噛み合わせ

噛み合わせに影響する顎のズレを放置するリスクとは?顎のズレの原因や治療方法も解説!

噛み合わせに影響する顎のズレを放置するリスクとは?顎のズレの原因や治療方法も解説!

噛み合わせに影響する顎のズレは、日常生活に影響を及ぼし、肩こりや頭痛、顎関節症などを引き起こす原因にもなります。この問題は、歯並びや顎の成長過程、姿勢の悪さなどさまざまな要因によって生じます。
本記事では噛み合わせに影響する顎のズレについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 顎のズレを放置した場合
  • 顎がズレる原因について
  • 噛み合わせや顎のズレに対するセルフケア

噛み合わせに影響する顎のズレについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

顎のズレを放置するリスク

顎のズレを放置するリスク

顎のズレを放置すると、健康や日常生活にさまざまなリスクが生じる可能性があります。

まず、噛み合わせが悪く顎がズレていると、顎関節に負担がかかりやすく、顎関節症を引き起こす恐れがあります。顎関節症は、顎の痛みやクリック音、頭痛や肩こりなどの全身の不調を伴うことが多く、日常生活に影響を与えることが少なくありません。

また、歯への過剰な負担を生み出し、歯の摩耗や割れのリスクも高まります。歯がすり減ると、噛む力が弱まるだけでなく、さらなる顎のズレを引き起こす負のスパイラルに陥ることもあります。

さらに、噛み合わせの悪さや顎のズレは食事や発音に支障をきたし、正しく噛めないため、消化機能にも影響を及ぼす可能性があります。食べ物をしっかりと噛めないことで、胃腸への負担が増し、消化不良や栄養吸収の低下につながることもあります。

その他にも、発音が不明瞭になることもあり、職業上でのコミュニケーションが重要な場合には、大きなハンディキャップとなることが考えられます。

こうしたリスクを考慮し、悪い噛み合わせや顎のズレは、放置せず早期に歯列矯正や治療を行うことをおすすめします。

顎がズレる原因

顎がズレる原因

顎のズレは、さまざまな要因が影響を与えていますが、主な原因には、日常の癖や遺伝、外傷などが挙げられます。
それぞれの要因について、以下で詳しく解説します。

遺伝

顎のズレは、遺伝によって引き起こされる場合があります。

親や近親者に同様の問題がある場合、その特徴が子どもにも現れることがあり、骨格的な要因が関わることもよくあります。遺伝的な影響は成長期に顕著に現れることがあり、歯や顎の発育に影響を及ぼします。

遺伝による噛み合わせの問題や顎のズレは自然治癒が難しいため、歯科医師による診断と早期の治療が重要です。

頬杖や歯ぎしり・食いしばりなどの癖

日常的な習慣が噛み合わせや顎のズレに影響を与えることもあります。

例えば、頬杖をつく癖や就寝中の歯ぎしり、ストレスが原因の食いしばりなどは顎に過剰な負荷をかけ、徐々に骨格や筋肉のバランスを崩してしまいます。これらの癖が長期間続くと、顎の位置がズレ、噛み合わせに影響が出ることがあります。

意識的な生活習慣の改善や、必要に応じてマウスピースなどを用いた対策が有効とされています。

口腔外傷

事故やスポーツ中の衝撃などによる口腔外傷も、顎のズレや噛み合わせの異常を引き起こす原因となります。強い外力が加わると、顎の関節や歯並びが損傷し、その結果、骨格や歯列のバランスが崩れてしまうことがあります。

口腔外傷が原因の場合、早期に適切な処置を受けることで症状が悪化するのを防ぎ、顎のズレや噛み合わせの正常化を図ることが重要です。

顎のズレのチェック方法

顎のズレのチェック方法

顎にズレがあるか、どのようにして簡単に確認できるのでしょうか?
以下にご紹介するセルフチェック方法を使って、自身で確認する方法を見てみましょう。

①耳の頬寄りの部分に人差し指と中指を当てる

耳の頬寄り部分に人差し指と中指を当てる方法は、顎のズレをチェックするために大変効果的な方法です。

まず、両手の人差し指と中指をそれぞれ耳の頬寄りの部分に軽く当てます。この位置は、顎関節が動く部分にあたり、お口を開けたり閉じたりする際に顎の動きが確認しやすいポイントです。指を当てた状態でゆっくりとお口を開け、顎が正常に動いているかをチェックします。

左右の指の位置がずれたり、片側だけが突出するような動きがある場合、顎のズレが疑われます。また、クリック音やカチカチとした音が感じられる場合も、顎関節に何らかの異常が生じている可能性があります。

