ワイヤー矯正

小児矯正を始めるタイミングとは?小児矯正のメリットやデメリット、治療期間も併せて解説

小児矯正を始めるタイミングとは?小児矯正のメリットやデメリット、治療期間も併せて解説

小児矯正は、子どもの成長期に行われる矯正治療で、歯並びと顎の位置を調整する歯列矯正法です。しかし、小児矯正といっても、いつから始めればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。本記事ではそんな小児矯正のタイミングについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 小児矯正の一期治療と二期治療
  • 小児矯正を始めるタイミング
  • 小児矯正の治療期間

小児矯正のタイミングについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

小児矯正について

小児矯正について

小児矯正の一期治療について教えてください。
小児矯正の一期治療は、顎骨の正常な発育の促進を主な目的としています。具体的な方法としては、上顎の幅が狭く、将来的に歯並びが乱れる可能性がある場合、拡大床などを使用して顎の幅を広げ、永久歯がきれいに並ぶスペースを確保します。

一期治療は、歯並びを細かく整えるためのものではなく、顎の成長を利用して正しい土台を作るための治療です。

一期治療は、子どもの顎の成長に合わせて行われるため、顎の成長が終了すると実施できません。一期治療で使用される主な矯正装置には、拡大床、マウスピース、急速拡大装置、ヘッドギア、フェイシャルマスクなどがあります。これらの装置を利用し、顎の成長を利用して上下顎および上下歯列の位置関係を正常なものにするのが目的です。

例えば、拡大床は歯列を広げるための取り外し可能な装置で、出っ歯や叢生の予防に役立つとされています。マウスピースは、インビザライン・ファーストやプレオルソなどがあり、取り外しが可能です。急速拡大装置は固定式で、上顎の横幅を拡大し、永久歯のスペースを確保します。ヘッドギアやフェイシャルマスクは、上下の顎のバランスを整えるために使用されます。

二期治療ではどのような歯列矯正を行いますか?
二期治療では、永久歯の歯並びや噛み合わせを整えるための矯正治療が行われます。使用される矯正装置には、ワイヤー矯正とマウスピース型矯正の2つがあります。

ワイヤー矯正では、歯にブラケットを装着し、ワイヤーを通して歯を移動させます。毎月の調整で歯並びを整えるため、歯科医師主導で治療が進みますが、装置が目立ちやすく、歯磨きが難しくなるためむし歯や歯周病のリスクがあります。

一方、マウスピース型矯正は透明なマウスピースを使用し、1日20〜22時間装着することで徐々に歯を移動させます。マウスピース型矯正は見た目が自然で、違和感や痛みが少ないのが特徴です。ただし、マウスピースの管理が必要であり、すべての歯並びに対応できないことがデメリットです。

二期治療では、顎の成長を利用せず、歯を動かして適切な位置に整えるため、場合によっては抜歯などの処置が伴うこともあります。二期治療の目的は、歯並びを適切にし、噛み合わせを改善することです。

小児矯正はどのくらい治療費がかかりますか?
小児矯正の治療費用は、一期治療が約30万〜50万円、二期治療が約20万〜100万円が目安です。さらに、カウンセリング料や調整料、保定装置代、定期メンテナンス料が別で必要な場合もあります。
一部の歯科医院では、一期治療後に二期治療へ移行する際の割引制度や、トータルフィー制度を採用している場合がありますので、事前に確認しましょう。

小児矯正を始めるタイミング

小児矯正を始めるタイミング

何歳から小児矯正を始めるのが推奨されていますか?
小児矯正を始める推奨年齢は、6歳頃が目安です。6歳頃に生える6歳臼歯から混合歯列期が始まるため、6歳頃が顎の成長を促す一期治療が適切に進む時期です。
6歳から7歳までに矯正を開始すると、歯並びの基盤作りが効率的に行えます。個々の成長スピードや口の中の状態によって適切な開始時期が異なるため、早めに歯科医に相談することをおすすめします。
小児矯正は何歳まで受けられますか?
小児矯正は実年齢ではなく口の中や顎の成長度で判断するため、一概に何歳まで受けられるかは決められません。しかし、目安としては、顎の成長が旺盛な11〜12歳頃までに歯列矯正を終了させる必要があります。
顎の成長が進んでしまうと小児矯正は難しくなるため、早期の受診が推奨されます。歯並びや噛み合わせに問題を感じた場合は、早めに歯科医に相談することが重要です。

