噛み合わせ

爪噛みしていると歯並びが悪くなる?爪噛みの原因や影響、対処法や治療法まで解説

爪噛みしていると歯並びが悪くなる?爪噛みの原因や影響、対処法や治療法まで解説

爪噛みは、子どもによく見られる習癖です。ほとんどのケースでは、中学校に上がる前くらいに自然となくなっていきますが、大人になってからも爪を噛む癖が残っている人も少なくありません。一見すると害のない習癖に見えるものの、爪噛みをしていると歯並びが悪くなるという話を耳にすることがありますよね。それだけに小さなお子さんがいる家庭では、子どもの爪噛みにどう対処したらよいのか迷っていることでしょう。ここではそんな爪噛みの原因や歯並びへの影響、対処法などを詳しく解説します。

爪噛みと歯並びの関係

爪噛みと歯並びの関係 はじめに、爪噛みと歯並びの関係について説明します。

爪噛みについて教えてください
爪噛みは、専門的に咬爪癖(こうそうへき)と呼ばれる習慣で、ストレスや不安、退屈などの感情から引き起こされることがほとんどです。一般的には3歳くらいから始まり、小学生の時期に見られる傾向が高いです。どこの指の爪をどの歯で噛むかには、個人差が見られます。また、本人が意識的に爪を噛むケースもあれば、無意識に爪噛みをしてしまうケースもあります。
爪噛みの原因はなんでしょうか?
爪噛みの原因は多岐にわたりますが、主な要因はストレスや不安、退屈などの感情に対する反応です。特に子どもは、学校や家庭でのプレッシャーを感じることがあり、その結果として爪を噛むことがあります。また、両親の間での不和や家庭環境の変化も、子どもにストレスを与える要因となります。大人の場合、職場でのストレスや日常生活での不安が引き金になることがあります。さらに、爪噛みは一種の習慣であり、無意識のうちに繰り返されることも少なくありません。このような背景を理解し、爪噛みの原因に対処することで、改善に向けた一歩を踏み出すことができます。
爪噛みは歯並びにどのような影響を及ぼしますか?
爪噛みは歯並びや噛み合わせに多くの悪影響を及ぼすことがあります。まず、爪を噛むことで前歯に過度な力がかかり、歯の位置が徐々にずれてしまうことがあります。この結果、歯並びが悪くなり、見た目だけでなく、噛み合わせにも問題が生じることがあるのです。具体的には、出っ歯や開咬(かいこう)、乱ぐい歯などの歯列不正が誘発されます。また、爪噛みは歯のエナメル質を損傷することがあります。エナメル質が削られると、歯が敏感になり、冷たいものや熱いものに対する痛みが増すだけでなく、全体の噛み合わせにも大きな変化をもたらしかねないため、十分な注意が必要です。 特に子どもの場合、成長期における歯並びの形成に影響を及ぼす可能性が高く、早期に爪噛みの習慣を改善することが重要です。親御さんは、お子さんの爪噛みの習慣に気付いた場合、早めに対策を講じることが求められます。 爪噛みは見過ごされがちな習慣ですが、歯並びや噛み合わせに対する影響を考慮すると、早期に対策を講じることが重要です。爪噛みの習慣を改善することで、健康な歯並びと美しい笑顔を維持することができます。
爪噛みは歯並び以外に影響する可能性がありますか?
次に挙げるような影響が考えられます。◎手指の手洗い状態によっては不衛生
爪噛みは、手指の手洗い状態によって不衛生な行為となることがあります。指先には多くの細菌が存在し、爪を噛むことでこれらの細菌が口内に侵入するリスクが高まります。結果として、口内炎や感染症を引き起こす可能性があります。

◎矯正中の場合は治療の妨げになる
爪噛みは矯正治療中の患者さんにとって大きな問題となります。矯正装置に対して過度な力が加わることで、治療の進行が妨げられることがあります。さらに、装置が破損するリスクもあるため、矯正治療中は特に注意が必要です。

◎そしゃくや発音に悪影響が出る
爪噛みによって歯並びが悪くなると、そしゃくや発音に悪影響を及ぼすことがあります。噛み合わせが不均衡になると、食べ物をうまく噛むことができず、消化不良の原因となることがあります。また、発音が不明瞭になることで、コミュニケーションに支障をきたす可能性もあります。

