歯科矯正治療でeラインは整うのでしょうか?本記事では歯科矯正治療と eラインについて以下の点を中心にご紹介します。
- eラインとは
- eラインのための歯科矯正治療
- eラインを整えるための歯科矯正治療には抜歯が必要なのか
歯科矯正治療とeラインについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
そもそもeラインとは?
Eラインとは、横から見た顔の鼻先と顎先を結ぶ直線のことで、横顔の美しさの基準としてよく使われます。この基準では、口先がEライン上に位置するか、少し内側に位置することが理想的とされています。 自分のEラインを確認する方法として、鏡を使わずに人差し指を鼻先と顎先に当てることがあります。理想的なEラインでは、人差し指に唇が当たらないか、軽く触れる程度であることが望ましいとされています。
ただし、これはあくまでひとつの基準であり、個々人の美的感覚によって異なる場合もあります。 Eラインは横顔の美しさを評価する際の指標として用いられるものであり、個人の特徴や文化によって美の定義は異なります。
きれいなeラインでない原因
きれいなeラインではない原因には何があるのでしょうか?以下に考えられる原因について紹介します。
口ゴボ
口ゴボ(くちごぼ)は、横から見た際に口元が前方に出て盛り上がっている状態を指します。主な原因は上下どちらかの前歯、または両方の前歯が突き出ていること、一般的には出っ歯が主な要因とされています。特にアジア人に多く見られる傾向があります。
出っ歯になる原因は主に2つ考えられます。遺伝や成長によるものと、個人の習慣が影響するものです。遺伝や成長によるものは、骨格や顎の成長が小さい、前歯が正しく生えなかったなどが要因として挙げられます。
一方、習慣によるものは、指しゃぶり、口呼吸、前歯を舌で押す、唇を噛むなどが影響する場合があります。
口ゴボにはEライン(顔の美しいバランスを示すライン)が崩れるだけでなく、見た目によるデメリットも存在します。外見が良くないため、口元を手で隠す傾向や、口を開けて笑うことを控えることがあります。
また、出っ歯の状態では口が開いたままになり、口腔内が乾燥しやすくなることから、細菌の繁殖が進み、虫歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。噛み合わせの問題も生じるため、食べ物を十分に噛むことが難しくなり、胃腸や顎関節に負担がかかる場合も考えられます。さらに、発音にも影響を及ぼすことがあります。
受け口
受け口とは、下の前歯が上の前歯より出ている状態を指します。この状態には、歯並びの乱れによるものと骨格異常によるものの2つの原因があり、噛み合わせが通常とは逆になります。 受け口の主な原因は以下の通りです。
遺伝や成長によるもの
- 生まれたときから下顎が突き出ている
- 前歯が正しく生えなかった
- 下顎の過成長など
習慣によるもの
-
- 指しゃぶり
- 口呼吸
- 唇を噛む
- 下顎を突き出して噛むなど
受け口の状態では、Eラインの乱れだけでなく、食べ物を噛み切れずに消化不良を起こすことがあります。噛み合わせが通常とは逆になるため、発音が悪化する場合があります。特に「さ行」や「た行」の発音に影響が及ぶ場合があります。顎を自由に動かせず、顎関節に負担がかかる可能性があり、さらに歯並びの乱れが全身のバランスを崩し、肩こりや腰痛の原因になることがあります。
eラインのための矯正治
eラインの改善を目的とした矯正治療はどのように行われるのでしょうか?以下に紹介いたします。
口ゴボの場合の治療方針
口ゴボを改善するための一般的な治療方針は、前に突出している上の前歯を引っ込めることです。この治療には、いくつかの方法があります。 ワイヤーやブラケットを使用して引っ込める方法
- 歯列矯正装置を用いて、上の前歯を後ろに引っ込める方法があります。歯を正しい位置に移動させることで咬み合わせを改善します。
- 抜歯をして骨を削り、前歯を引っ込める外科手術 重度の上顎前突の場合、抜歯を行い、必要に応じて骨を削って上あごを後ろに移動させる外科手術を検討することもあります。
治療には装置だけで済む場合もあれば、抜歯を伴うこともあります。具体的な治療方法は患者の状態により異なりますので、専門医に相談が重要です。
受け口の場合の治療方針
受け口を改善する治療方針には、以下のような方法があります。
- 歯列矯正による改善
ワイヤーやブラケットを使用して歯列矯正を行うことで、咬み合わせを改善する方法があります。
歯の位置を調整することで、下あごの前突を矯正します。 - あごの手術による改善
口腔外科的なアプローチで、下あごを内側へ引っ込める手術が行われることがあります。
この手術では、あごの骨を切断・削るなどしてスペースを作り、下あごを後方に移動させます。 - くちばし状の場合の治療
上下の口がくちばしのように前に飛び出ている場合も、歯列矯正あるいは外科手術によって改善できます。
治療方法は個人の状態により異なりますので、専門医と相談して適切な治療を選択することが重要です。
eラインのための歯科矯正治療では、抜歯が必須?
