噛み合わせ

悪い噛み合わせにはどのような治療法がある?悪い噛み合わせによって起こる症状や原因

悪い噛み合わせにはどのような治療法がある?悪い噛み合わせによって起こる症状や原因

噛み合わせの問題は、頭痛や肩こり、さらには全身の不調を引き起こす原因となることがあります。噛み合わせの治療法には矯正治療や補綴治療、外科的治療などがあります。
本記事では、悪い噛み合わせの治療について以下の点を中心にご紹介します!

  • 悪い噛み合わせの種類
  • 悪い噛み合わせによって起こる症状
  • 悪い噛み合わせの治療法

悪い噛み合わせの治療について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

噛み合わせ治療とは?

噛み合わせ治療とは?

噛み合わせ治療は、歯並びや顎の位置など、噛み合わせの問題を解決するための歯科治療です。正しい噛み合わせは、食事をする際の咀嚼機能や、発音、さらには全身の健康にも大きく関わっています。
不適切な噛み合わせは、歯や歯茎のトラブルだけでなく、頭痛や肩こり、腰痛など全身に様々な影響を及ぼす可能性があります。
噛み合わせの治療には、矯正治療、補綴治療、外科手術など多様な方法があります。これらの治療法は、患者さんの状態やライフスタイル、希望に応じて選択されます。

噛み合わせ治療の重要性

噛み合わせ治療の重要性

噛み合わせ治療は、歯科医療の重要な分野の一つであり、正しい噛み合わせを取り戻すことを目的としています。
噛み合わせの問題は、見た目の問題だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼすため、早期の治療が推奨されます。特に、噛み合わせの問題を放置すると、症状が悪化し、治療が困難になることもあります。
そのため、噛み合わせに不安がある場合は、歯科医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
治療を通じて正しい噛み合わせを取り戻すことで、食事の楽しみ、美しい口元、そして全身の健康を守ります。

悪い噛み合わせの種類

悪い噛み合わせの種類

悪い噛み合わせに、様々なタイプがあることをご存知ですか?以下に詳しく解説します。

叢生(そうせい)

叢生は、歯がきれいに並ぶためのスペースが不足しているために、歯が重なり合ったり、歯列に凹凸が生じたりする状態を指します。
この状態は、顎の大きさに対して歯の大きさが大きい、または歯の数が多いことが原因で起こります。叢生は、見た目の問題だけでなく、噛み合わせの悪化や口腔衛生の悪化にもつながります。
叢生があると、歯ブラシが届きにくい部分が生じ、むし歯や歯周病のリスクが高まります。また、歯が正しく噛み合わないため、咀嚼効率が低下し、消化不良や栄養吸収の問題にも影響を及ぼす可能性があります。
さらに、叢生は見た目の印象を悪くし、自信の低下や社会生活におけるコミュニケーションの障害にもなり得ます。

空隙歯列(くうげきしれつ)

空隙歯列は、不正咬合の一種であり、歯が生えている方向が一定ではなく、バラバラで凹凸が見られたり、重なり合ったりする状態を指します。歯の大きさと顎の大きさのバランスが悪いことが原因です。
空隙歯列には、歯が生えるスペースが不足しているために起こる問題があります。この状態では、歯並びが乱れており、適切な噛み合わせが難しくなります。空隙歯列は外見だけでなく、咀嚼や発音にも影響を及ぼす可能性があります。また、心理的な影響も考えられます。

上顎前突(じょうがくぜんとつ)

上顎前突、通称「出っ歯」は、前歯が前方に出ている不正咬合の一種です。この状態では、上顎が前に出ている(上顎前突症)か、下顎が後ろに引っ込んでいる(下顎後退症)かの2つのタイプがあります。
この問題は、噛み合わせが正常でないため、食べ物を噛むことや発音が難しくなるだけでなく、むし歯や歯周病のリスクも高まります。また、口内を傷つけたり、胃腸に負担をかけたりする可能性もあります。
上顎前突は口が閉じない状態になりやすく、口内が乾燥して口臭が引き起こされることもあります。この状態は将来の歯科治療にも影響を及ぼす可能性があるため、早期発見と適切な治療が重要です。

下顎前突(かがくぜんとつ)

下顎前突は、不正咬合の一種であり、一般的に「受け口」と呼ばれます。この状態では、上下の歯が噛んだ状態で上の歯が下の歯よりも外側に位置しているため、下顎が前に出ている状態となります。
これにより、噛み合わせが正常でなくなり、口が閉じない状態になることがあります。下顎前突の原因は、顎の成長異常や遺伝的要因、舌の位置のずれなどが考えられます。
この状態では、噛み合わせが悪くなるだけでなく、むし歯や歯周病のリスクが高まり、顎関節周りの筋肉が緊張して肩こりや頭痛を引き起こす可能性もあります。