また、子どもの成長スピードには個人差があるため、兄弟姉妹などの場合でも適切な治療開始時期は異なることがあります。

また、前述したとおり、成長期を利用した一期治療が終了すると、ブラケットなどを使った本格的な二期治療へと移行します。二期治療では、乳歯ではなく永久歯に対して歯列矯正が行われ、成人矯正と同じ扱いになります。
総じて、小児矯正を始める適切な時期は、子どもの口の中や顎の状態に合わせた判断が大切です。

小児矯正の治療期間

小児矯正の治療期間

一期治療にかかる治療期間を教えてください。
一期治療の治療期間は、子どもの歯列矯正の開始時期や症例によって異なりますが、1〜3年程度が目安とされています。永久歯が適切な位置に生えれば、一期治療で終了するケースもありますが、必要に応じて二期治療に進むこともあります。
二期治療は完了するまでどのくらい時間がかかりますか?
二期治療の治療期間は、1〜2年程度が目安とされています。症例によっては2〜3年かかる場合もあり、一期治療と合わせて2〜5年程度の期間が必要になることがあります。

小児矯正のメリットとデメリット

小児矯正のメリットとデメリット

小児矯正にはどのようなメリットがありますか?
小児矯正には、大人の矯正治療にはない多くのメリットがあります。

まず、顎の成長段階にある子どもは、顎の拡大がしやすく、永久歯が並ぶスペースを確保しやすいため、抜歯のリスクが低くなります。さらに、子どもの骨はやわらかく、歯が動きやすいため、弱い力で調整が可能とされ、痛みも少ないです。

また、子どもの適応能力は高く、矯正装置にも早く慣れるため、治療がスムーズに進みます。身体の成長とともに、歯や歯ぐき、周辺の筋肉も適応しやすく、治療後の噛み合わせの安定が期待できます。これにより、治療期間が短縮される可能性もあり、結果的に治療費を抑えられるのもメリットです。

さらに、子どもの矯正治療には、コンプレックスの解消や、自信の回復といった心理的な効果も期待できます。歯並びや噛み合わせの改善により、友人や家族とのコミュニケーションがスムーズになることが多いようです。
そして、指しゃぶりや舌の癖も矯正装置によって改善され、口腔筋機能療法(MFT)を併用することで、舌の使い方や呼吸法も正しく身につけられます。

小児矯正のデメリットを詳しく教えてください。
小児矯正にはいくつかのデメリットがあります。
まず、子どもが協力的でないとよい結果を得られないことがあります。多くの場合、矯正治療は保護者の希望で始められますが、子どもが装置を嫌がることや、勝手に外してしまうことも少なくありません。そのため、保護者の根気やサポートが不可欠です。

次に、矯正装置が装着されていると歯磨きがしづらくなり、むし歯のリスクが高まります。治療中は普段以上に口腔ケアを徹底し、保護者による仕上げ磨きも必要です。ワイヤー矯正では特に食べ物が絡みやすく、ブラケットとワイヤーの間に汚れが溜まりやすいので注意が必要です。

さらに、小児矯正は顎の成長を予測しながら治療を進めますが、その成長が予想どおりに進まないことがあります。顎の成長が早まったり遅れたりする場合、大人になってから再治療が必要になることもあります。しかし、小児矯正を行うことで、大人になってからの治療が簡単に済むケースもあります。
最後に、歯列矯正の期間中は一時的に見た目が悪くなることがあります。装置が目立つことや、顎や歯が動くことで外見が変わることがありますが、治療が進むにつれて改善されます。
また、取り外し式の装置を使用することが多いため、装着時間を守らないと治療がスムーズに進まないこともデメリットの1つでしょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで小児矯正のタイミングについてお伝えしてきました。小児矯正のタイミングの要点をまとめると以下のとおりです。

  • 小児矯正の小児矯正の一期治療は、顎骨の正常な発育促進を主な目的とし、拡大床などを使用して顎の幅を広げ、永久歯がきれいに並ぶスペースを確保するなどの治療をし、二期治療では、ワイヤー矯正などの永久歯の歯並びや噛み合わせを整えるための矯正治療が行われる
  • 小児矯正を始める推奨年齢は、6歳頃が目安
  • 小児矯正の一期治療の治療期間は、子どもの歯列矯正の開始時期や症例によって異なるが、1〜3年程度が目安とされており、二期治療の治療期間は、1〜2年程度が目安とされているが、症例によっては2〜3年かかる場合もあり、一期治療と合わせて2〜5年程度の期間が必要になる

小児矯正は適切なタイミングと治療期間を理解することが重要です。小児矯正にはメリットもデメリットもありますが、子どもの未来の健康と美しさのために大切な治療です。もし、子どもの歯並びなどが気になっている方は、早めに歯科医院に相談しましょう。 これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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