ワイヤー矯正

クリアブラケットのデメリットとは?メリットや治療期間、費用、注意点も解説します

クリアブラケットのデメリットとは?メリットや治療期間、費用、注意点も解説します

ワイヤー矯正では、ブラケットという器具を使用します。歯の表面に接着して、金属製のワイヤーを固定するための器具で、標準ではメタルブラケットが採用されますが、金属色が目立つのが難点です。光を反射して、ギラギラと光るメタルブラケットは見た目が悪く、強い抵抗を感じる方も少なくないことでしょう。

金属を使用しないクリアブラケットであれば、このような審美的な問題は解決できますが、いくつか欠点があることも知っておきましょう。ここではそんなクリアブラケットのデメリットやメリット、矯正を受ける際の注意点をわかりやすく解説をします。

クリアブラケットとは

クリアブラケットとは クリアブラケットとは、透明なプラスチックで作られたブラケットです。歯と同じ色をしているわけではないのですが、透過性があるため、お口と調和しやすいです。 原材料費が安く、審美性も高いことから、近年はワイヤー矯正でクリアブラケットを選択する人が増えています。

通常のブラケットの違い

クリアブラケットもメタルブラケットと同様、矯正用ワイヤーを通すための器具で、形状に違いはありません。ひと目見てわかる違いは審美性です。

透明なクリアブラケットは器具が目立ちにくいのに対し、メタルブラケットはギラギラと光っていて目立ちやすいです。

原材料が異なるため、その他にもたくさんの違いが見られます。

  • 目立ちにくさの違い
  • 装置の強度の違い
  • 金属アレルギーなど安全性の違い
  • 費用の違い

これらの詳細については、メリットとデメリットのところで解説します。

クリアブラケットを選択する人は、メタルブラケットよりも審美性が高い点に魅力を感じて選択される方が増えています。

クリアブラケットで使われる素材

クリアブラケットには透明なプラスチックが使われています。
プラスチックは、日常生活で使う消耗品でも使用され、馴染みのある素材です。簡単に割れる、変形するといったイメージがありますが、クリアブラケットで使われるプラスチックは強度の高い素材が使用されています。

数週間や数ヵ月おきに交換しなければならないような素材ではなく、基本的には矯正期間を通じて使い続けることが可能です。

クリアブラケットのデメリット

クリアブラケットのデメリット 歯列矯正でクリアブラケットを選択した場合のデメリットを解説します。クリアブラケットを検討中で、この器具の欠点を事前に把握しておきたい方は、以下の内容を参考にしてください。

矯正器具の強度が劣る

クリアブラケットは、硬いプラスチック素材で作られていますが、メタルブラケットより強度が劣ります

患者さんの噛み合わせの状態によっては、クリアブラケットに大きな矯正力がかかったり、直接的な圧力が加わったりすることで、欠ける可能性が生じます。その状態が1〜2年におよぶことでクリアブラケットは徐々に劣化していきます。

クリアブラケットが割れたり、外れたりした場合は、新しいものに付け替えることで解決します。

◎クリアブラケットは歯の移動が遅い?

クリアブラケットは、メタルブラケットよりも金属製のワイヤーとの摩擦が大きくなります。その結果、歯を動かす効率がやや低下することから、歯列矯正にかかる期間もわずかに延びることがあるとされています。

食べ物や飲み物による着色

クリアブラケットは、色の濃い食べ物や飲み物を摂取していると、少しずつ着色していきます。

  • コーヒー
  • 紅茶
  • 赤ワイン
  • カレー

これらの飲食物で着色することは少なくありません。

審美性が高い点に魅力を感じてクリアブラケットを選んだにも関わらず、器具そのものが黄ばんで見えるのは避けたいところです。普段からお口にする食品の色を気にしなければなりません。

◎劣化したブラケットは着色しやすい?

クリアブラケットはメタルブラケットよりも劣化しやすいです。さらに使っていくなかでクリアブラケット表面の傷が増えていくと、そこに着色性の物質が沈着して、よりいっそう見た目を悪くなるので、こうした経年的な変化もあらかじめ知っておくことが大切です。

装着時に異物感を感じる可能性

クリアブラケットは、メタルブラケットよりも大きく作られています。

被せ物でも同様で、強度が高いメタルクラウンは薄く作ることができますが、壊れやすいレジン歯は厚めに作らなければなりません。

ブラケットのサイズが大きいため、装着時の違和感も覚えやすくなります。クリアブラケットによる違和感や異物感は、早ければ数日、遅くても数週間で慣れてしまうものですが、メタルブラケットを経験したことのある方の場合は、ストレスも感じやすくなるかもしれません。

特に上顎前突の症例では、口元の突出感がさらに強くなることから、クリアブラケットによる違和感や異物感も大きくなりがちです。

費用が高くなりやすい

クリアブラケットは追加オプションのようなものになりますので、一般的な料金設定では、メタルブラケットより高くなっています。

クリアブラケットの素材も、安価なプラスチックを使用すれば抑えることができますが、セラミックブラケットなど審美性を追求するのなら費用はさらに高額になってしまいます。

歯列矯正において経済面を重視する方には、オプションの費用がかからないメタルブラケットの方がおすすめといえます。

クリアブラケットのメリット

クリアブラケットのメリット 続いては、クリアブラケットによるメリットを解説します。

審美性がよく目立ちにくい

クリアブラケットを選択するメリットは、審美性のよさです。

透明なクリアブラケットは、歯の色を透過して矯正器具を目立ちにくくさせます。歯と同じ色をしているセラミックブラケットよりは審美性に劣りますが、金属色がむき出しのメタルブラケットよりは、自然で満足できる方も少なくはないでしょう。

