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出っ歯がひどいとどうなる?特有の症状や原因と治療法も解説!

出っ歯がひどいとどうなる?特有の症状や原因と治療法も解説!

日本人に比較的多く見られる出っ歯。専門的には上顎前突(じょうがくぜんとつ)と呼ばれる歯並びで、出っ歯特有の症状が認められることでも有名です。その中でも出っ歯がひどい場合は、放置するリスクも大きくなるため要注意です。ここではそんなひどい出っ歯に見られる症状や原因、治療法について詳しく解説します。出っ歯のひどい症状に悩まされている方は参考にしてみてください。

出っ歯がひどい場合の症状や原因

出っ歯がひどいとどうなりますか?
出っ歯がひどい場合は、以下に挙げるような症状が認められます。ひどい出っ歯に悩まされている方は、ご自身の症状と照らし合わせてみてください。

・特有の顔つきになる
出っ歯は、上の前歯もしくは顎の骨が前方に出ている歯並びなので、特有の顔つきになります。口元がモコっと膨らむことから、口ゴボと表現される場合もあります。前歯が邪魔になって唇を閉じることができない場合もあります。そうしたケースでは、常に前歯が露出することになります。いずれにしても口元の突出感が強くなる顔つきがひどい出っ歯の特徴といえます。

・前歯を使った食事が難しくなる
出っ歯では、上下の前歯が正常に噛み合うことがないです。それは上の前歯が前方に傾いているからです。前歯は食べ物を噛み切る機能を担っているため、上下で正常に噛み合っていないと食事で不便を感じることになります。例えば「うどん」や「そば」といった麺類を前歯で噛み切ることが難しいので、奥歯に過剰な負担がかかります。

・胃腸の不調化
前歯で噛み切れないと、食べ物を細かくそしゃくする前に飲み込むことになります。その結果、胃や腸に大きな負担がかかり、消化管の不調を招いてしまうのです。また、消化不良は栄養の吸収にも大きな悪影響を及ぼします。それは全身の健康状態を悪くすることにもつながっていきます。

・口が乾燥しやすくなる
ひどい出っ歯の場合は、口を閉じることができないため、口腔内が乾燥しがちです。常に前歯を舌で舐めている人は要注意です。そうしたケースではほぼ確実に口呼吸を伴っていることから、風邪やインフルエンザといった全身の感染症にもかかりやすくなっています。

・滑舌が悪くなる
口が乾燥しやすくなると、唾液による潤滑作用が期待できなくなるため、滑舌が悪くなります。また、口呼吸によって口腔周囲の筋肉が弛緩することでも滑舌の悪化は進行しますので、十分にご注意ください。

・むし歯や歯周病になりやすくなる
私たちの唾液には、抗菌作用や殺菌作用、自浄作用が備わっています。口の中のむし歯菌や歯周病菌を排除する作用が期待できるため、唾液は常に正常な量、分泌されているのが望ましいです。ひどい出っ歯の場合は、口内乾燥によって唾液による作用が期待できなくなるので、むし歯や歯周病リスクが上昇するといえます。

出っ歯がひどいと診断される歯並びの目安はありますか?
ひどい出っ歯には、明確な診断基準があるわけではありません。なぜなら出っ歯というのは、下の前歯や顎とのバランスによって決まる部分が大きいからです。その中でも比較的わかりやすい指標は「OJ(オーバージェット)」です。オーバージェットとは、上下の前歯の位置関係を表すもので、上の前歯が2~3mmくらい前方に位置しているのが標準です。これが5mm以上になると出っ歯となり、ひどい症例では10mm近くに達する場合もあります。ご自身のオーバージェットが気になる方は鏡でセルフチェックしてみてください。ただし、正確なオーバージェットは歯科医院でなければ測定できません。
出っ歯がひどい場合の原因はなんですか?
ひどい出っ歯の原因としては、以下の3点が挙げられます。

・遺伝の影響
ひどい出っ歯には、骨格的な異常が背景にあることが多いです。上の顎の骨が前方に出ているようなケースです。そうした骨格的な異常は、親から受け継ぐ遺伝による影響が大きいといえるでしょう。ですから、ひどい出っ歯というのは家族内でも共通した症状であることが多いといえます。

・幼児期のおしゃぶりや指しゃぶり
幼児期に長い間おしゃぶりや指しゃぶりをしていると、前歯が前方に傾いてしまうため、出っ歯の症状がひどくなります。とりわけ指しゃぶりの習慣は、適切な時期に解消すべきといえるでしょう。

