出っ歯は見た目に対するコンプレックスとして気にされることが多いですが、実は口臭の原因にも関係しています。
口臭は自分だけでなく、相手にも不快な思いをさせる要因にもなりかねません。
また口臭対策をしているつもりでも、実は正しい方法で行わないと効果が見込めない場合もあります。
本記事では出っ歯が口臭につながる原因や対処法、出っ歯の治療方法について解説します。出っ歯や口臭に悩む方はぜひとも参考にしてみてください。
出っ歯は口臭の原因になる?
- 出っ歯になる原因は何ですか?
- 出っ歯になる原因は先天的な要因と後天的な要因に分けられます。先天的要因、つまり生まれつきの要因として挙げられるのは両親や祖父母からの遺伝です。声や顔つきが親から遺伝するのと同様に歯並びも遺伝します。後天的な要因としては幼少期の指しゃぶりや口呼吸による前歯の移動が挙げられます。これらの要因によって後天的に出っ歯となるのです。
- 出っ歯は口臭の原因になりますか?
- 出っ歯の状態だと常に口が開いている状態になるので口腔内の乾燥が進み、細菌が口臭のもとになる揮発性ガスを発生させやすい環境ができあがってしまいます。お口のなかには1000億個の細菌が存在しており、口臭の原因となる成分を生成する細菌もあります。口呼吸を行うと口腔内の唾液が口臭を防ぐ機能を十分に発揮できず、口臭につながるのです。
- 口臭以外に出っ歯を放置するリスクを教えてください。
- 口臭以外にも出っ歯を放置するリスクが存在します。主に挙げられるリスクはむし歯や歯周病、風邪やインフルエンザといった感染症にかかりやすくなることです。出っ歯によってお口を閉じにくい状況が続くと、お口を開いている時間が長くなり口腔内が乾燥しやすくなります。結果として口腔内の免疫力低下やむし歯、歯周病につながるのです。ほかにも歯並びの悪さが影響して、歯磨きがうまく行いにくいので出っ歯の方の歯や歯周病のリスクが高くなります。
口臭の確認方法や自分でできる対処法
- 自分の口臭を確認する方法はありますか?
- 口臭をセルフチェックする方法として挙げられるのは下記の3つです。
- 唾液でのチェック
- ビニール袋に息を入れてのチェック
- 口臭チェッカーでのチェック
唾液でのチェックは舌の上や歯茎の溝部分に指で触れて付着した唾液の匂いを確認しましょう。もし唾液が臭うのであれば乾燥した際に口臭の原因となります。次にビニール袋に息を入れての確認です。唾液でのチェックよりも簡単に行えるうえに臭いもわかりやすいです。ただし起床時は生理的口臭と呼ばれる状態で口腔内の唾液が少なく細菌が繁殖しやすいので、起床して時間が経ってから行いましょう。最後に市販の口臭チェッカーでのチェックです。先述した2つよりも客観的な数字が出るのでより正確にチェックしたい方におすすめです。より精度を求めるのであれば歯科医院で使用されているものを使用しましょう。
- 歯磨きをしても口臭があるのはなぜですか?
- 歯磨きだけでは口臭を防ぎきれない場合、下記の6つが原因として挙げられます。
- 舌苔
- むし歯
- 歯周病
- 飲食物や嗜好品
- 生理的口臭
- 病気
舌苔とは舌の表面に着いている白もしくは淡い黄色の汚れを指し、口臭の原因として挙げられやすいです。舌苔の汚れは口の粘膜が剥がれた際の細胞や食べかす、細菌の死骸が混ざり形成されます。口腔内に存在する嫌気性菌と呼ばれる細菌が舌苔の汚れを分解した際に口臭の元となる臭いが発生します。むし歯は口腔内の細菌が糖分を分解する際に生み出される酸によって歯が溶ける病気です。食べかすが穴の開いた歯に溜まり、細菌が繁殖して口臭の原因となります。歯周病は歯周病菌が原因で歯茎の炎症が起こる症状です。歯周病の進行とともに歯茎の炎症に加え歯周ポケットとよばれる歯と歯茎の境目が深くなり、歯垢が溜まりやすくなります。結果として歯垢が溜まると硫化水素やメチルメルカプタンと呼ばれるガスによって口臭につながります。飲食物や嗜好品も口臭の原因のひとつです。主にニンニクや玉ねぎを筆頭に匂いの強い食べ物は体内で消化される際に呼吸とともに体の外に排出され、口臭の原因につながります。アルコールやタバコといった嗜好品も摂取すると唾液の分泌量が減少し口腔内が乾燥し、細菌の繁殖につながり口臭の原因になります。生理的口臭は主に起床時や空腹の際に起こる口臭です。前者は口腔内の乾燥によって生じ、後者は空腹時に胃のなかで分泌される膵液が分解される過程で生じるガスが原因です。病気による口臭は主に蓄膿症、糖尿病などの病気が代表的であり、特に糖尿病による口臭は注意しましょう。ケトン臭と呼ばれる甘酸っぱい口臭は糖尿病特有の臭いなので、速やかに医療機関の受診を受けましょう。