ただし、歯を動かすためのワイヤーに銀色のものを使った場合は、審美的な効果も減弱してしまう点に注意が必要です。

通常のワイヤーは、メタルブラケットと同じ色をしています。ワイヤーをブラケットに固定するための結紮線は金属色になってしまいます。矯正用ワイヤーによる審美障害まで改善したいのであれば、表面をコーティングしたホワイトワイヤーを選択するとよいでしょう。

クリアブラケットとホワイトワイヤーを組み合わせると目立ちにくくなります。

金属アレルギーの方も使用できる

クリアブラケットのメリットに、金属アレルギーのリスクを軽減できる点があります。

クリアブラケットはプラスチックのみで作られた器具なので、金属アレルギーのリスクはありません。ただし、ワイヤー矯正ではブラケット以外の器具でも金属製のパーツを使うことがあるため、金属アレルギーのリスクを完全になくすことは難しいです。

矯正ワイヤー、結紮線、矯正のバンド、矯正用アンカースクリュー、リンガルアーチなどは金属で作られるのが一般的であることから、ブラケットのみメタルフリーにしても、大きな効果は得られません。

金属アレルギーがある場合は、金属材料を一切使用しないマウスピース型矯正を優先的に検討した方がよいこともあります。歯科医師と相談しながら決めていきましょう。

さまざまな歯並びに対応できる

クリアブラケットの適応範囲は、基本的にメタルブラケットと同じです。

出っ歯や受け口、乱ぐい歯など、ほとんどの歯列矯正に使用できます。歯並びの乱れが大きい症例にも適応可能で、クリアブラケットを選んだから矯正ができなくなるということはまずないと考えましょう。

クリアブラケットの治療期間と治療費用の目安

クリアブラケットの治療期間と治療費用の目安 ここまでは、クリアブラケットの特徴やデメリット、メリットについて解説してきましたが、どのくらいの期間と費用がかかるのかも気になるところです。

治療期間

クリアブラケットを使ったワイヤー矯正にかかる治療期間は、1〜3年程度です。標準的なメタルブラケットを使用した場合と同じです。

クリアブラケットは、歯の移動が遅くなる可能性もありますが、矯正治療全体に対して、大きな影響は見られません。歯を動かす動的治療に1〜3年程度かかるのは、すべての表側矯正に共通していえることです。

ただし、セルフケアやメンテナンスが不十分だと、クリアブラケットが壊れたり、歯周病やむし歯を発症したりして、治療期間が長引いてしまう可能性もあります。

治療費用

クリアブラケットによるワイヤー矯正では、治療費の総額として5〜10万円高くなるのが一般的です。

歯科医院によってはクリアブラケットを選択しても追加の費用がかからなかったり、標準プランに盛り込まれている場合もあります。クリアブラケットの費用が気になるという方は、事前に歯科医院のホームページなどで調べておくとよいでしょう。

歯列矯正は原則として自由診療となることから、オプションであるクリアブラケットの費用も歯科医院によって料金設定が異なります。

クリアブラケットの注意点

クリアブラケットの注意点 クリアブラケットを選択するときの注意点を3つ紹介します。

メンテナンスをしっかりと行う必要がある

クリアブラケットは、メタルブラケットよりもメンテナンスが大切になっています。

  • メタルブラケットよりも強度が低い
  • 傷ついて破損すれば修理が必要

これらの特徴があるからです。例えば、硬い食べ物を習慣的に食べていると、クリアブラケットの一部が欠けて、適切な圧力がかからなくなるトラブルが発生してしまいます。

クリアブラケットの表面に傷がつくと、歯垢や歯石がたまりやすくなり、むし歯・歯周病リスクが高まる点にも注意が必要です。こうしたトラブルを未然に防ぐためには、セルフケアを徹底することはもちろん、歯科医院での定期的なメンテナンスも欠かさずに受けるようにしましょう。

対応できる歯科医院が限られる

一般的なワイヤー矯正に用いられるブラケットは、金属製のメタルブラケットです。そのため、ワイヤー矯正を行っている歯科医院であれば、メタルブラケットが基本であり、クリアブラケットはオプションとなってしまいます。

歯科医院によってはクリアブラケットを取り扱っていないところもあります。クリアブラケットだからといって特別な技術や経験が必要となるわけではないのですが、院長の方針によって取り扱わないと決めているところも珍しくはありません。

クリアブラケットによるワイヤー矯正を希望する場合は、まずホームページをチェックしたり、電話で問い合わせたりするなどして、その取扱いを確認しておきましょう。カウンセリングを受けてから知るよりは、その前の段階でわかっていた方が患者さんおよび歯科医院側にも手間が発生しません。

治療期間が長くなる可能性がある

クリアブラケットはメタルブラケットよりも摩擦が大きいです。金属製のワイヤーで動かすのにやや時間がかかることもあるため、治療期間が長くなる可能性も考慮しなければなりません。

クリアブラケットを選んだからといって、メタルブラケットよりも半年以上、長くなるようなケースは稀といえますので、過剰に心配する必要はないでしょう。あくまでその可能性があることを事前に知っておくことが大切です。

まとめ

今回は、クリアブラケットの特徴やデメリット、矯正治療を受けるうえでの注意点について解説しました。透明なプラスチックで作られたクリアブラケットは、目立ちにくく、金属アレルギーのリスクが低いというメリットがある反面、強度が劣る、着色しやすい、違和感・異物感が大きい、費用が高くなりやすいといったデメリットも伴います。

適切なケアやメンテナンスを怠ると歯周病やむし歯のリスクが高くなるため十分な注意が必要といえます。クリアブラケットで歯列矯正を行いたいという方は、オプションとしてこの器具に対応している歯科医院を探すことから始めましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

北海道大学歯学部卒業 / 医療法人社団天祐会 副理事長 / 専門はマウスピース矯正、小児矯正

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