ワイヤー矯正

裏側矯正(舌側矯正)は口内炎ができやすい?口内炎ができる原因と対処法

裏側矯正(舌側矯正)は口内炎ができやすい?口内炎ができる原因と対処法

歯列の裏側にブラケットやワイヤーを設置する裏側矯正(舌側矯正)は、標準的な表側矯正やマウスピース型矯正よりも口内炎ができやすいイメージがあるかもしれません。確かに、舌側矯正という名前からもわかるように、装置の一部が舌を刺激することも多くなるでしょう。ここではそんな裏側矯正(舌側矯正)で口内炎ができる原因や対処法、予防する方法などを詳しく解説します。裏側矯正(舌側矯正)を検討中で口内炎が心配な人は参考にしてみてください。

口内炎について

口内炎について

はじめに、口内炎の基本事項を確認しておきましょう。

口内炎とは

口内炎は、口腔内の粘膜に生じる炎症で、痛みを伴うことがあります。口内炎ができると食事や会話が辛くなり、日常生活に支障をきたすことがあります。裏側矯正(舌側矯正)の場合、ブラケットやワイヤーが直接舌や粘膜に触れるため、刺激が強くなり口内炎ができやすくなります。口内炎は一度できると治るまでに数日から数週間かかることがありますが、適切なケアをすることで症状を軽減することができます。

口内炎の種類

口内炎にはいくつかの種類があります。以下に代表的な4つの種類を紹介します。

◎アフタ性口内炎

一般的な口内炎のタイプで、白っぽい潰瘍ができるのが特徴です。原因ははっきりとわかっていませんが、ストレスや栄養不足、口腔内の小さな傷が引き金になることがあります。アフタ性口内炎は痛みが強く、食事や会話に支障をきたすことが少なくないです。

◎カタル性口内炎

口腔内の広い範囲に炎症が広がるタイプの口内炎です。原因としては、熱い食べ物や飲み物によるやけど、歯磨きの際の過度な摩擦、アルコールやタバコなどが挙げられます。カタル性口内炎は、炎症が広範囲にわたるため、強い不快感を伴います。

◎ヘルペス性口内炎

ヘルペスウイルスによって引き起こされる口内炎です。主に唇や口の周りに水疱ができ、これが破れて潰瘍になることがあります。ヘルペス性口内炎は痛みだけでなく、発熱や倦怠感など全身症状を伴うことがあり、感染力もあるため注意が必要です。

◎カンジダ性口内炎

カンジダ菌という真菌が原因で発生する口内炎です。口腔内の白い斑点が特徴で、免疫力が低下しているときに発症しやすいです。抗生物質の長期使用や糖尿病などがリスク要因とされており、適切な抗真菌薬の治療が必要です。

口内炎になりやすい人

口内炎になりやすい人にはいくつかの特徴があります。

◎免疫力が低下している人

免疫力が低下していると、口内の細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まり、口内炎ができやすくなります。ストレスや疲労、栄養不足が免疫力低下の原因となることがあります。

◎ストレスを感じやすい人

ストレスは口内炎の大きな原因の一つです。ストレスが溜まると体のバランスが崩れ、口内炎が発生しやすくなります。リラックスする時間を持つことが予防につながります。

◎栄養不足の人

ビタミンB群や鉄分、亜鉛などの不足は口内炎のリスクを高めます。バランスの取れた食事を心がけ、必要な栄養素を摂取することが大切です。

◎歯列矯正中の人

歯列矯正中は、ブラケットやワイヤーによる物理的な刺激が原因で口内炎ができやすくなります。矯正装置に慣れるまでは特に注意が必要です。

矯正治療と口内炎の関係性

矯正治療と口内炎の関係性

矯正治療中に口内炎ができやすくなるのは、さまざまな要因が関係しています。矯正器具自体が口腔内の粘膜に物理的な刺激を与えることで、炎症や傷が生じやすくなるのが一つの理由です。特に裏側矯正(舌側矯正)では、ブラケットやワイヤーが舌や口腔内のやわらかい部分に接触するため、口内炎が発生しやすいです。

また、矯正治療中は食事の制約が生じることが多く、固い食べ物や噛み合わせが悪い状態での食事が続くと、口腔内に小さな傷ができやすくなります。この傷が原因で口内炎が発生することがあります。さらに、矯正治療中はブラケットやワイヤーによって歯磨きが難しくなり、口腔内の衛生状態が悪化しやすくなります。これにより、細菌が繁殖しやすくなり、口内炎ができやすくなるのです。

