歯科矯正治療は、歯並びを治し噛み合わせを整える治療として人気がありますが高校生は歯科矯正治療ができるのでしょうか。
高校生といえば、思春期も重なり自分への見た目に対して敏感になる年齢です。笑った時の印象で、歯並びが悪いと笑顔もぎこちなくなりがちです。
歯科矯正治療は、長い時間がかかりますので、早いうちから治療にかかることは重要です。歯科矯正治療は、自由診療になりますので費用は高くなります。
高校生が自分のアルバイト代などで、歯科矯正治療の費用を支払うのは難しいため、両親が費用を負担するのが一般的になっています。
高校生が歯科矯正治療をするには、どのようなメリットがあるのか。歯科矯正治療の費用はどのくらいかかるのかについて、ここでは詳しく解説していきます。
高校生は歯列矯正ができる?
高校生であっても、歯科矯正治療をすることは十分に可能で、問題ありません。長い期間通院しながら治療が必要となりますので、社会人になる前に治療を始めるのはおすすめです。
大学生になると学業とアルバイトで時間がなかなか取れない時が多いでしょう。また、社会人は仕事の都合を優先しますので仕事に慣れるまで治療の時間を作るのは難しくなります。
高校生のうちであれば、比較的時間を取りやすく治療にも専念できます。また、両親が費用の負担をする場合が多いため金銭的負担も軽減されるのではないでしょうか。
高校生がする歯列矯正のメリットは?
高校生がする歯列矯正のメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
その場合のメリットを下記に記載します。
- 歯が生え揃っているため治療の計画が立てやすい
- 治療期間が短い場合が多い
- 新陳代謝が活発で歯が移動しやすい
- 不正咬合を改善できる
- むし歯や歯周病を予防できる
さまざまなメリットがありますが、ここでは詳しく解説していきます。
歯が生え揃っているため治療の計画が立てやすい
高校生になると、歯も生えそろい顎の骨も成長して定着していきます。歯科矯正の方法も成人と同じ治療ができますので計画が立てやすくなります。
歯科矯正治療は、何歳からでも始められるのです。乳幼児期からの矯正治療も可能になっていて、早い場合は、3歳から治療をする人もいるのです。
ただし、小さいお子様の場合は装置を嫌がってしまうことも多く、歯並びに関しても良くしたいという気持ちもないため難しくなっています。
歯が生えそろっているということは、歯の移動方法に対してどの程度やれば良いのか判断できます。詳細な治療計画を立てやすくなるのです。
治療期間が短い場合が多い
高校生が歯科矯正治療をやるメリットとして、治療期間が比較的短くなることです。高校生は、歯が生えそろっていますが、まだ成長期であるのは事実です。
矯正装置で歯に力をかけると骨が歯や動きやすく矯正するのも早いという特徴があります。矯正装置で、歯を動かしたい方向へ力をかけるので思った方向へ移動が速くなるのです。
治療期間が短縮することで、治療費の節約にもつながります。歯科矯正治療は、自由診療での治療となりますので、メンテナンスや器具の取り換えなどで費用も高くなるのです。
成長期は、骨が歯が動きやすい特徴があることを述べました。治療期間を早くできるメリットがある反面、むし歯になった場合に放置すると悪化も早いので気をつけましょう。
新陳代謝が活発で歯が移動しやすい
骨の吸収と形成生産は、身体の代謝速度に影響します。高校生のように若い人は、歯の周囲の代謝も活発なので矯正中の歯も早く動かせるのです。
一般的に、歯科矯正治療で歯の移動は1ヶ月で0.3〜0.5mm移動するとされています。歯を2㎜動かすだけで4ヶ月近くかかりますので、歯科矯正治療には非常に長い時間がかかるのです。
身体の代謝速度は、人によって早い・遅いの個人差がありますが治療の期間を少しでも短くするためには、成長期に歯科矯正治療をすることをおすすめします。
歯の上下の歯列が正しい位置に合わず、噛み合わせが不適切な状態のことを不正咬合と呼びます。不正咬合を放置すると噛み合わせが悪化し、むし歯や歯周病のリスクが増加するのです。
歯科矯正治療によって、上下の噛み合わせを治すことで、不正咬合を改善できます。高校生のうちに歯並びを治しておくと、大人になってからの歯並びの悪化を防ぐことが可能です。
不正咬合は、さまざまな口腔健康上の問題を引き起こします。歯の摩耗・顎関節の痛み・歯ぎしりなどがありますが、見た目の問題も重要なのではないでしょうか。
歯並びが悪いと、ブラッシングが正しく行われず、プラークなどが溜まりむし歯や歯周病のリスクが高まります。歯科矯正治療は、むし歯や歯周病歯槽膿漏の予防にも繋がるのです。
むし歯や歯周病は、歯の骨を溶かしたりしますが、口臭にも影響を与えます。歯並びだけでなく口臭も気になるため、表情も硬くなってしまうのではないでしょうか。
思春期は、周りの目も気になります。友人との会話の時に歯並びを気にしたり、口臭が気になったりすれば、会話も楽しめないと思います。
高校生活をのびのびと笑顔で過ごすためにも、歯科矯正治療で自分に自信を持つことは非常に重要なことなのです。
高校生がする歯列矯正の治療法は?
