歯科矯正といえば、ワイヤーを使った治療をイメージする方は多いのではないでしょうか。
笑うと歯に装着したワイヤーが見えてしまうことに抵抗があって治療に踏み出せない…という方も多いでしょう。
ワイヤー矯正でも目立ちにくい透明タイプのワイヤーを使用することができますが、それよりも目立たない歯科矯正治療の方法といえば、マウスピース型矯正です。
さらに、マウスピース型矯正では自分が気になる前歯の部分だけを治療することができる部分矯正と呼ばれるものがあります。
こちらでは、前歯だけのマウスピース型矯正の値段や治療期間・メリットなどについて詳しく紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
前歯だけのマウスピース型矯正とは?
マウスピース型矯正とは、透明の色をしたマウスピースを歯に装着することで理想とする歯並びを目指す矯正方法です。
マウスピースは食事や歯磨きをするときには取り外せるため、清潔な口内環境を維持することが可能です。
また、透明なマウスピースは目立ちにくく、周りの人に気付かれることも少ないでしょう。
他にも、以下のようなメリットがあります。
- 金属アレルギーの心配がない
- ワイヤーを使った矯正に比べて痛みが少ない
- こまめに通院しなくてもよい
このようなメリットを含め、歯科矯正の治療によって見た目を大きく変えることなく歯並びを治療できるインビザライン(※)と呼ばれるマウスピース型矯正が多くの人に選ばれているのです。
また、インビザラインによるマウスピース型矯正は歯全体を矯正できるだけでなく、前歯のみを矯正することもできます。
ちなみに、前歯のみのマウスピース型矯正はインビザライン GOと呼ばれています。
こちらでは、マウスピース型矯正による前歯だけの治療方法について紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
(※)未承認医薬品等であるため医薬品副作用被害救済制度の対象とはならない可能性があります
前歯の定義
前歯だけのマウスピース型矯正をした場合、どこまでの範囲の歯が治療対象になるのでしょうか。前歯といえば、笑ったときに見える範囲の歯というイメージがあるかも知れません。
マウスピース型矯正を行える前歯の範囲とは、奥の歯を除いた計20本の歯のことをいいます。
前歯のマウスピース型矯正とは、これらの歯をマウスピースを装着することで動かして矯正する治療方法です。
そのため、大臼歯と呼ばれる奥の歯は前歯のみのマウスピース型矯正治療の対象となりません。奥歯を含む歯を動かす必要がある場合には適応できないことを覚えておきましょう。
前歯だけのマウスピース型矯正の方法
奥歯以外の歯並びを矯正する前歯だけのマウスピース型矯正は、歯全体を矯正治療する場合と大きな違いはありません。
まず歯型をとり、歯並びの治療の流れや矯正後の歯の仕上がりをコンピューターを使ってシミュレーションします。
30〜45日程度でマウスピースが完成すると、いよいよ歯にマウスピースを装着して治療のスタートです。
マウスピースを装着した後の治療は、歯の矯正具合によるものの1〜2週間に1度、患者さん自身で新しいマウスピースに交換します。
マウスピースの装着時間は、1日に22時間と推奨されています。そのため、食事や歯磨きのとき以外はしっかりと装着して、決められた時間を守ることが大切です。
歯並びが整った後は、歯が元の歯並びに後戻りするのを防ぐために、一定の期間保定装置を装着して過ごします。
1本のみの部分矯正も
マウスピース型矯正では、奥歯を除く前歯の20本であればピンポイントで歯を動かすことができるため、1本のみの治療も可能です。
ただし、必要な検査を経て自分の歯の状態に合ったマウスピースを装着して治療をすることが必要なので、歯科医師の指示に従いましょう。
前歯だけのマウスピース型矯正の治療詳細
前歯だけをマウスピースで矯正する場合、どのような治療の流れになるのでしょうか。また、費用についても気になるでしょう。
こちらでは、前歯のマウスピース型矯正にかかる費用・治療期間・通院頻度について紹介するので、ぜひご覧ください。
費用相場
矯正治療は自由診療となり、全額自己負担のため高額な治療といえるでしょう。マウスピースによる部分的な治療は、どのくらい費用がかかるのでしょうか。
前歯だけをマウスピースによって矯正する「インビザラインGO」の場合、500,000円程度かかるといわれています。