この方法は自宅で簡単に行え、初期の段階で異常に気付く手助けとなります。
異常を感じた場合は、顎関節症などを取り扱っている歯科や口腔外科を受診してみることをおすすめします。

②ゆっくりとお口を大きく開ける

顎のズレを確認するために、ゆっくりとお口を大きく開ける方法も有効とされています。まず、鏡の前に立ち、自然な姿勢で顔をまっすぐに保ちます。そして、顎をリラックスさせた状態で、ゆっくりとお口を開けていきます。

この際、下顎が左右にぶれることなくまっすぐに動くかを確認します。正常な場合、下顎は真っ直ぐ下に下がりますが、顎のズレがあると、片側に傾く、または左右にふらつくような動きが見られることがあります。

さらに、お口を開ける際に痛みやクリック音が生じる場合も、顎関節に異常がある可能性が考えられます。このチェック方法は、鏡を使うことで視覚的に確認できるため、自身の顎の状態を簡単に把握できます。

痛みや違和感、顎の動きに異常を感じた場合には、自己判断で放置せず、早めに歯科医師の診断を受けることをおすすめします。

噛み合わせと顎のズレの検査方法

噛み合わせと顎のズレの検査方法

噛み合わせや顎のズレを改善するには、どのような検査が必要でしょうか?
顎や歯の状態を把握するためのさまざまな検査を、以下で詳しく解説します。

顔・口腔内の写真撮影

顔や口腔内の写真撮影は、噛み合わせや顎のズレを治療する際に重要な初期の検査です。顔の左右対称性や口内の歯並びを写真に収め、治療前後で比較すれば、顎や歯の動きを視覚的に把握できます。

笑顔やリラックスした状態の写真を撮影すれば、日常的な噛み合わせや顎の位置を正確に確認できます。また、この記録により、歯や顎のズレが将来的に健康へどのような影響を及ぼす可能性があるのかを予測します。

こうした写真データは、治療方針を決定する際の基礎情報として役立ちます。

咬合器に付着した模型

咬合器に付着した模型は、顎の動きや噛み合わせの状態を精密に再現するための重要な検査です。歯の型を取り、咬合器にセットすることで、患者さんの噛み合わせや顎の位置を再現し、口内の状態を詳しく分析します。

咬合器を使うことで、顎のズレや噛み合わせの不調和がどのように影響しているかを視覚的に分析でき、治療計画を立てる際に役立ちます。

また、咬合器の活用は歯の微妙な位置調整や補正治療の精度を高め、顎のズレによる慢性的な痛みを和らげるための精密な治療につながります。

顎の機能検査

顎の機能検査では、お口の開閉や左右の動きを確認し、顎関節の働きをチェックします。顎関節の動きに不自然さや制限がある場合、顎のズレや関節の異常が疑われるため、顎関節症の可能性を診断するために重要な検査です。

患者さんが日常的に感じる痛みや音の有無、動作の範囲を確認することで、症状の原因を特定し、より適切な治療計画が立てられます。

顎の動作がスムーズでない場合は、顎のズレや噛み合わせの異常が身体全体のバランスに影響を及ぼすこともあるため、早期の発見と治療が望まれます。

X線写真

X線写真は、骨や顎関節、歯根部などの内部構造を確認するための必須の検査です。顎のズレや噛み合わせの異常が関節や骨にどのような影響を与えているかを正確に把握でき、関節部分の変形や左右差、骨格の状態も詳細に確認できます。

X線による検査で得た情報は、治療の方針や顎の位置を調整するための参考資料として役立ちます。

また、視覚的に確認しにくい問題を早期に発見することで、顎関節症やほかの合併症を防ぎ、患者さんの負担を軽減する重要な手段となります。

筋触診

筋触診は、顔や首から肩にかけての顎周辺の筋肉の状態を触れて確認する方法で、顎のズレや噛み合わせの異常が筋肉にどのような影響を与えているかを調べます。触診によって筋肉の緊張を感じることで、痛みの原因や筋肉のバランスの乱れを把握できます。

筋触診は、患者さんが普段感じている違和感や痛みの根本原因を探るための大切な手がかりとなり、顎の周囲の筋肉が緊張している場合には、ストレスや生活習慣による影響も考慮されます。

歯ぎしりの検査

歯ぎしりの検査は、噛み合わせや顎のズレが引き起こす問題を明らかにするために行われます。

歯ぎしりやくいしばりが習慣的に行われていると、顎関節や歯に負担がかかり、顎のズレや痛みが生じやすくなります。歯の表面に摩耗や亀裂が見られる場合、歯ぎしりが強く関与している可能性が高いと考えられ、治療方針を決定する際の重要な情報源となります。