高校生がする歯列矯正の治療法はどのようなものがあるのでしょうか。歯列矯正の種類を下記に記載します。
- ワイヤー矯正
- マウスピース型矯正
上記の歯列矯正の内容に関して、ここでは詳しく解説していきます。
ワイヤー矯正
歯列を矯正するために、金属製のワイヤーやブラケットを使用する治療法です。歯に固定するブラケットを装着して、ブラケットにワイヤーを通して歯を矯正します。
治療の進行に応じて、通常は4〜6週間ごとに歯科医師により調整が行われます。新しいワイヤーやゴムバンドの取り替えなどを実施しながら、歯の移動を進めていくのです。
以前は、ワイヤー矯正は見た目のイメージが悪く敬遠される人が多くいました。最近では、目立ちにくい矯正装置が揃っています。
歯にとりつけるブラケットが半透明または歯の色に近いジルコニアを使用するなど、見た目が目立たない器具が増えているのです。
ブラケットにつなぐワイヤーもホワイトタイプなどがあり、以前は歯の表面に取り付けていたブラケットを歯の裏側に取り付けることで目立たなくしています。
高校生は、周りの反応にも敏感になる年齢ですので、こういった配慮は非常に助かるのではないでしょうか。
マウスピース型矯正
マウスピース型矯正は、特製の透明なプラスチック製のマウスピースを用いて行われます。このマウスピースは患者の歯の形状に合わせてオーダーメイドで製作されます。
ワイヤー矯正よりも、目立ちにくいのがマウスピース型矯正ですが、取り外しも簡単にできるのが特徴です。歯磨きや食事中は外せるので、清潔を保ててむし歯のリスクも軽減されます。
注意点としては、簡単に取り外せるため、外したままで過ごしてしまい決められた装着時間を守れないことです。
歯科矯正治療は、歯を移動させるために長時間装着が必要な治療方法なので、決まった装着時間を守るようにしましょう。
高校生がする歯列矯正の費用
高校生がする歯列矯正の費用は、どのくらいかかるのでしょうか。治療方法によって変わりますが、気になる費用について下記に記載します。
- ワイヤー矯正の場合
- マウスピース型矯正の場合
- ローンや分割払いも可能
上記の歯科矯正治療の費用に関して、ここでは詳しく解説していきます。
高校生がワイヤー矯正をした場合の費用は、基本的には大人と同じです。その理由としては、歯科矯正治療の費用は自由診療のため、保険適用ではないからです。
ワイヤー矯正は、表側矯正と裏側(舌側)矯正の2種類があります。表側正は歯の全面にブラケットを装着して、ワイヤーを通して歯を固定する方法です。
裏側矯正は、歯の裏面にブラケットを装着するので、矯正が目立ちにくい手法です。従来とは違って目立ちにくいので歯科矯正治療をしていると気づかない場合があります。
表側矯正の場合は、80万〜100万(税込)といわれています。裏側矯正は、裏側にブラケットを装着する方が難しく手間がかかるので、100万〜150万(税込)かかるのです。
マウスピース型矯正の場合は歯全体にカバーのように取り付けますが、部分的に矯正することもできます。部分矯正か全体矯正かによって費用は変わりますが、マウスピースのブランドによっても大きな差があります。
費用に関してですが、部分的に矯正する場合は、10万〜20万程度(税込)になります。奥歯も含めて全体的なマウスピースの場合は、ブランドによっては100万円(税込)近くかかるのです。
保険適用外の場合は、自由診療になりますので大人と同じ費用がかかりますが、保険適用されるケースもあります。厚労省が定めた咬合異常などが原因の場合です。
日本矯正歯科学会のホームページに保険適用される疾患を検索することができます。
(日本矯正歯科学会のホームページ:矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは)
https://www.jos.gr.jp/facility
しかし、保険適用外であっても医療費控除を申請することで費用の一部の返還が可能となります。返還される金額は、世帯主が生計を一緒にしている家族の医療費を計算して、年収に対して払った費用を算出します。
いくら戻ってくるかは、インターネットでシミュレーションができますので参考にしてみては、どうでしょうか?
