マウスピース矯正

マウスピース型矯正は1日に何時間着用すべき?守らない場合のリスクや着用のコツや対処法を解説

マウスピース型矯正は1日に何時間着用すべき?守らない場合のリスクや着用のコツや対処法を解説

マウスピース型矯正は、患者さんが装置を自由に着脱できる歯列矯正ですが、マウスピースの装着時間は厳密に守る必要があります。装着時間が足りないと、さまざまなリスクが生じてしまいます。

この記事では、マウスピース型矯正の適切な装着時間や装着を怠った場合のリスク、正しく着用するコツなどを詳しく解説します。マウスピース型矯正には関心があるけれど、マウスピースの装着に関して不安や疑問がある方は参考にしてみてください。

マウスピース型矯正の適切な装着時間

マウスピース型矯正のマウスピース(アライナー)の装着時間について解説します。

マウスピース型矯正は1日に何時間着用するのが理想ですか?
1日で22時間以上装着するのが理想的とされています。短くても20時間以上は装着するようにしましょう。この装着時間を守る自信がない方は、マウスピース型矯正ではなく、ワイヤー矯正を検討した方がよいでしょう。
なぜ、22時間以上と決められているのですか?
マウスピースを装着していないと、歯がもとの位置に戻ろうとする力が働いてしまい、きれいな歯列にならないからです。

1日が24時間なのでほぼ終日、矯正装置を着用することになりますが、この点はワイヤー矯正と共通しています。マウスピース型矯正はマウスピースを自由に取り外せはするものの、矯正装置を装着する時間が短くて済む矯正法というわけではありません。マウスピースの装着時間が短くなると、歯を動かす力も弱くなり、計画どおりに治療が進んで行きません。

食事のときは外しても問題ないか教えてください
外しても問題ありません。マウスピースは、厚みが0.5〜1.0mm程度しかなく、素材もやわらかいものです。マウスピースをつけたまま食べ物を噛めば、変形や破折のリスクがあるため、外して食事することが推奨されます。

スープやジュース、コーヒーといった飲み物をお口にする場合でも、マウスピースを外すことが推奨されています。マウスピースと歯との間にはすき間があり、飲み物が流れ込むと、むし歯や歯の着色のリスクが高まるからです。

糖分や色素が含まれていない水、もしくは炭酸水をお口にするときは問題ありません。

着用時間を守らないことで起こるリスク

着用時間を守らないことで起こるリスク マウスピースの装着時間が短くなることで生じるリスクを解説します。

マウスピースの装着時間を守らないとどのような影響がありますか?
歯が移動せず矯正治療が進みません。マウスピース型矯正は、ワイヤー矯正よりも弱い力でじっくりと歯を動かすため、装着時間が短くなる程、矯正の効果も得られにくくなります。せっかく動かした歯が元の位置に戻ったり、マウスピースが合わなくなったりするなどの影響も起こりえるため、装着時間を厳守するようにしてください。
装着時間の不足が原因で、歯並びがもとに戻ってしまうことがあるのか教えてください
歯並びがもとに戻ってしまいます。マウスピース型矯正のインビザラインでは、マウスピース1枚あたりで0.25mm程度、歯を動かすことができますが、装着時間が不足すると、その分の移動量は数日で戻ることも珍しくありません。
着用時間を守らないとマウスピースが合わなくなることもありますか?
あります。歯の後戻りが起こっている証拠です。

合わないマウスピースを無理に装着すると、痛みが生じるだけでなく、歯に対して不適切な矯正力がかかるため、自己判断で対処するのはやめておきましょう。基本は、ひとつ前のマウスピースに戻って軌道修正することになりますが、後戻りの程度によっては、ほかの対処が必要な場合があるので、不安な場合は主治医に相談しましょう。

マウスピースの装着時間を守るための工夫

マウスピースの装着時間を守るための工夫 マウスピース型矯正のマウスピースは、装着時間を厳守することが必須となります。ここでは、マウスピースの装着時間を守るためのコツやツールを紹介します。

日常生活のなかで無理なく装着時間を確保するコツを教えてください
日常生活でマウスピースを外すタイミングは食事と歯磨きのみです。それ以外の時間は原則として、装置を装着することを徹底する必要があります。

マウスピースの装着時間を適切に確保するためには、食事と歯磨きの時間を管理するのがコツです。食事をするときにスマートフォンのアラームを設定し、食後の歯磨きまでを一定時間内に収めるようにします。間食が増えれば、マウスピースを外す時間も長くなるため、歯列矯正中は、お菓子やスイーツをつまむ回数もできるだけ減らすのが効果的です。

マウスピースの装着習慣をつけるために、便利なアイテムやアプリはありますか?
代表的なものとしては、TrayMinder(トレイマインダー)、My Invisalign(マイインビザライン)、Smile View(スマイルビュー)などがあげられます。いずれも基本的な機能は無料で使用できます。

マウスピースの長時間の装着が難しい場合の対処法

マウスピースの長時間の装着が難しい場合の対処法 何らかの理由でマウスピースの装着時間が守れない場合の対処法を解説します。

痛みや違和感があるときは、歯科医師に相談すべきですか?
普段とは異なる痛みや違和感がある場合は、すぐにでも相談しましょう。

マウスピースが変形・破損している、歯が後戻りしている、口腔内に異常が疑われます。ただし、マウスピース型矯正を始めて間もない頃は、装置による痛みや違和感が強めに現れることもあります。

仕事や学校などで長時間の装着が難しい場合、どのように対応すればよいですか?
基本的にマウスピース型矯正は、職場や学校などでも問題なく歯列矯正を行えるような設計となっています。装置が目立ちにくく、食事や歯磨きのときに取り外せる、歯の移動に伴う痛みが少ない、発音障害が現れにくいといった特徴があります。

それでも、長時間の装着が難しい場合は、裏側矯正や装置を装着したまま食事や歯磨きができるワイヤー矯正(表側矯正)を検討した方がよいでしょう。長時間装着することが難しいのであれば、マウスピース型矯正は避けた方がよいです。

途中から歯列矯正方法を変更することも可能なのか教えてください
基本的には可能です。マウスピース型矯正とワイヤー矯正の両方に対応している歯科医院であれば、歯列矯正方法を変更できます。

通院中の歯科医院が、マウスピース型矯正だけに対応している場合は、ワイヤー矯正に変更するために転院が必要となります。紹介状とこれまでの治療経過を記した診療情報を提供してもらったうえで、転院先ではあらためて精密検査と診断を受け、治療計画を作り直す必要があります。矯正の費用もその分だけ多くかかることになります。マウスピース型矯正を始める際には、こうしたリスクをあらかじめ理解しておくことが大切です。

編集部まとめ

今回は、マウスピース型矯正の装置を1日に装着する時間、装着する時間を守らない場合のリスク、着用のコツなどについて解説しました。

マウスピース型矯正の装置は、1日20〜22時間程度装着するのが一般的です。この時間を守れないと、歯が予定どおりに動かないどころか、歯の後戻りが生じるおそれもあるため、厳守するようにしましょう。

マウスピース型矯正の装着時間を守れる自信がない場合は、固定式の装置を検討した方がよいでしょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝歯科医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝歯科医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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