- 自分でできる口臭の対処法を教えてください。
- 自分でできる口臭の対処法は下記の5つが挙げられます。
- 正しい方法での歯磨き
- 舌苔の除去
- 唾液の分泌を促す
- 飲酒やタバコをやめる
- 生活習慣の見直し
口臭対策でまず行うのは歯磨きです。自身の歯磨きが正しく行えているか確認しましょう。歯磨きの際に注意するのは、歯と歯茎の境目を丁寧に磨くことです。加えてデンタルフロスを使用しましょう。歯と歯の隙間にある歯垢も取り除くとより汚れが取れて口臭予防につながります。舌苔の除去も口臭予防には重要であり、専用の舌クリーナーを使用して舌苔の除去を行いましょう。唾液の分泌を促すのも口臭対策として必要であり、こまめな水分補給を行い口腔内の乾燥を防ぎましょう。ただし、コーヒーに代表されるカフェインを含むドリンクはかえって口腔内の乾燥につながるので注意が必要です。飲酒やタバコをやめることも口臭の防止につながります。それぞれ口腔内の乾燥につながるだけでなく、健康にも悪影響を及ぼすので飲酒やタバコをやめることは健康増進にもつながります。生活習慣の見直しも口臭予防には必要です。不規則な生活、不摂生は口腔内環境の悪化にもつながるので規則正しい生活を意識しましょう。
出っ歯の治療方法
- 出っ歯を治療する方法にはどのようなものがありますか?
- 出っ歯の治療方法にはワイヤー矯正、マウスピース型矯正、裏側矯正(舌側矯正)の3種類があります。ワイヤー矯正はブラケット矯正とも呼ばれ、歯の表面にブラケットと呼ばれる小型の装置を接着してワイヤーを通す歯列矯正です。ほかの歯列矯正に比べて費用を安く抑えられたり、幅広い症例に対応できたりするのが特徴といえます。次にマウスピース型矯正ですが、透明なマウスピース装置を装着させて歯を動かすのが特徴です。取り外し可能なので歯列矯正中の見栄えを気にする方や食事や歯磨きを快適にしたいと考える方に合った治療法といえるでしょう。ワイヤー矯正と異なりマウスピースの装着を怠ると適切な矯正効果が出にくいほか、複雑な症例には適していない点は注意が必要です。最後に裏側矯正(舌側矯正)ですが、歯の裏側にブラケットを装着するのが特徴で矯正装置が目立ちにくいです。ほかの歯列矯正方法と比べて高額な費用がかかるほか、発音や舌触りに影響が及ぶ可能性もあります。
- 出っ歯は部分矯正でも治療できますか?
- 出っ歯でも部分矯正は可能です。ただし、出っ歯の程度が軽度であることが条件であり具体的には下記の症状が該当します。
- 噛み合わせ自体は正常であること
- 歯並びの乱れの原因が歯の配置によるもの
- 歯同士が重なり合っていない
部分矯正が可能かどうかは担当の歯科医師の診断が必要になるので、症例によっては部分矯正ができない場合もあります。
- 出っ歯の治療にかかる期間はどのくらいですか?
- 出っ歯の治療期間は個人差がありますが平均して1年から3年程度の時間を要します。ワイヤー矯正の場合は症例によって左右されますが、1年半から3年程度です。マウスピース型矯正の場合は適切にマウスピースを装着していた場合、1年から2年ほどで治療が完了します。
- 出っ歯の治療費用の相場を教えてください。
- 気になる出っ歯の治療費用ですが、下記の値段が相場となります。
- ワイヤー矯正:500,000~1,000,000(税込)
- マウスピース型矯正:700,000~1,200,000(税込)
- 裏側矯正(舌側矯正):1,000,000~1,500,000(税込)
上記の値段が相場金額となりますが、医療費控除やデンタルローンの利用もできる場合があります。歯列矯正を受ける際に費用が気になる場合は、かかりつけの歯科医院で相談しましょう。
編集部まとめ
出っ歯が気になって歯列矯正治療を検討しているが、治療を始めてから終わるまでどのくらいの期間がかかるのか気になる方は少なくないのではないでしょうか。
歯並びや噛み合わせの状態は個人差があるので、歯列矯正の治療方法や治療期間は異なります。出っ歯の治療は1年から3年近くかかる方がほとんどです。
また、歯列矯正にかかる金額も決して安いとはいえません。しかし出っ歯を放置することで口臭が気になったり口腔内環境に影響があります。
よって歯列矯正で出っ歯を治し、口腔内環境と口臭の改善を行うのが望ましいです。まずは近くの歯科医院にて相談してみましょう。
参考文献