ローンや分割払いも可能
歯科矯正治療の費用は、高額になりますので一括で支払うことは厳しい金額です。歯科医院では、ローンを提供していることが多く、歯科矯正費用をローンで支払う場合があります。
また、高校生は、未成年のため支払いは保護者です。ローンを組むためには、基本的に20歳以上で安定収入のある人に限られます。
歯科医院でのローンは、デンタルローンといって、歯科治療に特化したローンです。手数料はかかりますが分割払いもできますので、多くの人が利用しています。
通常のカードローンよりも、デンタルローンは金利が低めに設定されています。ローンでの支払いを希望される場合は、歯科医院が提供しているカードローンがおすすめです。
高校生がする歯列矯正の期間
高校生がする歯列矯正の期間は、どのくらいかかるのでしょうか。2種類の治療方法に関してまとめました。
- ワイヤー矯正の場合
- マウスピース型矯正の場合
ここでは、上記の方法に関してどのくらい期間がかかるのか、詳しく解説していきます。
ワイヤー矯正の場合
大人が歯科矯正をする期間は、2年〜3年と矯正部分と症状に応じて幅広くなっています。高校生は永久歯も生えそろって、大人と同じ歯並びになりますが新陳代謝がはやいため、比較的早く終わる場合が多いのです。
高校生の場合は、歯は生えそろっていても顎骨の成長は止まっていませんので、歯科矯正治療をした場合の期間は2年程といわれています。
歯科矯正治療は、歯を少しづつ移動させて歯列を整えていきますが、高校生のように成長期の場合は歯の移動が早くなります。目的の場所までの移動が速くなるということです。
マウスピース型矯正の場合
高校生のマウスピース矯正の期間ですが、ワイヤー矯正と同じように1年〜3年の矯正期間が必要とされています。
骨の吸収・形成のサイクルでは、高校生は新陳代謝が良いため、矯正治療に費やす期間が短くなります。マウスピース矯正でも当初の計画より移動が速く進む場合があるからです。
先進的な矯正方法として、セルフライゲーションブラケットという矯正方法が注目されています。ワイヤー矯正よりも弱い力で歯を動かすことが可能となります。
マウスピース矯正・ワイヤー矯正どちらでも、歯科矯正治療にかかる期間は大人の平均よりも短いと言われていますので、高校生の時期に歯科矯正治療をしてみてはどうでしょうか。
高校生の歯列矯正では歯科医院の選び方も大切!
高校生が歯列矯正をする時は、歯科医院の選び方も非常に重要です。歯科矯正治療には高度な技術と経験が必要となりますので、治療をする歯科医院の実績を調べておきましょう。
歯科矯正治療をする場合は、矯正歯科専門医がいる歯科医院を選んで下さい。矯正歯科の専門の資格を持った歯科医が在籍しているかも確認が必要です。
歯科医院によって、専門分野や得意分野は違っています。一般歯科は、むし歯治療・歯周病・入れ歯などを中心とした治療を得意としているのです。
矯正歯科は大学病院などを利用して研修やトレーニングを積んだ専門医が所属しており、大学病院で数年間技術を磨いてきた歯科医師が矯正治療をおこないます。
矯正歯科の専門医が所属している歯科医院なのか、事前に調べておきましょう。
日本矯正歯科学会にホームページで、お近くの認定医・指導医・臨床指導医(旧専門医)を検索することができます。
https://www.jos.gr.jp/roster
まとめ
ここまで、高校生が歯科矯正治療をした場合に必要な情報を述べさせていただきました。皆さんはどのように感じたでしょうか。
歯科矯正治療を行う時期に、早すぎるということはないと理解していただけたと思います。相対的にいうと早い方が良いのです。
成長期における新陳代謝の活発さ・骨の吸収および形成・治療の時間の確保を考えると成人する前に治療をして、社会人になった場合の方が時間の短縮によって費用も節約できるのです。
思春期は、見た目にも敏感になります。歯並びが悪いことで人との関わりに、自信を無くしてしまうことがあります。
見た目だけではなく、他の身体の不調にもつながるのです。歯並びが気になっているお子さんがいる方は、歯科矯正治療を検討してみて下さい。
お子さんの自信に満ちた人生を送れる手助けをしてみてはどうでしょうか。
参考文献