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部分矯正で口ゴボは改善できる?口ゴボの原因と治療法・費用を解説

部分矯正で口ゴボは改善できる?口ゴボの原因と治療法・費用を解説

口ゴボは、横から見ると口元が前に出ている状態のことをいいます。正面から見ると気付かないことも珍しくありません。

口元がゴボっと出ているという表現から、SNSを中心にその言い方が広がりました。出っ歯も口元が出てしまうので、口ゴボの中の1つとされています。

横からお顔を見ると、鼻よりも上唇が出ているように見えてしまい、特に女性にとってはコンプレックスに感じる方も少なくありません。

口ゴボの状態が軽度である場合、部分矯正による治療は選択肢の1つになります。

ただし、口ゴボの改善はほとんどの症例において前歯を後退させる必要があるため、部分矯正による治療は難しいことに注意が必要です。

また、抜歯を行う場合には全体矯正治療(部分矯正ではできない)になります。

この記事では、口ゴボに悩む方やその治療で部分矯正を検討している方に向けて、口ゴボの原因・治療法・費用を解説します。

ワイヤーによる全体矯正やマウスピース型矯正の場合の費用・期間も合わせて解説しているので、ぜひ参考にしてください。

口ゴボの特徴と原因

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口ゴボとはどのような状態ですか?
口ゴボとは、上顎と下顎の骨格や歯の向きなどが関係して、口元が突き出ている状態を指します。口ゴボには大きく4つのタイプがあります。
  • 下顎が小さい
  • 上顎が出ている(上顎前突)
  • 上顎と下顎の両方が出ている(上下顎前突)
  • 鼻が低く顎がない

前歯の傾斜による出っ歯により口元が突き出ているケースが一般的です。前から見ると歯並びはきれいに見えますが、横から見ると上顎が出ている状態です。
美しい横顔の基準としてEライン(エステティックライン)があります。オトガイ部(下顎の突端部)と鼻先を結ぶ線のことで、上唇と下唇がこの線上やや内側にある口元が理想的な美しい横顔とされています。Eラインよりも口元が前に出ていることから、悩まされることも少なくありません。

口ゴボの原因を教えてください。
口ゴボの原因は以下の4つが考えられています。
  • 遺伝
  • 口呼吸
  • 指しゃぶり・おしゃぶり
  • 舌が前歯を押す位置にある

遺伝による骨格的な問題の場合もありますが、前歯の傾斜・出っ歯による口ゴボは骨格の問題ではなく歯の生える向きの問題です。幼少期の指しゃぶりや口呼吸、舌で歯を前に押す舌癖などが原因で起こる場合は後天的な上顎前突といわれます。

治療するメリットは何ですか?
歯列矯正により口ゴボを治療するメリットは、口元のコンプレックスを解消するだけでなく、歯並びや噛み合わせの異常からくる症状も解消できます。
  • 口元のコンプレックスを解消できる
  • 歯磨きしやすくなる
  • お口を閉じやすくなる
  • 噛み合わせが良くなる
  • 顎関節の負担を減らせる

習癖が原因の場合、歯列矯正後の後戻りを加速させる場合もあるので、習癖(指しゃぶりや爪噛みなどの癖)や舌癖(舌で前歯を押したり舌の不正なポジション)なども改善する必要があります。

治療するリスクはありますか?
歯列矯正で口ゴボを治療する場合、歯を並べるためのスペースを作らなければなりません。
  • 歯を奥歯側へ移動させる
  • ストリッピングで数mmずつ歯を削ることにより隙間を作る
  • 抜歯をしてスペースを作る

足りないスペースを作り出すための抜歯が必要となることがあります。一般的には4番目の歯を抜歯します。抜歯を伴う歯列矯正は、難易度もやや高くなることから、口ゴボ治療の経験が豊富な歯科医師に相談してください。

部分矯正で口ゴボは改善できる?

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部分矯正とはどのような治療法ですか?
部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)は、動かしたい歯だけを歯列矯正するため、従来の全体矯正よりも低コスト・短期間で歯並びをよくできます。部分矯正の適応範囲は、犬歯〜犬歯(上下各6本)の間になります。
また、歯の一部だけを動かすため、歯列全体を動かす全体矯正と比べて痛みが少ない傾向にあるのもメリットの1つです。低コスト・短期間で治療ができるため、忙しい方や全体矯正が高額なため歯列矯正を諦めていた方でも、治療できる可能性があります。
部分矯正で口ゴボは改善できますか?
軽度であれば部分矯正で治せる可能性があります。患者さんの口腔内状況はそれぞれ異なるため、部分矯正で対応可能かどうかは精密検査を行い診断します。
精密検査の結果によっては、全体矯正で治療することも少なくありません。部分矯正が適応されるための条件は以下のとおりです。
  • 骨格に問題がない
  • 奥歯の噛み合わせが正常
  • 歯が重なっている部分が少ない

