ワイヤー矯正

歯列矯正中にできないこととは?食事・歯磨き・スポーツをする際の注意点を詳しく解説します

歯列矯正中にできないこととは?食事・歯磨き・スポーツをする際の注意点を詳しく解説します

歯列矯正を始めると「普段の生活でどのようなことに気をつければいいの?」「食事や運動に制限はあるの?」といった疑問を抱く方もいるのではないでしょうか。

本記事では歯列矯正中にできないことについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 歯列矯正中の食事
  • 歯列矯正中の歯磨き
  • 歯列矯正中のスポーツ

歯列矯正中にできないことについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

歯列矯正中の食事

歯列矯正中の食事

歯列矯正中に避けるべき食べものを教えてください
歯列矯正中は基本的に食べてはいけないものはありませんが、歯列矯正の種類によっては食べにくいものや、装置を傷つける可能性がある食品があります。ワイヤー矯正(ブラケット矯正)をしている場合、以下のような食べものには注意が必要です。
  • 硬い食べもの
    せんべい、フランスパン、ナッツ類などの硬い食品は、装置に強い負荷がかかり、ブラケットが外れる原因になります。一度外れてしまうと、修理や再調整のために歯科医院へ行く必要があるため、注意が必要です。
    硬いものをどうしても食べたい場合は、小さく砕いたり、やわらかくなるまで煮るなどの工夫をするとよいでしょう。
  • 粘着性のある食べもの
    キャラメルやガム、お餅のように粘り気の強い食品は、装置にくっついて取れにくくなります。ガムやキャラメルはワイヤーを引っ張る力が働き、装置のずれや外れの原因になることがあります。また、歯に残りやすく、むし歯のリスクを高めるため、歯列矯正中はできるだけ避けるのがおすすめです。
  • 繊維質の多い食べもの
    ほうれん草やニラ、グレープフルーツなどの繊維質の多い食品は、歯列矯正装置の隙間に絡まりやすくなります。一度絡まると取り除くのが難しく、歯磨きがしにくくなることで、お口のなかの衛生環境が悪化させる原因になります。
  • 麺類や細長い食べもの
    そばやラーメン、スパゲッティなどの細い麺類は、ブラケットやワイヤーに絡みやすく、不快感を与えることがあります。麺をすすらずに小さく切って食べることで、歯列矯正装置への影響を抑えられる可能性があります。
  • マウスピース型矯正の場合
    マウスピース型矯正(インビザラインなど)では、食事の際に装置を外せるため、基本的には食べものの制限はありません。ただし、装着中は水以外の飲食ができないため、間食の回数が自然と減ることになります。
歯列矯正中に避けるべき飲みものを教えてください
歯列矯正治療中に気をつけた方がよい飲みものは以下のとおりです。
  • 着色しやすい飲みもの
    コーヒー、紅茶、ウーロン茶、赤ワインなどの色の濃い飲みものは、ブラケットやワイヤー、マウスピースなどの歯列矯正装置やワイヤーをブラケットに止めるモジュール(透明なゴム状の輪っか)を変色させる原因になります。透明なマウスピースや白いセラミックブラケットを使用している場合、着色しやすい飲み物を長期間摂取することで黄ばみが目立ちやすくなります。
  • 糖分を含む飲みもの
    ジュース、炭酸飲料、日本酒、ビールなどの糖分を含む飲みものは、むし歯のリスクを高めます。歯列矯正中は装置が歯に密着しているため、糖分が付着しやすく、歯磨きが不十分になるとむし歯の原因になりやすいです。
  • スポーツドリンクやエナジードリンク
    スポーツドリンクやエナジードリンクは、一見健康的なイメージがありますが、糖分やクエン酸を多く含んでいるため、歯列矯正治療中は控えた方がよいでしょう。クエン酸は歯のエナメル質を溶かしやすく、むし歯を進行させる原因になります。
  • アルコール類や炭酸飲料
    アルコールや炭酸飲料は、直接的に歯列矯正治療に悪影響を与えるわけではありませんが、ブラケットやマウスピースの着色、歯の脱水を引き起こすことがあります。赤ワインやダークビールなど色の濃いお酒は、装置の変色を招きやすいため注意が必要です。
歯列矯正治療中におすすめの食べものと飲みものはありますか?
歯列矯正治療中、特に最初にワイヤーを装着した直後に痛みを生じた場合におすすめの食べものと飲みものは以下のとおりです。
  • お粥・リゾット
    お粥やリゾットは、ほとんど噛まずに食べられるやわらかい食事です。ワイヤーを調整した直後は噛むと痛みを感じやすいため、水分量を調節することで食べやすさを向上させます。リゾットは、さまざまな野菜を加えることで栄養バランスも整えやすくなります。
  • 煮込みうどん
    煮込みうどんは、しっかり煮ることで麺がやわらかくなり、あまり噛まずに食べられます。さらに、野菜やきのこを一緒に入れることで、栄養をしっかり摂取できるのもメリットです。
  • オムレツ・スクランブルエッグ
    オムレツやスクランブルエッグは、ふわふわとした食感で、簡単に調理できる上に栄養価も高い食べものです。タンパク質を豊富に含むため、歯列矯正治療中の栄養補給におすすめです。

