ワイヤー矯正

犬歯は歯列矯正した方がよい?八重歯との違い・治療方法・費用も解説

犬歯は歯列矯正した方がよい?八重歯との違い・治療方法・費用も解説

犬歯は歯のなかでも食べ物を切り裂く牙の役割を持ち、また奥歯の負担を軽減する重要な歯です。

仮に歯並びが悪く犬歯が本来の役割を果たしていない場合、歯列矯正を行ったほうがよいのでしょうか。

また犬歯はよく八重歯と混同されるケースが少なくありませんが、具体的に何が違うのでしょうか。

この記事では犬歯と八重歯の違いや、治療が必要な際の治療方法や費用を解説します。

犬歯を歯列矯正する必要性

八重歯

犬歯を歯列矯正する必要はありますか?
歯の種類は大きく3つに分かれています。食べ物を噛み切る切歯と磨り潰す臼歯、そしてその間にあり食べ物を切り裂く役目を持つ犬歯です。
ひし形をしており、歯のなかでも強度があるため最後まで残りやすい歯といわれています。犬歯はもともと尖っており、歯並びのなかできれいに揃っているなら歯列矯正する必要はありません。しかし遺伝や噛み合わせの悪さが影響して極端に尖ったり、ほかの歯に押し出されて八重歯になっている場合は歯列矯正を行う必要があります。
犬歯が尖る原因を教えてください。
犬歯が尖る原因は2つあるといわれています。
  • 顎の成長不足
  • 歯が大きい

顎が十分に成長していないと歯の生え変わりの際にスペースが足りずに、歯が前方に押し出されて牙のようになる場合があります。犬歯は生え変わりの時期が遅く、先に生え変わった歯に邪魔されて正しい位置に生えにくい歯です。そのため尖ったように見えやすくなります。
また噛み合わせが悪い場合にも、犬歯が尖るケースがあります。犬歯には奥歯の負担をやわらげる働きがありますが、奥歯で物をしっかりと噛まないでいると犬歯に負担がかかりすぎて擦り減ってしまうのです。すり減りが続くと最終的には平らになりますが、その途中経過で尖るケースがあります。
むし歯や生え変わりのタイミングの早さなどで犬歯の周りの歯が早く抜けてしまった場合も尖る原因の1つです。先に周囲の歯が成長してしまい、顎の成長不足と同じように、犬歯が生え変わるスペースが足りなくなってしまう場合があります。
1本1本の歯が大きいケースも同様です。顎のスペースを超えて歯が生えてきてしまうので、後から生える犬歯が前に押し出されて尖っているように見えます。
最後に顎や歯の形が遺伝した場合です。歯並びは遺伝しませんが、顎の小ささや歯の大きさ・形が子どもさんに遺伝するケースがあります。犬歯はもともと尖った形です。その尖り具合が鋭い場合に、遺伝してしまう可能性があります。

犬歯と八重歯の違いを教えてください。
犬歯と八重歯を同じものだと勘違いしている方もいますが、実際はまったく別のものです。犬歯は歯の名称であり、八重歯は歯の状態異常のことをいいます。
犬歯は一番前の歯から数えて3番目の位置にある歯です。犬歯は奥歯を守り、食べ物を噛み切る役割を持ちます。
一方で八重歯はほかの歯と重なって生えている歯並びの状態をいいます。犬歯は歯のなかでも永久歯に生え変わる順番が遅く、先に生えた歯に押し出されて八重歯になりやすいです。そのため、犬歯と八重歯が同じものだと勘違いする方がいます。
犬歯を治療したほうがよいケースを教えてください。
犬歯が尖って八重歯になっていると、さまざまなデメリットがあり治療したほうがよいです。
八重歯は周りの歯と重なっているため清掃が難しく、むし歯や歯周病の原因になります。
また八重歯は飛び出して生えており噛み合わせの際に役に立っていないケースが多いため、その分ほかの歯に負担がかかってしまいます。本来犬歯は奥歯の負担を減らすガイドのような役割です。八重歯になるとその役割を果たせなくなるため、健康な歯を傷める可能性があります。
このほかにも八重歯のせいでお口が閉じにくく、口呼吸になった結果、口臭の原因になるケースもあります。

犬歯を歯列矯正する方法

矯正器具のイメージ

犬歯の治療方法を教えてください。
犬歯の治療には3つの方法があります。
  • 歯列矯正装置を使って正しい位置に戻す
  • はみ出た犬歯を削って整える
  • 削れた犬歯を医療素材を使って修復する

