マウスピース型矯正(インビザライン)は目立ちにくい矯正方法です。しかし、それでも見た目を気にする方もいます。
この記事では、マウスピース型矯正が目立つ原因と、目立ちにくくするための対処法を解説します。マウスピース型矯正の見た目の不安が解消できるよう、最後まで読んでいただくと幸いです。
マウスピース型矯正(インビザライン)の見た目は?
マウスピース型矯正(インビザライン)は、透明なマウスピースを使用した矯正治療法で、従来のワイヤー矯正と比較すると見た目が目立ちにくいという特徴があります。
日常会話や適度な距離からは、装着していることがほとんどわかりません。そのため、多くの方が仕事や学校の場でも矯正装置を見られているのではと口元を気にすることなく使用でき、自然な笑顔で過ごせます。
マウスピース自体は透明で目立ちにくいですが、歯に取り付けるアタッチメントや顎間ゴムは目立つ場合があります。また、マウスピースが変色したり治療のための抜歯によって一時的に隙間ができたりすると、見た目が気になることもあるでしょう。
ただし、これらの見た目の問題は、適切なケアと工夫によって軽減することができます。歯科医師と相談しながら、自分に合った方法を見つけていくことが大切です。
マウスピース型矯正の見た目が目立つ原因
マウスピース型矯正は、ワイヤー矯正などと比べると見た目が目立ちにくい矯正方法です。ただ、使用している素材や、間違ったケアのやり方などで場合によってはかえって目立ってしまうことがあります。
ここからは、マウスピース型矯正が目立つ原因について解説していきます。
アタッチメントが目立つため
アタッチメントとは、マウスピースを歯に固定し、歯を動かす力を効率的に伝えるために歯の表面に付ける小さな突起物のことです。
アタッチメント自体は透明や白いセラミックで作られているため、単体では目立ちにくいですが、光が当たると反射して目立ってしまうことがあります。
またアタッチメントは歯の色や形に合わせて作られますが、まったく同じ色にすることは難しく、アタッチメントと歯の色の違いが目立つ場合があるため注意が必要です。
アタッチメントの取り付ける位置も、必要に応じて目立ちやすい前歯になることもあるため、どうしてもお口を開くと見えてしまうことがあります。
顎間ゴムが目立つため
顎間ゴムとは、上下の歯に引っかけるゴムで、噛み合わせを調整するために使用するものです。顎間ゴムは透明や白いものもありますが、上下の歯にまたがって引っかけるため、どうしても目立ってしまいます。
特に、食事や会話の際に顎間ゴムが見えてしまうことがあるため、気になる方もいるでしょう。
マウスピースが変色して目立つため
マウスピースは透明でも、使用していくうちに変色してしまうことがあります。コーヒーや紅茶、タバコなどの着色料が原因で、マウスピースが黄ばんだり色が付いたりするためです。
変色したマウスピースは、透明度が下がるため目立ちやすくなります。こまめなケアを行い、変色を予防することが大切です。
治療のための抜歯の隙間が目立つため
マウスピース型矯正では、歯並びの状態により歯を抜いてスペースを作る、抜歯を行う場合があります。
抜歯直後は、歯を抜いた隙間が目立ってしまいます。
抜歯後の隙間は矯正治療の進行とともに徐々に埋まっていきますが、治療が完了するまでは歯抜けの状態が続くため、見た目が気になる方もいるかもしれません。
マウスピース型矯正を目立ちにくくする対処法
マウスピース型矯正であるインビザラインは、透明で目立ちにくいことが特徴です。しかし、使用方法や使っている器具によっては目立ってしまうことがあるため、工夫が必要になります。
ここからは、見た目をより自然に保つための具体的な対処法について、詳しく解説していきましょう。
アタッチメントの装着について歯科医師に相談する
インビザライン矯正では、歯に直接装着する小さな突起物、アタッチメントが重要な役割を果たします。
アタッチメント自体はとても小さいですが、装着することにより、マウスピースをしっかりと固定しマウスピースが浮くのを防ぐ効果があります。また、歯を効率的に細やかに動かすことができるため、美しい歯並びを作るために必要な装置です。