開咬(かいこう)

開咬は、噛んだときに上下の前歯が接触せず、奥歯だけが当たっている状態を指します。この状態では、食べ物が噛みにくくなり、呼吸が漏れやすくなるため、「さしすせそ」の発音がうまくいかなくなることがあります。
不正咬合は見た目だけでなく、健康上も重要な問題であり、むし歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。また、口内を傷つけたり、胃腸に負担をかけたりすることも考えられます。

過蓋咬合(かがいこうごう)

過蓋咬合は、上顎の前歯が下顎の前歯の歯茎に食い込む状態を指します。この状態が進むと、下の前歯が上の前歯の歯茎に食い込んだり、上顎前突(出っ歯)を誘発したりする可能性があります。
過蓋咬合は、噛み合わせが正常でなくなるだけでなく、口腔内の健康や発音にも影響を与えます。この状態では、食べ物を噛みにくくなり、呼吸が漏れやすくなり、「さしすせそ」などの発音が難しくなることがあります。
不正咬合は見た目だけでなく、健康上も重要な問題であり、むし歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。また、口内を傷つけたり、胃腸に負担をかけたりすることも考えられます。

悪い噛み合わせによって起こる症状

悪い噛み合わせによって起こる症状

噛み合わせが悪いことによって、どのような弊害が生じるのでしょうか。以下に詳しく解説します。

顎関節症

悪い噛み合わせが引き起こす症状の一つに、顎関節症があります。顎関節症は、顎関節のクッションとなっている組織がズレたり歪んだりすることで、口を大きく開けられなくなったり、噛む時に痛みや異音がしたりする疾患です。
この症状は、慢性的な疲労感やめまい、頭痛、動悸、不眠症、耳鳴り、イライラや倦怠感などの多様な症状を引き起こし、原因特定が難しい特徴があります。
顎関節症の原因はストレスや噛みしめなどの生活習慣的要因だけでなく、噛み合わせの悪さも一因とされています。不適切な噛み合わせは顎関節に負担をかけ、組織の異常を引き起こす可能性があります。

顔の歪み

噛み合わせの悪さによって、顎の位置や歯並びが乱れ、顔のバランスが崩れることで歪みが生じます。この状態は、顔の左右対称性が損なわれ、顔全体の形や輪郭に変化が現れる可能性があります。
顔の歪みは外見だけでなく、咀嚼(くちょう)機能や口腔内の健康にも影響を及ぼすことがあります。
例えば、不適切な噛み合わせによって食事を摂る際に負担がかかり、口周りの筋肉や関節にストレスがかかることで、頭痛や肩こりなどの症状も引き起こされる可能性があります。

むし歯や歯周病

噛み合わせの悪さによって、歯の負担が増え、歯と歯茎の間に食べかすがたまりやすくなります。これがむし歯や歯周病の原因となります。むし歯は歯の表面が蝕まれる病気であり、噛み合わせが悪いと特定の部位に負担がかかりやすくなるため、その部分にむし歯ができやすくなります。
また、歯周病は歯茎やその周囲の組織に炎症が起こる病気であり、噛み合わせの悪さによって適切な清掃が難しくなり、炎症を引き起こしやすくなります。

肩こり、頭痛

噛み合わせが正しくないと、顎や口周りの筋肉に過度の負担がかかり、それが首や肩にも影響を及ぼす可能性があります。特に、噛み合わせの悪さが頭部や首部位の筋肉に不均衡をもたらし、肩こりや片頭痛の原因となることがあります。
このような症状は、噛み合わせの問題が長期間放置されると慢性化する可能性があります。そのため、適切な治療や対策を行うことで、肩こりや頭痛を改善し、全身の健康を保つことが重要です。
日常生活での姿勢やストレッチ、適切な歯科治療などを通じて、噛み合わせの改善に取り組むことが肩こりや頭痛の軽減につながるでしょう。

胃腸に負担がかかる

悪い噛み合わせが胃腸に与える負担について、噛み合わせの悪さが胃腸に及ぼす影響は重要です。正しい噛み合わせができないと、食べ物を適切に咀嚼できず、胃腸への負担が増加します。
これは、食べ物が細かくならずに胃に運ばれるため、消化器官が余分な労力を必要とし、消化不良や胃腸の不調を引き起こす可能性があります。

噛み合わせが悪くなる原因

噛み合わせが悪くなる原因

噛み合わせが悪くなる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。

悪い習慣や癖

噛み合わせが悪くなる原因の一つに、悪い習慣や癖が挙げられます。特に子どもの頃の指吸いや噛み癖は、将来的に噛み合わせに影響を及ぼす可能性があります。
指吸いや噛み癖は、正しい歯並びや噛み合わせを形成する過程で歯や口の発育に悪影響を与えることが知られています。これらの習慣が続くと、歯並びが乱れたり、顎の成長に影響を与えたりすることで、噛み合わせが悪化する可能性があります。
そのため、子どもの指吸いや噛み癖は早めに適切な対策を取ることが重要です。