奥歯を含む歯全体をマウスピースによって矯正する「インビザラインフル」の場合、800,000円程度は必要となります。
部分的な治療の方が安く費用を抑えることができるでしょう。
ちなみに、部分的にワイヤー矯正をした場合の費用は片方の顎で200,000円程度、両方の顎で400,000円程度必要となります。
ワイヤー矯正の費用と比較すると、マウスピース型矯正の方が値段が高くなります。
周囲に矯正していることがわかりにくく、取り外しができるなどのメリットがあるマウスピース型矯正に魅力を感じる方は、マウスピース型矯正を検討してみてはいかがでしょうか。
もちろん、費用は治療内容によって異なる場合があります。
例えば、むし歯などの歯のトラブルがあった場合はそれらの治療にお金がかかるため、できるだけ治療費を安く抑えたい場合はしっかりと歯磨きなどをしてむし歯予防に努めましょう。
治療期間
マウスピース型矯正による部分矯正のメリットは、治療期間が比較的短いことが挙げられます。
マウスピース型矯正を歯の全体に行った場合では、個人差はありますが長い場合だと平均2年程度かかることもあるでしょう。
しかし、前歯だけマウス型ピース矯正で治療をした場合は、半年~1年程度で治療が完了することがほとんどです。
1日あたりのマウスピースの装着時間は、1日20~22時間となっています。歯磨きや食事の時間を除いて、ほぼ1日マウスピースを装着する必要があるでしょう。
取り外した場合は、忘れないようにすぐにマウスピースを装着する習慣を付けましょう。
むし歯などの歯のトラブルが起こると治療が長引いてしまうため、マウスピースをしっかりと洗浄するとともに、歯磨きを怠ることなく口内を清潔に保つことでむし歯を防ぐことができます。
通院頻度
歯の状況によって変動があるものの、基本的に月に1度の受診が必要となるでしょう。
月に1度の受診では、歯が動いているかやマウスピースが合っているかなどを確認し、計画どおりに治療が進んでいるかをチェックします。
受診までの1ヶ月の間には、自宅で自分でマウスピースの交換を1週間おきに交換することで治療を進めていきます。
前歯だけのマウスピース型矯正ができる歯並び
前歯だけのように部分的にマウスピースによる矯正治療が行える歯並びとは、一体どのような状態なのでしょうか。
- 叢生(乱ぐい歯):顎が小さいなどの理由により、歯が綺麗に並ぶスペースがないために重なってしまい、歯がデコボコとしている状態
- 空隙歯列(すきっ歯):歯と歯の間に必要以上の隙間がある状態
- 交叉咬合:口を閉じたとき、数本の上の歯が下の歯の内側になっている状態
- 開咬:上下の前歯だけがうまく嚙み合わない状態
このようなときに、前歯だけのマウスピースによる治療を適用されることが多いです。
前歯だけのマウスピース型矯正に向かない歯並び
前述しているとおり、前歯だけのマウスピース型矯正は奥歯を除いた計20本の歯を動かすことができる治療です。
そのため、奥の歯も矯正する必要がある歯並びの場合は、マウスピースによる部分的な治療を行うことはできません。
また、顎の成長が終わっている成人の方のみ治療が可能です。ただし、歯の成長は身体的な年齢と判断が違うため、歯科医師に相談するとよいでしょう。
1本のみ・前歯だけ部分矯正するメリット
歯を矯正するにあたり、マウスピースで1本のみまたは前歯だけを部分的に矯正するメリットには、どのようなことがあるのでしょうか。
こちらでは、マウスピースによる部分矯正のメリットを3つのポイントに分けてみていきましょう。
費用を抑えられる
まずは、治療にかかる費用を少額で抑えられることです。矯正治療は自由診療のため、保険が適用されず、決して安価とはいえません。
しかし、1本のみや前歯だけの場合は全体的に治療をするよりも矯正する範囲が狭いことから、治療費を抑えられるでしょう。
治療期間が短い
次に、治療期間が短いことです。歯の状態によって期間は異なりますが、早ければ半年程度で治療を終了する方もいます。
インビザラインによるマウスピース型矯正では、歯が移動するのは1回のマウスピース交換で約0.2mmとなっています。
見た目ではなかなかわかりずらく、歯が移動しているのかもどかしくなることもあるでしょう。
しかし、焦らずに装着時間をしっかりと守り、週に1度のマウスピース交換を続けることが大切です。
そうすれば、少しずつでも確実に歯を動かして、短い治療期間で理想の歯並びを手に入れることができるでしょう。
気になる部分だけ矯正できる
奥歯の歯並びは気にならないけど、人に見られる前歯だけはきれいにしておきたいという方は多いのではないでしょうか。
