噛み合わせのずれがあっても気にせず過ごしていないでしょうか?噛み合わせがずれる原因は複数あり、生まれつきの歯並び以外にも、さまざまな要因が関係しています。
噛み合わせは全身のバランスを保つためにとても大切です。噛み合わせのずれを放置することで食事の不便さだけではなく、さまざまな身体症状を引き起こす可能性があります。
この記事では噛み合わせのずれの治し方や、原因・放置によって起こる問題について詳しく解説します。噛み合わせのずれについて悩んでいる方や治療中の方にとって参考になれば幸いです。
噛み合わせがずれる原因
- 噛み合わせがずれているかどうかチェックする方法はありますか?
- 噛み合わせがずれているかどうかセルフチェックする方法があります。
1つ目はお口を大きく開くと顎の骨が鳴るかどうかです。顎関節に負担がかかっており、関節の動きがスムーズでない場合は音が鳴ります。
2つ目は前歯の上下を噛み合わせたときにずれているかどうかです。嚙み合わせがずれる原因として、生まれつき歯並びが悪いことや、歯科治療で詰め物が合っていなかったなどが考えられます。
3つ目は、鏡でお顔のバランスを見たときに左右のバランスがずれているかどうかです。歯が上下にずれたり、片側だけに圧がかかり過ぎることで、噛み合わせが乱れたりすることがあります。
- 噛み合わせの中心がずれる原因を教えてください
- 噛み合わせがずれる原因は多岐にわたり、生まれつきの歯並びだけではなく、生活習慣や癖などが関係しています。
具体的には、発育期の爪を噛む・指しゃぶり・歯を食いしばるなどの癖が挙げられます。日常生活の癖も原因の1つです。
姿勢の悪さは歯並びを悪化させます。歯科治療で詰め物などが合わない場合も噛み合わせのずれにつながるでしょう。
噛み合わせがずれている状態とは、一般的に顎の位置や歯の噛み合わせの状態が本来の正しい位置からずれることを指します。
具体的には、顔面や上下の歯列における正中がずれている状態や、顎が本来の噛む位置よりもずれてしまう状態を指すことがあります。
- 大人になってから噛み合わせがずれることもありますか?
- 噛み合わせは歳を重ねていくにつれて変化していきます。むし歯を発症して治療した場合、歯の高さが0.1mm変わっただけでも噛み合わせも変わる場合があります。
また、加齢に伴い歯がすり減ることで噛み合わせが少しずつ変化するのも特徴です。
現在、噛み合わせのずれがない方でも徐々にずれが生じて、お顔が歪んでいく可能性があるので注意が必要です。
噛み合わせのずれの放置で起こる問題
- 噛み合わせのずれを放置するリスクを教えてください
- 噛み合わせのずれを放置すると、身体的にさまざまなリスクが起こります。原因を改善しないことで益々歯並びが悪くなるだけではなく、顎の正常な成長や発育が妨げられてしまいます。
そうすると、これまで支障なく食事ができていたとしても、硬いものが食べにくくなったりするでしょう。
また、むし歯や歯周病になりやすく、歯の寿命が短くなってしまいます。審美的にも口元が気になり、コンプレックスを抱く可能性があります。
また、口腔内以外にも問題が生じるのが特徴です。咀嚼が不十分なことで胃に負担がかかり、消化不良や胃もたれにつながる可能性があります。
このように噛み合わせを放置することで、口腔内のトラブルだけではなく、さまざまな身体的支障をきたします。辛い症状を招かないためにもリスクを十分に理解しておきましょう。
- 噛み合わせがずれている場合は治療をした方がよいですか?
- 日常生活において噛み合わせのずれによる悪影響を及ぼしている場合、治療の対象になります。
噛み合わせをよくすることで抱えている問題やリスクを回避でき、健康な生活を送れる一助となるのです。
しかし治療期間が長期間に及ぶことが多く、治療による痛みやストレスを感じ、場合によっては抜歯をする可能性があります。
歯科医院で受診し、メリットとデメリットを詳しく整理してから治療を受けるか、自分自身で納得したうえで選択をしましょう。
- 噛み合わせのずれは頭痛や肩こりなどの原因になりますか?