Eラインを改善したい場合、一般的には抜歯を伴う矯正治療が有効な方法とされています。特にEラインの外に口元が出てしまう場合は、抜歯を行なわない治療だけでは、大きな改善が難しいことがあります。
矯正治療は、歯の位置を調整して咬み合わせや歯並びを改善することを目的としますが、歯のサイズや位置によっては、抜歯を行なわない場合、望んだ結果が得られない可能性があります。特に口元のバランスやEラインの改善を目指す場合は、抜歯によるスペース作成を伴う治療が効果的な場合があります。ただし、全てのケースに抜歯が必要というわけではありません。抜歯を避ける方法でEラインの改善を試みることもできますが、その際にはデータに基づいた治療計画を立て、慎重に治療を進めることが重要です。歯科医師による診断と、患者さんに合った治療方法が必要です。
抜歯を含む矯正治療によって、顔の横から見たバランスを改善できる場合もありますが、最終的な判断は医師との相談によります。
eラインの整え方にかかる費用の目安と所要期間
eラインの改善方法には様々な治療法があることが分かりましたが、実際治療にはどれくらいの時間や費用がかかるのでしょうか?以下に治療法ごとの所要時間について解説します。
非抜歯の場合
- 部分矯正の場合
費用の目安:約10万円~50万円
所要期間:約3ヶ月~1年ほど
- 全体矯正の場合
費用の目安:約60万円~150万円
所要期間:約1年~2年ほど
非抜歯の歯列矯正は、部分矯正と全体矯正の2つのオプションがあります。部分矯正では、特定の範囲の歯を対象に治療を行うため、費用と期間が全体矯正よりも短くなることが一般的です。一方、全体矯正は歯全体のバランスを整えるため、費用や期間がより多くかかる傾向にあります。
抜歯の場合
- 抜歯を伴う全体矯正の場合
費用の目安:約60万円~150万円(抜歯の費用が別途約5000円~2万円)
所要期間:約1年~2年ほど
抜歯を行う全体矯正は、歯全体のバランスを整えるために特定の歯を抜歯する治療です。非抜歯の場合と同様に、全体矯正の治療期間と費用は個人の歯の状態や治療目的によって異なる場合があります。一般的には1年から2年ほどの期間がかかり、費用も60万円から150万円程度が一般的な範囲です。 加えて、抜歯の費用が別途約5000円〜2万円かかることがあります。この費用は抜歯の際の手術や処置に伴う追加費用を指します。
外科手術の場合
- 費用の目安:総合的に約150万円~300万円(矯正治療費と手術入院費用を含む)
- 所要期間:約2年~4年ほど(術前矯正、入院・手術、術後矯正、保定を含む)
外科矯正は、アゴの骨を切る手術を伴うため、全身麻酔を行い入院が必要となります。治療の流れとして、術前矯正が約半年〜1年半、入院・手術が約2〜3週間、術後矯正が約半年〜1年半、保定が1〜2年となります。また、アゴの骨に装着したプレート除去手術が必要な場合、入院が約1〜3週間かかることもあります(ただし、行わない場合もあります)。
治療にかかる費用は、矯正治療費に加えて、手術入院費用が含まれます。総合的に150万円〜300万円ほどになることが一般的です。なお、保険適用可能な条件を満たす場合もありますが、詳細な条件は専門医との相談が必要です。
顎口腔機能診断施設の認定を受けた矯正歯科医院では、顎変形症と診断された場合には、歯科矯正治療と顎矯正手術の費用は健康保険が適用になります。 ただし、個人の歯の状態や治療の目的によって費用や期間は異なる場合があります。歯科医師との相談を通じて、最適な治療計画を立てることが重要です。
また、治療費用にはクリニックや地域による差があるため、複数の歯科医院で相談することでより適切な選択ができるかもしれません。
まとめ
ここまで歯科矯正治療とeラインについてお伝えしてきました。ここまでの要点をまとめると以下の通りです。
- Eラインとは、横から見た顔の鼻先と顎先を結ぶ直線のことである
- eラインを良くするために歯科矯正治療は有効とされている
- eラインを整えるための歯科矯正治療に抜歯はした方が効果的とされているが全てのケースに抜歯が必要というわけではない。抜歯を避ける方法でEラインの改善を試みることもできる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。