爪噛みの対処法と治療法

爪噛みの対処法と治療法 続いては、爪噛みの対処法と治療法について解説します。

子どもに爪噛みをやめさせる方法を教えてください
お子さんに爪噛みをやめさせるには、まずストレスや不安の原因を特定し、それを軽減する環境を整えることが重要です。親御さんが気をつけるべきポイントとしては、爪噛みをしているときに優しく注意し、ポジティブな方法で注意を逸らすことが効果的です。また、苦味成分を含むネイル製品を使用することも一つの方法です。定期的に歯科医師のアドバイスを受けることで、噛み合わせや歯並びの健康を守ることができます。
爪噛みの対処法を行うときの注意点を教えてください
お子さんの爪噛みの対処法を行う際は、強制的にやめさせるのではなく、優しくサポートすることが大切です。親御さんは、お子さんのストレスや不安の原因を理解し、安心できる環境を整えることを心がけましょう。また、爪噛みを叱るのではなく、ポジティブな行動を褒めることで、行動を改善する動機付けになります。
爪噛みで歯並びが悪化した場合の治療法を教えてください
爪噛みが原因で歯並びが悪化した場合、成長期のお子さんには小児矯正が効果的です。小児矯正では、歯の移動だけでなく、顎の成長をコントロールすることで、将来的な噛み合わせの問題を予防することができます。小児矯正の治療は早期に開始することで、より効果的な結果が期待できます。一方、成人の患者さんには歯列矯正が適しています。歯列矯正は、ブラケットやマウスピース型の矯正装置を使用して歯を正しい位置に移動させます。矯正治療により、噛み合わせが改善され、見た目の美しさも向上します。さらに、矯正治療はむし歯や歯周病の予防にもつながります。 どちらの治療法も、歯科医師との綿密な相談が重要です。それぞれの状況に適した治療法を選択することで、長期的な歯の健康を維持することができます。また、爪噛みの習慣を止めるためのアプローチも同時に行うことが必要です。親御さんの協力とサポートが、治療の成功に大きく寄与します。

習慣と歯並びの関係

ここでは、普段から何気なく行っている習慣・習癖と歯並びの関係について解説します。

歯並びを悪くする習慣や癖にはどのようなものがありますか?
歯並びを悪くする口腔習癖には、爪噛み以外にもいくつかの習慣があります。以下に代表的なものを挙げます。
◎指しゃぶり
指しゃぶりは、長期間続けることで前歯が前方に出る出っ歯や、噛み合わせが悪くなる原因となります。そのため親御さんは、早期にこの習慣を改善するための対策を講じることが重要です。

◎舌癖
舌で歯を押す癖や、無意識に舌を前に出す癖も歯並びに影響を与えます。このような舌癖は、開咬(前歯がかみ合わない状態)や、歯列全体の不整を引き起こすことがあります。

◎口呼吸
口呼吸は、歯並びだけでなく、口腔内の乾燥やむし歯のリスクを高める要因となります。口を開けて呼吸することで、上顎が狭くなり、歯が重なり合うようになることもあります。

◎噛みしめ・歯ぎしり
ストレスや緊張によって起こる噛みしめや歯ぎしりも、歯に過度な負担をかけ、歯並びに悪影響を及ぼします。これらの習慣は、顎関節にも問題を引き起こすことがあります。

口腔習癖以外にも歯並びを悪くする癖があれば教えてください
次に挙げるような癖は、歯並びを悪くすることがあります。
◎頬杖をつく癖
頬杖をつく癖は、顎や歯に偏った力がかかり、噛み合わせや歯並びに悪影響を与えます。特に同じ側に長時間頬杖をつくと、歯並びの不正を引き起こす可能性があります。

◎悪い姿勢
悪い姿勢、特に前かがみの姿勢は、首や顎に負担をかけ、噛み合わせのバランスを崩すことがあります。スマートフォンやパソコンの使用時には姿勢に注意し、正しい姿勢を保つことが重要です。

◎片側だけで噛む癖
片側だけで噛む癖は、噛み合わせに偏りを生じさせ、歯並びに影響を与えます。均等に噛むことで、顎の成長と歯並びのバランスを保つことができます。親御さんは、お子さんの食事時の噛み方にも注意を払いましょう。

編集部まとめ

今回は、爪噛みの原因や歯並びを悪くする理由、対処する方法などを解説しました。爪嚙みは、ストレスや緊張などを和らげるために行うことがありますが、長期間続くと、歯並びや噛み合わせに深刻な悪影響をおよぼしかねないため、十分な注意が必要です。そんな子どもの爪噛みに悩んでいる方は、一度、専門家である歯科医師に相談することをおすすめします。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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