ワイヤー矯正

歯科矯正治療の期間はどのくらいかかるの?費用についても解説!

歯科矯正 食べ物

歯科矯正治療には、長い期間がかかるイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。 矯正治療を始める前には、むし歯や歯周病の治療が必要な場合もあります。また、治療中は定期的な通院が必要で、治療後もアフターケアが必要となります。 そのため、矯正治療の費用だけでなく、これらの追加費用も考慮に入れる必要があります。 となると、トータルでそれぞれどのくらいかかるのか、気になる所ですよね。
本記事では歯科矯正治療はどのくらいかかるのか、について以下の点を中心にご紹介します。

  • 歯科矯正治療にかかる期間
  • 歯が動く仕組みについて
  • 歯科矯正治療にかかる費用の相場

歯科矯正治療はどのくらいかかるのか理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

歯科矯正治療の期間はどれくらいかかるのか

歯科矯正治療の期間はどれくらいかかるのか

歯科矯正治療には「矯正期間」と「保定期間」の2つの段階があります。
矯正期間は、歯を目標とする位置に動かす期間を指します。 一方、保定期間は、矯正装置を取り外した後、歯が元の位置に戻ろうとするの性質を防ぐための期間です。これは歯並びの「後戻り」を防ぐためにとても重要なステップで、歯を動かした期間と同じくらいの時間が必要とされています。
したがって、トータルでかかる期間は、矯正期間と保定期間を合わせた時間となります。 具体的な期間は個々の状況によりますが、2~6年程度はかかると考えられます。
また歯科矯正治療は、大人と子供で必要な期間が異なります。 大人の場合、歯科矯正期間は約1年~3年程度とされています。
子供の場合、矯正治療は顎の成長期間に合わせて行う必要があります。 小児矯正には、1期治療と2期治療があり、1期治療は乳歯が全て永久歯に生え変わるまで(6~11歳頃が対象)、2期治療は永久歯が生えそろった後(12~20歳前後が対象)を指し、それぞれの期間は約1~2年とされています。

歯科矯正治療で歯が動く仕組み

歯科矯正治療で歯が動く仕組み

歯科矯正治療で歯が動く仕組みは、歯槽骨(歯ぐきの骨)と歯根膜(歯を歯槽骨と繋げる膜)の相互作用によるものです。
歯に力が加わると、歯が動く側の歯根膜は縮み、反対側は引き伸ばされます。歯根膜は一定の厚さを保とうとする性質があり、その変化に応じて歯槽骨も変化します。圧迫された側の歯根膜では骨を溶かす細胞が活発になり、歯が移動するスペースが作られることで、歯根膜が元の厚さに戻ります。この過程を繰り返すことで、歯は少しずつ動いていきます。
歯科矯正治療では、ワイヤーやマウスピースなどを用いて歯に力を加えます。 ワイヤー矯正では、ワイヤーが元の形に戻ろうとする力や、ワイヤーのしなりを利用して歯に力を加え、理想的な位置へと動かします。 一方、マウスピース型矯正では、歯型をスキャナーで取り、理想の歯並びをシミュレーションします。その過程で少しずつ歯を動かすための形状が少しずつ違うマウスピースを作製し、2週間ごとに交換していきます。
歯を動かす方法は様々で、水平移動、回転、引っ張り出す、引っ込める、起こす(傾斜移動)、歯根を動かす(トルキング)などがあります。これらの方法は、歯の状態や矯正の目的に合わせて選択されます。

歯科矯正治療の期間

歯科矯正治療の期間

歯科矯正治療の期間は、治療方法によっても違ってくるようです。 ここではワイヤー矯正と、マウスピース矯正の場合について紹介します。

ワイヤー矯正の期間

ワイヤー矯正にかかる期間は、患者さんの歯の状態や矯正の範囲にもよりますが、約1~3年程度とされています。 全体矯正、つまり全ての歯を動かす場合は1〜3年、部分矯正、つまり一部の歯だけを動かす場合は2ヶ月~1年程度が目安です。
また、ワイヤー矯正のなかでも表側矯正(歯の表側に装置を装着)の場合は、全体矯正は1年〜3年、部分矯正は2ヶ月〜1年程度が目安です。 しかし、これらの期間はあくまで目安であり、個々の状況により異なります。