大がかりな治療方法になるのは歯列矯正装置を使うケースです。長ければ数年にわたって治療する必要があり、費用も高額になります。
しかし審美性やほかの歯の健康を考えるうえで歯列矯正を行うのは有効な手段です。歯科医師と相談し、適切な方法を選びましょう。なお、削ったり修復したりする分には費用は3,000〜100,000円(税込)程度で済むケースが一般的です。

尖った犬歯は削って治療できますか?
尖った犬歯を削って治療することは可能です。しかし、何が原因で尖ったかによって治療方法に注意する必要があります。
もともと歯が大きかったり、八重歯になったりした場合は歯を削って周りと均一にするのも方法の一つです。歯が揃うことで噛み合わせがよくなり歯の負担が減るだけでなく、審美性もよくなります。ただし、健康な歯を削るのは表面のエナメル質を剥がしてなかの象牙質をむき出しにするのと同じであり、冷たいものがしみやすくなる可能性があります。
一方で健康だった歯が削れて尖った場合は逆に埋めてしまうのも方法の1つです。修復治療といい、プラスチック素材や金属を用いて歯をもとの形に近づける方法です。
犬歯の抜歯が必要なケースを教えてください。
大人になると顎の成長は止まり、歯の入るスペースはその時点で決定します。歯列矯正によって多少広げるのは可能ですがそれにも限界があります。
無理に歯を並べるために歯列を広げるのは、口腔内環境に悪影響を与える大きな原因です。例えば将来的に歯肉が下がりやすくなったり、歯周病が進行しやすくなったりする可能性が高くなります。
このような状況を防ぐために、犬歯を残さずに抜歯するのも方法の1つですが、一般的に犬歯は抜歯しません。

犬歯を歯列矯正する費用と期間

時計と計算機

犬歯の歯列矯正にかかる費用の目安を教えてください。
犬歯の歯列矯正にかかる費用はどの矯正装置を使用するかで多少の差があります。
  • ワイヤー矯正
  • 裏側矯正(舌側矯正)
  • マウスピース型矯正

ワイヤー矯正とはワイヤーとブラケットの付いた装置を使って歯列を矯正する方法です。歯の表側に装着し、使う素材によって費用や見た目に影響します。費用は330,000〜1,100,000円(税込)程度です。
裏側矯正(舌側矯正)は歯の裏側に装着する歯列矯正装置です。目立ちにくい反面、オーダーメイドになるため費用は割高で440,000〜1,300,000円(税込)程度かかります。
マウスピース型矯正は取り外しが効く半面、自己管理が必要な歯列矯正装置です。お試し用の安いタイプもありますが、きちんと歯列矯正を行うなら費用は330,000〜1,100,000円(税込)程度必要です。

犬歯の歯列矯正にはどのくらいの期間が必要ですか?
犬歯の歯列矯正には歯並びを整える治療期間と、整った歯が元に戻らないようにする保定期間があります。犬歯だけを治す部分矯正の場合、治療期間の目安は2ヶ月〜1年程度です。その後は保定期間に入り、半年に1度の通院で経過観察を行います。
犬歯を歯列矯正する際の注意点を教えてください。
犬歯を歯列矯正する際には口腔内の環境を常に清潔に保つことが重要です。
ワイヤー矯正・裏側矯正(舌側矯正)の場合、治療中は歯列矯正装置を取り外せません。そのため普段の食事や歯磨きの際に食べかすや歯垢が残りやすくなります。むし歯や歯周炎の原因にもなるので注意が必要です。
マウスピース型矯正の場合は取り外しが可能ですが、食事や歯磨きのとき以外は常につけている必要があるので忘れないように自己管理が必要です。
また歯列矯正中は激しい運動はあまり好まれません。歯列矯正装置が壊れる危険性があり、また裏側矯正(舌側矯正)の場合は口腔内を傷つける可能性もあります。

編集部まとめ

AとBを天秤にかける

犬歯とは歯の名称であり、犬歯が歯列異常を起こしたものが八重歯です。

八重歯はチャームポイントとして扱われる場合もありますが、歯の噛み合わせに影響を与えるだけでなくむし歯や歯周病の原因にもなります。

天然の歯は一度失うと二度と取り戻せません。八重歯に悩むことがあれば、まずは歯科医師に相談し適切な対応を検討しましょう。

この記事が八重歯にお悩みになる方の助けになれば幸いです。

参考文献

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次歯科医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次歯科医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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