ワイヤー矯正

ワイヤー矯正に痛みはある?対処法やいつまで続くのかを解説

ワイヤー矯正 痛み

ワイヤー矯正といえば、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

歯並びには個人差があり治療期間や費用は様々ですが、ガタついている歯並びをワイヤーを使って綺麗に矯正するため「痛みを伴う治療」「歯科矯正治療をしていることがわかる」というイメージがある方も多いのでしょう。

こちらではワイヤー矯正に伴う歯の痛みはあるのか・その痛みへの対処法・痛みはいつまで続くのかについて解説していきます。

ワイヤー矯正を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。

ワイヤー矯正に痛みはある?

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正とは、ブラケットとよばれる装置を1本ずつ歯の表面に付けます。そこに細い1本のワイヤーを通していき、ブラケットとワイヤーを固定して歯を動かす治療です。

ワイヤーにも種類があり、一般的なものといえばシルバー色のワイヤーでしょう。ワイヤーは金属素材のものが多いのです。透明ブラケットにシルバーワイヤーを付けるのが一般的な組み合わせとなっています。

現在では、透明やホワイト・ゴールドのワイヤーなど、歯の色に馴染じむ素材のパーツが増えており、歯科矯正治療をしていることが目立たなくなっています。

目立たないワイヤーが増えてきており、見た目を気にして歯科矯正治療に抵抗がある方は減っているかも知れません。ですが、痛みに対してはどうでしょうか。

ワイヤー矯正をするにあたり、痛みを伴う治療かどうか気になるという方は多いでしょう。痛みの感じ方には個人差がありますが、やはり痛みはあります。

しかし、痛いからといって歯科矯正治療を諦める人はあまりみられません。歯の状態に合った歯科矯正治療の方法を探して工夫することによって、痛みの強さをコントロールできるのです。

矯正歯科治療に使用する材料も進化しており、痛みの少ない矯正用ワイヤーが使用されています。痛みを感じることを恐れてワイヤー矯正に悩まれている方は、一度歯科医師に相談しましょう。

ワイヤー矯正の痛みの種類

歯が痛い人

個人差はありますが、ワイヤー矯正は痛みを感じる治療であることを説明しました。では、その痛みとは一体どういうものがあるのでしょうか。

こちらでは、ワイヤー矯正に伴う4つの痛みについて詳しくみていきましょう。

歯が動く痛み

歯科衛生士

ワイヤーの力で歯を動かす矯正であるため、「全く痛くない」ことはないでしょう。歯科矯正治療に伴う痛みには個人差があります。中には、ほとんど痛みを感じなかったという方も多くいです。

歯科矯正治療を行った場合は毎月の通院が必要ですが、歯が動くことによって痛みを感じやすいのは毎月の歯科矯正器具の調整後の1〜3日間とされています。数日経てば、その後は痛みは収まることが多いでしょう。

ワイヤー装置による痛み

ワイヤーを歯に装着していることから、装置が口の中を傷つけてしまうことがあり痛みを感じることがあるでしょう。

例えば、装置と口の粘膜が擦れて傷ができる・口内炎ができることがあります。

食べ物を噛むときの痛み

歯の痛みがあるときは、食事をするときに痛みを感じることがあります。硬いものは細かくして食べたり、柔らかいものを食べたりしてなるべく歯に負担がかからないようにしましょう。

ワイヤー矯正をして慣れない内は食事をするのも一苦労だと感じる人もいるでしょう。痛みが減ると食事をするときにも気にならなくなるはずです。

また、装置には食べ物のカスが詰まりやすいのです。食事をした後は、必ず歯磨きをするようにしましょう。装置をつけている場所は、いつもより丁寧に磨きをすることでむし歯を予防できます。

矯正装置を変形させないために、せんべいなどの非常に固いものやキャラメルのような歯にひっつくものは食べないようにするか、注意しながら食べるようにしましょう。

抜歯による痛み

頬に手を当てる人

矯正治療を円滑に進めて綺麗な歯並びを得るために歯の症状や状態によっては、抜歯を行う場合があるでしょう。

抜歯をした後の痛みの原因として、行った処置による痛み・処置したところが腫れてしまい感染してしまうことで、炎症が起きて痛くなる場合の2つがあります。

抜歯による痛みの対処方法は、基本的には痛み止め・抗生物質を服用します。薬の服用によって、それぞれによる痛みを和らげるのです。

深いところにまで埋まっている歯を抜いたような場合、傷口で細菌による感染が起こらないよう抗生物質を飲むことがあるでしょう。そうすることで、痛みや腫れを防げて傷が早く治るようになるのです。