- 噛み合わせのずれは口腔内のトラブルや審美面の変化だけではありません。顎の骨は頭蓋骨や頸椎にもつながっているため、頭蓋骨の歪みや、肩のバランスを崩す原因になります。
成人の頭の重さは5kg前後あり、わずかな噛み合わせのずれで首や肩に負担がかかることで、慢性的な頭痛や肩こりを起こす場合があります。
頭痛や肩こりでお悩みの方は噛み合わせを見直す必要があるかもしれません。噛み合わせをセルフチェックして気になる場合は歯科医院への受診をおすすめします。
噛み合わせのずれの治し方・費用
- 噛み合わせのずれは歯列矯正で治せますか?
- 噛み合わせのずれは歯列矯正を行うことで、バランスの取れた噛み合わせを目指すことができます。
歯列矯正を行うには口腔内・顎と噛み合わせ機能・顎のバランス・筋機能などの検査を行います。ほかにも歯型を取ることや、レントゲンを撮影して歯並びや噛み合わせの問題を詳しく分析することも特徴です。
歯列矯正装置は種類が数多くあり、歯の表面に金属やレジンなどの小さな金具を付けて、細いワイヤーを通して歯を動かす装置を使います。
ほかにもプラスチック製の着脱可能な装置や、ヘッドギア、フェイシャルマスクなどを使うこともあります。
- 外科的治療を行うこともありますか?
- 噛み合わせを治すために抜歯が必要な場合もあります。
歯の大きさと歯槽骨の大きさのバランスが悪いと歯並びが悪くなります。歯列が明らかに狭い場合は、幅を広げることもありますが、歯槽骨の大きさは独自のものなので広げるのも限界です。
歯を並べるために歯槽骨の大きさを無視して歯列を広げると、将来歯肉が下がることで歯周病を起こしやすくなります。また歯並び自体が安定しない可能性があるため、歯を並べるスペースをどのように確保するか決める際に、抜歯が選択されることがあります。
抜歯に抵抗がある方は歯科医師と相談し、納得のいく治療を選択することが大切です。
- 治療には保険が適用されますか?
- 噛み合わせの治療で保険適用になるかどうかは、費用の負担に大きく関わるので、気になるポイントかと思います。
保険適用の条件は、手術で顎を動かすことを前提として治療する場合や、厚生労働大臣が定める疾患に起因した噛み合わせ異常の矯正歯科治療(唇顎口蓋裂など)、前歯が3本以上萌出できないことにより噛み合わせが悪いときです。
それ以外の原因で噛み合わせが悪い場合は基本的に全額自己負担となります。
医療機関によっては費用の分割も可能なところもあるので、問い合わせてみることをおすすめします。
- 治療にかかる費用の目安を教えてください
- 噛み合わせを治すには時間も費用もかかるイメージですが、一体どのくらいかかるのでしょうか。
噛み合わせ治療は保険が適用されないため、全額自己負担となります。歯の裏側に装着する精密な装置の場合だと、初診から保定での通院も含めた一般的な総額で800,000~1,200,000円(税込)程です。
費用は地域や医療機関によって異なるので、あらかじめ改善したい部分を相談し、治療期間と料金を確認しておくとよいでしょう。
編集部まとめ
噛み合わせがずれることで口腔内のトラブルだけではなく、身体的な問題も起こる可能性があります。
原因を把握し治療を行うことで、将来的なトラブルを未然に防ぐことにもつながります。また、噛み合わせの治療は長期的にわたるため、身体的・金銭的な負担が大きくなりがちです。
噛み合わせに悩んでいる方は、納得して治療を受けられるよう、日本矯正歯科学会 専門医から十分な説明を受けることが大切です。
噛み合わせを整えて、長期的な健康を目指していきましょう。
参考文献