ワイヤー矯正

歯科矯正治療で噛み合わせは改善する?治療方法や理想の噛み合わせも解説

歯科矯正 嚙み合わせ

歯の嚙み合わせが悪く、歯並びが悪い、見た目に良くないなどコンプレックスを抱いていませんか。

歯の噛み合わせで笑顔が減ると生活が楽しくありません。 歯並びは外見だけでなく、歯並びの悪さがむし歯や歯周病を引き起こしやすくなる可能性があります。

歯並びや噛み合わせの問題を改善し、整った歯並びと正確な噛み合わせを実現するのが歯科矯正治療です。

歯科矯正治療を受けることで、見た目が改善されるだけでなく、歯ブラシの使用が容易になり、むし歯や歯周病の予防にもつながるのです。

この記事を読むことで、歯の噛み合わせの改善・治療方法が分かり理想の歯を取り戻す治療への一歩を踏み出せるでしょう。

歯科矯正治療で噛み合わせは改善できる?

歯科医療で使用するマウスピース

歯科矯正治療で噛み合わせは改善できます。

歯科矯正治療は歯並びの不正(出っ歯・乱ぐい歯・八重歯・受け口・すきっ歯など)を矯正装置を用いて歯に少しずつ力を加えて改善する治療法です。

歯並びを整えるだけではなく、噛み合わせや顔のバランス、全身の健康も改善が期待できます。

歯科矯正治療で噛み合わせを治療する方法

綺麗な歯並びの女性

噛み合わせの治療方法は主に、ワイヤー矯正・床矯正・マウスピース矯正があります。

治療を開始する前に、初診相談の結果・詳細な検査が行われます。この検査には普通の歯医者さんにはない特別な側面頭部エックス線規格写真が含まれるのです。

この検査により、個々の不正咬合の原因が詳細に把握されます。 これにより、適切な装置の選択や抜歯の必要性などが検討され、治療をスタートする準備が整えられるのです。

それでは、それぞれの特徴について説明します。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、歯にブラケットという矯正装置を取り付けそのブラケットにワイヤーを通して歯を移動させる矯正治療法です。

このワイヤー矯正には、大きく3つの種類があります。

まず1つ目は「表側矯正(ひょうそくきょうせい)」と呼ばれる方法で、ブラケットを歯の表面に取り付けるのです。

表側矯正は、他の矯正治療に比べて比較的費用が抑えられる利点がありますが、治療装置が見えるため外見上のデメリットもあります。

2つ目は「舌側矯正(ぜっそくきょうせい)」と呼ばれる方法で、ブラケットを歯の裏側に装着します。

舌側矯正は、治療装置が目立たないという利点がありますが、特別な技術が必要であるため治療費が高めになるというデメリットもあるのです。

そして3つ目は「ハーフリンガル矯正」です。この方法では、上の歯列には矯正装置を歯の裏側に固定し、下の歯列には歯の表側に装着します。

ハーフリンガル矯正は他の方法よりも費用が高い場合が多く、全ての歯科医院で提供されているわけではないことがあります。

床矯正

床矯正治療は歯のスペースを確保するために抜歯を行わず、顎の骨を広げることで機能的で美しい歯並びを実現する治療法です。

患者は装置を自分で取り外せるため、装着時の違和感が少なく、歯磨きが容易になり、虫歯や歯周病の予防にも効果的です。

主なメリットとしては、

  • ほとんど歯を抜く必要がないこと(限界はあります)
  • 患者自身が装置を取り外せること
  • 装着時の違和感が軽減されること
  • 歯並びが整い口元が美しく見える

ことが挙げられます。

治療の適切な開始時期は顎の成長段階に合わせ、一般的には6~10歳の間が効果的です。しかし、中高生や大人の場合でも治療を受けることが可能であり、大人の場合は顎を広げた後に通常のブラケット矯正を行うこともあります。

床矯正治療は歯並びに問題を感じた時点で始めることが重要であり、早めの治療をお勧めします。

予防治療の一環として床矯正治療を検討することで、適切な歯並びを実現し、口の健康を維持することが可能です。

マウスピース矯正

マウスピース矯正(インビザラインなどが知られるが、完成物薬機法対象外)は、透明なマウスピース型の装置を用いて、ワイヤーやブラケットを使わずに歯を移動させる矯正方法です。

マウスピース矯正のメリットは以下の点です。

まず、見た目にわかりにくいため、対面での仕事や写真撮影が多い方でも気になりません。

治療中の痛みが少なく、食事の際も取り外せるため、食事の楽しみを損なうことなく治療できます。通院回数も少なく、手入れもしやすいです。

さらに、様々な不正歯列に対応でき、矯正後の歯並びを事前に確認できるため安心です。金属アレルギーの方でもリスクの低減が期待できます。

歯科矯正治療で目指す理想の噛み合わせとは?

