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子どもの顎が小さいとリスクがある?歯並びへの影響や治療法を解説!

子どもの顎が小さいとリスクがある?歯並びへの影響や治療法を解説!

お子さんの顎が小さいことで、どのようなリスクがあるのか気になっている方も多いのではないでしょうか?本記事では子どもの顎が小さいことのリスクや治療法について以下の点を中心にご紹介します。

  • 顎が小さいことで起こる健康被害
  • 子どもの顎が小さい原因
  • 顎を発達させるには

お子さんの顎が小さいことのリスクについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

子どもの顎が小さいってどのような状態?

子どもの顎が小さいってどのような状態?

子どもの顎が小さい場合、顎の成長が十分に進んでおらず、歯が正しく並ぶためのスペースが不足している可能性があります。
かわいらしい特徴ととらえられがちですが、放置すると将来的に歯並びや噛み合わせに影響を及ぼすこともあります。
顎が小さいと、歯が重なり合う叢生(そうせい)や、上の前歯が前に出る出っ歯などの歯並びの乱れが生じやすくなります。 特に、歯が大きい場合はさらにスペースが足りなくなり、歯列矯正治療が必要になるリスクが高まります。
お子さんの歯並びが気になる場合は、定期検診の際に歯科医師に相談し、必要に応じて早めに対策を講じることが大切です。 早期に適切な治療を行うことで、将来的な歯列矯正の負担を軽減できる可能性があります。

顎が小さいことで起こる健康への影響は?

顎が小さいことで起こる健康への影響は?

顎が小さいことで、健康に影響が及ぶこともあるのでしょうか?
以下で詳しく解説します。

歯並びが悪くなる

子どもの顎が小さいと、歯がきれいに並ぶスペースが足りず、歯並びが乱れる原因になります。例えば、歯が重なり合ってガタガタになる叢生(そうせい)や、八重歯などが起こりやすくなります。
また、顎の成長不足が原因で、下顎が小さいと出っ歯(上顎前突)、上顎が小さいと受け口(反対咬合)になることもあります。これらの不正咬合は、見た目の問題だけでなく、噛みにくさや発音のしづらさ、顎関節症のリスクを引き起こす可能性があります。
さらに、顎が小さいと将来的に歯列矯正治療が必要になり、永久歯の生えるスペースが確保できない場合、抜歯が必要になることもあります。 早めに歯科医師に相談し、適切な対策を取ることが重要です。

口呼吸になりやすい

子どもの顎が小さいと、口腔内や鼻腔のスペースが狭くなり、鼻呼吸がしづらくなることがあります。その結果、お口で呼吸する口呼吸の習慣がついてしまうことがあります。
口呼吸になると、お口の中が乾燥しやすくなり、むし歯や歯周病、口臭の原因となる細菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。また、酸素の供給が不十分になり、集中力の低下や疲れやすさの原因にもなります。
さらに、下顎が小さいと舌が後ろに下がりやすく、気道が狭くなることでいびきをかきやすくなり、睡眠の質が低下する可能性があります。重度の場合、睡眠時無呼吸症候群につながり、将来的な健康リスクを高めることもあるため、早めの対策が重要です。
お子さんの口呼吸が気になる場合は、顎の発育をサポートする治療や生活習慣の見直しを検討しましょう。

鼻詰まり・喘息のリスク

子どもの上顎は鼻腔(びくう)とつながっているため、上顎が小さいと鼻腔のスペースも狭くなり、鼻づまりを引き起こしやすくなります。 もともと子どもの鼻腔は大人より狭いため、さらに上顎が小さいと鼻水が詰まりやすくなり、副鼻腔炎や慢性的な鼻づまりのリスクが高まります。
また、鼻づまりが続くと鼻呼吸がしづらくなり、口呼吸の習慣がつく可能性があります。 口呼吸になると、むし歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、酸素の供給が不十分になり、集中力の低下や身体の疲れやすさにつながることもあります。

噛む力が低下する

顎が小さいと、噛み合わせが不安定になり、食べ物を十分に噛み砕くことが難しくなることがあります。その結果、咀嚼(そしゃく)効率が低下し、消化不良や栄養吸収の問題を引き起こす可能性があります。
噛む力が弱いと、食事の時間が長くなったり、やわらかいものばかりを好んで食べるようになったりすることもあります。しっかり噛むことは、顎の成長を促すだけでなく、消化を助け、健康的な発育にも重要な役割を果たします。
顎の成長をサポートするためには、硬い食べ物を取り入れたり、正しい咀嚼習慣を身につけることが大切です。

