マウスピース型矯正をしていると、マウスピースが歯から浮いてしまう場合があります。もし、マウスピースが歯から浮いてしまうと治療が計画通りに進まなかったり、お口の中を傷付けたりする可能性があるため注意が必要です。
本記事では、マウスピース型矯正でマウスピースが浮いている原因を詳しく紹介します。また、マウスピースが浮いている場合の対処法も解説します。
現在歯列矯正中で、マウスピースが浮いているように感じる人は参考にしてください。
マウスピース型矯正でマウスピースが浮いている原因
- マウスピース型矯正の仕組みを教えてください。
- マウスピース型矯正は、形の違うマウスピースを複数作成し、順番に交換しながら装着することによって歯を動かす歯列矯正の方法です。
マウスピースは口腔内スキャナーで採取したデータをもとに作成します。現在の歯並びを理想の歯並びまで変えていくため、少しずつズレのあるマウスピースを作成します。
ズレのある部分で歯に圧力がかかり、歯が動いていく仕組みです。通常、マウスピースは40~50枚程作成し、1~2週間ごとに交換していきます。
1日の装着時間は20〜22時間程です。患者さんによっては、マウスピースをより歯にフィットさせるために、アタッチメントと呼ばれる小さな突起を歯の表面に付ける場合もあります。
- 装着時間を守らないとマウスピースが浮きやすくなりますか?
- マウスピース型矯正では、1日20〜22時間の装着時間を守ることが重要です。もし、装着時間を守らないと計画通りに歯が動かないため、マウスピースが歯に合わなくなって、歯から浮く原因になりかねません。徐々にマウスピースが合わなくなり、新しく作成し直す必要があるため、費用が発生する場合があります。
また、歯列矯正がうまく進まず、治療期間も延びてしまう可能性もあるでしょう。装着時間を守るとともに、マウスピースを取り外す回数が多くならないようにも注意しましょう。
何度もマウスピースを取り外すと、変形したり、装着時間が減ったりするからです。マウスピースを取り外すのは食事と歯磨きのときが多いですが、付け忘れがないようにしましょう。
- マウスピースの不具合の可能性もありますか?
- マウスピースに歪みや破損など不具合があるために、浮いてしまう場合があります。マウスピースの不具合の原因は、もともと不良品である場合に加え、歯ぎしりや食いしばりなどの癖によって変形したり破損したりすることなどが挙げられます。
さらに、マウスピースを取り外した際にそのままポケットやバッグに入れたり、ティッシュペーパーのようなものに包んだりしていると変形する可能性が高いでしょう。マウスピースを取り外す際には、できるだけ専用のケースに入れて保管することが大切です。
もし、マウスピースが歪んでいた、または破損していた場合は早めに歯科医師に連絡しましょう。
マウスピースが浮いた状態を放置するリスク
- マウスピースが浮いた状態を放置するリスクを教えてください。
- マウスピースが浮いた状態を放置すると、歯に加わる力や方向が変わるため、計画通りに歯が動かない可能性があります。場合によっては、歯がまったく動かないことも考えられるでしょう。
正しい位置に歯が動かないため、治療期間が延びる可能性があります。また、マウスピースが浮いたままで使用を続けると、すでに移動した歯が元の位置に戻ろうとします。その結果、歯並びが悪化する可能性もあるでしょう。
別のリスクとして、お口のなかでマウスピースが動いて、縁の部分が口内を傷付けるケースもあります。傷が原因で口内炎ができたり、痛みがひどくなったりすると、マウスピース型矯正を中断しなければならないでしょう。
- 多少浮いている程度なら問題ありませんか?
- すでに説明したとおり、マウスピースを交換した直後は浮いているように感じる場合があります。マウスピースは、基本的にもともと歯にフィットするようには作られていないからです。
そのため、1〜2mm程度マウスピースが浮いているのであれば、問題はないでしょう。通常、マウスピースを交換してから2〜3日程度で違和感は少なくなります。
ただしマウスピースの交換後2〜3日経過しても隙間が改善されないときは、マウスピースそのものに問題があったり、治療計画どおりに歯が動いていなかったりするケースも考えられます。そのような場合は歯科医院に相談したほうがよいでしょう。
- マウスピースが浮いていると歯列矯正が失敗しやすくなりますか?
- マウスピースが浮いていると、歯列矯正が失敗する可能性があります。歯列に合っていないマウスピースを装着していると、治療計画通りに歯が移動しないからです。そのため、治療計画を立て直したり、マウスピースを作り直したりしなければならない場合があります。
さらにひどい場合は、歯列不正が悪化するケースもあります。治療期間が大幅に延びたり、費用がさらにかかったりすることになりかねないため、早めに対処しましょう。
マウスピースが浮いてしまう場合の対処法
- 自分でできる対処法を教えてください。
- マウスピースが浮いてしまう場合、自分でできる対処法には次のようなものがあります。
- チューイーを使用する
- マウスピースの装着時間を守る
- 1つ前のマウスピースに戻す
- マウスピースが割れていないか確認する
まず、チューイーを使用する方法があります。チューイーはシリコンでできた円柱型の棒で、マウスピースをフィットさせるための補助アイテムです。マウスピースを装着した後に、チューイーを前歯や奥歯で噛むことにより、しっかりマウスピースを装着できます。
通常、マウスピース型矯正を始めるときに一緒にもらうことができますが、正しく使用することが重要です。特に、マウスピースを装着し始めたときや交換直後は浮きやすいため、浮いていると感じる部分を重点的に15分以上はチューイーを噛みましょう。
次に、マウスピースの装着時間を守ることも大切です。装着時間が短いと歯が動きにくくなり、マウスピースが浮きやすくなるため、1日20〜22時間以上は装着しましょう。
最後に、自分でできることとして、1つ前のマウスピースに戻す方法があります。これは、歯の動きが遅いためにマウスピースが浮いてしまう場合に有効です。ただし、自分の判断で行うのではなく、まず歯科医師に相談してから行いましょう。
マウスピースが割れたり、ヒビが入ったりしていないかも確認してください。マウスピースをきちんと保管していなかったり、歯ぎしりや食いしばりの癖があったりした場合、マウスピースが割れる場合があります。もし、マウスピースが割れている場合は自分で治すことはできないため、歯科医院に連絡しましょう。
- 歯科医院ではどのような対応をしてくれますか?
- マウスピースが浮いてしまって歯科医院に相談した場合、次のような対応をしてくれることが多いでしょう。
- リカバリー処置
- マウスピースの再製作
1つ目の対応はリカバリー処置です。これは、マウスピースの浮いている部分にブラケットと呼ばれる装置を装着し、そこにワイヤーを通して調整する方法です。
また、歯にボタンを接着してゴムを装着し、マウスピースの浮いた部分をもとに戻す方法が取られる場合もあります。 2つ目の方法は、マウスピースの再製作です。どうしてもマウスピースが歯に合わない場合、現在の歯列に合わせたマウスピースを作り直すことになります。歯科医院によっては費用が最初の治療費内に含まれるケースがありますが、別途追加費用が必要になる場合もあるでしょう。
編集部まとめ
本記事では、マウスピース型矯正でマウスピースが浮いている原因を紹介しました。マウスピースが交換直後でフィットしていない・治療計画通りの歯の動きではない・マウスピースに歪みや破損があるなどの理由が考えられます。
マウスピースが浮いているときは、原因を確認するとともに早めに対処する必要があります。まずは、マウスピースの装着時間や装着方法を守るなど自分でできることを行いましょう。
それでも改善しない場合は歯科医院に早めに相談することが重要です。
参考文献