噛み合わせ

噛み合わせの開咬?前歯が閉じないリスクや治療法を解説します

噛み合わせの開咬?前歯が閉じないリスクや治療法を解説します

正しい噛み合わせは健康維持に欠かせない要素です。開咬は、上下の歯が正しく噛み合わない状態を指し、食事や発音に影響を及ぼすことがあります。
本記事では、噛み合わせの開咬について以下の点を中心にご紹介します!

  • 開咬と呼ばれる噛み合わせについて
  • 開咬の治療方法
  • 開咬の予防策

噛み合わせの開咬について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

開咬(かいこう)と呼ばれる噛み合わせについて

開咬(かいこう)と呼ばれる噛み合わせについて

開咬とはどのような状態ですか?
開咬とは、上下の前歯が噛み合わず、隙間ができる状態のことを指します。”オープンバイト”とも呼ばれ、奥歯ではしっかり噛み合っているにもかかわらず、前歯が閉じないため、食べ物をうまく噛み切れない問題が生じます。
開咬は見た目の問題だけでなく、発音や滑舌にも影響を与える場合があります。前歯が閉じないため、特定の音を正確に発音するのが難しくなることがあります。また、歯並びが悪いため、噛み合わせが不均等になり、歯にかかる力の分散がうまくいかず、奥歯に過剰な負荷がかかることがあります。これにより、奥歯の劣化が早まり、歯の寿命が短くなるリスクがあります。
開咬になる原因にはどのようなものがありますか?
開咬の原因には、いくつかの要素が関与しています。代表的な原因には遺伝的要因と幼少期の癖、舌癖、口呼吸などが挙げられます。
まず、遺伝的な要因は、顎の形や成長方向に問題がある場合です。例えば、顎が小さい、または後退しているなどの骨格の異常は、開咬の一因となります。親や祖父母からの遺伝によってこの問題が引き継がれることがあります。
次に、幼少期の癖は、指しゃぶりやおしゃぶりの長期使用、頬杖を突くなどの習慣が影響します。これらの癖が長期間続くと、歯並びに悪影響を及ぼし、上下の前歯が正しい位置に生え揃わずに開咬を引き起こします。
また、舌癖も開咬の原因となります。舌癖とは、舌を不自然な位置に置く癖のことを指し、舌で前歯を押す、または飲み込む際に舌を突き出す癖があります。これが持続すると、前歯が前方に押し出され、開咬の状態になります。
さらに、口呼吸も開咬の要因となります。鼻呼吸ではなく口呼吸により、舌の位置が低くなり、前歯を押し出す力が働きます。これにより、前歯の間に隙間ができ、開咬が進行します。また、口呼吸によりお口周りの筋肉のバランスが崩れ、不正咬合を引き起こすこともあります。
上述の要因が複合的に作用して開咬が発生します。
開咬だと生活に支障をきたしますか?
まず、咀嚼に問題が生じます。前歯で食べ物を噛み切れず、ラーメンやうどんなどの麺類や硬い食べ物を噛み切るのが困難です。
さらに、開咬は発音にも影響を与えます。サ行やタ行、ラ行の発音が不明瞭になりがちです。これは、上下の前歯の隙間から空気が漏れ、音がこもるためです。結果、会話が聞き取りにくくなり、コミュニケーションに支障をきたすことがあります。
また、開咬は見た目にも影響します。お口が閉じにくく、常に開いた状態が続くため、見た目にだらしない印象を与えることがあります。これにより、心理的なストレスや自己評価の低下を引き起こすこともあります。
開咬にはどのような病気のリスクがありますか?
まず、開咬の状態が続くと、前歯で食べ物をうまく噛み切れず、咀嚼が不十分になります。
また、奥歯に過剰な負担がかかり続けることで、奥歯の劣化が早まり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。奥歯の負担増加は、最終的には歯を失う原因にもなり得ます。
さらに、開咬の影響で口呼吸が習慣化すると、口内が乾燥しやすくなります。乾燥した口内は、唾液の自浄作用が低下し、細菌の繁殖を助長します。この結果、むし歯や歯周病のリスクがさらに増加し、口臭の原因にもなります。
口呼吸によって、喉の乾燥や炎症も引き起こされ、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるリスクもあります。

