歯列矯正治療を始めた初日は、痛みはないのでしょうか? 本記事では、歯列矯正治療初日の痛みについて、以下の点を中心にご紹介します!
- 歯列矯正治療の痛みの原因
- 歯列矯正治療の痛みの持続期間
- 歯列矯正治療で痛みがでたときの対処法
歯列矯正治療初日の痛みについて理解するためにも、ご参考いただけると幸いです。 ぜひ最後までお読みください。
歯列矯正治療での痛みとは
- 歯列矯正治療の痛みにはどんな種類がありますか?
- 歯の矯正治療中には、一般的に3つの異なる痛みのパターンが存在し、中には避けられない痛みを伴うこともあります。ただし、これらの痛みは通常一時的なものであり、矯正処置後にすぐに軽減されることがあります。そのため、痛みの強さは限定的であり、長期的な耐えがたい強烈な痛みが持続することはめったにありません。ですから、過度に心配する必要はありません。
- 歯が動く痛み
- 装置が当たる痛み
- 咀嚼する痛み
- 歯列矯正治療の痛みの原因は何ですか?
- 歯列矯正治療中、なぜ痛みが生じるのでしょうか? 以下で解説します。
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- 歯が動く痛み
歯列矯正治療中に最も多く経験される痛みは、歯を動かすことで生じる痛みであると言われています。 痛みの感じ方には個人差がありますが、「歯が浮いたような痛み」や「歯がうずくような痛み」などの表現がなされます。 特に、ワイヤーでの歯列矯正治療中に、ワイヤーの長さを調節したあとの数日間は、歯の周辺組織が吸収と再生を繰り返すため、痛みを感じやすいとされています。 もし、我慢できないほどの痛みが続く場合は、医師に相談しましょう。
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- 装置が口内に当たる痛み
歯列矯正治療中は、矯正装置が口内に当たり痛みが生じることがあります。 矯正装置が、頬の粘膜や歯茎などに当たって摩擦をおこすためです。 特に、表側で行われるワイヤー矯正でよくみられる痛みであり、奥歯のワイヤー処理がしっかりされていないと、痛みが生じやすいと言われています。 ワイヤーの長さ調節が行われたあとに、舌や頬を動かしワイヤーが当たらないか確認するようにしましょう。 もし口内に当たって痛い場合は、その場で再調整してもらうことが重要です。
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- 咀嚼するときの痛み
歯列矯正治療中は、歯が骨の中で長期間安定しないため、硬いものを食べるときに痛みを感じる場合があります。 また、ワイヤーやマウスピースを調整したあとの数日間は、より痛みを感じやすく、食事中に食べ物が歯に触れるだけで痛むこともあります。 痛みがある期間は、うどんやパンなどの柔らかい食べ物を中心にとるようにしましょう。
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- 歯列矯正治療の痛みはどのくらい続きますか?
- 矯正装置を装着した直後は、歯に力が加わっている感覚はあるものの、痛みは感じないことが多いとされています。 一般的には、矯正装置を装着して3時間〜6時間ほどで痛みを感じ始め、痛みがピークとなるのは翌日〜翌々日であり、長くても1週間ほど経つとほとんど痛みはなくなると言われています。 また、矯正治療中は毎月1回通院し調整しますが、調整した後の3日〜1週間は痛みが生じることがあります。 しかし、初回の調整より2回目、2回目より3回目と、だんだん痛みの強さは緩和され、期間も短くなっていきます。 3ヶ月〜半年ほどすると、調整をしてもほとんど痛みは感じないとされています。
- 歯列矯正治療で痛みがない場合は歯が動いてないのでしょうか?
- 歯列矯正治療を始めたての数日間や、毎回の調整後の数日間は、炎症反応によって痛みを感じることがありますが、回を重ねるごとに痛みは弱くなる傾向があります。 そのため、痛みがないからといって、歯が動いていないということはないと言えます。 また、近年では痛みが少ない治療法や矯正装置などが開発されているため、痛みをあまり感じずに治療を進められることもあります。
歯列矯正治療で痛みが出たときの対処法について
- 矯正装置が口内にあたって痛いときはどうすればよいですか?
