噛み合わせ

【小児矯正】子どもの顎が小さいと歯並びが悪くなる原因になるの?影響や改善方法について徹底解説!

小児矯正 顎が小さい

子どもの顎が小さいと、必要なスペースが不足し、歯並びが悪くなる主要な原因となります。この状態は、噛み合わせの問題や顔貌の不調和を引き起こす可能性があります。

本記事では子どもの顎が小さいと歯並びが悪くなるのかについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 顎の発達について
  • 子どもの顎が小さいことによる影響
  • 小さい顎に対する改善方法や歯並びの治療法

子どもの顎が小さいと歯並びが悪くなるのかについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

顎の発達について

顎の発達について

顎が成長する時期はいつですか?
顎の成長は子どもの成長段階に密接に関連しており、顔の成長は5歳までに約40〜45%が進み、10歳までには約80%まで成長します。特に、顎の成長は上顎と下顎で異なり、上顎は小学校低学年から中学年にかけて成長のピークを迎えます。
一方で、下顎の成長ピークは小学校高学年から青春期終わり頃にかけてとなり、この時期に顕著な成長を見せます。
上顎は6~8歳頃の間に急速に成長し、下顎はその後も成長を続け、男子は18歳頃、女子は15歳頃まで成長期が続きます。
顎の発育不全とはどんな状態ですか?
顎の発育不全は、顎骨自体が適切に成長していない状態を指します。この状態は、上顎骨と下顎骨の成長不足により、結果として歯が生えるためのスペース不足や顎の形状の歪みが生じることがあります。
また、顎の発育不全は、歯並びの乱れ、噛み合わせの問題、睡眠時無呼吸症候群などの口腔内外の複数の健康問題に影響を及ぼす可能性があります。
特に、顎の幅や深さが不足している場合や、上顎と下顎のバランスが取れていない場合に顕著に見られます。
顎の大きさは遺伝しますか?
顎の大きさは、親から子へ遺伝する可能性が高いとされています。特に、顎の骨格や形状は遺伝的要因によって決まることが多く、親が小さな顎の場合、子どもの顎も小さくなる傾向があります。これは、顎の形状や大きさに関わる遺伝子が親から子に受け継がれるためです。
しかし、遺伝が全てではなく、成長過程での習慣、環境要因も顎の発達に影響を及ぼします。
したがって、顎の大きさは遺伝的要因に加えて、外的要因によっても変化する可能性があることを理解することが重要です。
顎の発達に食生活は関係がありますか?
顎の発育には食生活が大きく関わっています。
柔らかい食べ物の摂取が多く、十分に噛む機会が少ない食生活は、顎の筋肉や骨格の発達を妨げる原因になり得ます。顎の成長には、噛む動作による筋肉の運動が必要で、特に硬い食べ物を噛むことで奥歯を使い、顎に適度な刺激を与えることが顎の発達に寄与します。

また、バランスの取れた栄養摂取は、顎だけでなく全身の成長に欠かせません。栄養素が豊富な食事は、顎の正常な発達を支えると同時に、全体的な健康状態を維持する上でも重要です。
したがって、子どもの成長期には、噛むことを促す食生活と栄養バランスに配慮した食事を心がけることが、顎の発育を促進する鍵となります。

子どもの顎が小さいことによる影響

子どもの顎が小さいことによる影響

顎が小さいと歯並びが悪くなるのはなぜですか?
顎が小さいと、永久歯が並ぶためのスペースが不足し、歯並びが悪くなる傾向があります。
永久歯が並ぶためのスペースが不足すると、歯が重なり合い、適切な位置に生えていないのが原因で、乱雑な歯並びにつながります。
また、顎の小ささは噛み合わせの不均衡を引き起こし、顎関節症のリスクを高めることが知られています。
さらに、顎が小さいことは、顔にも影響を与え、Eラインの乱れにつながり、横顔の美しさに影響を及ぼす可能性があります。
加えて、顎が小さいと気道が狭くなりやすく、睡眠時無呼吸症候群のリスクも高まります。
これらの問題は、顎の小ささが歯並びに及ぼす影響の一例であり、適切な時期に歯列矯正治療をすることで、この問題の予防や改善が期待できます。
顎が小さいとどのような歯並びになる可能性がありますか?
顎が小さいと、歯並びにさまざまな問題が生じる可能性があります。
以下で具体的な症状を解説します。

【叢生(そうせい)】
叢生は、歯が前後にガタガタと生えてしまう状態で、一般的に「乱杭歯(らんぐいば)」とも呼ばれます。小さな顎の場合、歯同士が十分なスペースを持たずに生えることがあります。結果として、歯並びが乱れ、重なり合ったり、前後に出たりします。
叢生の症状があると、歯の清掃が難しく、むし歯や歯周病のリスクが高まります。

【上顎前突(出っ歯)】
上顎前突は、上顎の前歯が前方に突出している状態です。この状態は、下顎の成長不足によるものが一因です。
出っ歯は口を開けたままにしやすく、それによって口内が乾燥し、むし歯や歯周病のリスクが高まることがあります。

【反対咬合(受け口)】
反対咬合、または受け口とは、下顎が前に出ている状態を指します。小さな上顎と大きな下顎が組み合わさることで、下の歯が上の歯よりも前に出る状態が生じます。これにより咬む力が均等に分散されず、歯に過度の圧力がかかることがあります。

これらの歯並びの問題は、見た目の美容的な懸念だけでなく、口内の健康にも影響を及ぼします。
歯ブラシやフロスが適切に行えないと、むし歯や歯周病が進行するリスクが高まります。
したがって、適切な治療や歯列矯正が必要な場合は、早期に歯科医師に相談することが重要です。