・爪や下唇を噛む癖
爪や下唇を噛む癖によっても出っ歯の症状はひどくなります。普段、何気なく行ってしまう癖ではありますが、軽視していると歯並びに深刻な悪影響を及ぼすため十分な注意が必要です。

出っ歯がひどい状態を放置するとどうなりますか?
ひどい出っ歯を放置すると、口元のコンプレックスとなってしまいます。ひどい出っ歯の症状を見られるのが恥ずかしくて、人前で大きく笑ったり、話したりすることが難しくなります。また、出っ歯による口呼吸を放置していると、むし歯や歯周病のリスクが上昇するため、できるだけ早期に改善した方が良いといえます。その他、出っ歯がひどい状態を放置すると奥歯や顎に過剰な負担がかかってしまいます。

出っ歯を悪化させる癖や習慣

出っ歯を悪化させる癖や習慣

出っ歯を悪化させる癖はなんですか?
出っ歯は、指しゃぶりや爪を噛む癖などで悪化していきます。舌を前に突き出す舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)でも出っ歯が悪化する場合があります。
出っ歯を悪化させる習慣はなんですか?
口呼吸では前歯を押さえつけるような圧力がかかりにくくなることから、出っ歯が誘発されます。心当たりのある方は、今日からでもそうした悪習癖を改善していきましょう。

ひどい出っ歯を治療するメリットとデメリット

ひどい出っ歯を治療するメリットとデメリット

出っ歯を歯科矯正で治療するメリットはなんですか?
歯科矯正ならひどい出っ歯を根本から改善できます。その結果、歯並びが美しくなり、ひどい出っ歯によるコンプレックスからも解放されることでしょう。口呼吸も解消されて、むし歯・歯周病リスクが低減します。また、前歯で食べ物を噛み切ることが可能となり、奥歯や顎、消化管への負担を減らすことにつながります。
出っ歯を歯科矯正で治療するデメリットはなんですか?
出っ歯の歯科矯正には、原則として保険が適用されません。その費用は通常の歯科治療と比べると高額となることから、大きな経済的負担を背負うというデメリットを伴います。また、出っ歯の歯科矯正には数年の期間を要するのが一般的です。通常の全体矯正なら歯を動かすのに1~3年、後戻りを防止する保定に1~3年程度かかります。合計で2~6年の期間、治療を受け続けなければならないのは、患者さんにとって大きなデメリットとなることでしょう。

その他には、矯正装置によるストレスも出っ歯を治療するデメリットとして挙げられます。口の中に矯正装置が入っていると、しゃべりにくい、食事がしにくい、歯磨きしにくいといった不自由を感じる場面が多くなるからです。

出っ歯がひどい場合の治療方法

出っ歯は自力で治せますか?
出っ歯を自力で改善することは難しいです。なぜなら、前方に位置していたり、傾いていたりする前歯を自力で動かすことはできないからです。それをできるのは、専門的な知識と技術を持った歯科医師だけです。出っ歯を自力で治そうとすると、歯や歯茎に炎症が起こったり、歯が欠けたりすることもありますので、必ず専門家に相談するようにしてください。
出っ歯がひどい場合、矯正治療で治りますか?
歯の生え方に問題がある場合は歯列矯正で治療できます。骨格に問題がある場合は、外科手術が必要になることも多いですが、その場合も歯列矯正を併用することになります。ですから、ひどい出っ歯に悩まされている方は、まず矯正治療を行っている歯科医院に相談することをおすすめします。矯正歯科では、ひどい出っ歯の精密検査を行った上で、適切な治療法を提案してくれます。外科矯正が必要となる場合は、大きな病院と連携することになるかもしれません。

編集部まとめ

今回は、出っ歯がひどい場合に見られる症状や原因、治療法について解説しました。ひどい出っ歯は審美障害が大きく、口元のコンプレックスとなりやすいです。口呼吸になっている場合は、むし歯や歯周病のリスクが高くなります。そんな出っ歯は自力で治すことは難しく、原則として歯科矯正が必要となることを知っておいてください。矯正治療の実績がたくさんある歯科医院なら、ひどい出っ歯でも上手に治してくれることでしょう。出っ歯を放置しているとさまざまなリスク・デメリットを伴うことになるため、できるだけ早く専門家に相談することをおすすめします。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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