矯正治療は長期間にわたるため、その間にストレスや疲労が溜まり、免疫力が低下することもあります。免疫力が低下すると、体が細菌やウイルスに対する抵抗力を失い、口内炎が発生しやすくなります。特に矯正治療の初期段階では、装置に慣れるまでのストレスや不安が大きく、口内炎が頻繁に発生することがあります。

裏側矯正(舌側矯正)中に口内炎ができる原因

裏側矯正(舌側矯正)中に口内炎ができる原因

裏側矯正(舌側矯正)では、口内炎ができることがあります。その原因は以下のとおりです。

矯正器具があたって口腔内が傷つく

ブラケットやワイヤーが舌や口腔内の粘膜に触れることで、物理的な刺激が強くなります。この刺激により、口腔内の粘膜が傷つき、そこから口内炎が発生することがあります。特に、矯正装置に慣れるまでの初期段階では、痛みや不快感が生じることが多く、口内炎ができやすくなります。ワックスなどを使って矯正器具の当たりを和らげることで、傷つきを防ぎやすくなります。

免疫力が低下する

矯正治療中は、食事の制約やストレスなどが原因で免疫力が低下することがあります。免疫力が低下すると、口腔内の細菌やウイルスに対する抵抗力が弱まり、口内炎が発生しやすくなります。また、栄養不足や睡眠不足も免疫力低下の原因となり、口内炎のリスクを高めます。バランスの取れた食事と十分な休息を心がけることが大切です。

口腔内が不衛生な環境になっている

矯正器具が舌の裏側に設置されるため、食べかすやプラークが溜まりやすく、口腔内が不衛生な環境になりがちです。口腔内が不衛生な状態が続くと、細菌が繁殖し、炎症や感染が起こりやすくなります。これが口内炎の原因となることがあります。矯正治療中は特に丁寧な歯磨きとフロスの使用が重要です。

ウイルスに感染している

ウイルス感染も口内炎の原因の一つです。ヘルペスウイルスなどが口腔内に感染すると、痛みを伴う口内炎が発生することがあります。矯正治療中は免疫力が低下しやすく、ウイルス感染のリスクが高まります。ウイルス性の口内炎は自然治癒することがありますが、症状が重い場合は医師に相談することが必要です。

アレルギーを引き起こしている

矯正器具の素材に対するアレルギー反応が口内炎の原因となることがあります。特に金属アレルギーを持っている患者さんは、矯正器具の金属部分に触れることで口腔内に炎症が生じることがあります。この場合、アレルギー反応を避けるために、セラミックやプラスチック製の矯正器具を使用するなどの対応が必要です。

口内炎ができたときの対処法

口内炎ができたときの対処法

裏側矯正(舌側矯正)中に口内炎ができたときは、次の方法で対処しましょう。

患部に触らない

口内炎ができた場合、まず大切なのは患部に触らないことです。患部に頻繁に触れると、細菌が入り込んで感染を引き起こし、治りが遅くなることがあります。ブラケットやワイヤーが直接触れる部分に口内炎ができやすいので、無意識に舌で触れることが少なくないです。これを防ぐために、意識的に触らないようにしましょう。また、手で患部を触ることも避けて、感染を予防することが重要です。

矯正用ワックスや薬を使う

矯正治療中に口内炎ができた場合、矯正用ワックスや市販の口内炎治療薬を使うことが有効です。矯正用ワックスは、ブラケットやワイヤーが直接粘膜に当たるのを防ぎ、患部への刺激を和らげます。ワックスを小さくちぎり、痛みを感じる部分に貼り付けることで、口内炎の痛みを軽減できます。また、市販の口内炎治療薬を使うことで、炎症を抑え、治りを早めることができます。薬を使う際は、指示された用法用量を守ることが大切です。

刺激の強い食事を避ける

口内炎ができた際は、刺激物の食事を避けることが重要です。辛い食べ物や酸味の強い果物、熱い飲み物などは患部を刺激し、痛みを悪化させることがあります。また、硬い食べ物やカリカリしたスナック類も患部に当たると痛みを引き起こすため、やわらかい食事を心がけましょう。温かいスープやヨーグルト、やわらかく煮た野菜などが適しています。バランスの取れた食事を続けることで、体の免疫力を高め、口内炎の治りを促進します。

