歯並びは人間の第一印象に大きく影響を与えるとよく言われていますが、あなたは自分の歯並びに自信を持つことができていますか?歯並びが悪い方の中には自分の口元が大きなコンプレックスになってしまい、日常での挨拶やビジネス上のコミュニケーションの場面などで堂々とふるまうことができず、ストレスを抱えてしまっている方も多いと言われています。そんな悩みの種になりがちな歯並びの悪さを解消するために、歯列矯正を検討中だという方もきっといらっしゃるでしょう。歯並びが悪いと見た目上の影響が出てしまう他にも、身体面、精神面で健康上のリスクを抱える場合もありえます。そこで、今回は悪い歯並びのリスクやその改善方法について、詳しく解説します。
歯並びが悪い原因とは
歯並びがどんなきっかけで悪くなってしまうか、あなたはご存じですか?実は、歯並びが悪くなってしまう原因の一つには、親からの遺伝があります。生まれつきの歯の大きさや顎の形などは遺伝の影響を大きく受けるため、遺伝が原因となっている歯並びの悪さについては早い段階での歯科医への相談が推奨されているようです。しかし、悪い歯並びの原因にはそういった不可抗力である遺伝以外にも、日常生活の中で何気なく行ってしまっている習慣や歯に対してのケアの不足など様々なものがあります。まずはその原因について、詳しく確認してみましょう。
歯並びが悪くなる生活習慣
歯並びは生活習慣の積み重ねによって悪くなることがあると言われています。例えば、左右片方の歯に偏って物を噛む習慣がある人は、その噛み癖が原因となって顎や歯のバランスが左右のどちらかに偏ってしまいます。治療前のむし歯が痛む時や仮歯が外れてしまった時などに、反対側の歯だけで食べ物を食べて過ごしてしまう方も多いかと思いますが、そういった場面では歯並びに悪影響を出さないために、なるべく早めに処置をされた方が良いでしょう。
姿勢も歯並びに影響を与えると言われています。例えば、猫背が癖になってしまっている方は口が通常よりも開いた状態になりやすく、食事の際に前歯ではなく奥歯で噛む回数が多くなってしまうようです。それにより前歯の周りの筋肉が落ちてしまうことで、出っ歯になりやすいと言われています。日頃から姿勢には気を付けるようにしましょう。
また、歯ぎしりや食いしばりをしてしまう方も注意が必要です。これらの行為は歯がすり減ったり動いてしまうことに繋がっていき、結果的に歯並びに影響が出たり、歯茎に負担がかかって痛みが出たりしてしまいます。眠っている間に無意識に歯ぎしりなどが出てしまっている方は、マウスピースを作るなどの対処を行って歯にかかる負担を減らしてもらうと良いでしょう。
乳歯のむし歯の放置
お子さんの乳歯がむし歯になってしまった時には注意が必要です。「そのうち永久歯に生え変わるから大丈夫」と考える保護者の方もいらっしゃるようですが、実際は乳歯がむし歯になり根の病気に罹ってしまうと、永久歯はその根の病巣を避けて生えようとするため、歯並びに大きな影響が出てしまうことがあります。乳歯がむし歯になってしまった時には、早めに適切な処置を受けるようにしましょう。むし歯になってしまう前に、正しい歯磨きなどで口内環境を健康な状態に保つことも大切ですね。
幼少期には、歯並びを悪くしないために他にも気をつけるべき生活習慣が数多くあります。例えば、幼い頃に硬い物を噛む習慣が少なかった方も歯並びが悪くなりやすいと言われています。こちらは噛む時の負担が少ない柔らかいものばかりを食べてしまうことで顎の発達が弱くなってしまい、口内に全ての歯が生え揃うだけのスペースが作れずに歯が重なって生えてしまい、結果的に歯並びが悪くなるようです。
また、指しゃぶりや唇を吸う行為などで口内に力がかかってしまうことでも出っ歯になったり、噛み合わせが悪くなってしまうこともあると言われています。爪を噛む癖がある場合も歯の噛み合わせが悪くなったり歯が削れてしまうようなので、これらのトラブルを防ぐためにも定期的に歯科医で歯並びの状態を確認してもらい、アドバイスをもらうようにしましょう。
歯の喪失