マウスピース型矯正の期間

マウスピース型矯正は、透明なプラスチック製のマウスピースを使用して歯を少しずつ動かす方法です。個人差はありますが、治療期間は約1~2年程度とされています。しかし、軽度の歯並びの乱れの場合は6ヶ月程度で終わることもあります。 マウスピース型矯正は、ワイヤー矯正と比べて見た目が目立たないため、大人の矯正治療によく用いられます。また、取り外しが可能なため、食事や歯磨きの際には邪魔になりません。ただし、マウスピースを指定された時間以上着用しなければならないという制約があります。

歯科矯正治療の段階

歯科矯正治療の段階

歯科矯正治療には歯を動かす「矯正期間」と、治療後に歯を安定させる「保定期間」の2つの段階があります。 それぞれどのくらいかかるのか、解説していきます。

矯正期間(歯を動かす期間)

歯科矯正治療の初期段階である歯を動かす期間、すなわち矯正期間は、患者さんの歯の状態や矯正の種類にもよりますが、1年半から3年程度とされています。この期間中に矯正装置を用いて歯を目的の位置に移動させます。 装置の調整は定期的に行われ、その間隔は患者さんの状態や治療の進行度によります。この期間は患者さんの協力が非常に重要であり、指示されたケアを怠ると治療期間が延長する可能性があります。

保定期間

矯正期間が終了し、歯が適切な位置に移動した後は、保定期間と呼ばれる段階に入ります。この期間は矯正治療が終わった後の歯が安定するまでの期間で、歯が元の位置に戻るのを防ぐために重要です。 保定期間中には保定装置(リテーナー)が使用され、歯を新しい位置に固定し、後戻りを防ぎます。
保定期間は1年~3年程度とされていますが、これは患者さんの年齢や矯正治療の内容、歯や骨の状態によります。保定期間が終了した後も、歯の位置が変わらないようにするために、夜間だけでもリテーナーを装着し続けることが推奨されています。

歯科矯正治療の費用の相場

歯科矯正治療の費用の相場

歯科矯正治療の費用はどのくらいかかるのか、治療方法別に紹介します。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正の費用は、使用するワイヤーの種類により異なります。 金属ワイヤーは約30~50万円、セラミックワイヤーは約40~60万円、透明ワイヤーは約50万~70万円が相場とされています。

ワイヤー矯正(表側矯正と裏側矯正)

表側矯正の費用は約60~130万円、裏側(舌側)矯正は約100~180万円が相場とされています。 裏側矯正は表側矯正に比べて技術的に難易度が高いため、費用が高くなります。

マウスピース型矯正

マウスピース型矯正の費用は、全顎矯正の場合約100~180万円、部分矯正の場合約10万~50万円が相場とされています。

部分矯正

部分矯正の費用は、表側矯正の場合約20~60万円、裏側矯正の場合約30~80万円が相場とされています。

これらの費用はあくまで目安であり、治療内容や症状、使用する器具などにより異なることをご理解ください。 また、これらの費用は自由診療となるため、医療保険は適用されません。ただし、治療理由によっては医療費控除の対象となる場合もあるので、詳細は各医療機関にご確認ください。

まとめ

まとめ

ここまで、歯科矯正治療はどのくらいかかるのかについてお伝えしてきました。 歯科矯正治療はどのくらいかかるのか、要点をまとめると以下の通りです。

  • 歯科矯正治療にかかる期間は、「全体矯正」の場合、治療期間は1〜3年程度、「部分矯正」の場合は、2ヶ月〜1年半程度の期間が目安
  • 圧迫された側の歯根膜で骨が溶け、歯が移動するスペースが作られることで、歯は少しずつ動いていく
  • 歯科矯正治療にかかる費用の相場は、治療方法や歯の状態によっても大きく異なるが、約30~200万円程度は必要と考えられる

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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