歯並びを決める要因には顎の大きさ、歯の大きさ・本数が挙げられます。これらは遺伝することが多いため、歯並びは遺伝的な要因が大きく影響すると考えられています。歯並びは遺伝的要因が大きいと知られているものの、生活習慣も影響することがわかっています。今回は悪い歯並びの遺伝や生活習慣との関係について解説しています。悪い歯並びの改善方法についてもみていきましょう。
歯並びと遺伝について知ろう
- どのような仕組みで遺伝によって歯並びが決まりますか?
- 歯並びは、遺伝的な要因が大きく影響することが知られていますが、歯並びがそのまま遺伝するわけではありません。具体的には、以下の2つの要素が歯並びを決定する上で重要な役割を果たしています。
・顎の大きさ
顎の大きさは、遺伝によって決定されます。顎の成長に関わるホルモンや骨格の形成に関わる遺伝子は、親から子へと遺伝する遺伝子によって制御されます。そのため、親の顎の大きさが大きい場合、子供の顎の大きさも大きくなる傾向があります。逆に、小さい場合は小さくなる傾向があります。
・歯の大きさ・本数
歯の大きさや本数も、遺伝によって決定されます。歯の大きさは、顎の大きさに合わせて遺伝子によって決定されます。また、歯の本数も同様に遺伝子によって決まります。これによって、歯の大きさが大きいあるいは小さい、また本数が多いあるいは少ない場合、顎の大きさに対して歯並びが悪くなることがあります。
- 遺伝の可能性がある歯並びは何ですか?
- 遺伝から強い影響を受けるのは、具体例として以下のようなパターンが知られています。
・受け口
受け口とは、下の歯が前に出ている状態を指します。受け口の原因は、上下の顎の大きさに差があることが多く、遺伝によって決定される場合が多いとされています。・出っ歯
出っ歯とは、上の歯が前に出ている状態を指します。出っ歯の原因は、上下の顎の大きさのバランスが悪いことが多く、遺伝によって決定される場合が多いとされています。・すきっ歯(空隙歯列)
すきっ歯とは、歯同士の間隔が開いている状態を指します。すきっ歯の原因は、歯の大きさや顎の大きさによって決定されることがあり、遺伝的な要因が関与することがあります。・ガタガタの歯並び(叢生)
叢生とは、歯が乱雑に生えている状態を指します。叢生の原因は、歯の大きさや本数によって決定されることがあり、遺伝的な要因が関与することがあります。
生活習慣と歯並びの関係について
- 幼少期に歯並びに影響を与える生活習慣は何ですか?
- ・指しゃぶり
指しゃぶりをすることで、上下の歯が強く接触し続けることで歯並びが乱れることがあります。また、指しゃぶりをすることで下顎が前方に出ることがあり、これにより歯並びが悪くなることもあります。さらに、指しゃぶりをすることで唾液の分泌が減り、口内の乾燥が進むことで虫歯や歯周病などの原因にもなります。
・爪噛み
爪噛みは、前歯や側面の歯を噛むことが多く、この習慣が続くと、歯の表面に傷がついたり、歯がすり減ったり、歯並びに変形を引き起こすことがあります。例えば、前歯を噛み続けることで、前歯の形が変わり、噛み合わせが悪くなる場合があります。
ただし、爪噛みが歯並びに必ずしも影響を与えるわけではありません。爪噛みをしていても、歯並びが正常である人もいます。逆に、歯並びが悪くても爪噛みをしていない人もいます。
- 大人になってからも歯並びに影響を与える生活習慣は何ですか?
