噛み合わせ

前歯の正しい噛み合わせは?治療するべき不正咬合・放置するリスクを解説

前歯の正しい噛み合わせは?治療するべき不正咬合・放置するリスクを解説

前歯の正しい噛み合わせは、下の歯が上の歯にすべて覆われていて上下の前歯の中心が同じ状態です。

不正咬合は歯にダメージがあるだけでなく、身体全体の原因がわからない不調やイライラしたり不安になったりなどのメンタルの不調につながる場合があります。

不正咬合はワイヤー矯正やマウスピース型矯正などの歯列矯正が効果的です。本記事では前歯の正しい噛み合わせや、不正咬合を放置するリスクや治療方法などを詳しく解説しています。

前歯の噛み合わせが気になる方や、不正咬合の治療方法などが気になる方はぜひ参考にしてください。

前歯の正しい噛み合わせは?

歯を見せる人

前歯の正しい噛み合わせについて教えてください。
前歯の正しい噛み合わせは、下記の5つの項目を確認してみましょう。
  • 下の歯がすべて上の歯に覆われている
  • 上の前歯と下の前歯の中心が同じ
  • 上の前歯が出ていたり下の前歯が出ていたりしていない
  • 上の前歯が引っ込んでいたり下の前歯が引っ込んでいたりしていない
  • 前歯が長く伸びていない

完璧に正しい噛み合わせの方はほとんどいないため、多少の噛み合わせのずれは問題ありません。日常生活でうまく噛めないなどの不都合があったり、見た目が気になったりするようでしたら、一度歯科医院にて相談してみましょう。

セルフチェックする方法について教えてください。
噛み合わせをセルフチェックする方法は、軽く上唇と下唇を合わせてみてください。合わせた唇から歯が見えてしまったり、唇が閉じなかったりする場合は噛み合わせに問題があります。
また、奥歯をしっかり噛み合わせお口をイの形にし、指でお口の両端を引っ張ってみてください。上下の歯のすき間が開きすぎている場合、うまく噛み合ってない可能性があります。
s その他、割り箸を使ってチェックする方法もあります。割り箸を横にして前歯で軽く噛んでみて、ななめになるようでしたら噛み合わせが悪い可能性があります。簡単な方法なのでぜひやってみてください。
前歯の噛み合わせが悪くなってしまう原因は何ですか?
前歯の噛み合わせが悪くなる代表的な原因は以下の4つです。
  • 遺伝
  • 口呼吸
  • 小さい頃の指しゃぶり
  • 歯と顎関節のバランスが悪い

顔の骨格は親子で似てしまうため、親の噛み合わせが悪いと子どもも悪くなる可能性があります。また、歯と顎関節のバランスが悪いと歯がうまく生えそろわず、歯並びが悪くなってしまいます。

治療するべき前歯の不正咬合と放置するリスク

歯科治療

治療するべき前歯の不正咬合の種類を教えてください。
治療すべき前歯の不正咬合は以下の5つです。
  • 上顎前突(出っ歯)
  • 反対咬合(受け口)
  • 叢生(八重歯・乱ぐい歯)
  • 開咬
  • 手術を伴う顎変形症

上顎前突とは、いわゆる出っ歯です。前歯や上の歯全体が前に出ている状態の歯です。上顎前突では、噛み合わせが合わずお口をうまく閉じられません。反対咬合は上顎前突とは逆で、下の前歯が出ている状態の歯です。しっかり発音ができず言葉が聞き取りにくくなる場合があります。
叢生は歯がきれいに生えそろわず、乱れている状態の歯です。歯ブラシがうまく届かず汚れが取れない場合が多く、むし歯や歯周病の原因となりやすいです。開咬は噛んでいるときに前歯がくっつかない状態の歯です。食べ物が食べづらく発音が悪くなる原因となります。
手術を伴う顎変形症は、歯並びの問題だけでなく、顎の形が噛み合わせに影響している状態です。歯列矯正だけでは治療が難しいため、顎の骨を正しい位置に戻す外科手術を行い、顎が整ったら歯列矯正を行います。

前歯の不正咬合を放置するとどのようなリスクがありますか?
前歯の不正咬合を放置すると以下のリスクがあります。
  • うまく噛めない
  • 発音がしにくい
  • 見た目に影響が出る
  • むし歯や歯周病になりやすい
  • 自分の歯を長く維持できない

不正咬合では歯磨きがしにくいため、むし歯や歯周病のリスクが上がってしまいます。また、噛むときにしっかり合わさる歯に力が集中してしまうため、負担がかかってしまいます。
いずれも健康な歯を長く維持できない原因となってしまうので、気になる症状がある方は一度歯科医院に相談してみましょう。