噛み合わせが開咬である場合の治療方法

噛み合わせが開咬である場合の治療方法

開咬は自分で治せますか?
開咬をご自身で治すことは難しいでしょう。開咬は、上下の前歯が噛み合わず、隙間ができる状態であり、正しい治療を行わない限り改善は困難です。インターネット上には、市販のマウスピースや割りばしと輪ゴムを使った歯列矯正が紹介されていますが、これらの方法を試すことは危険です。
自力で歯列矯正を試みると、骨格や歯根など目に見えない部分に過度な力を加えることで、歯並びがさらに悪化したり、歯や歯茎に重大なダメージを与える可能性があります。例えば、力を誤って加えることで歯茎が傷つき、その部分に細菌が入り込んで炎症を引き起こすリスクがあります。また、咬合性外傷となり、歯を失うことにもなりかねません。
開咬の治療方法を教えてください
まず、マルチブラケット装置を用いた歯列矯正があります。歯の傾きを修正し、前歯が正しく噛み合うようにする方法です。見た目が気になる場合は、セラミックブラケットやホワイトワイヤー、裏側からの治療ができるリンガルブラケット装置、あるいは透明なマウスピース型のインビザラインなどの使用も可能とされています。
しかし、単に歯を動かすだけではなく、舌癖を改善するための筋機能訓練(MFT)も重要です。舌を前歯の間に突き出す癖があると、治療後に再び開咬が発生するリスクが高くなります。このため、歯列矯正と併せて舌癖を直すための訓練が必要となります。
骨格的な問題が原因の場合、顎変形症として外科手術を併用する場合があります。この場合、顎の位置や形を調整し、噛み合わせを改善する手術が行われます。手術を伴う治療は、保険適用となります。
また、開咬の治療には歯列矯正用アンカーを用いる方法もあります。アンカーを利用して奥歯を圧下し、前歯が正しく噛み合うようにする方法です。この治療法は、奥歯に過度な負担がかかっている場合に有効です。
治療期間は1〜3年程度で、治療後も保定装置を使って噛み合わせを安定させる期間が必要です。適切な治療と保定を行うことで、開咬の再発を防ぎ、長期的な口腔の健康を維持できます。

噛み合わせの開咬を予防するには

噛み合わせの開咬を予防するには

日常生活で気を付けるべき点はありますか?
開咬を悪化させないために、以下の点に気を付けましょう。
まず、舌の位置に気をつけることが大切です。舌が前歯に当たると、前歯を押し出してしまい、開咬を悪化させる原因となります。舌の正しい位置は上顎の裏側に軽く触れている状態です。日常的に舌の位置を確認し、前歯に当たらないように意識しましょう。
次に、食事時の舌の使い方にも注意が必要です。開咬の方は、食べ物がこぼれないように舌で前歯の隙間をふさいでいることが多いようです。この癖が続くと、開咬が悪化します。食事中に舌がどう動いているかを意識し、舌で前歯を押さないように心がけましょう。
さらに、会話中にも注意が必要です。開咬の場合、自然に舌で前歯を押して発音を補おうとする場合がありますが、開咬を悪化させる原因となります。話すときに舌で前歯を押していないか確認し、正しい発音を心がけましょう。
開咬を予防する方法はあるのでしょうか?
開咬を予防するためには、日常生活での注意が重要です。まず、幼少期の指しゃぶりやおしゃぶりの長期使用は避けるようにしましょう。これらの習癖は、前歯が正しく噛み合わない原因となることがあります。できるだけ早期にこれらの習慣をやめさせることが大切です。
次に、舌の位置にも注意が必要です。舌を前歯の間に押し込む癖があると、開咬の原因になります。正しい舌の位置は上顎の裏側に軽く触れている状態です。日常的に舌の位置を意識し、舌が前歯に当たらないようにする意識が、開咬の予防につながります。
さらに、口呼吸を避けることも大切です。口呼吸は、口内が乾燥しやすくなり、歯並びに悪影響を及ぼす可能性があります。鼻呼吸を意識し、必要に応じて鼻の通りを良くする治療を受けることが推奨されます。
開咬を予防するためには、歯科医師に相談したり、日本矯正歯科学会認定医以上の先生に診てもらったりすることが重要です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで噛み合わせの開咬についてお伝えしてきました。
噛み合わせの開咬の要点をまとめると以下の通りです。

  • 開咬とは、上下の前歯が噛み合わず、隙間ができる状態のこと
  • 開咬の治療法には歯列矯正や筋機能訓練、顎変形症の場合は外科手術などがある
  • 開咬の予防には指しゃぶりを辞めさせる、舌が前歯に当たらないよう注意する。口呼吸を避ける、よく噛んで食べるなどが挙げられる

開咬の問題を理解し、適切な対策を講じることで健康な噛み合わせを取り戻しましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
木下 裕貴医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

木下 裕貴医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

北海道大学歯学部卒業 / 医療法人社団天祐会 副理事長 / 専門はマウスピース矯正、小児矯正

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