- ・食生活
柔らかい食べ物ばかり食べることで、咀嚼の機会が減り、歯並びに悪影響を与えることがあります。砂糖や甘い飲み物を多く摂取すると、虫歯や歯周病などの口内環境が悪化し、歯並びに影響を与えることがあります。・喫煙
ニコチンやタールが口内の細菌を増やし、歯周病を引き起こすことがあります。歯周病は、歯の周りの骨や歯肉を傷つけ、歯並びの悪化を招くことがあります。・口腔ケアの不十分さ
歯垢や歯石を放置すると、歯周病や虫歯の原因となります。歯周病は、歯肉の炎症や歯のぐらつきなどを引き起こし、歯並びの悪化を招くことがあります。・姿勢の悪さ
姿勢が悪いと、噛む力が偏り、歯並びが悪化することがあります。また、スマートフォンやパソコンなどのデバイスを長時間使うことで、姿勢が悪くなり、歯並びが悪化することがあります。・睡眠・うつ伏せ寝
寝相が悪い場合、歯並びに影響を与えることがあります。
うつ伏せで寝ると、上下の歯が強く噛み合わせられることにより、歯に負担がかかり、歯並びが乱れる場合があります。また、うつ伏せで寝ると顎が前方に突き出ることがあり、これが顎の成長に悪影響を与えることもあります。・ストレス
ストレスが原因で歯ぎしりや食いしばりをすることがあり、その結果、歯や歯列が歪んでしまうことがあります。また、ストレスが原因で食生活が乱れ、栄養不足に陥り、歯の発育が阻害されることもあります。・口呼吸
口呼吸は、鼻の通りが悪い、アレルギー性鼻炎などの原因で起こることがあります。口呼吸が続くことで、上下の歯列が開き、歯並びが乱れることがあります。また、口の中が乾燥し、唾液の分泌が減少することで、虫歯や歯周病のリスクも高まります。
歯並びを改善するための方法について
- 歯並びが悪い状態で放置するとどうなる?
- 歯並びが悪いまま放置すると口内環境が悪くなり、虫歯や歯周病などのトラブルが起こる可能性があります。また、噛み合わせが悪くなることで顎関節症の原因になる場合もあります。さらに、見た目にも影響が出るため、自信やコンプレックスにつながることもあります。定期的な歯科検診や治療を行い、早めに対処することが大切です。
- 歯並びを改善するために歯科医院で受けられる治療や矯正方法とは?
- 歯並びを改善するためには、歯科医院で様々な治療や矯正方法があります。・外科的矯正治療
外科的矯正治療は、歯列矯正とは異なり、顎の位置などの骨格的な問題がある場合に行われる手術を伴う治療法です。手術は顎の骨切りを伴い、骨格の異常を改善し、噛み合わせを調整します。手術後は、口元や顔貌が劇的に変化する一方で、全身麻酔を必要とするため、ダウンタイムや後遺症のリスクもあります。 具体的な治療の流れは以下の通りです。- 初診:歯科医師による診察と診断が行われます。
- 術前矯正:手術前に噛める位置に歯を動かす矯正治療を行います。
- 顎矯正手術・入院:全身麻酔下で手術を行い、約1~2週間の入院となります。
- 術後矯正:手術後3~6ヶ月程度経過して骨の位置が安定したら、最終的な噛み合わせを整える矯正治療を行います。
- 保定期間:綺麗になった歯並びを保つための保定治療を行います。
外科的矯正治療は、前述のとおり、リスクやダウンタイムを理解したうえで慎重に検討する必要があります。しかし、骨格に問題がある場合には、噛み合わせを改善するための有効な治療法となり得ます。また、歯科矯正には以下の種類があり、それぞれ特徴が異なります。
歯科矯正には以下の種類があり、それぞれ特徴が異なります。
・ワイヤー矯正
歯並びを矯正するためのブラケットを歯に取り付け、ワイヤーで引っ張って歯を動かします。・セラミック矯正
ワイヤー矯正と同じ仕組みで、ブラケットをセラミック製にしたものです。・マウスピース矯正
マウスピース型の矯正器具を使って歯を動かす方法で、外見が目立たないのが特徴です。・舌側矯正
舌側にブラケットを取り付ける方法で、外見が目立たないだけでなく、喉の奥での噛み合わせも考慮されます。治療や矯正方法は、症状や個人差に合わせて選択することが重要です。
編集部まとめ
歯並びの問題は遺伝的要因によるものもあれば、生活習慣によるものもあります。健康な歯並びを維持するためには、適切な口腔衛生、健康的な食生活、生活習慣の改善などを心掛けましょう。歯並びに問題がある場合は、歯科医に相談することをお勧めします。適切な治療を受けて口腔の健康を維持しましょう。