歯科医院で装置を調整してもらう

口内炎が頻繁にできる場合や、痛みが強い場合は、歯科医院で装置を調整してもらうことをおすすめします。裏側矯正(舌側矯正)の場合、ブラケットやワイヤーが口内の粘膜に強く当たることで口内炎が発生することがあります。歯科医師に相談し、装置の位置やワイヤーの調整を行うことで、患部への刺激を軽減できます。また、矯正治療中は定期的に受診して、装置の状態をチェックしてもらうことが重要です。

◎気軽に受診や相談ができる歯科医院が望ましい

裏側矯正(舌側矯正)の歯科医院を選ぶ際には、担当する歯科医師との相性が極めて重要となります。特に口内炎で悩まされたときに、気軽に相談できる歯科医師でなければ、数年におよぶ矯正治療でも、継続した通院がしやすくなるでしょう。同時に、歯科医院が自宅や職場から近いという点も歯科医院選びで重要なポイントとなります。困ったときにすぐ受診できる立地であれば、口内炎などのトラブルも迅速に解消できます。

レーザー治療を受ける

口内炎の治療には、レーザー治療も効果的です。レーザー治療は、患部にレーザーを照射することで痛みが和らぎます。レーザー治療は短時間で済み、痛みもほとんど感じません。また、治療後すぐに効果が現れることが多く、口内炎の治りを早めることができます。特に、矯正治療中の口内炎は治りにくいため、レーザー治療を選択肢の一つとして考えることもよいでしょう。

裏側矯正(舌側矯正)中にできる口内炎対策

裏側矯正(舌側矯正)中にできる口内炎対策

裏側矯正(舌側矯正)中の口内炎は、次の対策をとることで予防しやすくなります。

栄養あるバランスのよい食事

口内炎の予防には、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。ビタミンB群、ビタミンC、鉄分、亜鉛などは口内の健康を保つために重要な栄養素です。これらの栄養素を多く含む食品を積極的に摂取しましょう。例えば、ビタミンB群はレバーや魚、卵に多く含まれています。ビタミンCは新鮮な野菜や果物、鉄分は赤身の肉やほうれん草、亜鉛は海産物やナッツ類に豊富です。バランスのよい食事を心がけることで、免疫力を高め、口内炎の予防につながります。

口腔内を清潔に保つ

矯正装置があると、食べかすやプラークが溜まりやすく、口腔内が不衛生な状態になることがあります。口腔内が不衛生だと細菌が繁殖し、口内炎のリスクが高まります。矯正中は特に丁寧な歯磨きが必要です。食後は必ず歯を磨き、歯間ブラシやデンタルフロスを使って細かい部分の清掃を行いましょう。また、抗菌性のマウスウォッシュを使用することで、口腔内の細菌を減らし、清潔を保つことができます。

質のよい睡眠をとる

質のよい睡眠は、体の免疫力を高めるためにとても重要です。十分な睡眠を取ることで、体がしっかりと休まり、免疫システムが正常に機能するようになります。睡眠不足は免疫力の低下を招き、口内炎の原因となることがあります。寝る前にリラックスする習慣をつけ、一定の睡眠時間を確保することが大切です。例えば、スマートフォンやパソコンの使用を寝る前に控え、ぬるめのお風呂に入るなど、リラックスする時間を設けましょう。

ストレスを溜めすぎない

ストレスは体の免疫機能に悪影響を及ぼし、口内炎の原因となることがあります。矯正治療中はストレスが溜まりやすいので、適切に管理をすることが重要です。リラックスする時間を持ち、趣味や運動など、ストレス解消に役立つ活動を取り入れましょう。深呼吸や瞑想も効果的です。ストレスを感じたときには、無理をせずに休息を取ることが大切です。

矯正装置に慣れる

矯正治療の初期段階では、矯正装置による口腔内の違和感が強く、口内炎ができやすくなります。時間が経つにつれて装置に慣れてくると、口内炎の発生も減少します。装置に慣れるまでの期間は、矯正用ワックスを使用して、ブラケットやワイヤーが直接粘膜に当たらないようにすることで、違和感を軽減できます。装置に慣れるためには、無理をせずにゆっくりと適応していくことが大切です。

まとめ

今回は、裏側矯正(舌側矯正)で口内炎ができる原因や対処法などを解説しました。矯正器具があたって口腔内が傷つく、免疫力が低下する、口腔内が不衛生な環境になっている、ウイルスに感染している、アレルギーを引き起こしているなどが原因で口内炎を発症するとされています。ブラケットやワイヤーが原因で起こる口内炎がどうしても嫌だという人は、裏側矯正(舌側矯正)ではなくマウスピース型矯正を検討するのもよいでしょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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