子どもの顎が小さい原因

子どもの顎が小さい原因

子どもの顎が小さい場合、どのような原因が考えられるのでしょうか?
以下で解説します。

遺伝

子どもの顎が小さい原因のひとつに、遺伝の影響が挙げられます。骨格は遺伝しやすいため、親の顎が小さい場合、子どもの顎も小さくなる傾向があります。特に、顎の骨の大きさや形、歯並びには遺伝の影響が強く出やすいとされています。
顎が小さいと、歯がきれいに並ぶスペースが不足し、歯並びが悪くなったり、噛み合わせに問題が生じたりする可能性があります。しかし、遺伝による小さな顎でも、適切な治療によって骨の成長を促し、スペースを確保することが可能とされています。
お子さんの顎の大きさが気になる場合は、早めに歯科医師に相談し、適切な対応を検討することが大切です。

食生活

子どもの顎の成長には、食生活が大きく関係しています。 近年、ハンバーグやスクランブルエッグ、ソーセージなどのやわらかい食べ物を好む傾向が強く、噛む回数が減ることで顎の発達が不十分になることが指摘されています。
顎の骨も適度な刺激があることで発達するため、しっかり噛む習慣が大切です。 硬いものを噛むことで、顎の骨や口周りの筋肉が成長し、正しい歯並びや噛み合わせをサポートします。しかし、噛まずに丸呑みする食べ方や姿勢の悪さが続くと、顎が十分に発達せず、小さいままになってしまう可能性があります。
顎の成長を促すためには、食事の際にしっかり噛むことを意識し、適度に硬い食材を取り入れることが重要です。 バランスの取れた食生活を心がけ、顎の健やかな発育をサポートしましょう。

舌の位置や悪癖

顎の成長には、舌の正しい位置が重要です。リラックスしているとき、舌は上顎の天井についているのが正常ですが、舌が下がっていると正しい圧がかからず、顎の発達が妨げられることがあります。
特に、舌を前に押し出す癖(舌突出癖)や、お口を開けたままの状態(お口ポカン)が続くと、顎の成長が不十分になり、小さいままになってしまう可能性があります。近年はスマートフォンやタブレットの使用によるストレートネックが原因で、舌の位置が悪くなる子どもも増えています。
改善するには、子どもに癖の影響をわかりやすく説明し、舌を正しい位置に置くトレーニングを取り入れることで効果が期待できます。

子どもの顎を矯正する治療法

子どもの顎を矯正する治療法

子どもの顎を矯正する治療法はどのようなものがあるのか、以下で詳しく紹介していきます。

床矯正(拡大床の使用)

顎が小さいと、永久歯が正しく並ぶスペースが足りず、将来的に抜歯をして歯列矯正する必要が出ることがあります。そのリスクを減らすために、顎の成長を促しながらスペースを確保する治療法が床矯正です。
床矯正では、”拡大床”と呼ばれる装置を使い、ネジを回して徐々に顎を広げることで歯が正しく並ぶ環境を整えます。また、上顎の骨を土台ごと広げる”急速拡大装置”を使用することもあります。
この治療は取り外しが可能なため、食事や歯磨きがしやすいのが特徴ですが、1日14時間以上の装着が必要であり、自己管理が重要です。 永久歯に生え変わる6〜11歳頃に行うことで、顎の自然な発育をサポートし、健康的な歯並びを目指せます。

マウスピース型矯正

マウスピース型矯正は、顎の成長を促すためにシリコン製のマウスピースを使用する治療法です。 日中1時間と就寝時に装着することで、口周りの筋肉を鍛え、正しい顎の発育をサポートします。
この治療は、”口腔筋機能療法(MFT)”と併用しながら行うのが特徴です。MFTは、口呼吸・指しゃぶり・舌の癖などを改善するトレーニングで、顎の正しい成長を助けるだけでなく、歯並びや噛み合わせのトラブルを予防する効果も期待できます。
マウスピースは日中1時間+就寝中のみの装着で負担が少ないため、お子さんも続けやすい歯列矯正方法です。

その他の治療法

子どもの顎が小さく、歯が並ぶスペースが足りない場合、床矯正やマウスピース型矯正以外にもさまざまな治療法があります。
例えば、ブラケットとワイヤーを使用して奥歯を後方に移動させることで、前歯が並ぶスペースを確保する方法があります。また、歯のエナメル質をわずかに削ることで、スペースを作る方法も選択肢のひとつです。
さらに、顎のスペースが不足している場合は、小臼歯(しょうきゅうし)を抜歯してスペースを確保するケースもあります。抜歯は慎重に判断されるため、適応かどうかは歯科医師の診断が必要です。
子どもの歯並びや顎の発育に不安がある場合は、早めに歯科医師と相談し、適切な治療法を検討することが大切です。