抗生物質を処方された場合は、処方された容量を守って決められた時間にすべて飲み切りましょう。これを守らなかった場合、しっかりとした効果が得られないことがあるでしょう。

歯科矯正治療では見た目の美しさはもちろん、歯の健康と機能を保ったまま治療が終わった後も歯並びを維持できることが大切です。そのために、抜歯が必要な場合があります。

歯を抜くとどうしても痛みは伴うものですが、抜歯の痛みが怖いという方もいるでしょう。病院によっては、歯を抜かない治療を提案してくれることもありますので一度相談してみましょう。あなたに合った治療方法を提案してくれます。

むし歯などによる痛み

歯が痛い女性

歯にむし歯や歯周病などのトラブルがある場合には、歯に痛みを感じるでしょう。歯科矯正治療を始めるまでに歯に問題がある場合は、それらの治療を優先することになります。

多くの場合は、むし歯などの治療が終了してから矯正治療を始めることになるでしょう。しかし、歯の状態によってはむし歯などの治療を行いながら、矯正治療をした方がよいケースがあります。

むし歯にならないように歯磨きや定期健診を受けるようにしましょう。

歯科矯正用アンカースクリューによる痛み

歯の動きやすくするために歯科矯正用アンカースクリューとよばれる小さなネジをつけることがあるでしょう。アンカースクリューの装着により強い力が歯にかかるため、痛みを感じることが増えることもあります。

しかし、これを装着することで抜歯のリスクを軽減し治療が難しい歯の状態でも歯科矯正治療をすることが可能です。さらに、矯正治療期間の短縮にも繋がるでしょう。

ワイヤー矯正の痛みへの対処法

薬を飲む人

ワイヤー矯正には痛みが伴いますが、どのように痛みに対処すればいいのでしょうか。

ワイヤー矯正の痛みへの4つの対処法について、詳しくみていきましょう。

鎮痛剤を服用する

痛みを必要以上に強く感じやすいのは、矯正装置を付けてすぐの頃です。ワイヤーで歯を動かして生じる痛みの場合は、常時痛み止めの薬を服用することはお勧めしません。

ただし、どうしても痛い時だけは少しなら服用して痛みをコントロールしましょう。ドラッグストアなど市販の薬でも十分に効果が得られますが、副作用としてお腹の調子が悪くなることもあるので注意が必要です。

硬い食べ物を避ける

硬いものを噛んだことで装置が外れ、装置が変形・破損することがあります。装置が変形などしてしまうと、歯に痛みが出る・歯並びが治るのが遅くなるでしょう。

そのようなトラブルを防ぐために、歯に負担がかからない食べ物を食べましょう。おかゆや柔らかい麺類などあまり歯に力を入れなくても食べられる食事がおすすめです。

矯正用ワックスを使用する

ワイヤーの矯正装置が唇・頬の粘膜に当たると傷ができて痛みが生じる、口内炎ができて痛いなどの場合は、ワックスで装置をカバーできます。

口の中の傷・痛みは治りが早いため、ワイヤーが当たる場所を数日間ワックスでカバーするだけで痛みが軽減され、トラブルが解消されるでしょう。

ごはんを食べることでワックスが取れてしまうことがありますが、食べてしまっても問題のない素材で作られているため安心して使用できます。

口内炎ができてしまった場合は、装置のカバーをするとともに軟膏を塗ることで早く治るでしょう。

歯科医師に相談してみる

矯正装置が変形してしまって痛みが発生している場合、放置しておくと口を動かす度に擦れてしまい口内炎ができたり、傷が大きくなったりすることがあります。

痛みが心配な場合は、迷わず病院を受診するようにしましょう。

ワイヤー矯正の痛みはいつまで続くの?

カウンセリング

ワイヤーによって徐々に歯に力を加えることで歯並びを綺麗にしますが、力を加えることで歯の根の部分に炎症反応が起きます。

それにより、歯の根の先端で血行障害が発生してしまうのです。骨を生成する細胞と骨を溶かす細胞がそれを元に戻そうとすることで、新しい歯の位置に安定した歯ぐきが生まれるのです。