口ゴボの方の多くは、歯並び・噛み合わせの異常を伴うため、歯磨きしにくい・お口を閉じにくい・上下の歯が適切な位置で噛み合わないなどの症状に悩まされます。
歯列矯正で口ゴボを治療すると、口元のコンプレックスを解消するだけでなく、歯並び・噛み合わせの異常からくる症状も解消できます。

口ゴボを改善するための治療法と費用

問診票とマウスピースと医療器具
口ゴボが改善できる治療法を教えてください。
口ゴボ(上顎前突・上下顎前突)の原因は顎骨の大きさと歯列の大きさのアンバランスによるものです。
骨格に合わせた歯列にするために、小臼歯の抜歯を伴う歯列矯正になることが少なくありません。以下の矯正装置による治療法があります。
  • ワイヤー矯正(表側):細かい調整が可能であり適応範囲が広い。上顎・上下顎前突の治療で多く使用されている装置。
  • ワイヤー矯正(裏側):裏側矯正(舌側矯正)は内側から歯を引く力をかけることが可能なため前歯を引き込みやすく前突の治療に適している。滑舌や痛みの問題などもある。
  • マウスピース型矯正:上顎・上下顎前突の症例に対応可能だが、症例によっては対応できないケースもある。
治療にかかる費用の目安を教えてください。
部分矯正で治療できる口ゴボは、軽度の症例のみです。歯を大きく移動させる場合や噛み合わせの治療も必要な場合は、全体矯正での治療になります。治療にかかる費用の目安は以下のとおりです。(金額は税込)
【全体矯正】
  • ワイヤー矯正(表側)…600,000~1,300,000円(税込)
  • ワイヤー矯正(裏側)…1,000,000~1,700,000円(税込)
  • マウスピース型矯正…600,000~1,000,000円(税込)

【部分矯正】

  • ワイヤー矯正(表側)…300,000~600,000円(税込)
  • ワイヤー矯正(裏側)…400,000~700,000円(税込)
  • マウスピース型矯正…100,000~400,000円(税込)

部分矯正で治療できる場合は、全体矯正の半分程度の費用で治療できることがわかります。歯列矯正の方法も、ワイヤー矯正とマウスピース型矯正があります。
歯並びの状態によっては大きく歯を動かす必要があり、マウスピース型矯正装置による治療が適さない場合も少なくありません。治療する歯科医院により費用が異なるので、よく相談して治療を開始してください。

どのくらいの治療期間がかかりますか?
治療方法により治療期間は異なります。以下は治療期間の目安です。
  • ワイヤー矯正…1年〜1年半、抜歯をした場合2年〜2年半
  • マウスピース型矯正…1年〜1年半
  • 部分矯正…半年〜1年

抜歯をした場合、歯を動かすためのスペースが大きくできてしまうので、治療の完成まで時間がかかります。
マウスピース型矯正の場合は、軽度の症例でなければ適応にならないため、治療範囲が広いワイヤー矯正よりも治療期間が短くなります。

どのような歯科医院で治療するのがよいですか?
歯医者には一般歯科と矯正歯科があり、それぞれ得意とする分野が分かれています。歯並びの歯列矯正治療は一般的なむし歯の治療とは異なるため、歯列矯正を行うのであれば矯正専門の歯科がおすすめです。
また歯列矯正専門の医師は、歯列矯正に関する知識・技術において学会から保証されているため、歯列矯正専門の医師かどうかも歯科医院選びの重要なポイントとなります。
歯列矯正には通常約2〜3年の時間と、高額な費用もかかります。専門の矯正歯科を選び、しっかりと期間・費用・治療方法を相談し納得したうえで治療を受けることが大切です。

編集部まとめ

歯を指差す女性

口ゴボとは、上顎と下顎の骨格や歯の向きなどが関係して、口元が突き出ている状態を指します。

歯列矯正により口ゴボを治療するメリットは、口元のコンプレックスを解消するだけでなく、歯並びや噛み合わせなどの機能面も解消できます。

口ゴボの原因は多岐にわたり、遺伝的要因・口呼吸や指しゃぶりなどの習慣・歯並びの問題や顎の成長のバランスなどです。

この問題を治療する場合ほとんどのケースでは全体矯正になりますが、一部では部分矯正という選択肢も存在し、低コストかつ短期間で治療を行えます。

部分矯正が適用できるのは、問題が軽度であり、噛み合わせや骨格などに大きな影響を与えていない場合のみです。口ゴボの改善は大半の症例において、前歯を後退させる必要があるため、部分矯正による治療は難しいことを押さえておきましょう。

また、抜歯を伴う場合には全体矯正となり、部分矯正はできないことにも注意が必要です。

治療を開始する前に歯列専門の矯正歯科を選び、適切な診断のもと自身の口ゴボの状態を正確に把握することが重要です。

部分矯正による治療の可否と治療期間・金額をしっかり検討してください。

治療後の保定装置の使用や日常的なセルフケアも、歯列矯正後の後戻りを防ぎ治療効果を持続させるために重要です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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