歯並びが悪い

歯並びが悪いことは、噛み合わせが悪くなる原因の一つです。遺伝によって生まれつき歯並びが悪い場合やむし歯によって歯の形や歯並びが乱れることがあります。
不正咬合は、噛み合わせや口内環境に影響を与え、むし歯や歯周病のリスクを高める可能性があります。適切な治療や矯正を受けることで、歯並びの改善や噛み合わせの調整が可能です。
噛み合わせの悪さは、むし歯や全身への影響だけでなく、見た目や日常生活にも影響を及ぼすため、適切なケアと治療が必要です。

詰め物や被せ物が合っていない

詰め物や被せ物が合っていないことは、噛み合わせが悪くなる原因の一つです。歯科治療において、詰め物や被せ物を入れる際に適切な高さや形状を保つことが重要です。適切でない詰め物や被せ物は、噛み合わせを乱し、不快感や違和感を引き起こす可能性があります。
このような状況では、咀嚼時に歯に均等な負荷がかからず、顎のバランスが乱れることで体全体のバランスにも影響を及ぼす可能性があります。詰め物や被せ物が合っていない場合は、再調整や修正が必要となります。

悪い噛み合わせの治療法

悪い噛み合わせの治療法

噛み合わせが悪い場合、どのような治療を受けられるのでしょうか。それぞれの方法について、以下に詳しく解説します。

矯正治療

矯正治療は、噛み合わせの治療法の一つであり、歯列矯正とも呼ばれます。この治療法は、歯並びや噛み合わせの問題を改善するために行われます。歯列矯正治療は、歯科医師によって患者さんの個々の状況に合わせて計画され、異なるタイプの装置や方法が使用されます。
具体的には、マウスピースやブラケット矯正などが一般的に使用される方法です。治療中は、定期的な調整や検査が必要であり、治療後にはリテーナーを使用して歯並びを保持します。
矯正治療は自費診療であり、保険適用の対象となる場合もありますが、基本的には自己負担が必要です。大人と子どもでは治療方法や費用が異なり、大人の場合は目立ちにくい裏側矯正装置や表側矯正装置が使用されることが一般的です。
治療費は個々のケースによって異なりますが、大人の場合は70万円以上から始まり、子どもの場合は50万円以上から必要とされます。

補綴(ほてつ)治療

悪い噛み合わせの治療法である補綴治療は、噛み合わせの問題を改善する方法の一つです。この治療法は、歯科医師によって行われ、患者さんの個々の状況に応じて異なる補綴材料や方法が選択されます。
補綴治療は、歯の欠損や噛み合わせの不良を修復し、咬合力を均等に分散させることで、噛み合わせを改善します。
具体的には、詰め物やクラウン(被せ物)、ブリッジ(橋)、義歯などが使用され、患者さんの歯並びや噛み合わせに合わせて適切な補綴材料が選ばれます。
補綴治療は、自費診療であり保険適用の対象となる場合もありますが、基本的には自己負担が必要です。治療期間や費用は患者さんの状況によって異なります。

外科的治療

外科的治療は、悪い噛み合わせの治療法の一つであり、重度の噛み合わせ問題に対処するために行われます。この治療法は、歯科医師によって患者さんの状況に応じて検討され、手術的なアプローチが必要とされる場合に選択されます。
外科的治療は、通常、歯列矯正や補綴治療だけでは解決できない複雑なケースに適しています。手術的アプローチは、例えば顎の形を変える手術や歯を移動させる手術などが含まれます。
外科的治療は、通常、他の治療法による改善が見られない場合や重度の噛み合わせ問題を解決する際に検討されます。

まとめ

まとめ

ここまで悪い噛み合わせの治療についてお伝えしてきました。
悪い噛み合わせの治療の要点をまとめると以下の通りです。

  • 悪い噛み合わせには、叢生、空隙歯列、上顎前突、下顎前突、開咬、過蓋咬合などの種類がある
  • 噛み合わせが悪いと、顎関節症や顔の歪み、むし歯や歯周病、肩こり、頭痛、胃腸の負担などが生じる恐れがある
  • 悪い噛み合わせの治療法には矯正治療、補綴治療、外科的治療などがある

悪い噛み合わせにはさまざまな種類があり、原因や患者さんの状態を元に治療法が選択されます。ご自身の噛み合わせの特徴や治療法について理解したうえで、治療に臨みましょう。

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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