顎が小さいと口呼吸になりやすいですか?
顎が小さいと、鼻呼吸が難しく、口呼吸の傾向が高まる可能性があります。その結果、鼻呼吸が制限され、口での呼吸が増加します。口呼吸は以下のような症状を引き起こす可能性があります。

  • 口腔内の乾燥:
    口呼吸の際、口が開いているため、口内の唾液が蒸発しやすくなり、口腔内が乾燥します。これはむし歯や口内炎などの口内のトラブルを引き起こす可能性があります。
  • 扁桃炎や喉の問題:
    口呼吸により、ウイルスや細菌が直接喉に入りやすくなり、扁桃炎や喉の痛みのリスクが高まります。
  • 顔の発達の影響:
    口呼吸が続くと、顔の発達にも影響を及ぼすことがあります。特に小児期における骨格の成長に悪影響を及ぼし、顎の位置や顔の形に問題を引き起こす可能性があります。

したがって、顎が小さい子どもは、適切な治療や歯列矯正が重要です。
歯科医師や耳鼻咽喉科医との協力により、鼻呼吸を促進することが、口腔および全身の健康に良い影響を与えるでしょう。

小さい顎に対する改善方法や歯並びの治療法

小さい顎に対する改善方法や歯並びの治療法

食生活の見直しで小さい顎を改善できますか?
食生活の見直しは、小さい顎を改善するのに重要です。顎は、食事中の噛む動作に大きく影響されるため、以下のポイントに注意することが役立ちます。

  • 正しい姿勢で食事する:
    食事中の姿勢も重要です。正しい座り方を教え、足をしっかり床につけるように促しましょう。これにより、顎の発達に必要な噛む力をサポートします。
  • よく噛む習慣を育てる:
    子どもたちに一口につき30回噛む習慣を教えましょう。最初は親が手本を示すことで、楽しく続けられます。この習慣は、将来の顎の発達に役立ちます。
  • 歯ごたえのある食材を提供する:
    柔らかい食べ物だけでなく、歯ごたえのある食材も摂取させましょう。野菜スティック、レンコンの煮物、フランスパンなど、硬さの異なる食材をバランスよく食事に取り入れます。

食事習慣の見直しは、子どもたちの顎の健康と発達に重要な役割を果たします。
親御さんは子どもたちに正しい食事習慣を教え、口の健康をサポートしましょう。

急速拡大装置で小さい顎を改善できますか?
急速拡大装置は、「顎が小さい」という問題の改善に役立ちます。顎の骨を拡大し、永久歯が生えるべきスペースを確保することで歯並びの乱れを改善し、顎骨の正しい成長を促します。

ただし、急速拡大装置の使用には注意が必要です。
装置のネジは1日に1〜2回ネジを回す必要があります。拡大する量は患者さんにより異なりますので、決められた拡大量を得るために、指示通りに装置を調整しなければなりません。
また、装置は口の中に大きな金属部分があるため、発音がしにくく、食事のときにも違和感を感じることもあります。

したがって、小さい顎の改善が期待できますが、注意点もあるため歯科医師と相談することが大切です。

子どもの顎が小さく歯並びが悪い場合、どのような治療法がありますか?
子どもの顎が小さく歯並びが悪い場合、以下のような治療法があります。

  • 抜歯矯正治療:
    歯を移動させるためのスペースを確保するために、不要な歯を抜く方法です。抜歯は歯並びを整え、噛み合わせを改善するために必要な場合があります。この治療法は、歯や顎の成長が進んでから行われます。
  • 歯列矯正治療:
    歯並びを整えるために歯列矯正装置が使用されます。これにはワイヤー矯正や、インビザラインなどを使用したマウスピース型矯正などがあり、歯を正しい位置に移動させます。
  • 外科手術:
    成長が終了し、顎の問題が重篤な場合、外科手術が検討されることがあります。この手術は歯と顎を正しい位置に調整し、正常な噛み合わせを取り戻すのに役立ちます。

どの治療法が適切かどうかは、子どもの年齢、歯並びの状態、顎の成長段階などによって異なります。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで子どもの顎が小さいと歯並びが悪くなるのかについてお伝えしてきました。
子どもの顎が小さいと歯並びが悪くなるのか、要点をまとめると以下の通りです。

  • 顎の発育不全は、顎骨自体が適切に成長していない状態のこと
  • 顎が小さいと、「叢生」「上顎前突」「反対咬合」などの問題が生じる可能性がある
  • 子どもの顎が小さく歯並びが悪い場合、「抜歯矯正治療」「歯列矯正治療」「外科手術」などの治療が行われる

これらの情報が少しでも、お子さんの顎が小さいことで悩まれている方のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
宮島 悠旗歯科医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

宮島 悠旗歯科医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

愛知学院大学歯学部卒業 / 東京歯科大学千葉病院にて臨床研修医終了 / 東北大学大学院歯学研究科口腔発育学口座顎口腔矯正学分野 助教 / 宮島悠旗ブライトオーソドンティクス起業 / 著書「国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”-世界で活躍する人の『デンタルケア』-」(幻冬舎)出版 / 合同会社T&Y Connection設立 / ASIA GOLDEN STARAWARD(企業家賞)受賞 / 著書「歯並び美人で充実人生-幸せを呼ぶゴールデンスマイル-」(合同フォレスト)出版 / 株式会社オーティカインターナショナル認定講師 / 現在は宮島悠旗ブライトオーソドンティクス代表としてフリーランス矯正歯科医を行っている / 専門は矯正歯科(Invisalign®︎、小児矯正、Myobrace®︎、マルチブラケット、アンカースクリュー、PBMオルソ(光加速矯正装置))

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