これらが痛みの原因であり、歯を動かす仕組みでもあります。矯正歯科治療では、この身体に元来備わっている性質を利用して、有機的に歯並びを整えていきます。

年齢が若ければ若いほど歯の周囲の骨が柔らかく歯が動きやすいのです。そのため、痛みが少ないといわれています。

ワイヤー矯正による痛みはいつまで続くのでしょうか。こちらでは、ワイヤーによる矯正治療で感じる痛みについて3つに分けて詳しくみていきましょう。

治療後数時間で痛みを感じ始める

ワイヤー矯正の治療をしてから4〜5時間ほど経過すると徐々に歯の痛みを感じ始めるでしょう。そして、2〜3日後に痛みのピークに達します。

痛みを感じるのは、物を食べるときに起こりやすいです。そのため、硬い食べ物は食べることは控え、歯を刺激しない柔らかい物を食べるようにしましょう。

痛みを感じることに抵抗があると食欲も減ってしまいますが、しっかりと水分補給をしましょう。

治療後3日~1週間ほど痛みが続く

ワイヤー矯正による治療をしてから2〜3日間の痛みのピークを超えれば、その後は4〜5日程度で少しずつ痛みは減少します。

個人差はありますが、長くても痛みは1週間以内に軽減するでしょう。歯科矯正治療では月に1回のメンテナンスが必要ですが、次の受診日まで継続して痛みを感じることはありません。

1週間経過してもどうしても強い痛みが引かない場合は、一度病院を受診してみてもいいでしょう。

治療期間が長くなると痛みを感じにくくなる

歯科矯正は治療期間が長いですが、痛みを感じるのは最初だけです。歯科矯正の治療をスタートした当初は、歯が動くことによる痛み・口内でワイヤー装置が当たってしまう痛みに慣れていないでしょう。

食事や会話をして口を動かすだけでもワイヤーが外れて痛みがでないかといった不安や緊張をすることにより、痛みをより強く感じてしまう人もいるのです。

ワイヤー矯正に慣れてくればそこまで痛みに敏感になることも減るため、矯正装置をつけていることに慣れてくるでしょう。そうすれば、自然に痛みを感じる頻度も減少するのです。

ワイヤー矯正で歯が動く仕組みは?

笑う女性

ワイヤー矯正とは、どのような仕組みになっているのでしょうか。歯科矯正で最も一般的な治療法とされているのが、ワイヤー矯正です。

まず、歯にブラケットとよばれる装置を付けます。そして、そこに理想の正しい歯列の形をしたワイヤーを通すのです。

矯正治療前の歯に装着したワイヤーが、理想の正しい歯列の形に戻ろうとする力を利用して綺麗な歯並びを目指します。さらに、ワイヤーがしなる性質を活用してワイヤーとブラケットを結び合わせ、歯をワイヤーに引き寄せるようにすると歯に力を加えられるのです。

ワイヤーの素材や太さ・形などを歯の動きに合わせて調整することが重要となるため、月に1度は調整が必要となります。

こうして、ワイヤーの力で少しずつ歯を動かすことで理想の歯へと近づけるのです。

ワイヤー矯正の費用相場

費用

ワイヤー矯正をする場合の費用は、いくら必要になるのでしょうか。歯科矯正は自由診療のため公的な医療保険を適用できません。そのため、全額自己負担となり高額な治療です。

一般的とされている歯の表面にワイヤーを装着する矯正方法の相場は、約990,000円~1,100,000円(税込)程度です。

この他にも、ワイヤー装置を装着するまでに費用がかかる場合があります。

  • 歯の症状の診察や患者さん自身の疑問・治療方法と費用などを相談する初診相談
  • 歯型や写真・レントゲン・CT撮影など必要な検査
  • 歯周病やむし歯などの歯のトラブルの治療

このような場合は、それらの料金がプラスで加算されることを知っておきましょう。

まとめ

歯科治療

ワイヤー矯正に伴う歯の痛みはあるか・その痛みへの対処法・痛みはいつまで続くのかについて、詳しく紹介しました。

ワイヤーの力を利用して、理想の綺麗な歯並びにするのがワイヤー矯正です。どうしても痛みを感じるものなのです。

しかし、痛みがあることは歯がしっかりと動いているという証拠でしょう。痛みを感じることで歯が動いていることを実感でき、この痛みを乗り越えれば理想の正しい歯並びを手に入れられるでしょう。

歯科矯正治療で感じる痛みの程度は個人差があります。どのような痛みにしても、痛みはずっと続くわけではありません。

ワイヤー装置による口内の傷や歯列に必要な抜歯をしたことによる痛みなど、痛みの種類は様々ですがそれに応じた対策があります。

痛みを強く感じないために、硬い食べ物を控えて柔らかい物を食べる・痛み止めを服用するなどして痛みを少なくすることもできるのです。

ワイヤー矯正は痛いのが怖くて踏み出せない方は、思い切って歯科矯正治療に踏み出してみましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄歯科医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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