検査結果に基づいて、専用のマウスピースを使用したり、噛み合わせを調整したりする対策が講じられます。

噛み合わせと顎のズレの治療方法

噛み合わせと顎のズレの治療方法

噛み合わせや顎のズレはどのように治療できるのでしょうか?
ここでは、歯列矯正や手術などの方法を解説します。

歯列矯正治療

歯列矯正治療は、悪い噛み合わせや軽度の顎のズレを改善する方法のひとつです。ワイヤー矯正やマウスピース型矯正などの手法があり、それぞれ異なる特徴を持ちます。

ワイヤー矯正は、歯にブラケットと呼ばれる装置とワイヤーを取り付けて少しずつ動かしていく治療法です。歯1本ずつを動かせるため、複雑な治療にも対応しています。

一方、取り外し可能なマウスピース型矯正は見た目の自然さや生活のしやすさが特徴で、治療中の審美面を気にする方に多く使用されていますが、重度の不正咬合の方には向いていません。

これらの歯列矯正治療は、歯の位置を調整することで顎のバランスも改善され、噛み合わせが整うことで健康面や見た目にもよい影響を与えます。

外科的矯正手術

外科的矯正手術は、中等度から重度の顎のズレや噛み合わせの問題に対処する方法です。歯列矯正では改善が難しい場合、手術によって骨格自体を調整し、顎の位置や噛み合わせを根本から正します。

手術では、顎の骨を適切な位置に移動させるため、手術後は見た目の改善や噛む機能が大きく向上することが期待されます。ただし、術後の回復には時間がかかるため、慎重な準備と計画が必要です。

噛み合わせと顎のズレのセルフケア方法

噛み合わせと顎のズレのセルフケア方法

噛み合わせの悪さや顎のズレは、日常生活での工夫や自己ケアである程度対策できます。
以下、詳しく解説します。

  1. 姿勢を正す
    まず、正しい姿勢を保つことが基本です。長時間スマートフォンやパソコンを使用すると、姿勢が悪くなり顎に負担がかかりやすくなるため、背筋を伸ばし、顎を引くよう意識しましょう。
  2. 噛み癖の改善
    また、食事の際に片側だけで噛む癖がある場合、噛み合わせや顎のズレを悪化させる原因となります。左右両方でバランスよく噛むよう心がけるとよいでしょう。
  3. 顎や顔周りの筋肉の緊張を和らげる
    さらに、顎周りの筋肉を緩めるための簡単なストレッチも有効とされています。顎をゆっくりと開閉したり、左右に軽く動かすなどの動作を取り入れることで、顎周辺の筋肉がほぐれ、ズレの予防につながります。
    また、指で軽く顎の周りをマッサージすることで、緊張を和らげます。
  4. ストレスをためない
    ストレスも顎のズレや噛み合わせに悪影響を及ぼす要因の一つです。無意識に歯を食いしばってしまうことがあるため、ストレスをためない工夫やリラックスする時間を持つことが重要です。

これらの対策を行っても改善が見られない場合や、症状が悪化するようであれば、噛み合わせ専門の歯科医院や口腔外科への相談をおすすめします。

まとめ

まとめ

ここまで噛み合わせに影響する顎のズレについてお伝えしてきました。噛み合わせに影響する顎のズレの要点をまとめると以下のとおりです。

  • 顎のズレを放置すると、顎関節症のリスクを高めるほか、頭痛や肩こりなどの全身の不調、歯の減りやさらなる顎のズレを引き起こしたり、しっかりと咀嚼できないことから胃腸への負担が増したり、さらに発音が不明瞭になることもある
  • 顎のズレは、遺伝や口腔外傷、さらに頬杖や歯ぎしり・食いしばりなどの癖が主な原因となる
  • 日常生活では、正しい姿勢を保ち、噛み癖を改善し、顎や顔周りの筋肉の緊張を和らげる、ストレスをためないことが悪い噛み合わせや顎のズレのセルフケアとなる

噛み合わせに影響する顎のズレは、日常生活での不快感や健康への影響を引き起こすことがあり、早めの対策や治療が大切です。噛み合わせや顎のズレを診療している歯科や口腔外科での診断を受け、適切な治療を受けることが重要です。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

北海道大学歯学部卒業 / 医療法人社団天祐会 副理事長 / 専門はマウスピース矯正、小児矯正

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