むし歯や事故などで抜歯をした後、処置を行わず放置してしまうことも歯並びが悪くなってしまう原因の一つと言われています。歯が無くなって空いた部分に隣に並んでいた歯が倒れ込んで来たり、本来噛み合うはずの歯が伸び出てきてしまい、歯並びに悪影響を及ぼしてしまいます。ブリッジと呼ばれる処置や入れ歯などの対応で、早めに隙間を埋めてもらうことが良い歯並びを維持するにあたっては賢明です。治療中の仮歯などもすり減ったりしてしまうことがあるので、放置することは避けましょう。また、加齢に伴って歯が抜けてしまった際なども、迅速に処置を受けに行くことを心がけましょう。
歯並びが悪い原因を放置するリスク
悪い歯並びが長年気になっているものの、費用面や自分に合った病院選びの難しさから矯正を始めることを躊躇してしまう方も多くいらっしゃるかもしれません。しかし、悪い歯並びを放置してしまうと身体面でも精神面でも悪影響が出てしまい、時には日常生活に支障をきたしてしまうこともあるようです。では、一体その悪影響とはどのようなものがあるのでしょうか?確認してみましょう。
歯並びの悪さが身体面に与える影響
歯並びが悪いと歯の隙間などに食べたものが詰まりやすく、ブラッシングでも綺麗にしにくいため、むし歯、口臭、歯周病などが発生しやすくなってしまいます。また、歯並びが原因で口が閉じにくくなってしまうと、口内が乾燥し、菌が繁殖しやすくなってしまい、同様の口内トラブルに繋がってしまいます。
噛み合わせが悪いことで顎のバランスが崩れて、フェイスラインが歪んでしまうこともあるようです。歯並びが悪くなってしまうと美容面からのマイナス面はどうしても目立ってしまいがちなようですね。
また、意外に思われるかもしれないですが、歯並びが悪い状態で放置することで口内だけでなく身体のさまざまな部分への影響が大きく出てしまうと言われています。例えば、噛み合わせが悪くなってしまうことで、食事の際に十分な咀嚼が行われず、唾液の分泌が十分に行われなくなってしまい、消化器官のへ負担が大きくなってしまうことなどが身体面への悪影響のうちの一つとなっています。
歯並びの悪さが精神面に与える影響
「第一印象は歯から」という言葉がある通り、歯並びは見た目に大きな影響を与えてしまうため、歯並びに自信がないと会話をしたり笑顔になる度に、他の人の視線が苦痛になってしまいます。そうした辛い経験の積み重ねで、人と話すことが嫌いになってしまう方も多いようです。中には、仕事や学業などの日常生活のストレスが積み重なる中で、歯並びへのコンプレックスがきっかけとなってメンタルのバランスを大きく崩してしまう方もいるようです。
また、歯並びが悪いことで発生するコミュニケーション上の問題の一つとして、滑舌が悪くなってしまうことがあります。特にサ行などの発音が難しくなってしまうことがあると言われており、相手に会話が伝わりづらくなってしまう場合も多く、会話の中で本来の自分らしさを伝えることができずに積極性を失ってしまうこともあるでしょう。
不正咬合と呼ばれる噛み合わせが悪い状態になってしまうと、顎や肩などにも不要な力がかかってしまいます。そうした顔に近い部位に集中している神経や血管が不用意に圧迫されてしまうことで、無意識にイライラしてしまったり、気分が浮き沈みしてしまうなど、メンタルのコントロールが難しくなってしまうこともあるようです。
歯並びが悪い原因を改善する
現在歯並びが悪い方は今以上に悪化しないように原因を改善したり、治療を行うことも考えますよね。歯並びの悪化を予防する方法や治療する方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
歯並びの悪化を予防する方法
悪い歯並びの原因が生活習慣における悪癖にある場合は、その悪癖を改善することで歯並びがそれ以上悪化することを防げます。悪癖の例としては、頬杖をついてしまったり、うつ伏せで眠ってしまうことがあります。こういった悪癖のために、顎の骨や歯、口の周りの筋肉に大きな力がかかってしまい、徐々に噛み合わせや顔のバランスが崩れてしまうと言われています。日常生活の中でのこうした行為は意識的に避けて改善していくようにしましょう。
また、生活習慣とは異なる歯並び悪化のケースの事例として、顎のサイズに合わない状態で親知らずが生えてきてしまっている場合も気をつけたほうが良いとされています。歯が生えるために十分なスペースがない状態で親知らずが成長してしまうと、他の歯を圧迫して全体の歯並びが大きく崩れてしまいます。そうなってしまう前に早めの抜歯などの処置をした方が良いでしょう。