綺麗な歯並びの女性

歯科矯正治療で悪い歯並びを改善するのですが、理想の噛み合わせとはどのようなものでしょうか。

無理なく口を閉じられる・奥歯が噛み合っている・歯並びに隙間やガタつき・傾きがないことが理想の噛み合わせといえるでしょう。

これらについて説明します。

無理なく口を閉じられる

歯並び・咬み合わせに問題があると、ゆがんだ口元になる可能性があるのです。

無理に口を閉じると、下顎の筋肉に緊張がみられ、怒ったような表情に見えます

治療後は下顎の緊張がとれ、歯並びだけではなく、口元まで美しくなります。

奥歯が噛み合っている

奥歯の噛み合わせが良いことは理想といえるでしょう。

矯正治療で咬み合わせを修正することで、唇や横顔のバランスも整って、より美しい顔立ちとなるでしょう。

歯並びに隙間やガタつき・傾きがない

歯並びに隙間やガタつき・傾きがないことも理想といえるでしょう。これらは、顔の歪みを引き起こす原因となります。

歯並びのバランスが崩れると、適切な咬み方ができなくなり筋肉のアンバランスが生じ、口元や顔が歪むことがあるのです。隙間を閉じることで咬み合わせが整います。

噛み合わせが悪いまま放置したらどうなる?

歯科矯正中の歯ー横顔2

多くの方が慢性的な肩こりに悩んでいます。

これは日常的な歯ぎしりや無意識の習慣によって顎の位置や噛み合わせが変化し、それが体の歪みを引き起こすことが頻繁にあります。

その他にも噛み合わせを放置するとどのような、悪影響があるのでしょうか。

虫歯や歯周病にかかりやすい・口臭が強くなる・発音が上手くできなくなる等、歯だけでなく、体への影響が生じます。

ここでは、これらの悪影響について説明します。

虫歯や歯周病にかかりやすくなる

虫歯が痛む

噛み合わせが不適切だと、歯ブラシが届きにくい箇所が増え、歯に付着したプラーク(歯垢)の除去が不十分になりがちです。特に、歯並びが叢生のようにでこぼこしている場合は、プラークや歯石がたまりやすく、虫歯になりやすくなります。

さらに、歯ブラシが届かない箇所にはプラーク(歯垢)や歯石が沈殿しやすく、それが原因で歯肉(歯ぐき)の炎症が起こることもあるのです。

前歯が突出している状態でうまく口が閉じられない場合、歯肉が乾燥し、歯肉炎が悪化する可能性があります。また、噛み合わせによって歯ぎしりが引き起こされることもありますが、歯ぎしりによる歯肉の退縮は歯周病の進行を促進させる要因となるのです。

口臭が強くなる

上下の噛み合わせが不適切な場合、食べ物を十分に噛み砕くことができなくなります。さらに、歯磨きの際に磨き残しが増え、虫歯・歯周病・口臭の原因となり得るのです。

顎の発達が悪くなる

成長期の不正咬合をそのままにしておくと、後のあごの骨の成長に影響が及び、下あごが前方に突出したり、顔面の骨格が非対称になったりすることがあるのです。

また、不正咬合が原因となり、顎関節症の症状が現れることもあります。顎関節症では、あごの関節に痛みを感じたり、口を開けにくくなったりする症状が現れることがあります。

発音が上手くできなくなる

歯並びや噛み合わせが不適切な場合、発音する機能に問題が生じ、日常生活に影響を及ぼすことがあります。

胃腸への負担が大きくなる

嚙み合わせが悪いと、胃腸への負担も大きくなります。

食べ物をしっかりと噛めないため、胃腸への負担がかかるのです。

肩こりの原因になる

肩こりに悩む女性

特に奥歯の噛み合わせは自律神経の機能に影響を与える可能性が指摘されています。

噛み合わせを改善することにより、肩こり・頭痛・めまいなどの原因の明確でない体の不調が軽減される例が多く報告されており、嚙み合わせと関連していると考えられているのです。

噛み合わせを改善するための歯科矯正治療の費用

歯医者と男性患者

自由診療の歯科矯正治療は保険適用外ですが、「厚生労働大臣が指定する疾患」による咬合異常や顎変形症の「外科矯正」などは、保険診療にて治療を受けられます

ただし、これらの保険適用が適用される医療機関は、厚生労働大臣が定める「顎口腔機能診断」および「育成・更正医療」の施設基準に適合し、地方厚生局長に届け出た保険医療機関に限られます。