アタッチメントは歯の色に近いプラスチック樹脂で作られますが、場合によっては目立ってしまうことがあります。アタッチメントの色や形状について、歯科医師と相談してみましょう。できるだけ目立ちにくいアタッチメントを選ぶことで、気になる見た目を改善できる可能性があります。
アタッチメントを定期的にクリーニングする
アタッチメントは歯の表面に取り付けられているため、歯垢や着色汚れが付着しやすくなります。歯の表面に付着した食べ物の残りや着色成分がアタッチメントに蓄積されると、変色や黄ばみの原因となるので注意が必要です。
毎日の歯磨きの際には、アタッチメントも丁寧に磨くことを心がけましょう。アタッチメントに傷がついたり外れたりしないよう、やわらかい歯ブラシを使用しやさしく磨きます。また、洗口液を使うとより効果的です。
歯医者での定期検診時に、アタッチメントのクリーニングをお願いするのもよいでしょう。
目立ちにくい色の顎間ゴムを使用する
顎間ゴムは、上下の歯の位置関係を調整するために使用されます。透明な顎間ゴムもありますが、歯の色に近い色の顎間ゴムを選ぶことで、目立ちにくくなります。
歯科医師と相談し、自分の歯の色に合った顎間ゴムを選びましょう。また、顎間ゴムを装着する位置の調整をすることで、できるだけ見えにくくすることもできます。
食事や飲み物を飲むときにはマウスピースを外す
マウスピースの透明性を維持するためには、食事や飲み物による色素沈着を避けることが重要です。マウスピースを装着したまま食事をすると、マウスピースが汚れたり、変色したりする原因になります。
特にコーヒーや紅茶、ワインなどの着色成分を含む飲料は、マウスピースの変色を引き起こすことがあります。食事や飲み物を飲むときには、マウスピースを外しましょう。
外したマウスピースは専用のケースに入れて保管し、歯磨きをしてからマウスピースを装着することで、汚れや変色を防ぐことができます。
マウスピースのケアを念入りに行う
マウスピースは、毎日のケアが大切です。歯磨きを丁寧に行い、汚れや細菌を取り除きましょう。また、専用の洗浄剤を使用することで、より効果的にクリーニングすることができます。
洗浄剤はドラッグストアなどでも購入できるため、マウスピースを透明なままきれいに保ちたい場合はおすすめです。
ただし、マウスピースは樹脂素材なため、研磨剤の入った歯磨き粉や熱いお湯を使用すると傷ついたり変形したりする可能性があります。ケアの方法には注意しましょう。
マウスピースを清潔に保つことで、変色や匂いを防ぎ、目立ちにくくすることができます。毎日のケアを習慣づけ、マウスピースを快適に使用しましょう。
保定期間に装着するリテーナーは目立つ?
リテーナーは、歯列矯正の治療が終了した後に使用する装置です。矯正治療によって歯を移動させた後、リテーナーを装着することで歯の位置を保持し、後戻りを防ぐ役割があります。
リテーナーは、主にこの2種類です。
- 取り外し式リテーナー:透明なマウスピース型のものと、プレートタイプのものとがあります。患者さん自身で装着・取り外しができるため、食事や歯磨きの際には外すことができます。
- 固定式リテーナー:細い金属のワイヤーを歯の裏側に接着剤で固定する方法です。主に前歯の裏側に使用されることが多く、24時間装着したままにします。取り外しができないため、歯の位置を安定させる効果が高いといわれています。
固定式リテーナーは歯の裏側に装着するため、目立ちにくいのが特徴です。ただ、歯の裏側にあり取り外すこともできないため日常のケアが難しく、装置の周りに歯石がつきやすくなります。
取り外し式のプレートタイプのリテーナーは歯の裏側の樹脂プレートと前歯側のワイヤーで保定します。耐久性に優れており、後戻りしにくいリテーナーです。しかし、ワイヤーが表側に見えるため、会話時に目立つ場合があります。
一方で、取り外し式のマウスピース型リテーナーは、インビザライン同様透明で目立ちにくい構造となっています。そのため、リテーナーを目立たせたくない方には、マウスピース型がおすすめです。
また、もともとマウスピース型矯正に慣れている方からすると、ストレスも少ない方法であると考えられます。
ただし、リテーナーも長期間装着していると、汚れや変色が気になることがあります。リテーナーは通常、1日平均20時間以上の装着が必要です。リテーナーを装着することで、歯の位置を保持し、後戻りを防ぐことができます。