歯並びを治療する方法
・表側矯正
歯に悩みを持っている方もそうでない方も、おそらく最も馴染みがあるであろう矯正方法がこの表側矯正です。表側矯正はブラケットと呼ばれる装置を歯の表面へと歯用の接着剤で設置し、そこにワイヤーを通して力をかけていくことで歯の矯正を行う方法です。一般的な処置方法のため、治療実績とノウハウが蓄積されており、幅広い症状への対応も可能となっています。また、他の治療法と比較して矯正にかかる時間が短く済む、費用が安く済むなどのメリットもあります。 デメリットとしては、会話や食事の際に歯の表面のワイヤーが他の人から見えてしまうため、コミュニケーションの際にストレスになってしまうこと。慣れるまでは会話をすることが難しくなってしまうこと。歯に力をかけて動かしていくことでの痛みが生じる場合があること。食事の際に食べ物が詰まってしまう場合があり、適切なブラッシングが必要になること。また、時折ワイヤーが口内にあたって傷ついてしまうことなどが挙げられます。平均的な治療期間は1〜3年程度と言われています。
・裏側矯正
裏側矯正は、歯の裏側にブラケットを装着してワイヤー矯正を行なっていく方法になります。見た目では矯正中であることに気づかれにくいため、日常生活の中でのコミュニケーション上のストレスは、表側矯正と比較すると小さいと言えます。また、表側矯正では歯のエナメル質を傷つけてしまうことがありますが、歯の裏側の方がエナメル質が強いため、歯そのものが傷つきにくい点もメリットの一つです。
ただし、デメリットとして表側矯正と比較すると歯の裏側の方が複雑な面をしていることから装着が難しいため、医師側にもより高い技術が必要になり、毎回の処置に時間がかかったりしてしまうこと、歯に力をかけて動かしていくことでの痛みが生じる場合があること。食事の際に食べ物が詰まってしまうことが多く、適切なブラッシングが必要になることなどがあります。裏側矯正の平均的な治療期間は2〜3年程度と言われています。
・マウスピース矯正
マウスピース矯正は透明で薄いプラスチック製のマウスピースを装着する治療方法です。ワイヤー矯正と比較して、見た目で目立ちにくいというメリットがあります。また、自分で取り外しが可能な器具のため、大切な用事やスポーツの場面では取り外すことが可能になっています。そして、矯正前に3Dスキャンを行うことで、完成後のイメージを事前に確認できる点などもメリットの一つとなっています。金属のワイヤーを使用しないので、金属アレルギーの方も矯正を行うことができる点も魅力的ですね。
マウスピース矯正はワイヤー矯正と比較しても痛みが少ないとは言われていますが、取り外しが自由といえども1日20時間以上は装着する必要があるため、本人による継続力が必要となります。途中でサボったりせずに、しっかりと自己管理を行いましょう。マウスピース矯正にかかる平均的な治療期間は1〜3年程度と言われています。
正しい歯並びにするメリット
歯並びを綺麗にすることによって、長く抱えていた口元へのコンプレックスが解消され、ビジネスやプライベートの場面でも笑顔で過ごせるようになる人が多いようです。また、見た目が良くなることはもちろん、口内環境が改善しトラブルが減る、適切な咀嚼により消化機能が正常化する、身体の歪みからくるメンタルの不調が改善するなど、身体全体においてもメリットがあるといえるのではないでしょうか。また海外では特に歯に対しての美意識が高い場合が多いと言われており、ビジネス上の交渉の場面などでも歯並びが綺麗であればマイナスの印象を作らずにスムーズに相手との関係性を構築することができるかもしれません。歯並びが綺麗であることのメリットは本当に多方面に及ぶのですね。
まとめ
今回は歯並びが悪くなる原因と悪い歯並びのリスク、そしてその改善方法についての解説を行いました。いかがでしたか?費用がかかる分、簡単には手を出しにくい歯列矯正ですが、自分に合った矯正方法で綺麗な歯並びを実現させたいですよね。日頃抱えてしまっているコンプレックスやストレスを解消し、自信に溢れた笑顔で過ごせる毎日を手に入れましょう。
参考文献