもあります。

  • 八重歯だけが歯列から外れているケース
  • 八重歯自体がむし歯になっているケース
  • 八重歯に問題があり寿命が短いケース

八重歯以外の歯に問題がみられない場合には、八重歯自体を抜歯した方が噛み合わせの調節がしやすいため、抜歯する場合があります。

また、八重歯がむし歯や歯周病にかかっていて、八重歯自体が弱くなっている場合も抜歯した方がよいケースです。

歯列矯正は歯に力を加えて少しずつ移動させる方法のため、矯正治療の力に耐えられない場合や八重歯がほかの歯に悪影響を及ぼす場合には、抜歯が有効な場合があります。

片方だけの八重歯を治療するメリット

女性の歯

片方だけの八重歯でも放置すると、むし歯や歯周病のほかに噛み合わせや口臭の原因にもなります。

さまざまな口腔内のトラブルの原因となるため、早めの治療がおすすめです。

では、八重歯の治療で得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

歯磨きやケアがしやすくなる

八重歯を治療すると歯磨きがしやすくなり、むし歯や歯周病などのリスクが軽減されます。

八重歯が正しい位置に戻ることで歯が重なる部分がなくなり、歯磨きやデンタルフロスなどのセルフケアがしやすくなります。

汚れやプラークが溜まりにくくなるため、清潔な口腔内が保つことが可能です。

噛み合わせが改善する

噛み合わせが改善されることも、八重歯を治療するメリットの1つです。

八重歯が正しい位置に戻ることで犬歯として機能し、奥歯や顎への負担を軽減できます。

また、噛み合わせの影響で発生していた頭痛や肩こりなどの二次的症状の改善も見込めます。

バランスが整い審美性が向上する

八重歯が治り歯並びが整うと、審美性が向上して口元の印象がよくなります。八重歯が正しい位置に戻ることで歯列が美しくなり、笑顔にも自信が持てるようになります。

また、歯列が整うことで、正しい噛み合わせが可能です。正しく噛み合わせができると、お口周りの筋肉が引き締まり、お顔がスッキリとした印象になります。

口元の印象が整い、お顔のバランスも整います。

片方だけの八重歯の治療費用の目安

1万円札と計算機

八重歯の治療方法には、ワイヤー矯正とマウスピース型矯正があります。それぞれ、メリットとデメリットがあり、どちらがよいのか悩んでしまいます。

では、ワイヤー矯正とマウスピース型矯正の治療費用はどのくらいなのか、見ていきましょう。

ワイヤー矯正の場合

ワイヤー矯正で八重歯を治療する場合は、600,000〜1,000,000円(税込)の費用が必要となり、1ヶ月に1回のワイヤー調節やメンテナンス料も含まれた費用です。

ワイヤー矯正は、軽度から重度な八重歯まで対応できる治療方法なので、しっかりと八重歯を治したい方におすすめです。

また、裏側矯正(舌側矯正)の場合は1,000,000〜1,500,000円(税込)の費用が必要となります。

裏側矯正(舌側矯正)の矯正装置は、患者さん一人ひとりに合わせた型が必要になったり高度な技術が必要とされたり、裏側矯正(舌側矯正)専用の装置が必要になるので一般的なワイヤー矯正よりも高額になる傾向があります。

マウスピース型矯正の場合

マウスピース型矯正の費用は500,000〜1,200,000円(税込)と、費用の幅が広くなっています。

マウスピース型矯正は、マウスピースの型を少しずつ変えながら歯列矯正する方法なので、マウスピースの枚数によって費用が変わります。

マウスピースの枚数が多くなるほど費用が高くなることを覚えておきましょう。

ただ、マウスピースを紛失した場合やマウスピースの装着時間が短く歯がうまく動かない場合には、マウスピースの作り直しが必要となります。

マウスピースを作り直す際には追加の費用が必要となるため、マウスピースの管理や自己管理に気をつけましょう。

まとめ

歯を見てもらう患者

八重歯はチャームポイントの1つといわれていますが、実は歯列不正の一種ということがわかりました。

八重歯が片方だけの場合でも放置するとむし歯や歯周病の原因、ほかの歯へ負担がかかるなど、さまざまな口腔内のトラブルを引き起こします。

八重歯の治療で正しく噛み合わせができると、口腔内のトラブルの改善のほかに頭痛や肩こりの改善、お口周りのシェイプアップにも効果的です。

八重歯の治療を検討の方は、歯科医院に相談しましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
小田 義仁歯科医師(小田歯科・矯正歯科 院長)

小田 義仁歯科医師(小田歯科・矯正歯科 院長)

岡山大学歯学部 卒業 / 広島大学歯学部歯科矯正学教室 / 歯科医院勤務をへて平成10年3月小田歯科・矯正歯科を開院 / 所属協会・資格:日本矯正歯科学会 認定医 / 日本顎関節学会 / 日本口蓋裂学会 / 安佐歯科医師会 学校保健部所属 / 広島大学歯学部歯科矯正学教室同門会 会員 / 岡山大学歯学部同窓会広島支部 副支部長 / 岡山大学全学同窓会(Alumni)広島支部幹事 / アカシア歯科医会学術理事

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