子どもの顎の治療時期

子どもの顎の治療時期

子どもの顎の歯列矯正治療は、成長が活発な6歳〜12歳の間に開始すると、より効果が期待できます。上顎は10歳頃までに成長し、12歳にはほぼ完成します。下顎はさらに長く成長し、女の子は15歳頃、男の子は18歳頃に成長が止まるとされています。そのため、この成長期間を利用して矯正を行うことで、顎の発育をコントロールしやすくなります。
顎の成長が終わった後でも歯列矯正は可能とされていますが、顎を広げるためには外科手術が必要になることもあります。手術は身体への負担や費用が大きいため、できるだけ成長期のうちに矯正を始めることが理想的です。
また、早期に歯列矯正を行うことで、将来的に抜歯や大がかりな治療が不要になる可能性が高まります。 お子さんの歯並びや噛み合わせが気になる場合は、できるだけ早めに歯科医へ相談しましょう。

子どもの顎を発達させるには

子どもの顎を発達させるには

子どもの顎を発達させるにはどうしたらよいのか、解説します。

よく噛んで食べる

子どもの顎の発達にはよく噛んで食べることがとても重要です。 目安として、一口につき30回噛む習慣をつけることで、顎の筋肉を鍛え、しっかりとした成長を促すことができます。
ただし、厳しく指導しすぎると、子どもが食事を楽しめなくなってしまうこともあります。親御さんが手本を示し、一緒に楽しく噛むことを意識することで、自然と習慣化できます。
バランスの取れた食事とよく噛む習慣を身につけ、健康な顎の成長を促しましょう。

歯ごたえのある物を食べる

子どもの顎の発達には、歯ごたえのある食べ物を意識して取り入れることが大切です。やわらかいものばかりを食べていると、噛む回数が減り、顎の筋肉が十分に鍛えられません。その結果、顎の成長が不十分になり、歯並びや噛み合わせのトラブルを引き起こす可能性があります。
おすすめの食材として、牛肉や豚肉などの筋繊維がしっかりした肉類、こんにゃく、いか、たこ、餅など弾力のある食品、レンコンや野菜スティック、フランスパンなどがあります。また、食材を大きめにカットすると自然と噛む回数が増え、顎や口周りの筋肉を鍛える効果が期待できます。
日常の食事に硬めの食材を取り入れ、しっかり噛む習慣をつけることで、顎の健やかな成長を促しましょう。

姿勢に気を付ける

姿勢の悪さは、顎の成長に影響を与えるため注意が必要です。 猫背や前傾姿勢が続くと、顎の位置がズレて正しい発達が妨げられる可能性があります。特に、長時間のスマートフォンやタブレットの使用による姿勢の崩れには気をつけましょう。
また、食事中の姿勢も顎の発達に影響を与えます。 イスに浅く座ったり、テレビを見ながら食事をしたりすると、咀嚼力が低下し、顎の成長を妨げることがあります。正しい姿勢を保つために、机と椅子の高さを調整し、足がしっかり床につく状態を作ることが大切です。
さらに、子どもは周囲の大人の姿勢をよく見ているため、保護者自身が正しい姿勢を意識することも重要です。 家族全員で正しい姿勢を心がけ、顎の健やかな成長をサポートしましょう。

鼻呼吸の意識

鼻呼吸は、舌の正しい位置を維持し、顎の発達をサポートする重要な役割を担います。顎が小さかったり舌が大きかったりすると、自然と口呼吸になりがちですが、意識的に鼻呼吸を習慣づけることで、顎の健やかな成長を促せます。
口呼吸が続くと、舌が正しい位置につかず、顎の成長が妨げられるだけでなく、歯並びの乱れや口内の乾燥によるむし歯・歯周病のリスクも高まります。そのため、普段から鼻で呼吸する習慣を意識し、楽しく練習できる方法を取り入れることが大切です。

まとめ

まとめ

ここまで子どもの顎が小さいリスクや治療法についてお伝えしてきました。
要点をまとめると以下のとおりです。

  • 子どもの顎が小さいことで歯並びが悪くなる、鼻づまりや口呼吸のリスクが起こる、噛む力が低下するなどの可能性がある
  • 子どもの顎が小さい原因は遺伝、食生活、舌の位置や悪癖などが挙げられる
  • 子どもの顎を発達させるにはよく噛んで硬いものを食べる、姿勢や鼻呼吸を意識するなどが大切である

お子さんの健康を守るためにも、これらの情報が少しでも皆様のお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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