歯列矯正中の歯磨き

歯列矯正中の歯磨き

歯列矯正中におすすめの歯磨きグッズを教えてください
歯列矯正治療中は、装置が歯の表面にあるため、いつもの歯磨きでは汚れを落としにくいことがあります。そのため、歯列矯正専用のケアアイテムを活用し、歯や装置を清潔に保つことが大切です。歯列矯正中に役立つおすすめの歯磨きグッズは以下のとおりです。
  • タフトブラシ(部分用歯ブラシ)
    タフトブラシは、ヘッドが小さく、毛束が1つだけの歯ブラシです。ブラケットやワイヤー周り、奥歯の裏側など、歯ブラシでは届きにくい場所をピンポイントで磨くのがおすすめです。コンパクトなデザインのため、歯列矯正中の細かい清掃に役立ちます。
  • 歯間ブラシ
    歯間ブラシは、タフトブラシよりもさらに小さいため、ワイヤーの下や装置の隙間などの清掃におすすめです。サイズが豊富にあるため、自身の歯や装置の隙間に合ったものを選ぶとよりよいケアができます。
  • デンタルフロス
    歯と歯の間に詰まった汚れを取り除くにはデンタルフロスが便利です。ただし、ワイヤー矯正をしている場合はデンタルフロスが使いにくいため、歯列矯正専用のスレッダー付きフロスを使用するとスムーズに掃除できます。
  • 洗口液(マウスウォッシュ)
    就寝前に洗口液を使用することで、口内の細菌の繁殖を抑え、むし歯や歯周病のリスクを軽減できます。特に歯列矯正装置の影響で歯磨きが不十分になりがちな部分にもいきわたるため、口腔内を清潔に保つのに役立ちます。
  • ウォーターフロス(口腔洗浄器)
    ウォーターフロスは、水流を使って歯間や装置周りの汚れを洗い流すアイテムです。歯間ブラシやデンタルフロスと併用すると、よりよいケアが期待できます。ワイヤーの下や歯の裏側など、手磨きでは届きにくい部分の汚れを落としやすくなります。
歯列矯正中の歯磨きはどれくらいの頻度で行えばいいですか?
歯列矯正治療中の歯磨きは、1日3回、毎食後に行うのが理想的です。これは、歯列矯正していない場合でも同じですが、歯列矯正中は装置の周りに汚れが溜まりやすいため、こまめなケアが重要になります。食事のたびに歯の表面には汚れが付着するため、歯科的な視点から考えると”食べたらすぐに歯を磨く”ことが望ましいです。しかし、歯列矯正中は歯磨きに時間がかかるため、外出先や仕事・学校などで昼間の歯磨きを十分に行えない場合もあります。

そのような場合は、最低でも1日に1回は、時間をかけてしっかりと歯を磨くようにしましょう。

歯列矯正中の歯磨きの注意点を教えてください
歯列矯正治療中は歯磨きが難しくなるため、より丁寧なケアが必要です。以下の2つのポイントに注意して歯を磨くようにしましょう。
  • 食後はしっかり歯を磨く
    食事をすると、お口のなかでは細菌がパンやご飯などの炭水化物を分解し、結果として口腔内が酸性に傾きます。この酸の影響で歯の表面からカルシウムやリンが溶け出しやすくなります。
  • 就寝前の歯磨きは特に丁寧に
    夜寝ている間は唾液の分泌が減少し、口内の自浄作用が弱まります。唾液は食べかすや細菌を洗い流す役割を持っていますが、その働きが低下すると細菌が繁殖しやすい環境になり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。

歯列矯正中のスポーツ

歯列矯正中のスポーツ

歯列矯正中にスポーツをしてもいいですか?
歯列矯正治療を受けながらスポーツをすることは可能とされていますが、競技の種類によっては歯列矯正装置がケガの原因になることもあります。歯列矯正を始める前に、コーチや歯科医師と相談し、対策を考えておくことが重要です。
歯列矯正治療中に注意した方がよいスポーツを教えてください
歯列矯正治療中に特に気をつけるべきスポーツとして、以下のような競技が挙げられます。
  • アメリカンフットボール
  • ボクシング
  • キックボクシング
  • 総合格闘技
  • 女子ラクロス
  • 極真空手
  • アイスホッケー
  • インラインホッケー

これらのスポーツは、試合中に選手同士の接触やボールとの衝突が発生しやすいため、歯列矯正装置がお口のなかを傷つけるリスクが高くなります。そのため、多くの競技ではスポーツ用マウスピースの着用が義務付けられているため、対策の徹底が求められます。

歯列矯正治療中にスポーツをする場合の注意点を教えてください
歯列矯正治療中にスポーツをする場合の注意点は以下のとおりです。
  • 治療前にスポーツの種類を相談して歯列矯正装置を選ぶ
  • 装置の破損や口内のケガに注意する
  • マウスガードを作製し怪我のリスクを軽減する

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで歯列矯正中にできないことについてお伝えしてきました。歯列矯正中にできないことの要点をまとめると以下のとおりです。

  • 歯列矯正中の食事で避けた方がよい食べ物は、硬い食べもの、粘着性のある食べもの、繊維質の多い食べものなどが挙げられる
  • 歯列矯正治療中の歯磨きは、1日3回、毎食後に行うのが理想的で、歯列矯正中は装置の周りに汚れが溜まりやすいため、こまめなケアが重要になる
  • 歯列矯正治療を受けながらスポーツをすることは可能とされているが、歯列矯正を始める前に歯科医師と相談して怪我の対策をとることが大切

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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