汚れや変色を防ぐため、定期的なクリーニングを行い、リテーナーを清潔に保ちましょう。
また、定期的な通院も欠かせません。リテーナーの状態を確認し、必要に応じて調整や交換を行います。歯科医師と相談し、自分に合ったリテーナーを選ぶことが大切です。
マウスピース型矯正の治療期間
マウスピース型矯正の治療期間は、歯並びの状態や矯正の範囲によって異なります。一般的に、全体矯正の場合は部分矯正よりも治療期間が長くなることが多いです。
抜歯が必要な場合や歯並びの状態だけでなく、マウスピースの装着時間や装着方法によっても期間が長くなることがあります。マウスピースを正しく装着することで治療期間を長引かせないようにすることも大切です。
ここでは一般的な治療期間について、解説していきます。
全体矯正の場合の治療期間
全体矯正とは、上下の歯全体を矯正する方法です。歯並びが大きく乱れている場合や、噛み合わせに問題がある場合などに適しています。
全体矯正の治療期間は、平均して1年半から2年程度かかります。ただし、歯並びの状態が複雑な場合や顎の骨格に問題がある場合は、2年以上かかることも少なくありません。
部分矯正の場合の治療期間
部分矯正とは、上下の歯のうち、特定の歯だけを矯正する方法です。前歯だけを矯正する場合や、少数の歯を移動させる場合などに適しています。
部分矯正の治療期間は、平均して6ヶ月から1年程度です。ただし、矯正する歯の本数や移動距離によって、治療期間は異なります。
マウスピース型矯正以外の目立ちにくい歯列矯正の方法
マウスピース型矯正は目立ちにくい選択肢の一つですが、ほかにも見た目を気にせずにすむ矯正方法があります。それぞれの特性を理解することで、自分に合った方法を選びましょう。
裏側矯正(舌側矯正)
裏側矯正(舌側矯正)とは、歯の裏側にブラケットとワイヤーを装着して歯並びを矯正する方法です。
歯の裏側に装置を装着するため、正面からは装置が見えにくく、周りの方に気付かれにくいというメリットがあります。どうしても装置が見えることが気になるという方にはおすすめの方法です。
ただし、裏側矯正(舌側矯正)は装置が舌に当たることがあるため、違和感を覚えたり話しにくさを感じたりすることがあります。また、装置が複雑なため日常のケアが難しく、歯の裏側にある装置の周りに歯石がつきやすいというデメリットもあります。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯の表側にブラケットを取り付け、ワイヤーで歯を動かす矯正方法です。ワイヤー矯正は、歯の表側に金属のワイヤーが見えている状態となるため、マウスピース型矯正と比べると装置が目立つのがデメリットです。
しかし最近では、目立ちにくいセラミック製のブラケットや歯の色に近いワイヤーを使用することで、目立ちにくくすることができます。
マウスピース型矯正と同様、食事や飲み物による色素沈着には注意が必要なため、日常のケアは大切です。装置の周りを丁寧に歯磨きする必要がありますが、裏側矯正(舌側矯正)と比べると、装置が表側にあるためケアは行いやすいでしょう。
ワイヤー矯正は、歯の移動をコントロールしやすいため、難しい症例にも対応できるというメリットがあります。定期的な通院時にも、歯科医師が治療の進み具合を確認しやすいです。
まとめ
ここまで、マウスピース型矯正(インビザライン)の見た目や目立つ原因、対処法について解説してきました。本記事を読み、マウスピース型矯正についての不安が軽減していただけると幸いです。
マウスピース型矯正は、透明なマウスピースを使用した目立ちにくい矯正方法です。しかし、アタッチメントや顎間ゴムが目立つことがあります。
また、マウスピースや保定のためのリテーナーも目立ちにくい工夫がされていますが、日常のケアが必要になってきます。歯科医師と相談し、自分に合った矯正方法を選び、治療中はマウスピースのケアを丁寧に行うことが大切です。
歯列矯正は、見た目だけでなく、お口の健康にもつながる大切な治療です。時間がかかる治療ですが、きれいな歯並びを手に入れることができます。
美しい歯を手に入れ健康になるためには、治療を最後まで続けることが重要です。自信を持って笑顔を見せられるよう、頑張って治療を続けましょう。
参考文献