他にも、出っ歯や前歯のガタつきが気になる、上の歯だけきれいにしたいなど部分的に歯並びを矯正したい場合には部分矯正がおすすめです。
前歯だけのマウスピース型矯正をするなら
前歯だけのマウスピースによる矯正治療を始めようとするとき、どこの病院がいいのか迷う方も多いでしょう。
マウスピースによる部分矯正は比較的短期間で治療が終了できることがメリットではありますが、月に1度は通院が必要です。
ストレスなくマウスピース型矯正を行うためにも、病院選びは非常に大切です。病院選びをするときにチェックしておきたいポイントについて4つ紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
実績のある矯正歯科を選ぶ
矯正といっても、歯の状態によって治療方法などは異なります。つまり、マウスピース型矯正における治療実績が多い病院の方が安心です。
自分でマウスピースを購入して治療をしたりすることはせず、必ず専門の歯科医師がいる病院を受診するようにしましょう。
事前カウンセリングを受ける
病院選びに迷ったときは、治療を開始する前にカウンセリングを受けてみましょう。メールや電話で無料のカウンセリングを実施している病院もあります。
気になる病院を見つけたら、カウンセリングを受けて自分に合った病院かどうかを見極めましょう。わからないことは質問して、自分が納得してから治療を開始することが大切です。
カウンセリングの時点で自分が納得できないことがあったときは、その病院を選ぶのはおすすめしません。
安心して治療を行え、信頼できて何でも気軽に相談できる病院を選ぶとよいでしょう。
メリット・デメリットをしっかり確認する
前歯だけのマウスピースによる矯正治療のメリットとデメリットを知っておくことが大切です。 このようなメリットがあります。
- 比較的短い期間で治療することができる:個人差はありますが、部分的な治療のため短い期間で治療を終えることができます。
- 歯の全体を矯正するより、費用を安く抑えることができる:全体を矯正する治療と比べ、費用が4分の1〜半分程度で治療できます。
- 矯正器具が目立ちにくく、手入れが簡単:マウスピースが透明なため、装着していても周りに気付かれにくいです。また、自分で取り外しができるため、いつも通りの歯磨きが行えて口内環境を清潔に維持できるでしょう。
デメリットは、以下のとおりです。
- 全体を矯正するよりも、仕上がりが劣ってしまう場合がある:治療をする前の歯並びの状態によっては、全体的に矯正した方が部分的な矯正をするよりも綺麗な歯並びになる場合があります。
- 奥の歯の噛み合わせを改善することはできない:部分矯正は、奥歯を除いた前歯だけの矯正治療です。そのため、部分的な治療では奥の歯の噛み合わせを改善することはできません。
- 部分矯正治療が行えない歯並びがある:奥の歯を動かす場合はもちろん、前歯の重なりが悪すぎる・嚙み合わせに悪い影響が出てしまうといった場合は、部分的な矯正治療はできません。
納得できる料金体系かどうかチェックする
治療は全額自己負担となるため、自分が支払える金額であるかどうかをしっかりと確認しておきましょう。
治療費を一括で支払うことが難しい場合もあるでしょう。そんなときは、デンタルローンと呼ばれる分割払いを活用することができます。
自分の生活で無理のない範囲で、自分に合った治療を行うようにしましょう。
まとめ
マウスピース型矯正による前歯だけの治療方法を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
歯科矯正といえば、歯全体を治療して高額な費用がかかるというイメージを持っている方も多いと思います。
しかし、部分矯正であれば自分が気になる歯だけを治療することができるため、費用を抑えられるのです。
ただし、前歯だけの治療となるため奥歯の歯並びを改善することはできません。奥歯も含めて矯正治療をする必要がある場合は、部分矯正は適用できないことを覚えておきましょう。
部分的なマウスピースによる矯正治療には個人差はありますが、早くて半年程度と短期間で治療を終えることができます。
病院を決めることに悩んで時間がかかることもありますが、自分に合った治療と納得のできる説明をしてくれる病院を選びましょう。 短期間の付き合いとはいえ、ストレスなく治療を進められる病院を選ぶことが大切です。
前歯だけのマウスピース型矯正を始めて、自分の理想とする歯並びを手に入れましょう。
参考文献