前歯の不正咬合を放置することで身体にも影響を及ぼすことはありますか?
不正咬合は噛み合わせに問題が出てしまい、咀嚼筋をしっかり動かせなくなってしまいます。咀嚼筋の動きが悪いと歯の疾患以外にもさまざまな身体症状が現れる可能性があります。主な身体症状は以下のとおりです。
  • 肩こり
  • 頭痛
  • 腰痛
  • 耳鼻咽喉科の疾患
  • 息切れ
  • 疲労感

噛み合わせが悪いと、イライラしたり不安になったりとメンタルにも影響が出るといわれています。また、いわゆる不定愁訴といわれる体調不良のなかには、不正咬合が関係しているものがあります。
病院に行っても原因がわからない体調不良は、もしかしたら不正咬合が関係しているのかもしれません。気になる症状がある方は、歯科医院に相談しましょう。

前歯の不正咬合の治療

マウスピース持つ人

前歯の不正咬合の治療方法を教えてください。
前歯の不正咬合の治療は、乳歯の時期のⅠ期治療と永久歯の時期のⅡ期治療があります。
Ⅰ期治療では骨格を正しく矯正するための装置を使用します。不正咬合の原因が骨格にある場合、バイオネ-ターヘッドギアなどの装置を使い骨格を改善することで治すことができるでしょう。
Ⅱ期治療では、永久歯にマルチブラケット装置を取り付け、歯が正しい位置にそろうように改善していきます。Ⅰ期治療とⅡ期治療の期間は長期にわたり、数年かかるのが一般的です。
Ⅰ期治療で歯列矯正が完成しない場合はⅡ期治療が必要となります。装置をつけている間は汚れがたまりやすく、むし歯や歯周病にかかりやすくなってしまいます。お口の中を清潔に保てるように、歯科医師の指導を受け予防しましょう。
ワイヤー矯正のメリット・デメリットを教えてください。
ワイヤー矯正は、歯にブラケットを装着しアーチワイヤーを通して行います。ワイヤー矯正のメリットは、アーチワイヤーによって少しずつ歯を動かし微調整をしながら歯並びをきれいに改善できる点です。また、ほとんどの不正咬合に適応しているので、子どもから大人まで幅広く治療が可能です。
ワイヤー矯正は丈夫で壊れにくく、ほかの歯列矯正方法と比べ費用が安いメリットがあります。デメリットは、歯に装着しているとどうしても目立ってしまう点です。気になる方は、白いブラケットにするとメタルブラケットよりも目立ちにくいためおすすめです。
歯に装着直後は不快感や痛みが出てしまう可能性があります。また、食べ物によっては装置にダメージを与えるため避ける必要があります。装置の間に汚れがたまりやすく、むし歯や歯周病になりやすいのもデメリットです。
マウスピース型矯正のメリット・デメリットを教えてください。
マウスピース型矯正は、透明なプラスチック状のマウスピースを装着するため、ワイヤー矯正と比べ目立ちにくく気にならないのが大きなメリットです。また、ワイヤー装置のように固定して装着するものではなく、いつでも取り外しができるためすぐに洗浄可能で衛生的です。取り外しができるため、歯のケアを常に行えるメリットがあります。
デメリットは、装着時間をしっかり守らないと歯が動かなくなってしまい、矯正がうまく進まず時間がかかってしまう点です。また、矯正できる不正咬合が限定されてしまうため、マウスピース型矯正を行えない方も出てしまいます。
不正咬合の治療費用相場を教えてください。
不正咬合の治療費用は高額になる傾向があります。また、始める時期や歯の状態、地域によっても金額が変わることが多いため治療方針を決める際はご自身の希望とともに地域の相場も考慮していきましょう。部分的な矯正であれば、比較的費用を抑えられる場合もあります。
以下は一般的な治療費用の目安ですので、参考にしてください。
  • 初診料2,000~3,000円(税込)
  • 検査料40,000~50,000円(税込)
  • 成長期の子どもの治療費用400,000~600,000円(税込)
  • 永久歯の生えそろった大人の治療費用800,000~1,000,000円(税込)
  • 装置の処置や点検料5,000~6,000円(税込)

また、地域やクリニックにより追加費用がかかる場合があります。詳しい費用については、歯科医院でご確認ください。

編集部まとめ

笑う女性

前歯の正しい噛み合わせや、不正咬合による心身の不調や歯列矯正の治療法などを詳しく解説をしました。

完璧な噛み合わせの方はほとんどいないため、特に日常生活に支障がなければあまり心配する必要はありません。

心身に不調があり原因がはっきりしない場合は、噛み合わせに問題があるかもしれないので、歯科医院で相談してみましょう。

歯列矯正は治療期間が長く高額になるため、理想の歯並びを歯科医師とよく話し合い、納得をしてから開始しましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

北海道大学歯学部卒業 / 医療法人社団天祐会 副理事長 / 専門はマウスピース矯正、小児矯正

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