保険適用される場合

問診をする歯科医

保険適用の矯正治療の費用は症例によって異なるため、一般的な症例では治療費用のうち約3割を患者が負担し、10万円以上となることが多いです。

顎変形症の手術が必要な場合は、入院費用もかかることがあります。しかし、民間の医療保険に加入している場合は、入院した際には保険(手術特約や入院特約など)が適用されます。また、子供の場合は自治体により異なりますが、小学生や中学生までは医療費の負担が0割です。さらに、日本の医療制度には後述する税制控除による医療費控除や高額療養費制度も適用される場合があります。

自費での矯正治療では、100万円以上の自己負担が必要な場合も少なくありません。その点、保険適用の矯正治療は自費治療に比べて経済的な負担が軽減されるといえます。

保険が適用されない場合

歯列矯正治療はほとんどが保険適用外であり、全ての歯を矯正する場合には約100万円ほどの費用が必要となります。

ただし、部分的な矯正の場合は費用を比較的低く抑えることができる傾向があります。また、治療費用は矯正の方法によっても異なります。

それでは、個々のケースに応じた歯列矯正治療の費用の詳細を見ていきましょう。

ワイヤー矯正

  • 部分的な治療:30~60万円
  • 全体的な治療:60~130万円

裏側矯正

  • 部分的な治療:40~70万円
  • 全体的な治療:100~170万円

ハーフリンガル矯正

  • 部分的な治療:35~65万円
  • 全体的な治療:80~150万円

マウスピース矯正

  • 部分的な治療:10~40万円
  • 全体的な治療: 60~100万円

上記の費用の目安はおおよそのものです。

全体的な歯列矯正をするには、100万円前後の費用がかかることがわかります。

保険による歯列矯正治療の適用が心配な方へ、歯列矯正治療の費用を抑える方法を紹介します。

  • 医療費控除を利用する方法:歯列矯正治療の費用を抑えるために、医療費控除を活用す ることがあります。これは、1月1日から1年間にかかった医療費が一定額を超える場合に所得税の控除が受けられる制度です。総所得金額が200万円以上の場合は、100,000円以上の医療費が控除対象となります。総所得金額が200万円未満の場合は、総所得金額の5%分が控除の対象となります。ただし、保険金などの支給を受けた場合は、その金額を差し引かなければなりません。医療費控除を利用することで、所得税の還付を受けることができ、結果的に治療費を抑えることができます。
  • デンタルローンを利用する方法:歯列矯正治療に対応している歯科医院では、デンタルローンを利用することも可能です。デンタルローンは、歯科治療の費用をローンで支払うことができる制度です。治療費を24回などに分割して支払うことができます。審査がある場合もありますが、月々の支払い負担を軽減させたい方にとって有効な手段となります。
  • クレジットカードの分割払いを利用する方法:歯列矯正治療に対応している歯科医院では、クレジットカードの分割払いを利用することもできます。クレジットカードで支払った後に、後から自身で分割払いを選択することができます。また、クレジットカードを利用するとポイントが貯まる場合があります。一般的なカードでは0.5%分のポイントが貯まることがあります。例えば、100万円の治療費をクレジットカードで支払った場合、5,000円分のポイントが貯まり、結果的に歯列矯正の治療費が抑えられることになります。

これらの方法を組み合わせることで、金銭的負担を抑えながら歯列矯正治療を受けることができるでしょう。

歯科矯正治療中に噛み合わせに違和感を感じる場合

男性患者と歯科衛生士

歯を動かすための矯正器具を使用するため、個人によっては痛みを感じることがあります。治療期間中は矯正器具を絶えず装着するため、食事時に不快感や舌が器具に触れる違和感を覚える方もいらっしゃいます。

もし日常生活に支障をきたすほどの痛みがあれば、歯科医師に相談して調整を行うことが可能です。また、中にはいつでも取り外すことができる矯正器具もあります。

まとめ

矯正用マウスピース

歯科矯正治療で噛み合わせは改善する?治療方法や理想の噛み合わせについて解説しました。

歯科矯正治療で嚙み合わせは改善できます。

噛み合わせが悪いと、虫歯になりやすく、体調へも悪影響を及ぼします。

しかしながら、治療費は安価ではありません。医療費控除の利用・デンタルローンを利用する方法・クレジットカードの分割等を上手く活用することで治療を捻出するという方法もございます。

治療を受けるクリニックに確認することをお勧めします。

歯科矯正治療を正しく理解したうえで治療すれば、悩みが解消し笑顔で生活ができるでしょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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坂本 輝雄医師(東京歯科大学 千葉歯科医療センター 矯正歯科 臨床准教授)

東京歯科大学卒業 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)修了 東京歯科大学歯科矯正学講座助手 慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師 米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor 東京歯科大学歯科矯正学講座講師 東京歯科大学退職 東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科 臨床准教授

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