- 矯正装置が口内に当たって痛いときは、原因は3つ考えられます。 1つ目は矯正装置が頬の粘膜に当たって痛い場合、2つ目はワイヤーが粘膜に刺さって痛い場合、3つ目は矯正装置が舌に当たって痛い場合です。 これらの痛みを防ぐため、医療用シリコーンや医療用ワックス、デュラシール、コモンベースレジンなどの医療用品が開発されました。 医療用シリコーンは、最も一般的であり、口内を乾燥させたあと小さくちぎったシリコンでプラケットを覆い、口内にプラケットが当たるのを防ぎます。 医療用シリコーンは柔らかく痛みの軽減に役立ちますが、水分に弱いため、食事などですぐとれてしまうというデメリットがあります。 医療用ワックスは、シリコーンより少し硬く、あまり取れずに長持ちしやすいと言われています。 シリコーンほど一般的なものではありませんが、シリコーンが何度も取れてしまう場合は、歯科医師に相談しましょう。 デュラシールは、むし歯治療中の仮封剤として使用されるものであり、耐久性が非常に高く、プラケットについているフックやワイヤーの断面に貼って使用します。 ただ、自分で取り外しはできないため、歯科医師に相談した上で使用しましょう。 コモンベースレジンは、主に歯列矯正治療中の痛みを軽減するために開発されたものです。使い方はデュラシールとほぼ同じであり、歯科医師と相談しながら使用しましょう。
- 歯が動いて痛いときはどうすればよいですか?
- 歯は歯槽骨という骨で支えられていますが、歯列矯正治療中、歯はこの歯槽骨の中を移動します。 歯が移動する方向にある歯槽骨が吸収されて、そのスペースに歯が移動し、移動してできたスペースに新たな歯槽骨が作られるのを繰り返すことで、歯並びが整っていきます。 この歯槽骨が吸収されるときに、プロスタグランジンE2という物質ができることで、痛みが生じます。 歯列矯正治療を始めて初期の頃は強い痛みを感じますが、長くても1週間ほどすると次第に痛みは和らいでいくとされています。 装着から数日間は、鎮痛剤を服用し、痛みが軽減するのを待ちましょう。 その後時間が経過しても我慢できないような痛みが続く場合は、矯正器具が合っていない、もしくはワイヤーの力が強すぎるなどの可能性があるため、歯科医師に相談しましょう。
- 食事のときに痛い場合はどうすればよいですか?
- 歯列矯正治療中は、歯に圧迫を加えると痛みが生じることがあるため、食べるものに注意が必要です。 以下に、歯列矯正治療中のおすすめの食べ物を紹介します。
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- 柔らかい食べ物
歯列矯正治療中の痛みがある場合は、柔らかいものを食べ、歯にあまり負担をかけないようにしましょう。 野菜類はスムージーやジュースなどにして飲んだり、ご飯もおかゆにして食べるなど、歯に刺激を与えずに食事をすると良いでしょう。
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- 水分を多く含む食べ物
豆腐や豆乳などの水分を多く含む食べ物は、歯列矯正治療中でも食べやすいでしょう。 また、ご飯やパンが食べられないほど痛いときは、うどんを柔らかくゆでて食べることも1つの方法です。
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- 矯正装置に挟まりにくい食べ物
繊維やスジが大きい食べ物は、矯正装置に挟まりやすくなるため、注意が必要です。 特にワイヤーを使った歯列矯正治療中は歯磨きが困難になるため、矯正装置に挟まりにくい食べ物を選んで摂取すると良いでしょう。
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- ビタミンB2・ビタミンB6を多く含む食べ物
歯列矯正治療中は、矯正装置が口内に当たることによって、口内炎ができることが多いと言われています。 ビタミンB2やビタミンB6は、口内炎を予防したり、回復を促進したりする効果があるとされているため、歯列矯正治療中は積極的に摂取するようにしましょう。 ビタミンB2は牛乳やたまご、ノリやワカメ、きのこ類などに多く含まれており、ビタミンB6はさつまいもやバナナ、鮭、赤パプリカなどに多く含まれています。
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- マウスピースが痛い場合外してもよいですか?
- マウスピース型矯正をする場合、表面が滑らかなマウスピースを使用することが多いため、口内に刺激を与えることはほとんどないと言われています。 ただ、マウスピースの縁が歯茎や舌に当たって痛い場合や、歯の動きを補助するための補助装置であるアタッチメントが頬に当たって痛い場合などがあります。 しかし、マウスピースは1日20時間、毎日装着を続ける必要があるため、痛いからといって長時間マウスピースを外さないように注意しましょう。 マウスピースが口内に当たって痛い場合は、製造段階での研磨不足などの原因が考えられます。 また、アタッチメントも角を丸くして当たりにくくするなどの調整はできるため、歯科医師に相談することが重要です。
編集部まとめ
ここまで、歯列矯正治療における初日の痛みについてお伝えしてきました。 要点をまとめると以下の通りです。
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- 歯列矯正治療の痛みの原因は、歯が動くときの痛み、矯正装置が口内に当たる痛み、咀嚼するときの痛みの3種類である
- 歯列矯正治療中の痛みは、装着日の翌日〜翌々日がピークであり、その後毎回の調整日の3日〜1週間は痛むものの、半年ほど経つとほとんど痛みを感じなくなると言われている
- 歯列矯正治療で痛いときは、医療用品を用いて痛みを軽減する、食事に気をつけるなどの対策法がある
これらの情報が、少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。